羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

詩の香り

2015年12月25日 09時08分31秒 | Weblog
 イブの夜。
 分厚い詩集が届けられた。

「オッ」
 一瞬、ひるんでしまった。
「エーッ、この重さは何」
 
 でも、でも、しっかり抱いてページをめくった。
「なんて硬質な詩だろう」

 どんどんページをめくった。
「詩のなかに哲学をしのびこませている」

 さらにページをめくる。
「音楽が鳴ってるわ」

 さらにさらにページをめくる。
「この香り、西脇順三郎だわ」

 そして「場所と記憶」635頁。
「なっとく!」

《 略 この短いエッセーを訳したが西脇順三郎だったからだ。翻訳というバイアスがかかっているだけに、逆に、この短いエッセーの翻訳には西脇順三郎自身の詩の風景への木戸口が開かれたままになっているようにも感じられる。西脇順三郎の詩を好きなったのは、昭和二十年代に筑摩書房から出た、(たぶん北園克衛装丁の)現代日本詩人選の、「あむばるわりあ」「旅人かえらず」の二冊合冊版で。軽装のその合冊版のつくりが好きで、光の匂い、野の匂いのするようなその詩集を、窓を開けて外を見るようによく開いた。》

 かれこれ半世紀前に引き戻された。
 現代国語の授業で紹介された西脇の詩に浸ったあのころ。
 すっかり遠ざかってしまったわたし。

 どうやら詩人は2015年5月に亡くなっているらしい。
 長田弘 全詩集 みすず書房 50年の詩の足跡は、あまりにも重い。そしてあまりにも美しい。

 さて、すっかり忘れかけていたわたしを取り戻すためにも、日めくりカレンダーのように、1頁、いや時に2頁、詩の香りを味わわせていただこう。

 送り主の近藤さんに Merry Christmas 2015 ありがとう。
コメント
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