完全なるチェックメイト
冷戦時代にソ連代表とチェス世界一をかけて戦った米代表ボビー・フィッシャーの前半生を描く。
昔、将棋棋士の羽生さんが、「将棋のことを深く考えていると、現実世界に戻れなくなるのではないか、という危うさを感じることがある」といった旨のことを述べているのを読んだことがある。
将棋やチェスでなくても、長時間集中して一つのことを考え続ける生活を何年もしていると、多少なりとも神経症的な傾向が出てくることはありそうで、本作の主人公ボビー(トビー・マグワイア)も試合中のちょっとした物音や振動に過敏に反応する。
ボビーは私生活においても症状が出ていて、ソ連側に盗聴されていると思い込んで電話機を分解したりし、対戦に遅刻しそうになったりすっぽかしたりする(これは宮本武蔵みたいなじらし作戦なのかもしれないが)。
トビー・マグワイアは、こうした「神経質なちょっと変な人」にぴったりハマっていてスパダーマン役なんかよりずっとよかった。
ライバルのスパスキー(ソ連側のチャンピオン)も、巌のような強い精神力をうかがわせる外見なのだが、対戦中に劣勢に陥ると、「椅子から不審な振動が・・」なんて言い出す。そのギャップをリーヴ・シュライバーがとてもうまく演じていた。
しかし、この二人以上にクールだったのはボビーの練習相手(セコンド)の神父(ピーター・サースガード)で、とてもカッコ良かった。
本作の見どころは、ボビーとスパスキーの対戦シーンの緊張感あふれる描写で、ほとんど動きがないチェスの試合を長時間描いて飽きさせない(むしろ画面に釘付けになってしまった)監督の編集力はすごいなあ、と思った。
冷戦時代にソ連代表とチェス世界一をかけて戦った米代表ボビー・フィッシャーの前半生を描く。
昔、将棋棋士の羽生さんが、「将棋のことを深く考えていると、現実世界に戻れなくなるのではないか、という危うさを感じることがある」といった旨のことを述べているのを読んだことがある。
将棋やチェスでなくても、長時間集中して一つのことを考え続ける生活を何年もしていると、多少なりとも神経症的な傾向が出てくることはありそうで、本作の主人公ボビー(トビー・マグワイア)も試合中のちょっとした物音や振動に過敏に反応する。
ボビーは私生活においても症状が出ていて、ソ連側に盗聴されていると思い込んで電話機を分解したりし、対戦に遅刻しそうになったりすっぽかしたりする(これは宮本武蔵みたいなじらし作戦なのかもしれないが)。
トビー・マグワイアは、こうした「神経質なちょっと変な人」にぴったりハマっていてスパダーマン役なんかよりずっとよかった。
ライバルのスパスキー(ソ連側のチャンピオン)も、巌のような強い精神力をうかがわせる外見なのだが、対戦中に劣勢に陥ると、「椅子から不審な振動が・・」なんて言い出す。そのギャップをリーヴ・シュライバーがとてもうまく演じていた。
しかし、この二人以上にクールだったのはボビーの練習相手(セコンド)の神父(ピーター・サースガード)で、とてもカッコ良かった。
本作の見どころは、ボビーとスパスキーの対戦シーンの緊張感あふれる描写で、ほとんど動きがないチェスの試合を長時間描いて飽きさせない(むしろ画面に釘付けになってしまった)監督の編集力はすごいなあ、と思った。