羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

粉雪の墓参り……つれづれに

2015年01月01日 14時05分05秒 | Weblog
 昨年は、忙しさを口実にお彼岸もお盆も、祥月命日も、父の墓参りを欠いてしまった。
 そのことがずっと気にかかっていた。

 今朝、仏壇に花と御節を供えながら、今日こそは墓参りにいきたい、と心に決めた。
 朝のうちはとてもよい天気で、母を誘った。
 ところがいざ家から出てみると、曇り空に変わっていて、寒さが身に凍みる。
「私は行かないわ、ひとりで行ってらっしゃい」
 曲がり角に近づいたところで引き返した。
 一旦、家に入って、ガスストーブをつけ、母のコートを脱がせて、出かけた。

 30分もかからないで笹塚にある寺に到着。
 花と線香をもらい、ちょうど奥から出ていらした大黒さんに年賀の挨拶をして墓所へと向かった。
 見上げると雲は一段と低く垂れて、北風も吹きはじめていた。

 お参りをすませると、そそくさと寺の玄関の前に引き返した。
 そこではお屠蘇と甘酒の接待が行われていたからだ。
 大きな石油ストーブが焚かれていて、赤い毛氈があたたかな風情をかもしている縁台に腰掛けていただく。生姜の香りのきいた甘酒が冷えたからだの中心部へと落とし込まれていく。
 ほーっと、息をついて初詣の余韻を味わえる余裕がでたのだった。

 行きは中野駅から渋谷行きのバスで、帰りは笹塚駅から新宿経由を選んだ。
 車内はガラガラ。ゆったり腰掛けて、普段とはまったく違う気持ちで揺れに身を任せている自分を感じていた。
「そういえば、何十年ぶりに”紅白”を最後まで聞いてしまった」
 なんとなく気に入った歌を思い出す。
「エッ、それって全く中高年好みだよね」
 苦笑。
 クリスハートの「糸」。なんでも中島みゆきの曲だとか。
 天童よしみの「やっぱ好きやねん」。上手かった!画面からとび出しそうな真に迫った歌だった。
 みんなで歌おう!アナと雪の女王。聞くまではすごく抵抗感があったが、イディナ・メンセルの日本人女性歌手では持ち得ない大人力・力歌唱力は素晴らしいことを知った。「Let it Go」それでも好きになれない。
 長渕剛の「明日へ続く道」はジーンと心に響きましたね!歌の完成度は、一番よかった。
 ピースを歌い上げたサザンは、音声があまりよくなくてちょっと残念だった。はっきりしたメッセージとして歌詞を聞かせたくない放送局側の作為を思うのは、深読みすぎだろうか。

 全体に感じたことは、すでに6年後のオリンピックを想定してオーディション化して、派手派手キラキラエンターテーメントの予行演習が、すでに始まった感がある。
 日本の伝統芸能はさておき、AKB48と姉妹AKB諸々にきゃりーぱみゅぱみゅは別格として、お祭りの主役はやっぱ嵐かな?!全員がそこそこ40くらいだから、十分いける。EXILEは年々歳々若返りの脱皮を繰り返せば条件付き。
 トリの聖子さんは、純白の衣装で世界の歌姫としてソロの歌を当てたいんだろうけど、昨晩の緊張は半端じゃなかったからなぁ~?!オペラ歌手には、あの艶やかな雰囲気はないしー。

 時代の一断面を見ようと最後までつきあってしまった紅白。
 私には直接関係ないことだが、勝手な印象に思いをめぐらせていると、新宿で乗り換えた総武・中央線は、東中野のホームをあとにしていた。
 暖房はきいている筈なのに、しんしんと冷えがからだを包んで来る。
 何気にiPhoneの天気を呼び出した。
「えっ、今の時間、雪?」
 思わず窓のそとに目をやると、ひらひらと舞っている白いものが見える。
「元旦の粉雪に、墓参りかー」
 深い溜息。
 オリンピックを見据えた「全員参加・一億総決起みたいな危ういお祭り騒ぎ」より大事なことがある。
 元旦だというのに、笹塚駅近くの高架下で、毛布にくるまりうずくまってカップラーメンを食べようとしていたホームレスの姿を思い出した。
 
 昼食を済ませたら、年末に買ってしまった本『21世紀の資本』、朝日の朝刊に著者のトマ・ピケティ氏インタビュー記事の切り抜きを読み返してみよう。
 
 明日は正月二日、稽古初め。
 私を取り戻す”我に還る日”であーる。
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