「お金とモノから解放されるイギリスの知恵」(井形慶子 新潮文庫)
若い頃、仕事でイギリスの地方都市に数ヶ月間滞在したことがあった。
日本ではめったに聞かなかったのに、彼の国では頻繁に耳にした言葉は「ディボース(離婚)」と「ボアリング(つまらない、とか、取るに足りない、といった意味)」だった。
当時日本はバブルの最盛期で、今から思うと誤った高揚感みたいなものがあったせいか、イギリスの人がやけに元気がないように見えたし、滞在したのが秋の終わりから冬にかけてだったので、いつも天気が悪くて、食事はやっぱりおいしくなかった。
ということで、私のイギリス感は、あまりぱっとしないものだ。そうかと言って「二度と行きたくない」という程イヤになったわけではない。よほどの田舎に行かない限り、日常生活や人々の考え方やまわりの景色は日本とあまり変わらなかった。日本にあるものは大抵あるし、その逆も真。日本にも嫌悪すべき点は多いしイギリスにだったもちろんたくさんあるだろう。(こんな本もあります「ハードワーク」)
この本はひたすら日本をけなしてイギリスを誉めまくる本。あまりに見方が一方的で、途中からうんざりしてきた。批判すべきところは批判し、押したり引いたりしてくれないと読む方としては根気が続かない。この本によると、極端な偏食の子供もイギリスにあっては素晴らしいことのようだし、休日に一日中ソファに寝転んでTVを見ていることが高尚な趣味になるらしい。