ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年4月28日。ウクライナ侵攻から64日目

2022-04-28 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年4月28日。
 ミンスクはようやく春らしくなりました。

 ウクライナのヘルソン市が心配です。市長をロシア側が解任し、新ロシア派の新市長を就任させました。それにい抗議する市民デモが起こり、それをロシア軍が鎮圧しようとして、市民側に4人の負傷者。
 ロシア側の報道によると、27日から28日にかけた夜中に市の中心部で複数回の爆発が起きました。
 ヘルソンは夜間外出禁止令が出ているため、負傷者はいないそうです。トーチカU弾が使用されたとしています。

 来月1日からヘルソン州ではウクライナの通貨が使えなくなります。ロシア・ルーブル圏に入れられます。
 市民が今まで貯めていた自国通貨の貯金が使えなくなります。両替はできるのでしょうか。
 ヘルソン人民共和国を樹立する是非を問う住民投票が行われることから、反発する市民が市外へ脱出しています。
 もしヘルソンがロシア領になり、市民はロシア人になってしまうと、成人男性はロシア軍に徴兵され、ロシア兵としてウクライナ軍と戦わされます。

 ここで、ヘルソン市長からの情報が入ってきました。ロシア軍が制圧しているヘルソン州について、ウクライナからの独立を問う住民投票は実施されず、ロシアが占領するクリミアに併合されるという見方があるそうです。
 ヘルソン人民共和国といった、小さい親露の国をたくさんウクライナ国内に樹立させて、それを独立国家として認め、じわじわとロシアの実効支配地域をウクライナの中に増やしていく戦略をロシアは採っているのでは・・・と思われてきましたが、別の方法もあるようです。
 すでに実効支配しているクリミアの面積を増やしていくという方法のようです。

 
 ウクライナと隣接するベルゴロド州につながる人道回廊をウクライナ軍が攻撃したとロシア側が非難しています。
 この人道回廊・・・ウクライナ人をロシアへ強制連行しているルートなのではありませんか?
 ロシアはもちろん、戦場ではないロシアへ、戦場であるウクライナから人を動かすことを、人道支援と考えています。
 その人道支援を邪魔するウクライナは鬼か悪魔かと言いたいのでしょう。
 ロシアへ移動してしまったウクライナ人の運命が気になります。
 

 ウクライナの次にロシアが侵攻するのではないかと危惧されているモルドバ大統領が、モルドバとルーマニアが統一される可能性について言及しました。
 この考えの賛同者は少ないそうですが、もしモルドバがルーマニアと統一国家となる、あるいはルーマニアの領土内に入ると、モルドバがNATO加盟手続きを取らなくても、ルーマニアがNATO加盟国なので、モルドバもNATO圏内に入ることができます。
 モルドバがNATOの傘下に入る最短距離かもしれません。
 ただし両国民の賛成が必須条件としています。


 沿ドニエストル共和国の内務省は27日、ウクライナ側からロシア軍が駐留している村に複数の無人機が飛来し、その後、村に向かって銃撃があったと発表しました。 


 ウクライナ国防省情報総局は、ロシア軍に拘束されたウクライナ人が5月9日のロシアの「対独戦勝記念日」のパレードに「捕虜」として参加する可能性があることを伝えました。5月9日、どうなるのか・・・気になります。

 
 ロシアの天然ガスの支払いにロシア・ルーブルを使うことを拒否してガス供給を止められたポーランドですが、ドイツからガスを輸入しています。でもこのガスももともとはロシアの天然ガスなんですよね。
 ドイツは年内にロシアからのガス輸入を全て停止、別の方法に切り替えるそうですが、どうなるでしょうか。

 
 マリウポリ市内では、上下水道がロシアの攻撃により破壊され、また遺体が市内に放置されていることから、コレラなどの疫病が流行する可能性があるそうです。

 アゾフスタリ製鉄所について、ドネツク州知事は記者会見で、包囲しているロシア側は、市民の避難を突入の機会として利用しようとしていると批判しました。ロシア側は市民の避難については同意しつつ、負傷兵の救出は拒否しているそうです。

 
 ウクライナ検察はブチャで戦争犯罪に及んだ疑いで、ロシア軍兵士10人を捜査しており、指名手配されると発表しました。
 ウクライナ検事総長は、「ロシア第35軍に所属する第64自動車化狙撃旅団の兵士10人に、民間人への残虐行為などの戦時法規・慣例違反の疑いが掛けられている」と説明しています。
 容疑者の詳しい情報がちゃんとあるようです。
 またウクライナの検事総長はロシアが侵攻を開始して以来、戦争犯罪の疑いがある事例を8600件特定したと明らかにしました。

