2021年5月27日。今日は青空が広がりました。朝、飛行機雲が一筋見えたのですが、ああ、まだベラルーシの空を飛んでいる飛行機もあるんだなあ、あれはロシアへ行く便かなあと思いました。
ベラルーシ国営航空ベラビアは、さらにワルシャワ、ミラノ、アムステルダム、ローマ、フランクフルト、ベルリン、ミュンヘン、ハノーバー、ウイーン、ブリュッセル、バルセロナ、カリーニングラードとのフライトを10月30日まで欠航することにしました。
ミンスク市内にあるベラビアのチケット売り場には朝から払い戻しの人が押し寄せ、長蛇の列になっています。
旅行代理店もコロナ禍で苦境の上にこんな事件がバケーション前のこの時期に起こって、ますます大変なことになっていると思います。
今日は、オーストリア航空のウイーン・モスクワ便がベラルーシ上空を避けて飛行することに対してロシア側が許可しなかったというニュースがあります。ウイーンからモスクワへ飛行機を飛ばすなら、ベラルーシ上空を通過して、ロシアに入ってきてくださいとロシア側がオーストリア側に言っている、ということですね。
同じことがエールフランスにも起きました。27日のパリ発モスクワ行きの運航を中止したのですが、ロシア当局がベラルーシ領空を迂回するというルート変更を認めずウィーン発モスクワ行きの運航を中止したと、エールフランスの広報担当者が登場予定の乗客にメールで連絡したそうです。
そこまでしてロシアはベラルーシ上空に外国機を飛ばしたいのでしょうか。他の航空会社がベラルーシ迂回ルートを提示したところそれは認めたらしいので、どうしてロシアがフランスとオーストリアの飛行機に対してはこんなに厳しいのかよくわかりません。オーストリア政府もロシア政府に説明を求めるそうです。
ロシア航空のアエロフロートもモスクワ・パリ、モスクワ・ビリニュスのフライトをキャンセルしました。ベラルーシからビリニュスなんて「すぐそこ」の距離ですが、モスクワ経由で行くのもこれは難しくなってきましたね。
昨日はミンスク空港からフライトキャンセルのためにどこにも行けなくなった外国人20人が、空港で止まらざるをえない状態になったそうです。
逆にイラク航空のフライ・バクダットはミンスクとの定期便を増やすと発表し、ロシアとベラルーシ間の長距離バスも本数を増やすとベラルーシ側が決定しました。ロシア経由で外国へ行こうとするベラルーシ人が増えるので、バスを増やせばその分の儲かるでしょう。コロナ禍の憂いはどこへやら。やっぱり人の移動を完全に止めること(ウイルスの拡散を止めること)は至難の業ですね。
1ヶ月後にミンスクで予定されていた自転車競技のヨーロッパチャンピオンシップ大会が中止になりました。まずオランダとドイツの選手団が参加を辞退したのですが、そもそも飛行機がヨーロッパからベラルーシに飛んでいないから、選手団が入国できませんよね。リトアニアが代わりの会場になることを申し出ています。
アメリカの女優、アンジェリーナ・ジョリーとノーベル賞作家、スベトラーナ・アレクシエーヴィチがアムネスティ・インターナショナルの企画によりベラルーシ情勢について2時間に渡り話し合いました。アンジェリーナ・ジョリーは女優として、というより慈善活動家として意見を述べたと思います。
内容は詳しく報道されていませんが、ジョリーはアレクシーヴィチの代表作「戦争は女の顔をしていない」を読んで感銘を受けており、ベラルーシ政府がグロドノの子どもホスピスに圧力をかけたこと、17歳の未成年の少年が政治思想犯としてゴメリの刑務所に収監されていることに心を痛めていることを話したそうです。
日本ではほとんど報道されていませんが、今日、オンラインで日・EU定期首脳協議が開かれ、オンラインで日本の首相が出席したのですが、その席上で、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は、EUはすでにベラルーシに対する制裁を実施し始めていると述べました。
