羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

人生最良の砥石

2009年01月12日 18時38分07秒 | Weblog
「女房を質に入れてもいい砥石を買え」とは、職人の世界の物言い。
 本日(12日)日経新聞朝刊の「春秋」にあったことばだ。
 職人は道具を大切にする。
 板前や大工なら当然のこと常に‘刃物’を砥ぐ。
 とにもかくにも刃物がなまくらになるのを嫌う。

 野口三千三先生は、農家がどれほど農作業につかう道具を大切に扱ったかを、子供のころの養蚕農家に育った思い出として話してくださった。
 仕事が終わると、明日のために道具の手入れを行う。
 汚れを落とし、磨き、修理し、長く使う。
 これは大原則だった、とおっしゃる。

「春秋」では、成人になった若者に、「これから砥石を探し求め、研いで、の長い日々が続く」とメッセージを贈っている。

 岩波書店の編集部がまとめた『これからどうする』に寄稿された野口先生の短文にも「鉄棒」を磨くはなしがエピソードとして入っている。
 ‘磨く’という行為は、一回磨けばすむというものではない。使われ、その都度磨かれる。その行為が繰り返されて、‘もの’も‘ひと’も滑らかに柔らかに、そうしてしたたか(下+確か)に、何事かを全うするしぶとさや強さが身についていくのだ。

 同じく「春秋」の最後に、七十歳になる保阪正康さんのことばが記されていた。
「つまるところ人生とは、一冊の本、一人の女性、一人の親友、一本の酒、一つのことば(詩)を求める旅だったな」

 自分に引き寄せて言えば「二十代半ばから、‘野口体操’という最良の砥石で自分の人生を磨いてきたし、これからも磨き続けるだろうな(キザッ!)」
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