蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

秒速5センチメートル

2008年01月04日 | 映画の感想
新海誠さんが製作し、高い評価を得た「雲のむこう、約束の場所」は、光線や反射光の使い方が印象的な作品であったが、背景に比べて人物の絵はどうみてもレベルが落ちる、と正直なところ思った。

本作においても光や色彩のあざやかな背景、風景描写は見事なのだが、人物は紙芝居みたいな感じだった。ストーリーらしいストーリーもほとんどない。

監督がやりたいのは美しい一枚絵の連続編集で、人やモノの動きを面白おかしくみせる伝統的なアニメーションではない、のかと思った。

3話の短編の連作で構成された本作では最初のエピソードの電車や駅の描写(毎日埼京線と東北本線を利用しているので車窓から見える風景は毎日見ているものなのに、本作で見るとそのありふれた風景が非常にみずみずしく新鮮に写ってしまうのが不思議だ)、最後のエピソードのラストに流れる山崎まさよしの曲に乗ってワンカットが連続して挿入される場面は今までに見たことがないような表現と美しさがあり、感動した。

この映画を見た後には、反射光とかふとした物音にとても敏感になるような気がする。
コメント
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