ベラルーシでは、EUの旗と日の丸が並んでいる前で議長が、ベラルーシへの制裁のことを発言しているのが独立系メディアにより報道されています。これを日本側はどう聞いているでしょうか。ただ今回のライアンエアー緊急着陸事件では、日本政府もはっきりとベラルーシ政府を非難しています。でも制裁はしないんですよね。日本人が逮捕されたままなんですが・・・。
今回の事件で拘束され、今刑務所に収監されているロシア国籍のサペガ氏に対してはロシアは支援を申し出ています。
プロタセヴィチ氏についてですが、面会を求めているのに、全く許可されないと担当弁護士がメディアの取材で話していましたが、今日やっと逮捕から5日目にして面会できたそうです。健康状態に問題はないそうです。会話の中に冗談も交えていたそうなので、鋼の精神力なのかと私は思いました。
拘束されたときは「死刑になる。」と震えていたそうですが、確かにベラルーシは死刑制度が残っているヨーロッパで唯一の数国です。ただプロタセヴィチ氏が容疑をかけられている罪状ですが、仮に有罪になっても最長禁錮15年の刑なので、死刑は求刑されません。(返す返すも、連続殺人犯とか大統領暗殺未遂事件の犯人とかでもないのに、乗っている飛行機を緊急着陸までさせて逮捕したくなるような人物なのでしょうか。ベラルーシ政府は国際社会から散々非難され、経済的損失も大きく、プロタセヴィチ氏逮捕と天秤ばかりにかけたら、釣り合わないと私は感じています。)
しかし、有罪判決を受けて服役中の男性が逮捕されてから1年で、死亡している事例もあります。死因はあくまで「心臓が止まったから。」もちろん遺族は納得していません。
反政府デモに参加したため、警察の取り調べを受けた17歳のメルクロフさん(本名はスタホフスキー)が自殺した現場には、献花、ろうそくが置かれていましたが、すぐに警察が出動して、ろうそくや花の色が白と赤だったせいかすぐ片付けるよう管理局に命令したそうです。お花を手向けていた女性に、献花するなと言いよる場面もありました。女性は私はクリスチャンよ、と拒否していました。
このメルクロフさんに両親がいたら(せめて片親だけでもいたら)弁護士を見つけてきて、未成年であるし、裁判で罰金刑ぐらいで済むように持っていくことができていたかもしれません。最短でも1年のムショ入りだぞとか取調官に言われて、絶望してしまったのでしょうか。
友人がメディアの取材で話したことによると、孤児のメルクロフさんは両親はいないが、たった1人叔母がいるはずで、友人がその叔母さんを探しているがまだ見つからないそうです。
自分に甥がいることすら知らないのでは?と思いました。ニュースになっているのに・・・。ただ国営テレビやラジオはこの事件はニュースにしていません。叔母さんがネットニュースを一切利用しない人だったら、何も知らないかもしれません。あるいは反政府活動をしていた甥がいることを世間に知られたくなから名乗り出ないのか・・・。
養護施設育ちなのだから、そこを通じて叔母さんが分かる・・・ということはないのでしょうか? (この養護施設、SOS子供村じゃないですね。全然しっかりしてないなあ。別のメディアでは、メルクロフさんは幼少のころ、イタリアに住んでいたらしいというのを読んだのですが、もしかしてベラルーシ人とイタリア人のハーフ? 片親は生きていてイタリアにいるの? と思いました。あくまで私の妄想です。)
また友人の話では、証拠物件としてメルクロフさんは所持品の大部分を警察に没収されており、それも大きなストレスになっていたようです。ただ自殺の直前にスマホから遺書を書き込んだり、友人に「今建物の16階にいる。飛び降りようと思っている。」といったメッセージとそこから撮影した画像(夜景?)を送信したりしているので、証拠品としてスマホは没収されていませんね。
警察によると去年8月の大統領選挙後すぐ後にスーパーマーケット、リガの前に反政府デモ参加者がバリケードを作って治安部隊が近づくのを防ごうとしたのですが、メルクロフさんもそのバリケードを作った一人という容疑で取り調べをしていたそうです。しかし、メルクロフさんは反政府デモ集会には参加していたものの、バリケードは作っていないと否定していたようです。それで、うそをつくなとか、警察で厳しく言われたのかもしれません。