 ラトビアは自国のアスリートに対し、ロシアとベラルーシで行われる試合に出場することを禁止しました。


 ロシアの外国諜報機関は、「ロシアの侵略からウクライナ人を守る」というスローガンの下でウクライナの西部地域へのポーランドの平和維持部隊の参入が計画されているとしています。
 そしてそのまま、西ウクライナをポーランドが占領しようとしていると警告しました。
 昔のベラルーシのように、東ウクライナがロシア領に、西ウクライナがポーランド領になる・・・というイメージ映像が私の目の前に浮かびました。
 もちろん、ロシアがありもしない計画をしゃべって、ポーランドを牽制しているだけです。
 もうすぐポーランドから、ロシアへの反論・批判コメントが出されるでしょう。


 ポーランドは国内で大規模な軍事演習を行っています。
 ・・・と書いているうちに、ポーランド政府が西ウクライナを占領しようとしている計画があるというロシア側の主張を否定しました。


 ロシアの人気コメディアンで歌手のマクシム・ガルキン(アーラ・プガチョワの夫)が国営テレビ第1チャンネルから解雇されました。以前、ロシア大統領を批判し戦争反対の立場を表明したためと思われます。
 ただ、すでに家族とともにイスラエルに出国したようです。(アーラ・プガチョワが先に子どもを連れて出国したのをガルキンが追った。)


 ベラルーシの国際ニュースでは、いかに他国が悪い状況に陥っているかのニュースばかり流しています。
 ドイツやアメリカで空前の物価高。ポーランドですでにガスが供給されなくなった地域がある。リトアニア鉄道は
ロシアとベラルーシへの制裁の影響で、職員2000人をリストラ、ブルガリア企業はやっぱりロシアからガスを輸入するよう自国政府に詰め寄っている・・・などです。


 昨日のロシア大統領に続いてロシア外務省報道官も今日、ロシアが核兵器を使用する可能性を示唆しました。
 ただ脅かしているだけならいいのですが・・・。
 

 ロシアとウクライナの間で45人の捕虜交換が行われました。

 国連の事務総長は今日ウクライナ入りして、大統領らと会談します。

 
 2022年3月15〜26日にワルシャワにあるベラルーシ分析ワークショップによって電話アンケート調査が実施されました。回答者は1000人のベラルーシ人。
 その結果によると、85%の回答者が、ベラルーシ軍がウクライナ侵攻に参戦することに反対しています。
 ロシア軍がウクライナ侵攻のためにベラルーシ領内に駐留することをベラルーシ政府が許可したことに肯定的なベラルーシ人も半数以下でした。
 ロシア軍がベラルーシ領内に駐留し、インフラを利用することに否定的なベラルーシ人は3分の2。
 高学歴のベラルーシ人ほど、断固戦争反対の意思を持っている傾向も見られました。
 
 一方で今回の戦争の責任は誰にあるのかという質問に対し、ロシアと答えたベラルーシ人は25%で最も多かったものの、アメリカ、ウクライナ、西側諸国などと答えた人がまとめると50%以上になり、ロシアとウクライナ両方が悪いと答えた人は3.5%にすぎませんでした。分からないと答えた人も13%いました。

 62.9%のベラルーシ人が、ベラルーシは今回の侵攻に影響を与えないとしており、当事者意識がありません。

 45.2%のベラルーシ人は感情的にウクライナに同情しており、ロシアとウクライナ両方という人は23.3%。ロシアに同情する人は20.6%でした。
(ただし、ウクライナ民間人に対するロシア軍の残虐行為が明らかになる前にこのアンケート調査は行われたので、再び調査をしたら結果が変わってくるかもしれません。)

 ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を独立国家としてロシアが承認したことに対して、半数以上が前向きにとらえていることが分かりました。ところが、ベラルーシ政府がロシアと同じように両共和国を承認することに対しては容認できないのは44%、容認するのは39%でした。複雑な心境が表れていますね。

 あなたはウクライナ情報についてよく把握していますか?という質問には79%がはい、と答え、情報ソースを挙げてもらうと、最も多かったのがテレグラム、次に多かったのがYou Tube、次がベラルーシ国営テレビ、次がロシア国営テレビ・・・と続いていました。

 あなたの家族の経済状況について変化はありましたか?という質問に去年12月の調査では「変化なし」と答えた人が67.7%で、「悪化した」と答えた人が25.2%だったのに対し、今年3月では、「変化なし」は46.5%で、「悪化した」と答えた人は47.0%になりました。