羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

香・・・呪縛

2018年07月08日 11時38分49秒 | Weblog
 9月7日発行予定の「早蕨 SAWARABI」第3号、集まっている原稿校正を始めた。

「野口三千三伝」は、最終校正を待つばかりとなった。
 今回は、「川」をテーマに、三千三少年の飛び込みや水泳について書こうと思っていた。
 すでに『感覚こそ力』に聞き書きがあったので、その一部を引用しながら、最終的には群馬に行き川と堰を確認してからまとめようと思っていた。
 
 しかし、授業のこと、天候のこと、電車がよく止まること等々を考えると、七月はじめに群馬まで出かけることは如何なものか。
 6月なかばの計画通りならば、昨日・今日にも出かけているはずだった。

「原稿の締め切り日のこともあるし・・・」
 悠長なことはいってられない。
 そう判断し、全面的に内容を変更して、書く予定のなかったことでまとめてみた。

 余裕を持たせ、手を入れることを考慮して、先週末のうちに編集デスクの二階さんに添付送信しておいた。
 佐治さんも早々に写真をはめて、ページをまとめてくれた。
 野口の実家にある「暴風垣(樫ぐね)」は iPhoneで撮ったもの。
 トリミングを施してくれたらしく、見違えるような写真になっている。

 こうして予定していなかったことを書いていてみて、自分の外側に野口三千三という存在をおくことができたような気がしている。
 それまでは耳の中で、常に声が聞こえていた。
 そこから出られない感じが常にあった。
 今回は、聞こえてくる部分と、そうでない部分があって、内からも外からも野口三千三を見ることができたような気がしている。
 存在を取り巻く円が、何重にも外に広がって、今まで見えなかった野口の姿が見えてくるようになったように思う。
 それでも今回は、まだ本気度が足らない、と思う。
『野口体操入門』現代文庫の第1章を書いた時のような、月も日にちも曜日も忘れるくらいの没頭状態になってくれない。

 そんな思いを抱えて、昨日は、所用を済ませた足で近くの銀座に立ち寄った。
 銀座四丁目から七丁目界隈を散策した。

 何年ぶりだろうか。
 この通りにあった老舗の店が、ことごとく姿を消している。
 見れば海外のブランド店とユニクロ系とソフトバンクが、威風堂々と構えているじゃありませんか。
 昨年開業したたGINZA SIXにも入ってみた。。。。。。が。
「見た目は綺麗で洒落ているんだけどなー」

 その点、かわらないのは鳩居堂だった。
 店内は、「お香」の香りに包まれている。
 一階は華やかな色に溢れていて、こだけは他と違って日本人と外国人とでごった返している。

 打って変わって、二階以上は清楚で落ち着いた大人の雰囲気である。 
「鳩居堂って、日本文化でもあるけれど、『書』を中心とした中国(文物)文化だ!」
 生き残るということは、こういうことか。

 ブツブツ言いながら、四丁目の交差点に戻ってきた。
 その瞬間、なぜか呪縛が解けたような気がした。
 
 一つは母の呪縛から。
 もう一つは野口三千三の呪縛から。

 銀座にはまったく関係がないのに、むしろ関係がないところに身をおくことで、無になって空になって解き放たれたのだろうか。
 ちょっと違うような気もするが・・・

 今、昨日のことを思い出しながら書いていると、鳩居堂の「香」が記憶の底から立ちのぼってくる。 
 呪縛を解いてくれたのは、この香りだった。
 きっと おそらく。
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