日本を訪れる海外の旅行者が驚く事の一つに、
観光地のみならず、都会でも田舎でもゴミが少なく、
特に、人通りが多い所に捨てられているゴミが
極端に少ない事が上げられます。
もちろん、多くの人々の努力が有ってこその事ですが、
昔から、日本人は、自分の家のみならず、地域全体の
美しさに対して気を使って来ました。
かつて、マルコポーロが日本を訪れた時、長崎から
江戸までの道中、ゴミが全くなく、人々は、質素な生活とはいえ
清潔で礼儀正しい事に驚いたものです。
当時、ヨーロッパは、ゴミを公道に捨てる事は当たり前であり、
パリでは、朝目が覚めると、自宅の前の石畳に、家人が
排泄した糞尿を捨てる事すら当たり前の生活をしていました。
その為、都会には異様なにおいが漂い、人々も身体を清潔に
する事を気にしなかったため、日本を訪れた欧州人は、我目を疑い
日本人の清潔でエコな生活に驚いたのです。
ヨーロッパで香水が流行したのは、この臭いをごまかす為とも言われ
私達は、昔から世界に誇る清潔な民族と言えるのです。
しかしながら、この事は、今の時代では少し違っていて、
確かに、街も綺麗で、人々も清潔で礼儀正しいとは言えますが、
実際のところは、そうとも言えない様です。
特に、高度成長期に日本中が汚染されて、海も川も多くの生物が
死に絶える程でした。
ここ、40年ほどで、かなり浄化されているとはいえ、いまだ、日本の
自然は復活せず、特に、住宅地や工業用地が密集する都会に於いては
海も川も相変わらず汚染が進んでいます。
東京に於いても、街並みは美しく、ウォーターフロントに次々につくられる
高層マンションやレジャー施設は、夜ともなると、美しい夜景を創り上げ
多くの観光客を楽しませています。
しかし、その足元に広がる東京湾は、いまだ汚水の溜まった水たまりであり
多くの生物が死に絶え、海洋生物の生活と繁殖が難しい環境です。
また、都心部を流れる川に於いても、コンクリートの側溝と変わらず、
雨や汚水の排水溝でしかありません。
美しい目黒川の桜も、川を見れば、とても桜と同じく手放しでは喜べません。
時たま飛来するカモや鵜を除いて、魚などの生命反応は極めて少なく、
風向きによっては、下水の酷い匂いが周囲の住宅街を襲います。
後数年もすれば東京オリンピックです。
この時、私達は、何を世界に示すべきでしょうか。
近代的な街並みと、トップクラスのオリンピック施設を見せればいいのでしょうか。
東京湾は、世界でも類を見ない程の沢山の生命が発見されています。
大都会の前で、これ程の種類の海洋生物が生息する湾は珍しく、
遠く江戸時代から沢山の人々の生活を支えてきました。
でも、ここ数十年で、そんな素晴らしい海も、死の海となっているのです。
高度成長期よりは多少綺麗になったと言われますが、生物達にとっては
とても、生活繁殖をしていくには酷過ぎる環境と言われます。
江戸時代には、東京湾とそこに流れ込む河川は、江戸の人々の
命の糧を提供して来ました。
オリンピックを成功させるのも大切かも知れません。
しかしながら、表向きの美しい街を世界にアピールするだけでは、
日本人としてご先祖様に恥ずかしい思いです。
時間が掛かっても、かつての様な、美しい、命溢れる東京湾と、
そこに流れ込む清流がある、本当に美しい東京を目指して欲しいものです。
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