羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

ブンガワン・ソロ

2006年01月19日 13時58分23秒 | Weblog
 20数年前に、野口体操の教室で知り合いなったお嬢さんが、今は結婚してアメリカに住んでいる。当時は、慶応大学の学生さんだった。子供のころインドネシアで暮らしたことがおありだった。
 其の縁で、インドネシアの民謡「ブンガワン・ソロ」を、アンクルンという竹の楽器+ピアノ+歌で、ピアノの会を盛り上げてくださった。もちろん歌詞は原語だった。

 会場は、今はもうなくなった渋谷の山手教会地下「ジァン・ジァン」。
 当時は、ここでピアノの会をするのはナウい! ということで、毎年、いろいろな企画をたてて、出演者希望者が多く、時間のやりくりが大変だった。
 
 そんな楽しい会に、竹の楽器・アンクルンが登場した。
 この楽器の音色は、「ブンガワン・ソロ」の歌がもつ哀愁にぴったり調和している。曲が進むにつれて、歌う方も聴く方も心地よい境地に導かれていく。
 曲が終わる前から、客席ではホロリと頬を伝う水滴をハンカチや指先で拭う光景が、あちこちで見られたのだ。
 ゆったりと流れる川に思いをかけた歌詞とメロディーは、日本人のこころをとりこにした。或る年齢から上の方々には、なおさらなことだった。

 その彼女から「ブログを読んでいます」というメールを戴いて、往時を懐かしく思い出した。
 佐治嘉隆さんのバリの写真を次々バックに映し出しながら、体操教室の皆さんとアンクルンを奏で、「ブンガワン・ソロ」を歌ってみたいと思うくらいだ。
 この演奏には、すくなくとも11人の演奏者がいったと思う。
 記憶は相当に曖昧になっている。
 クリスマスのカリヨンって言いましたっけ、音階になっている鐘をひとりずつ鳴らしながら、メロディーを奏でる。それを思い出していただきたい。
 インドネシアという気候風土、アジアという風土から生まれたアンクルンは、鉄製ではなく、竹を筒のまま枠にはめる。それを揺すりながら、音を鳴らす楽器。一本のアンクルンには、3本の竹がついている。そのため「唸り現象」が起こって、柔らかな音色をうむことになる。

 アンクルンの音は、次々に弾き継がれて、一曲を演奏するうちには、音の波が風や川や雲や海や段々畑の畝や、社に捧げものを運ぶ人々の列の動き等々のイメージを髣髴とさせてくれる。

 因みに、インドネシアには竹で作られたパイプオルガンがあるらしい。
 バタビアと呼ばれた時代、宣教師の指導の下に、現地の人々が作ったらしい。
 アジアには宗主国が残した遺物が残っている。
 ぬぐいきれない歴史は、どの国にもあるのだなぁ、と、しばし、ため息。

 懐かしい歌をハミングしながら、今日のブログを書いている。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 埋められた青銅器・銅鐸 | トップ | 記憶は残る・記録は消える »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジァン・ジァン (spoonful)
2006-01-19 20:29:42
バリ島には竹製のものがいろいろありますね。田圃の中でカランコロン鳴っている「雀脅し」はただ鳴るだけではなく、動く細工も凝っています。金属製のガムランもいいですが、僕はティンクリック(竹琴)のノホホンとした音色が好きです。レストランや宿の兄ちゃん達が暇になるとポクポク始めます。



「ジァン・ジァン」!懐かしいですねえ。

デザイン学校に通っていたとき、いつもこの前を通りました。上が教会、下では前衛をやってましたね。僕は三回だけ行きました。

高橋竹山さんの津軽三味線。高田渡さんのコンサート。対談:武満徹+谷川俊太郎。ああ、この内の三人はもう他界されてしまいましたね。

返信する
ぬぐいきれない歴史 (spoonful)
2006-01-19 20:46:03
ティンクリック(竹琴)で思い出しました。若者が僕たち日本人の前で突然、♪軍艦マーチ♪を演奏し始めたのです。それはかって、日本軍統治時代に覚えた人から伝承されてきたのでしょう。若者は得意顔でしたが、こちらの楽園気分は吹っ飛びました。老人で「教育勅語」を語る人もいるそうです。
返信する
うわあ、なつかしい! (きりん)
2006-01-23 08:20:47
おっと。2、3日読んでなかったら、こんな記事が出ていたとは。



私がその、元「お嬢さん」でございます。羽鳥さんだって、そのころは「ピアノ教室をやってるお姉さん」だったじゃないですか! 82年ぐらいですかね、ブンガワン・ソロをやったのは。驚くほど時間が経ちましたね。でも、まだ歌詞を全部覚えています。今、歌ってみたから本当です。あらためて、なんてまあセンチメンタルなメロディなんだろうかと、感心しているところです。こういうセンチな音楽も、たまにはいいものです。



アンクルンの演奏は、演奏が子供さんなら一人一音なので人数が要りますが、大人なら一人で手がふたつあるので、楽器をラックに並べる形にセットすれば、けっこうフクザツな音が出せます。いや、出せるはずです、理論的には。私ができるわけじゃありません。



またお邪魔します。

返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事