殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

脳の切り替え・2

2020年01月15日 13時10分32秒 | みりこん流
唐突ではあるが、ブログの文体でもお分かりのように


私はどちらかといえば文系脳。


風が吹いたわ、いとをかし‥


葉っぱが落ちたわ、いとあはれ‥


この脳みそで生きてきて、そのまま死んで行くことに


何の疑問も抱いていなかった。



しかし、それだけでは生きられないと気づき始めたのが


夫の浮気問題。


やれ悲しや‥それ憎や‥あな口おしや恨めしや‥ヨヨヨ‥


これら「腹ふくるるわざ」の他に、持ち球は見当たらない。


あとは努力、辛抱、根性というのがあるらしいので


いざとなったらこれをやってみて


とりあえず生きてりゃ


神だか仏だかが何とかしてくれると思っていた。


それが私の全レパートリー。



その間にも、私を取り巻く環境は年々厳しさを増し


起こる事態は複雑で難解になっていった。


自分の理解力を超えたことがどんどん起きる中


イメージやフィーリングが先行した従来の思考で


いちいち一喜一憂していたら、いずれ頭がおかしくなってしまう。


このままではこの先、子供を二人抱えて乗り切れそうもない。


では、どうしたらいいのか‥


一応はそう考えるが、名案が浮かぶはずもなく


悶々と日を送るしかなかった。



浮気と嫁舅で揉めまくった20代が終わり


30代になったばかりの私は


事務の短期アルバイトをすることになった。


事務といったら子供の頃、遊び半分に父を手伝っていた程度で


仕事としてやる自信は全く無かったが


お金が欲しいのと、短時間なのと


子供の夏休みは休めるという条件に惹かれて


引き受けたのだった。



無理ならすぐに辞めるつもりで行ったが


簡単な簿記だったので、意外にもできた。


根気よく教えてもらったのが良かったらしい。



あれれ?‥


そこで私は驚くのだった。


父親の会社で事務を担当し


両親に経理のプロと絶賛される夫の姉は


こういうことをやっていたのか‥


目からウロコ。



義姉は会社の他、実家の一室を事務室に


隣の部屋をコピー機や、雑多な資料を置く部屋にして


時々仕事をしていた。


我々が生活する二階の二部屋を義姉に分捕られ


私は不満に思っていたが


両親の方は仕事中の彼女に気を使いまくり


センター試験を控えた受験生のように扱った。



だから私は、思い込んでいたのだ。


義姉はこの部屋で、凡人には不可能な


とてつもない大仕事をやってのけているに違いない‥


私が彼らからバカにされるのは、当たり前なのだ‥。



でも事務って、電卓と細書きのボールペンがあれば


賢くなくてもできるもんだったのね。


欲を言えば税理士と、当時は普及してなかったパソコンがあれば


大丈夫だったのね。


ああ、びっくりびっくり。



好きだから正しい、嫌いだから悪いといった


イメージ先行型の思考から


数字やデータ重視の物理的思考へと


努めて変換し始めたのは、この時からだ。


数字に親しむことを覚えたのもあるが


他者の都合や気分に影響されて事実を誤認し


はては自分さえも見失ってしまうのは愚かだと


知ったことが大きい。



自分の周りで起きる様々な出来事を


イメージでなく、数字やデータで考えると


現実が見えてくる。


現実を把握することで、問題に向き合える。


きちんと向き合わなければ、理解も解決も無い。


それが私にとっての物理的思考である。



物事を努めて物理的にとらえるうち、私は気がついた。


「これって経営者の考え方じゃん」。


素早く正確な判断をするためには


物事を素早く正確にとらえなければならない。


「もののあはれ‥」などと呟いて、物思いにふける暇は無いので


数字とデータを重視するようになるのだ。



それが習慣になると


それまで他人事だと思っていた経済というものが


浮かび上がってきた。


どうあがいても読み取れなかった人の心が


経済と連動していることに気づき


何となくわかるようになったのだ。


物事を一個人のイメージでなく


まず経済から考えると効率が良い。


これが経営者の考え方なのだ、多分。



慣れると、様々な疑問や悩みの大半には


経済が深く関わっていることがわかるようになる。


例えば旦那の不倫。


主観でとらえたら、「許せない裏切り」だ。


そりゃ憎い、歯がゆい、恨めしい。



が、経済でとらえると、「貧乏人の背伸び」で終了。


シロウト相手は安上がりだ。


一膳メシでもおごれば、コジキは喜んで付いてくる。


が、シロウト同士なので、やがては必ず揉める。


庶民が殿様の真似をしたら、金が足りなくなるからだ。


浮気で揉めるのは、単に経済の問題なのだ。



あくまで我が家の場合と断っておくが


これは決して、運命の出会いや愛ではない。


妻子を泣かせてまで無い金をふりしぼり


一膳メシを食わせる価値のある女かどうかの


値踏みすらできない経済オンチの亭主と


その亭主を奪われそうになって初めて


そいつが稼いでくるわずかな収入が


急に輝いて見えるようになった


経済オンチの女房がいるだけだ。



とまあ、物事を経済で考えると


たいていのことは興ざめしてケリがつく。


そのため、人のやることや言うことに


いちいち舞い上がったり落ち込んだりしなくなり


自分というものが、はっきり見えてくる。



要はバランスだと思う。


主観で解釈するイメージ先行型思考と


数字やデータで解釈する物理的思考のバランスが


初めから取れている人はいい。


そんな人は大人と呼ばれる。



けれども私には、物事を物理的にとらえる能力が


圧倒的に不足していた。


そして私を取り巻く環境は


物理的思考でしか乗り越えられないものだった。


物理的思考のアイコンを新規作成するしか


生きる道は無かったのだ。


以後、生きるのが楽になったような気がしている。


《続く》
コメント
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