ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2024年6月25日。ウクライナ侵攻から855日目

2024-06-25 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月25日。

 ロシア外務省は今日、EUが5月17日、ロシアのノーボスチ通信やイズベスチヤなど、プーチン政権の影響下にあるとされる3メディアにEU域内での放送活動の禁止を決定したことへの対抗措置として、EU域内の81メディアに対し、ロシア国内では閲覧できないよう接続を規制すると発表しました。ウクライナ侵攻に関し、「不正確な情報」を発信しているからだそうです。
 規制対象には、独シュピーゲルや仏ルモンドなどの有力メディアが含まれています。
 ロシア外務省は「EUでのロシアのジャーナリストに対する政治的な抑圧や、ロシアメディアへの不当な禁止には対抗すると警告してきた」と批判。「ロシアメディアへの制限が解除されれば、決定を見直す」そうです。


 6月23日の記事投稿の続きになるような内容ですが、ドイツの保守派が在独ウクライナ人に対し、働かないなら帰国するよう求めたのを受け、オレクシー・マケイェウ駐独ウクライナ大使は今日、独テレビチャンネル「フェニックス」で、保守派らの発言は「いささか人間味に欠け、非常に大衆迎合的だ」と批判しました。
「安全な場所があると言うのは、ウクライナに行ったことがない人だ」とし、ウクライナには「毎日」ロシアの爆弾が降り注いでいると付け加えました。
 保守派を批判するだけではなく、マケイェウ氏は労働・社会相と連名で、在独ウクライナ人に就労を呼び掛ける通知を送付しました。このように行動に移しているところがすばらしいですね。日本の厚生労働省も各国大使館と共同で、日本に住んでいる外国人に対し、きちんと日本で就労しましょうと呼びかけてみてはどうでしょうか。
 
 マケイェウ氏はさらに、ウクライナ人は他の外国人よりも早く仕事を見つけていると述べました。ドイツは移民大国ですが、やはり同じ移民や難民でも、宗教が同じキリスト教で、言葉もヨーロッパの言語で食生活も外見も近いウクライナ人のほうがよっぽど早く仕事が見つかるのでしょう。

 一方でマケイェウ氏は、ウクライナ人が能力にふさわしい求人がないために、働く意欲をそがれている人も多いと訴えました。
 つまり高スキルのウクライナ人が、ドイツでは外国人なので、単純作業の仕事をさせられて、やる気がなくなっている、ということでしょうか。

 ドイツ政府によると、ウクライナ侵攻が始まって以降、約100万人のウクライナ人を受け入れましたが、労働・社会省によると、そのうち仕事を見つけたのは約17万人だけだそうです。
 現在ウクライナ成人男性のうち、ちょうど就労年齢に当たる人は国外への出国が禁止されていますから、この100万人の中には女性や子供が多いと思うのですが、子供は就労できないし、小さい子供を抱えた母親は仕事ができないでしょう。100万人のうち仕事をしているのは17万人だけ、少ないなあ、ウクライナ人、支援を受けるだけじゃなくて働けよ、と思うドイツ人が出てくるのは当然ですが、この数字は私には意地の悪い印象操作のように感じられます。

 ドイツ政府は今年、在独ウクライナ人支援に55億~60億ユーロ(約9400億~1兆260億円)の予算を割り当てています。そして保守派はこれがドイツ人の負担になっていると言いたいわけです。
 今、ドイツの労働市場が「売り手市場」で、多くの業界が人手不足問題に直面する中、政府はウクライナ人に就労を促そうとしています。そして仕事をしないのなら、帰れ、というのが保守派の主張です。
 言語の壁があるから、仕事ができないというウクライナ人もいるでしょうが、だったらドイツ語を勉強すべきだと思いますし、ドイツ国内に難民支援の一環で、ドイツ語教室がたくさんあると思うのですが。



2024年6月23日。ウクライナ侵攻から853日目

2024-06-23 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月23日。

 前回の21日の記事投稿の続きになるような内容になりますが、ドイツの保守政党「キリスト教社会同盟(CSU)」の幹部アレクサンダー・ドブリント氏は、今日付の主要週刊紙「ビルト日曜版」に掲載されたインタビューで、ウクライナ人は「就労しないなら、ウクライナ西部の安全な場所に帰るべきだ」との見解を示しました。
 2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始を受け、ドイツ政府はウクライナ人に対し、難民認定申請を必要とすることなく自動的に、滞在許可と失業手当を受給する権利を与えました。
 そして2年が経過。
 現在、保守派は、中道左派「社会民主党(SPD)」所属のショルツ首相に対し、ウクライナ人支援の削減を求めています。
 テューリンゲン州議会の保守政党「キリスト教民主同盟(CDU)」トップは先週、ウクライナ人に長期在留者と同等の福利厚生を与えた決定は「重大な過ち」だったと批判し、「無条件に支援するのではなく、就労させなければならない」と訴えました。
「就労しないなら、ウクライナ西部の安全な場所に帰るべきだ」との見解も示しました。(本当に安全な場所がウクライナの中にあるんでしょうか?)

