蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

イノセント・デイズ

2017年04月06日 | 本の感想
イノセント・デイズ(早見和真 新潮社)

主人公は興奮すると失神する持病を持ち、母親を早く亡くし、引き取った祖母にはネグレクトされ、学校ではいじめられ、やっと彼氏ができたと思ったらその男は他の女性と結婚し、ヤケになって放火してその女性と子供を殺したとして死刑判決を受ける・・・という話。

という筋からしてクラ~い話なのですが、よくあるこの手の小説だと、どこかに救いとか読者にカタルシスを感じさせるようなエピソードを挿入したりすることが多いと思います。
本書ではそういうところがほとんどなくて、終始一貫して読み続けるのが辛い話が延々と続く感じでした。
それでもミステリ仕立てなので、長目のエピローグ部分でドンデン返しとかがあるのかと期待していたら、傷口に塩を塗り込むような内容だったのでがっかりでした(いやこのエピローグこそが素晴らしい、という評価もあるようなのですが、私にはそう感じられませんでした)。

人の不幸はナントカの味なんていうように、こういう他人(というか架空の人物)の不仕合わせを読んで「それに比べれば私のほうがマシ」なんて思う、なんていうふうな楽しみ方もあるとは思いますが、どうも私には合いませんでした。
コメント
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