蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

風神の門

2017年04月29日 | 本の感想
風神の門(司馬遼太郎 新潮文庫)

大坂城攻防の少し前、伊賀忍法の達人:霧隠才蔵は、豊臣方でリクルート活動をしていた女官:隠岐と知り合い、真田幸村に仕える甲賀忍者:猿飛佐助と連携して家康暗殺をもくろむが・・・という話。

数少ない未読(かつ有名な)司馬作品なので、なかなか読む踏ん切りがつかなかったのですが、「真田丸」の影響でついに読んでしまいました。(あまりに期待が大きかったせいか、内容には若干失望しましたが、新潮文庫で(下)の半ばあたりからかなり盛り上がりました)

最近ほとんど見かけなくなったけど、私の子供のころは忍者もののマンガやTVドラマ、映画がたくさんあって、伊賀、甲賀、風魔などと聞くと、懐かしさを覚えます。
特に「伊賀の影丸」を熱心に読んでいたので、服部半蔵率いる伊賀ものというと、徳川方というイメージが強かったです。
ために伊賀忍者:才蔵が家康暗殺にかかわるとなると、やや意外感があるし、家康を守っているのが風魔だとか、甲賀が真田方というのにも違和感がありました。風魔/甲賀というと悪者イメージが強い(これは「赤影」の影響?)ためです。
ただ、本書に登場する風魔の首領の名前=獅子王院はかっこよかったです。わりとあっけなく才蔵にやられていましたが。

本書における才蔵は、まるで島耕作のように女にモテまくりなのですが、どうもそういうモテシーンの描写に精彩を欠いているように思えました。
司馬さんは男同士の友情を描かせると天下一品だと思うのですが、思い起こしてみると、素敵な恋愛や一皮むけた女性が描かれた作品ってあまりなかったですね。
竜馬の妻おりょうさんなんか、「オレ(←司馬さん)、こいつキライ」というのが露骨にわかる描写になっていました。
司馬さん自身があまりモテなかったのかな??(失礼!)。文壇バーを渡り歩き・・・なんてイメージは全くないですしねえ。
コメント
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