羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

さすが教科書……本の自炊で知ったこと

2011年04月06日 19時03分57秒 | Weblog
 本日、本を18冊ほど自炊した。
 それぞれに工夫された装丁本。出来上がっている本をばらすのは実に忍びない。罪悪感とまではいかないが、しないですむならばしたくない、とやっている最中にも、強く感じた。
 
 が、しかし、電子書籍への流れがこの大震災をきっかけに一気にはやくなる。紙がまず足らない。インクがない。印刷が間に合わない。そういった状況のなかで加速するのだと聞いた。
 どうしても自分に携えておきたい野口体操関係の本は、自炊する事に決めたのだった。

 さて、ハードカバーの本。ソフトカバーの本。いくつかの種類の本をばらす作業で、とくに編集者の本への意向がはっきりと読み取れた。
 まず、驚いたのは教科書である。さすがにしっかりした作りで、ちょっとやそっとではばらせなかった。どれにも増して頑丈な作りなのである。毎日使う本であり、多少のこと乱暴にあつかっても壊れないだけの強さとしたたかさが備わっていた。
 つまり、内容も含めて教科書なのである。
 野口先生の没後に使われるようになった角川書店刊『高校生の現代文』国語の教科書には、『原初生命体として人間』から「呼吸について」書かれているところが選ばれているのだ。

 さて、よく作られている本を一冊あげてみる。丁寧に頑丈に出来上がっていたのは、岩波書店同時代ライブラリー版の『原初生命体としての人間』であった。担当編集者だった加賀谷祥子さんの気持ちの表れだろうか。表紙もカバーデザインも含めてしっかりとした装丁で、なかなかばらせなかった。
 さすがに杉浦康平氏の妻として、造本への愛情がそこに見て取れた。

 本は文化なり。
 電子書籍の時代になっても、本は完全にはなくならない、とこの作業を通じて実感した。本作りに携わるすべての人々の気概があってこそなのである。
 
 ほぼ一日、ご苦労様でした!
 思わず本に合掌して、終えた。
コメント
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