蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

株式投資の未来

2006年02月04日 | 本の感想
「株式投資の未来」(ジェレミー・シーゲル 日経BP)

学者が書く株式投資の指南書の大半の結論は、「インデックスに投資しなさい」であるような気がする。しかし、株式投資をする人のほとんどは「適切な資産管理をしよう」とか「分散投資をしよう」とか考えているわけではないので、インデックス投信を買ったら数十年間それをじっと持ち続けているなんてことはできない。
それより一発当てて人もうらやむような儲けを手にしたい、というのが本当の気持ちのはずで、さらに幸運にも一発当てたとしてもそこで止めることはもちろんできない。というか、何発当てたとしても破滅的な大損をするまで止めることはできない。

「株式投資の未来」が説くのは、インデックス投資が理想的だが、同じくらいのリスクでさらに儲けるにはどうしたらいいか、ということで、結論をいってしまうと現時点で低評価・高配当の優良株(それもハイテクっぽい優良銘柄ではなくて、資源とか食品とかいったディフェンシブ株)の超長期(50年とかを想定してるようだ)持続・配当再投資がベストな戦略とのことだ。
そういった銘柄の典型例はアルトリア(昔のフィリップモリス)で、この全く面白みがなさそうな株を戦争が終わったころから持ち続けているととてつもない資産になっているそうである。

しかし、繰り返しになるが、多くの人は買った株を完全に忘れてしまったりしない限り、何十年も同じ株を持っていられるほど気が長くないし、3倍、5倍になっても持ち続けるのはもっと難しい。
だから、幸運にも持ち株のことを忘れてしまい(かつ、数十年後のある日その株の価値に突然気づいた)人とか、ウォーレンバフェットみたいな超人的な信念の強さを持てる人でないと株式投資で本当に成功することはできないのだろう。

それでも、こうしたことを説明した前半はデータに裏打ちされた強い説得力があった。一方、極めて楽観的な未来を語った後半は、ありきたりの夢物語みたいな内容だった。
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