羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

『大学体育指導者全国研修会』研修の講師を終えて

2014年08月20日 07時01分34秒 | Weblog
 平成26年度 公益社団法人 全国体育連合主催、文部科学省後援の講習会、三日間の初日メイン講座を無事終えた。
 8月19日、明治大学和泉キャンパス内にある体育館で行われた。
 出席された方は、全国から集まった現役の大学体育指導者60数名の先生方だった。
 30代を中心に、若い方は20代後半から、上は60代までの幅広い年齢層だった。
 日本における大学の体育教育を担っておられる方々の集まり。明るく活気にあふれ、イキイキした雰囲気のなかで、野口体操を楽しんでいただけた。
 
 はじめに、二人組のからだほぐしから入って、「上体のぶらさげ」を、まず体験してもらった。
 次に、Keynoteを使って、野口三千三が戦中の小学校教諭時代から、東京体育専門学校を経て東京芸術大学に赴任した歴史を紹介した。いかに真っ当な体育畑を一直線に歩み、体操の教師として生涯を全うしたかがしっかり伝わったようだった。
 その間に、サーカス、ボディビル、演劇等々とのかかわり、体操が「野口体操」になっていく、その過程も織り込んだことは好感をもって受け取ってもらえたようだ。
 とりわけ芸大の三奇人の話から、こうした名物先生が生まれにくい今の教育界に対する危機に近い思いを抱く先生に出会えたことは特筆すべきことと思う。
 部屋の反響と、私の早口のせいもあって、聞き苦しかったかもしれないが、それぞれの関心の強よさから全員の目がスクリーンに向かい、話を聞き逃さないように、という真剣な姿勢が伝わって救われたようだった。

 Keynoteには、野口のことばを引用して、野口体操のいちばん基本になっている「動きの理論」のページをもうけておいた。
 そこから「上体のぶらさげ」の深い意味を説明し、「鞭」「寝にょろ」「腕立てバウンド」時間ギリギリに「マッサージ」へとつなげていった。

 学生を対象とした授業の方法を縦糸に、野口先生譲りの大人向き横糸を絡ませて、全体を締めくくってみた。
 夕方からの懇親会では、構成がとてもよかった、とお褒めの言葉をいただいたり、体操の理論として「重さ(重力)」を主にし話をすすめたが、「上体のぶら下げ」が持つ普遍的な意味に特化してつなげたことに説得力があったらしい。
 重鎮のお一人が、ご自身が考えておられることと同じ方向を、すでに昭和24年(1949)には理論化していたことに驚きと敬意を持ったと話していただいたことは、とても嬉しいことだ。

 こうした成功の裏には、14日のリハーサル兼打ち合わせが大いに力となってくれたことは間違いない。
 Mさんのずばっと適確な指摘をうけたことで手直しをし、当日助手として付き添ってくれる北村昌陽さんとの打ち合わせと実技の確認、昼食から参加してくれた二階のぶ子さんとのやり取りがあって、昨日の講習会に臨めた。

 細かいことをいえば、問題は多々あるけれど、体育の先生方に野口体操の深さと楽しさはしっかりと伝えられた印象を、懇親会でいただいたことばから察せられ、大学体育にかかわって12年、こうした形でまとめられたことも含めて、野口先生によいご報告ができそうだ。
 
 そして助手をつとめてくださった北村さんが出過ぎず引っ込みすぎず、丁度良い加減のあり方に、野口体操に北村あり、と印象づけられたのも“野口体操プレデビュー”に最良の場だった、と今朝は胸を撫で下ろしている。

 実行委員会で準備から当日の段取り、組織立ったありかたに、しっかりのせていただいてありがたい思いに充実感をいただいた。
 さらにおまけまでついている。
 新宿までの道々ご一緒した先生から、ひとつの提案をいただき、これから先に一筋の光明を得た。
 その企画を実現する道筋を考えてみたいと思っている。

 今朝はまったく疲れもなく、よい目覚めだった。
 皆様、お一人おひとりに丸ごと全身から、感謝します。
 ありがとうございました。
 これからです。
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