羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

花の人  中川幸夫

2017年03月17日 10時08分50秒 | Weblog
 2017年3月17日、朝日新聞朝刊「折々のことば」を懐かしく読んだ。

《「なんだ、これは」って、「ああ、これは生け花だ」って思うより、ずっといいよ、ね。 中川幸夫》

 前衛の花人、『……大量のチューリップを縄で縛って赤い生肉の塊のようにした作品……自分と花、二つのいのちの境をかき消すかのように』NHK「日曜美術館」(1997年放送)での発言。

 野口三千三をNHKの番組に登用したディレクター深堀雄一さんが担当された回である。
 深堀さんは、世の中にあまり知られていないが、その世界では異端でありながら、人のこころに食い込んで猛烈なインパクトを与える人を発掘し、テレビというマスメディアに登場させる名人であった。
 この中川前衛生け花は、憎いほどの官能性が花の死骸から伝わるものであった。

 その時は前衛でも、その人が残したエッセンスは、もっともっと洗練させて一般の社会に送り出される運命にある。
 床の間の飾りも、中川さんが手がけた時には、「なんだ、これは」だったものが、没後になると誰かが真似をするようになって案外メジャーになっていくんですよ。

 それはそれとして、本日の「折々のことば」に、1997年というと、野口先生が亡くなる前の年である。
 あのころを思い出させてもらった。
 こころに懐かしい風が吹き込んで、自分の身辺に起こっていることに、なにもかも”これでいい!”って、思えてしまった。
 時間は魔物、時間は許し、時間は癒し、時間は溶けて流れてそして……。

 本日も晴天なり。
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