蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

地上最後の刑事

2017年08月27日 | 本の感想
地上最後の刑事(ベン・H・ウインタース 早川書房)

半年後に小惑星が地球に激突し人類は壊滅的打撃を受けることが確実視されている。将来を悲観して自殺者が相次ぐ中、マクドナルドのトイレで見つかった死体も典型的な首つり自殺によるものだと思われた。しかし、新人刑事のヘンリー・パレスは首つりに使われたベルトが高級な新品であることに疑念を抱いて殺人の線で捜査を始める・・・という話。

小惑星が激突した影響で地球が冷却化し人類は滅亡するのでは?という予想は悲観的すぎるかもしれず、中途半端な、しかし深刻な不安にさいなまれた社会の描写にリアリティがあった。

破滅しかけた世界にあっておとなしくて恨みを買うような点が全くなかった被害者がなぜ殺されなければならなかったのか?という動機に納得性があり、犯人にも意外性があり、犯人にたどり着くまでのプロセスも悪くなく、ミステリとしても優れた作品だった。
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