羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

サバイバル

2007年11月28日 13時01分39秒 | Weblog
 朝、五時はまだ暗い。
 しかし、新聞はすでにポストに投げ込まれている。
 今朝(11月28日)、日経新聞をひらいて驚いた。
「エッ、ヤマハが?」

 記事はこんな見出しで書かれている。

ーピアノ世界御三家「ベーゼンドルファー」 ヤマハが買収合意 25億円ー

 よく読んでみると、《ヤマハグループのブランド力を高めて、課題だった超高級市場の攻略にのりだす。……ベーゼンドルファーは国立歌劇場(オペラ座)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に代表される世界最高峰のクラシック音楽界が誇る「ウィーンの宝」と呼ばれている。》

 年間の生産台数は約三百台という数字が、多いか少ないかは見解が分かれるところだろう。一台のピアノをつくり上げるのに、1年半かけるというのだから。
 オーストリアでは、外資への身売りに対して批判的な声もあるというが、日本人の私だって複雑な思いが去来する。ここまで世界のグローバル化の波が押し寄せてきたのか! ウィーンの文化がヤマハ文明に飲み込まれると言うのは、穏やかではいられない。

 銀座の街を歩いていても、いわゆる伝統ある老舗が立ち行かなくなっている様子を目にし始めて久しく、海外からのブランドが軒を連ねる街を見ると、内心面白くないと思うのは偏狭なのだろうか。
 地価ばかりが高くなって、相続税や固定資産税を払うために余力の財産や多角経営や高額商品を扱わなければならない。日本伝統の老舗ではそれが難しく、結局のところ綻んでいくのは悲しい。

 この買収の話、ひとつ救いがあるとすれば、現存する最古のピアノメーカー工場と百八十人の従業員を存続させてブランドと品質の維持にこだわると買収案を提示したとある。当然であろう。

 でも、トヨタは世界のトヨタなのよね。でも、自動車は文化と文明の狭間にあるものだから、そこには時代に合わせた進化が必要になる。今ならさしあたって環境問題だ。
 ピアノと自動車は同じ土俵で比較できるものではない。
 ヤマハはピアノだけでなく音響やスポーツや発動機に進出したから残ることが出来た。文化から文明へとシフトできる会社の体質があったからだが、その点も微妙だ。
 いやはや、私の頭ではもうお手上げ!
 世界に起こっている現実は厳しいということだけは理解できる。
 国際的に生き残れなければ、明日への存続は難しいということだけは理解できる。
 考えてみればクラシック音楽は、いちはやく国際化を行った文化だったのだ。
 旧オーストリア・ハンガリー二重帝國は、日本との国交樹立した際に、明治天皇に同社のピアノを献上したという。
 近代日本の学校音楽教育は、西洋クラシック音楽のみを最近まで教えてきた。
 生き残るって世界制覇しかないの? 時代が下って支配下においたところから逆襲にあいながらも、存続するものはすると言うことなのだろうか。
 極東の日本に買収されても、ウィーン・ピアノ文化は残るってこと?
 実は、ヤマハピアノだって真剣に生き残りをかけているのよね。
 うぅーむ。。。。。。。。
コメント (1)
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