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盛り土(もりど)

2016年09月13日 15時25分08秒 | みりこんぐらし
築地市場から豊洲市場への移転問題で

今、話題になっているのが「盛り土」。

多くの方々には耳慣れない言葉だと思うが

建設業界の端くれにいる私にとって

盛り土は日常よく使う業界用語。


Q・建物の下を空洞にしたのはなぜか。

A・儲かるから

Q・どうしてこんなことをしたのか。

A・儲かるから

なぜなら、盛り土は金がかかる。

これをきっちりやるかやらないかで

利益が大きく違うからだ。


豊洲市場は、東京ガスの跡地に建設された。

長年のガス製造のために汚染されきった土地を

売りつける方も売りつける方だが

買う方も買う方なのは

さておき‥

こういうことは内部告発で発覚するというのも

さておき‥

あんな汚染地を盛り土ぐらいで解消できるのかも

さておき‥

土壌改良のため、全体に4,5mの高さの盛り土を

敷地全体に敷くのが、始めの計画だった。


敷地にいきなり土をぶち込んで

「盛り土でござい」というわけではない。

まず現場を平坦にするため

一定の深さに掘る作業がある。


平坦になったら、そこへ砕石を敷く。

砕石とは、そこらへんの石ころと思う人が多かろうが

この砕石、タダではない。

ダイナマイトを使って、山から切り出した物は高い。

だいたいではあるが

1m3(立方メートル)につき、3千円から4千円だ。

近年、主流になっている

コンクリート廃材をミキサーにかけて

バラバラにしたものなら、1m3につき2千円前後。


ピンとこないであろう1m3の量だが

大型ダンプカーの最大積載量が

7m3と考えていただければ

それがいかに気の遠くなるような作業か

おわかりいただけると思う。

これを何十万m3だか何百万m3だか使うんだから

材料費だけで莫大な金がかかる。

そこへさらに人件費や運搬費などが加算される。


砕石を敷いたら、やっと盛り土に取り掛かる。

盛り土は一般的には

山にある真砂土(まさつち)が使用される。

真砂土の相場は、1m3につき2千円から3千円。

砂や砕石より安いが、これを敷地全体に

4.5mの高さまで積み上げるとなると

これまた莫大な金がかかる。


高さ4.5m分、真砂土を投入すれば終わりかというと

どっこい、そうはいかない。

土は締まって沈む。

現場の土質と、投入する真砂土の品質にもよるが

沈んだら、また真砂土を投入する。

この作業を繰り返して強く硬い土台を作り

最終的に4.5mの高さに仕上げるのが

正しい盛り土である。


早い話、金と手間と日数がかかる。

地べたをつつくというのは

とにかく金がかかるものなのだ。

よって、地面の改良が必要な汚染地を選んだ時点で

すでに大間違いを犯しているわけである。


さて、敷地全体の盛り土を済ませた後で

改めて建物を建てていたら納期が遅れる。

そこで、盛り土の途中で建築に取り掛かる必要がある。

その上、入札を勝ち取るために

安い見積もりを出しているので

盛り土に思わぬ金がかかり、大幅な予算オーバーは必至。


そこで、見えない所は空洞。

建物の地下に施すはずの盛り土をはしょり

コンクリートの杭ですませる。

コンクリートは早く固まり、しかも安い。

これなら納期と経費の問題は、一気に解決。

まったく、よく考えたものだと

私はそのずる賢さに感心するのである。


耐震偽装や違法建築など

各地でこういう問題が起きた場合

施工業者を調べると面白い。

ワイドショーで有識者を集めて

ああでもない、こうでもないと言うより

業者の所へ突撃取材に行く方がよさそうなものだが

業界大手が絡んでいると、マスコミはおとなしい。

その会社や系列会社がスポンサーだったりするからだ。


反対にバックのない個人

またはバックが見放した切り捨て要員であれば

報道の正義をふりかざしてメチャクチャ叩く。

その変わり身は、鑑賞に値する。


今回の工事は、大手数社の共同企業体が施工している。

一気に言えないくらいの数だ。

大きい工事なので、たくさんの会社が協力するのが

当然といえば当然だが

逆に言えばこの共同企業体、何か不都合があった場合は

責任のなすり合いができる保険でもある。


いずれ、どれかの会社の誰かが

責任を取ることになるだろうから

現在はその社選、人選が

慎重に行なわれていることだろう。

ニュースは、こうして楽しむのだ。


ちなみに小池都知事、すごいなぁと思う反面

あんまり頑張ると、今回の件じゃなくても

どこかで足を引っ張られて消されるんじゃないかと

私は心配している。

ファンというほどではないが

日本を愛する政治家が減少傾向にある昨今

貴重な存在だからである。
コメント (10)
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