 ただ支援だけするのは初期だけで、何年も支援を受けっぱなしではだめだと思います。人手不足のところに就労させて、自力で収入を得るようにするほうがウクライナ人もいいと思います。
 ただ、そうすると言葉の問題があるので、就職できないというウクライナ人も出てきます。
 ドイツ語が分からないから、仕事ができない、コミュニケーションが取れない、という問題です。これを言い訳だと批判する人も出てきますよね。

 通訳を多く準備するなどしないといけないようにも思えますが、でも今はスマホで機械翻訳もできる時代なのだから、簡単な仕事の仕方などすぐ指示できると思います。
 逆に言うと、ドイツ語ができるウクライナ人は優先してドイツに避難(移住)させるようにしたらいいと思うのですが。⚪︎⚪︎語ができるウクライナ人は⚪︎⚪︎国に優先して避難できるようにしてほしいです。
 そういうと結局外国語ができる頭のいい人が得をする、ということになって平等ではないという意見が出てくるのでしょうね。でも、人生において努力して身につけた知識のおかげで得をするというシーンが出てくるのは当たり前かと思います。運がいい人、悪い人の境目が知識だったというケースはよくあることだと思います。

2024年6月21日。ウクライナ侵攻から850日目

2024-06-21 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月21日。

 ハンガリー首相は今日、ベルリンを訪問し、ドイツは移民の流入によって「10年前と比べてにおいや景色も変わり」、多彩な多文化世界になったと述べました。
 国のにおいが変わったって・・・深い意味があるのか、それともその言葉通りなのか。

 ハンガリーが7月1日からEU理事会の輪番制議長国を引き継ぐのに合わせて、ドイツ首相と会談するためベルリンを訪れ、国営ラジオの週例インタビューで、ドイツは移民が「数十万人規模」で「通常よりも迅速な手続きで市民権を与えられている」とし、さらに、かつてのドイツは「勤勉な国民」と「秩序」の規範だったが、もはやそうではないと主張しました。
「ドイツは多彩な多文化世界に変わった。この国では入国する移民はもはや客人ではない。」
との見方を示しました。
 日本にも外国人の移民に反対している人が大勢いると思うのですが、そういう方々はこのハンガリー首相の意見に賛同するのでしょうね。
 私は、日本語ができて、日本人とコミュニケーションが取れて、日本の法律を守り、道徳や価値観を尊重し、真面目に働いて所得税や住民税をちゃんと納める外国人はどんどん日本に住んでもらうほうが国益になると思っています。細かく法整備をしないといけないと思います。
 
 

2024年6月14日。ウクライナ侵攻から843日目

2024-06-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月14日。

 ロシア大統領は今日、ウクライナでの戦争終結には、ウクライナがNATO加盟に向けた野心を放棄し、同国東・南部4州をロシアに引き渡す必要があると言明しました。ウクライナ東・南部のドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージェ4州からのウクライナ軍の完全撤退を挙げ、「ウクライナがこうした決定の用意があると発表し、実際に撤退を開始し、NATO加盟計画を放棄すると正式に表明すれば、われわれは直ち停戦命令を出し、交渉を開始する」と通告しました。
 同大統領は「条件は非常に単純だ」「ウクライナがこうした決定の用意があると発表し、実際に撤退を開始し、NATO加盟計画を放棄すると正式に表明すれば、われわれは直ち停戦命令を出し、交渉を開始する」などと通告していますが、いつもどおり、一方的ですね。
 さらに「われわれは具体的で真の和平提案を行っている」と主張。「ウクライナや西側諸国がこれまで通り拒否すれば、流血の継続に対する政治的、道義的責任は彼らにある」とけん制。
 さらにはウクライナの非武装化や西側諸国(日本含む)による対ロシア制裁解除も和平合意に盛り込まれる必要があるとも述べました。
 はっきり言って、ウクライナは負けを認めろ、と言っているのと同じです。
 明日と明後日に開催されるウクライナ平和サミットを直前にしてのこの発言ですが、とりあえずサミットが始まる前に言っておこう、ロシアは招待されていないし、という感じです。



