蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

「お金とモノから解放されるイギリスの知恵」

2006年02月07日 | 本の感想

「お金とモノから解放されるイギリスの知恵」(井形慶子 新潮文庫)

 若い頃、仕事でイギリスの地方都市に数ヶ月間滞在したことがあった。

 日本ではめったに聞かなかったのに、彼の国では頻繁に耳にした言葉は「ディボース(離婚)」と「ボアリング(つまらない、とか、取るに足りない、といった意味)」だった。

当時日本はバブルの最盛期で、今から思うと誤った高揚感みたいなものがあったせいか、イギリスの人がやけに元気がないように見えたし、滞在したのが秋の終わりから冬にかけてだったので、いつも天気が悪くて、食事はやっぱりおいしくなかった。

 ということで、私のイギリス感は、あまりぱっとしないものだ。そうかと言って「二度と行きたくない」という程イヤになったわけではない。よほどの田舎に行かない限り、日常生活や人々の考え方やまわりの景色は日本とあまり変わらなかった。日本にあるものは大抵あるし、その逆も真。日本にも嫌悪すべき点は多いしイギリスにだったもちろんたくさんあるだろう。(こんな本もあります「ハードワーク」)

この本はひたすら日本をけなしてイギリスを誉めまくる本。あまりに見方が一方的で、途中からうんざりしてきた。批判すべきところは批判し、押したり引いたりしてくれないと読む方としては根気が続かない。この本によると、極端な偏食の子供もイギリスにあっては素晴らしいことのようだし、休日に一日中ソファに寝転んでTVを見ていることが高尚な趣味になるらしい。

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AROUND THE BEND(ラストマップ)

2006年02月07日 | 映画の感想
「AROUND THE BEND(ラストマップ)」

日本での劇場公開はされなかったらしい。DVDを借りて見た(「ラストマップ」が邦題)。

主人公の銀行員は、息子と考古学者の祖父と共に暮らしているが、ある日、長い間行方不明になっていた父が帰ってくる。祖父は自分の息子の帰還に大喜びで「レストランに行こう」と言う。そのレストランというのは、ケンタッキーフライドチキンの店。
父と主人項はチキンが苦手なのだが、祖父は大好物のようだ。

ある日、祖父はケンタッキーの店でひ孫といっしょに遺言状をタイプ打ちしている間に死んでしまう。主人公と父、息子の三代の家族が遺言状に従って車で家族の思い出の地を訪ねて祖父の散骨をしていく、というのが筋。

派手なアクション、現実と見分けがつかないCG、大金を投じたキャスト、といった作品は、どれを見ても同じように感じられてしまう。年をとったせいなのか、外国のなんでもない日常をたんたんと描く映画が好みになってきて、そういう意味ではこの作品はぴったりだった。

考古学者だった祖父の部屋、日本のそれとは微妙に違うケンタッキーの店、主人公がアメリカ各地をめぐる時に使うボロボロのワーゲンバス、などが印象的で、何も事件が起きない映画だけれど、最後まであきずに見ることができた。
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