蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ローグ・ワン スターウォーズストーリー

2017年05月28日 | 映画の感想
ローグ・ワン スターウォーズストーリー

エピソード4の直前、R2D2が運ぶことになるデススターの設計図(致命的な弱点を示している)を同盟軍が手に入れるまでを描く。

スターウォーズシリーズのお約束をきっちり守っている。例えば、辺境の惑星で起こる帝国を揺るがす重大事件(そういえば帝国のど真ん中で事件が起こるエピソードって皆無のような・・・)、重要な役割を果たす人間的すぎるロボット、魚類系宇宙人(気のせいか魚類的容貌が多いような気がする)、親子の相克、高い塔の内部で迎えるクライマックス、等々。
そして、最終盤で重要人物(本作では暗黒卿)を登場させて尻切れトンボのストーリーにする(そして次作を予感させる)やり方も同じ。

ちがうのは、本作の主要な登場人物が人員死んでしまうことかなあ。アメリカ映画ではよくある筋書らしいけど、主人公くらいは生き残らせてほしかったなあ。
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瑠璃の翼

2017年05月28日 | 本の感想
瑠璃の翼(山之口洋 文春文庫)

日本陸軍で草創期から航空隊の組織化に取り組み、ノモンハンでは指揮官として空戦で大きな成果をあげ、戦後は連行されたシベリアで病死した野口雄二郎の評伝的小説。

著者の山之口さんというとデビュー作(だったかな?)の「オルガニスト」が印象的だ。かなり昔だが図書館の開架にあったのを読み始めたら、とても面白くてその場で最後まで読んでしまった記憶がある。
「オルガニスト」はファンタジーというか幻想小説だったし、確かそのほかの作品も似たような作風だったと思うので、戦記小説を書いたというのはかなり意外な感じがしたが、本書のあとがきを読むと野口雄二郎は著者の祖父だそうである。

日本軍の航空戦力というと、ゼロ戦をはじめとした海軍をまず思い浮かべてしまうのだが、陸軍でも重要な戦力であり、少なくともノモンハンの頃は世界の先端を行くような装備と練度であったようである。
そのノモンハンでは(実質的には)ソ連軍を相手にして互角以上の戦果をあげたようだが、結果として熟練操縦者の多くをここで喪失してしまったというのは(ノモンハンで何ら得るところがなかったことを考えると)軍全体からみて痛恨の事態であったろう。

ソ連軍はパイロットの技量はそれほどでもなかったが、戦力を損なっても次々に新規部隊が投入され、新規部隊には戦訓が組織的に引き継がれていく。
一方、個々人の名人芸的な技量に依存し戦力補給が乏しい日本軍は(緒戦は優勢なものの)次第に押されてい行く、というどこでも見られたパターンがこの戦場でもあったようだ。(人口や生産力といった国の地力みたいなのに圧倒的な差があるので仕方ないことなのだろうけど)

本書の本筋とは絡まないのだが、ノモンハンというと極悪人?として必ず登場する辻政信参謀は、本書でも基本的には悪役として描かれる。ただ、戦後、議員としてシベリアの収容所を訪れた際に、収容者たちの家族から預かった私信等をソ連側の目を盗んで収容者に配り歩いた、などという(本書で描かれた)エピソードを読むと、「まんざら悪い人でもなかったのでは? 少なくとも行動力はすごいよね」なんて思ってしまった。
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