2024年6月13日。ウクライナ侵攻から842日目

2024-06-13 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月13日。
 
 パリ五輪に参加できないロシアが代替五輪として見なしているスポーツの大会BRICSゲームの開会式は、タタルスタンで行われました。
 もちろんベラルーシの選手団も参加します。参加国は93カ国で3000人以上の選手が参加し、今月24日まで続きます。
 ベラルーシのオリンピック選手はパリ五輪に全く参加できないわけではないのですが、今回のようなロシア主導の試合に出場することを完全に優先しています。オリンピックの金メダルよりこちらのほうが大事な試合になっています。


2024年6月12日。ウクライナ侵攻から841日目

2024-06-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月12日。

 ロシア極東大函館校を運営する学校法人函館国際学園は今日、2025年度の新入学生募集を停止すると発表しました。
 募集停止の理由について、ロシアによるウクライナ侵攻の影響による対露感情の急激な悪化に加え、少子化の影響も重なって入学者数が急減。今年度の入学者は3人にとどまり、在校生数も14人と、経営継続に必要な在校生数33人を満たせず、定員を充足できるだけの入学者数回復が見込めないと判断したそうです。
 30年の歴史に幕が下りるんですね。
 同校はロシア・ウラジオストク市の極東国立総合大学(現・極東連邦総合大学)の分校として函館市に誘致され、1994年4月に開校しました。ちょうどその年に私はウラジオストックの極東大学に語学留学に行ったのです。行ってから日本国内にロシアの大学が分校を作ったんだってと聞きました。
 タイミングが違っていたら、ロシア本土へ留学するより北海道で入学する道を選んでいたかも・・・と複雑な心境でした。
 
 同校は96年に函館国際学園が運営する専修学校「ファーイースタンステイトユニバーシティ函館校」として発足し、2006年には文部科学省から「外国大学の日本校」として指定を受けています。07年4月には校名を「専修学校ロシア極東大函館校」、11年1月に「ロシア極東連邦総合大学函館校」へ変更し、現在は4年制のロシア地域学科(定員40人)と2年制のロシア語科(定員40人)があるそうです。
 開校以来、日本唯一のロシアの大学の日本校として人材を養成し、30年間で270人以上の卒業生を輩出した・・・そうですが、え、30年間で270人の卒業生? ということは1年平均卒業生の数は9人だけ? とびっくりしてしまいました。

 最近、日本の大学のロシア語学科の学生が学科名を隠して、就活しているそうですね。
 ロシア語を勉強していると知られると、企業の受けが悪くなり就職しづらい状況のようです。
 ロシア語自体には罪はないのですが、日本人のロシアに対するイメージが悪化したので、今は仕方がないのかもしれません。ウクライナ侵攻前からロシア語を勉強していた学生も大勢いるのですが。
 ロシア語学習人口が減って、留学生も急減していると思いますが、将来的に回復するかどうかというと厳しいですね・・・


 アルメニア首相は今日、ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)から脱退すると同国の議会で明言しました。
 時期は不明です。でも脱退することは確定のようです。
 こういう発言をするだろうと予測はされていましが、意外だったのはベラルーシについても言及したことです。
 同首相は「ベラルーシがCSTOから追放された場合は、アルメニアはCSTOに残る可能性がある。」と発言しました。
 さらに「アレクサンドル・ルカシェンコがベラルーシ大統領である限り、私はベラルーシを訪問することはありません。今後、アルメニア政府の官僚はベラルーシを訪問しません。」
 え、大統領を名指し・・・
 アルメニア首相は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が2020年のナゴルノ・カラバフをめぐる戦争でアゼルバイジャンを支援したためだとその理由を説明しています。
 ベラルーシにはアゼルバイジャン系住民やアルメニア系住民も大勢住んでいますが、国内でギクシャクしないか少々心配です。

(後記。上記のアルメニア首相の発言を受けて、在ベラルーシ・アルメニア大使がベラルーシ外務省から呼び出されました。ベラルーシ外務省は声明で、アルメニア首相からこんなことを言われても、ベラルーシはアルメニアを友好関係を継続したい意向を発表しました。こんなこと言っても、アルメニアからすれば「だったらベラルーシはアゼルバイジャンを支援するなよ。」というふうに思うんでしょうか。)

