ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第172回」

2015-01-19 |   ビタペクト配布活動
 今年最初の活動報告です。
 まず一つお知らせがあります。今年の活動から「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを1家族につき1部ずつ配布することにしました。ビタペクト3そのものの価格が上がったため、コピー代よりもビタペクト購入に充てる費用を優先することにしたからです。
 またベラルーシでも現在はインターネットが普及してきて、被爆対策についても検索ができる家庭が増えてきましたので、コピー(紙媒体)による情報提供にかかる費用を減らすことに決めました。
 チロ基金協力者の皆様には宜しくご了承お願いいたします。

 今回は1月19日にビタペクト3と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第172回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト3を4個、そして「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを2部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2294個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは2082部となりました。
 今回で通算187回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2294人の子どもにビタペクトを、2082家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(チロ基金は以前ビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a



(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80



 今回は2家族がボブルイスク市(チェルノブイリ原発から約200キロ)から、SOS子ども村に保養滞在していました。


(家族A)

お母さんが3人の実子と2人の子どもを引率していました。この家族は2013年8月にもSOS子ども村に滞在していました。そのときの様子はこちらです。(家族A) 
チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第151回」

 この家族には2個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果は以下のとおりです。2つの結果がある場合は2013年8月の測定結果と今回の測定果です。1つしかない結果は今回のみの測定結果です。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。 

母親(事故発生時13歳)14ベクレル → 17ベクレル  
長女(17歳)31ベクレル ○ → 5ベクレル
次女(16歳)41ベクレル ○ → 34ベクレル ○
次男(12歳)30ベクレル ○ → 38ベクレル ○
女子(12歳)2ベクレル
女子(11歳)3ベクレル


 前回の測定ではみんな高めの数値だったのに、長女だけこんなに下がって、どうしたのか?!とびっくりししました。
 すると長女はあるとき「最近太ってきたので、やせたい!」と思い立ち、さまざまなダイエットを実行。
 その方法の中にデトックス作用のあるものがあったらしく、毒素といっしょに放射能も排出したらしいのです。
 その結果、すっきりやせて外見も中身もきれいに・・・
 本人は大喜びです。
 ということは、ダイエット方法の中に放射能排出の効果もあるものがある、ということです。
 これをうまく利用できないものか、と考えました。
 
 健康状態についてお母さんにお話をうかがいました。
 次女はときどき胃炎を起こしています。お母さんも若い頃、よく胃炎を起こしていたそうなので、遺伝かもしれません。
 そしてこのお母さんも、1年前にダイエットを始めて、体重が11キロ減ったそうです。
 そしてそれまであった、心臓病や胃炎も高血圧もすっきり解消!
 今はとても健康になったと喜んでいました。

 さて、この母娘が実行したダイエットですが、それは「夜7時以降は何も食べない」「脂肪の多い食品は極力摂らない」そして「クコの実のお茶」だそうです。
 その結果2人ともやせたと効果を実感していました。ベラルーシではクコが生えないので、わざわざ中国から取り寄せたそうですが、そんなにダイエット効果があるの?! とびっくりです。

 この一家のお父さんは狩猟が趣味なのですが、やはり野生のイノシシやシカの肉を食べ続けているそうです。
 しかし放射能の測定をして、安全だったものだけ食べるようにしているそうです。
 狩猟をする場所も非汚染地域の森と決めているそうです。

 お母さんが調べたところボブルイスクではWBCの測定をしてくれる病院などはなく、ミンスクへ再測定に行きたいと話していました。


(家族B) 

 お母さんが2人の実子と2人の姪、2人の子どもを引率していました。
 この家族にも2個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果は以下のとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。 

母親(事故発生時9歳)4ベクレル
長男(12歳)31ベクレル ○
長女 (6歳)24ベクレル ○
姪 (12歳) 3ベクレル 
姪  (9歳) 2ベクレル
女子(10歳) 2ベクレル
男子 (6歳) 1ベクレル

 2人の姪のお母さんとそのお母さん(祖母)は腸のがんのため、それぞれ40代、60代で亡くなっています。
 引率した2人の子どもは同僚の子どもだそうです。10歳の女の子は胃炎持ちです。
 お母さん自身は15歳のときから胃炎、腎臓病、現在は胃潰瘍を患っており、治そうと薬を飲んだりしているそうです。
 実子2人は比較的健康ということでした。
 
 画像は記念撮影したものです。ベラルーシでは1月7日がスラブ正教のクリスマスなのですが、まだクリスマスツリーを飾っていますね。
 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、折り鶴の作り方(千羽鶴プロジェクト)、日本語で子どもの名前を書いた絵葉書、着物から作った巾着袋をプレゼントしました。
 子どもたちは日本語に興味津々で、漢字のことなど詳しく質問してきて、こちらもびっくりしました。

 最後になりましたが、ビタペクト3の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や絵葉書、巾着袋など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に深くお礼申し上げます。

 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。


ユーラシア経済同盟

2015-01-02 | ベラルーシ生活
 新年早々、日本のニュースにも登場した経済同盟のニュース。
 こちらでは去年の5月にロシア・カザフスタン・ベラルーシの三国がまず調印していたのと、今回アルメニアも加盟することも知っていたので、別にびっくりしないニュースだったのですが、昨今ロシアの経済状態が悪化していたので、この同盟は実際はどうなるの? と外国からは思われているみたいですね。


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(NHKニュースより。)

「ユーラシア経済同盟」は、人やモノ、それに資本などの移動の自由を保障し、エネルギーや農業などの分野で共通の政策を行うため、ロシアが旧ソビエトのベラルーシとカザフスタン、それにアルメニアと経済を再統合するもので、去年末までに各国が条約を批准し、1日発足しました。

 ロシアのプーチン大統領は、「同盟によって域内人口が1億7000万の巨大市場になり、世界の天然ガスの埋蔵量の20%、原油の15%を保有する」と述べ、意義を強調しています。

 この経済同盟はEU=ヨーロッパ連合やアメリカに対抗するためロシア主導で進められてきましたが、ロシアとしては、これを基盤に政治的な関係強化も図るねらいがあるものとみられます。

 しかし、カザフスタンのナザルバーエフ大統領は「各国の主権が損なわれることはない」と繰り返し主張し、ロシアをけん制するなど思惑の違いも出ているとみられます。

 さらに、ロシアの主な輸出品である原油の価格の下落でロシア経済が悪化する見通しのなか、加盟国が足並みをそろえて協力関係を築けるかどうかは不透明な情勢です。

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 欧米によるロシアへの経済封鎖で、大国ロシアの経済が混乱している・・・のですが、お正月にS夫のロシアの親戚がベラルーシへやって来たので話を聞きました。
「モスクワにずっと住んでいるけど食料品は今でも何でもそろっているし、変化はない。生活には特に困ってない。」
ということでした。
 ただロシアルーブルの価値が乱高下しているので、物価も上がったり下がったりしていて、それで損をしている人もいれば、得をしている人もいる、ということです。

 ベラルーシは農業国・酪農国なので、大量の食料品をロシアに輸出していましたし、今もそうなのですが、ロシアがベラルーシの食料品をたくさん買ってくれる、そして経済(関税)同盟を結ぶことによって、得する側に回れるのではないか、という期待がありました。
 確かにベラルーシが得をする部分もありますが、損する部分もあります。それはロシアの経済が悪くなると経済的に繋がりの強いベラルーシも引っ張られて、経済状態が悪くなるのです。
 お正月明けから、対ドルにして7.5%のベラルーシルーブルの値下がりが起こってしまい、このままだとインフレが加速する恐れがあります。
 一般庶民の生活が苦しくなるかもしれないので、自己防衛しないといけません。

 去年はロシアに食料品を輸出しすぎて(?)ベラルーシの野菜の価格が30%上がりました。
 せっかく結んだ経済同盟は何とかしてくれないのか、と思いますが、朋友ロシアとカザフスタンは石油や天然ガスなど資源が多い国。つまり同盟国に売るものがたくさんあります。
 しかしベラルーシはこれほど高く売れるものがない国なのです。つまり経済同盟というと、何だかその中は平等で対等な関係の似たもの同士の国のように思われがちですが、実際はユーラシア経済同盟は売る物があるかないかという視点で見れば、非常にアンバランスな状態なのです。

 プーチン大統領は、「同盟によって域内人口が1億7000万の巨大市場になり・・・」と言っていますが、この数字のうち、ベラルーシの人口はたったの950万人です。
 ロシアとカザフスタンという大国と比べ、ベラルーシだけ浮いているという感じです。
 そのためベラルーシは同盟の中で受け身な立場に追いやられてしまうのではないか、と心配です。
 このようなバランスが悪い状態の同盟がうまくいくのかどうか、よく分かりません。さらに今は同盟のリーダーであるロシアの経済がぐらついています。
 私の予想では、天然資源がないベラルーシが人を資源としてロシアやカザフスタンに流出させてしまうのではないかと思います。
 ユーラシア経済同盟国の間では資源や商品だけではなく、人材の行き来も自由にすることが協定に盛り込まれているので、ベラルーシ人がロシアやカザフスタンへ出稼ぎに行くことが簡単になります。
 逆に人口が多いロシアから、ベラルーシの大学への入学希望者が増え、ロシア人とカザフスタン人の留学生が増えるのではないでしょうか。
(同盟国の人間は外国人扱いしないそうなので、留学生とは呼ばないでしょうが。)

 ベラルーシ国内で非ベラルーシ人の大学生は増えるけれど、働くのはベラルーシではいやだ、という人が増えると思います。
 これもベラルーシにとって得でもあり損でもあると言えるでしょう。
 ベラルーシ人が同盟国へ働きに行ってしまうと、人口が減るので経済的によくない、という考えもありますし、逆に働きに行った人が稼ぎをベラルーシへ持ち込むことになるので、ベラルーシ経済が潤う、という考えもあります。

 去年の5月には、ロシア経済が年内に不安定化するとは予想していなかったので、今年スタートしたユーラシア経済同盟は、行く先不透明と思われているようですが、ベラルーシに住む一庶民からすれば、物価高が進むのは何とかしてほしいのと、ベラルーシ経済にとって、少しでもプラスは多く、マイナスは少ない効果をもたらしてほしいなあ、と思います。