2024年6月11日。ウクライナ侵攻から840日目

2024-06-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月11日。

 ロシアのモスクワ州裁判所は今日、ウクライナ侵攻に抗議したマキシム・リプカンさんについて、精神科病院での強制的な入院治療を続けるべきとの一審判決を維持しました。
 リプカンさんは18歳だった昨年2月、侵攻開始から1年の節目にモスクワで抗議デモを計画。「ロシア軍に関する偽情報」を流布した容疑で逮捕されました。
 リプカンさんはアメリカ政府系ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーとのインタビューで、ロシア大統領を「戦争犯罪人」と呼び、ウクライナ侵攻に抗議したのは「ウクライナ国民の犠牲者数に衝撃を受けた」からだと話していたそうです。18歳でしっかりした意見を持っていますね、とも言えるのですが、裁判所では精神病患者扱いなのですね。
 一審は今年2月、リプカンさんが「犯行当時」、心神耗弱の状態だったとして公訴を棄却。代わりに精神科病院で強制的な入院治療を受けさせるとの判断を下していました。
 ロシアの人権団体「メモリアル」は、リプカンさんを政治犯リストに記載しています。

 ベラルーシでは、さまざまな犯罪行為を犯した人を精神病院に入れて、治療していますよ。上記のようなニュースを見ても、ああ、ロシアでも同じことをしているんだなと思います。
 ベラルーシとロシアとの違いの一つは、ベラルーシには死刑制度が残っているけれど、ロシアにはない、ということです。
 殺人犯でも、被告の立場や言動によっては、死刑の代わりに精神病院での治療が判決で出ることがあり、完治して退院できる人はほぼいません。

2024年6月10日。ウクライナ侵攻から839日目

2024-06-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年6月10日。
 ベラルーシ国防省は今日、ロシアの戦術核兵器の使用を想定した演習の第2段階にベラルーシ軍が参加していると発表しました。全て予定通りです。


 フィンランド国防省は、ロシア軍機が今日の早朝、フィンランド国境の内側約2.5キロメートルの空域を飛行し、フィンランドの領空を侵犯した疑いがあると発表しました。領空侵犯です。このご時世、みんな神経質にならざるをえません。日本の領域は大丈夫でしょうか。


 チェコ首相は今日、首都プラハで6日に起きたバス会社の車庫の放火事件について「ロシアが組織、資金調達した可能性が強い」と述べました。これ以外の東欧での放火事件はほぼ全て「ロシア情報当局が関与した破壊工作」という見方をしているそうです。
 チェコのバス会社の車庫が放火事件については、現地の警察が8日、南米人の男をテロ関与容疑で逮捕しています。事件の数日前にチェコに入国したとみられていますが、ロシア人ではないのですね。でもロシア当局が関与している、と。
 ポーランドでは先月ロシアの指示で破壊工作(暴行やペンキ工場への放火、放火未遂だそうです)に加担した疑いで9人を当局が逮捕しました。容疑者9人の国籍はウクライナ、ベラルーシ、ポーランドの3カ国でした。あーあ、ベラルーシ人がポーランドで何をしているのか。この中にロシア人がいないですよ。
 リトアニアでは5月初め、首都ビリニュスの大型家具店の倉庫が放火され、その数日後、ポーランド・ワルシャワのショッピングセンターが炎上する事件が起きており、これらも全てロシアが関与した可能性があるそうです。


 ロシアの独立系メディア「メディアゾナ」は今日、英BBCとの共同調査を行い、ロシアの民間軍事会社ワグネルが2022年7月からウクライナ侵攻の戦闘員として採用した4万8366人以上の受刑者のうち少なくとも1万7175人以上が死亡したことが判明したと伝えました。
 戦争に行って、生き延びられたら無罪放免になれると聞いて、この話に乗ったものの、3人に1人は死んでしまったという計算です。
 この報道によると、ワグネルは元受刑者の大半をウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートに投入。ワグネルが同地の制圧を発表した23年5月までに1万7175人以上が戦死。このうち受刑者以外の戦死者は2372人なので、88%が受刑者だったことになります。それだけバフムートの戦闘員は元受刑者(犯罪者)だらけだったということですね。
 メディアゾナによると、死者数などは、ワグネルの情報筋から入手した戦闘員の家族らへの補償金の支払いに関する書類などから算出したそうです。バフムート周辺で戦死した戦闘員遺族への補償金支払総額は1080億ルーブル(約1900億円)だそうですが、犯罪者の家族を持っていた遺族は補償金を手にして、何を思ったでしょうか。



 ロシア外務省は今日、国営タス通信の記者がオーストリア当局により国外追放になったとして、オーストリア放送協会(ORF)の記者に国外退去を命じました。