チェルノブイリ原発事故後増加した子どもの白血病患者など、小児がん患者を専門に治療している国立の病院があります。その院長が反政府派であることから、解雇させられました。
それに抗議する形で、この病院に勤める16人の医師らが11月24日退職しました。
がんで入院中、治療中の子どもはどうなるのでしょう?
政府からすれば、「医者は政治に首をつっこむな。自分の仕事をしなさい。患者を救え。」でしょう。患者、その家族、あるいは世間一般の人の中でも、
「目の前にがんで苦しんでいる子どもがいるのに、仕事をやめるとは医者としてひどい。」と憤慨し、政府の言い分はもっともだ、と思う人もいるでしょう。
しかし、政府による世論の誘導ということもありえます。
そもそも病院の院長が、とんでもない医療ミスをしたわけでもなく、「大統領選挙、やり直したほうがいいと思います。」と言っただけで、解雇。それに抗議して、医師らが退職したのですから、もし、政府がこんな理由で病院長を解雇しなかったら、今でも患者は普通に治療を受けられていたはずなのです。
さらに、やめた医師らからすれば患者さんに「患者を放ってどこかへ行く医者はひどい。戻ってこい!」と文句を言われるのではなく、「院長と16人の医師が職場復帰し、また治療をするようになるために、そのもともとの原因になった政府のやり方に対して文句を言ってくださいね。患者の皆さん。」と言いたいと思っていることでしょう。
しかもガン治療に限らずこのコロナ禍で、医療従事者が現場から減ってしまうのは、実は政府にとっては大変な痛手です。例えて言うなら、公立図書館の司書が全員「政府のやり方に反対だ! みんなやめる!」と立ち上がったところで、政府にとっては痛くもかゆくもありません。しかし、今医療従事者が「もう仕事やめる!」と動かなくなると、政府としては痛いところです。なので、「患者を放ってやめてしまうなんて冷たい医者だ。文句は医者にほうに言ってね、患者の皆さん。」と言うふうに世論を誘導しています。
ベラルーシのスポーツ選手が、スポーツと政治は無関係であるべき(スポーツ選手が政治について発言するのはよくない、無意味、しなくて良い・・・と反政府派スポーツ選手を批判・・・だから)、今の大統領を支持する(大統領を支持する、と表明する時点で、スポーツ選手が政治に関係している・・・と私は思うので、この人たちの言っていることは矛盾している、と私は感じました。)という書類にスポーツ選手の署名を集めています。
この選手たちは、来年の東京五輪に出場して、現ベラルーシ国旗を掲げて入場行進したいわけです。
しかしですよ、すでに反政府派スポーツ選手は、リトアニアで自分たちのベラルーシ・スポーツ選手協会を(国からは非公認ながら)立ち上げているのです。もしオリンピック開催までに、ベラルーシの大統領が変わってしまった場合、上記の書類に署名した選手は、代表から外されます。代わりに反政府派スポーツ選手協会に加入した選手の中から五輪代表選手が選出されます。そして、入場行進のとき掲げるのは現国旗ではなく、白赤白の旗です。
もう一つの点は個人競技の場合、自分の国内ライバル選手が「私は反政府派だ!」とナショナルチームから反政府派スポーツ選手協会に移った場合で、現政権が変わらなかった場合、上記の書類に署名した選手が代表に選ばれる可能性が高くなります。「念願のオリンポック出場が叶う! ラッキー!」となるかもしれないのですよ。
ともかくオリンピックにしろ、アイスホッケー世界選手権大会にしろ、スポーツ選手それぞれにそれぞれの考えがあるわけで、混迷しています。
アムネスティは、逮捕されたミンスク救急病院の医師と独立系メディア、トゥト・バイのジャーナリストを良心の囚人のリストに入れました。早期釈放をベラルーシ政府に求めています。
この医師はボンダレンコさんが警察から救急車で搬送された後、治療を担当した一人で、警察側が、ボンダレンコさんは酩酊状態だった、と発表したときに、血液検査の結果を見せて、「血中アルコール濃度は0%でした。」とトゥト・バイのジャーナリストの取材で答えたのです。
その結果この二人は逮捕されました。すでに裁判も終わり拘留されている状態です。それに反発した反政府派市民は「0%」と書いた紙を手にして持って、デモ集会やフラッシュモブを各地で行なっています。
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追記です。
血中アルコール濃度について、投稿した記事内ではパーセント(%)と表示しましたが、パーミルのまちがいでした。パーミルとは ‰ と表示します。1パーミルが0.1パーセントです。
ベラルーシでは血中アルコール濃度を表す単位としてパーミルが使われます。しかし日本では mg/dl という単位を使うことが多く、パーミルはふつう使いません。
例えば1mg/dl は 0.01mg/ml になります。
これをパーセントに換算すると、0.001% になります。
さらにパーミルで表すと、 0.01‰ です。
やっぱり、1mg/dl で表すほうが分かりやすいですね。
ちなみに血中ではなく呼気アルコール濃度は血中アルコール濃度から計算できます。mg/mlの数字を半分にして、mg/l の単位を使います。
(血中アルコール濃度が1mg/dlの場合、呼気中アルコール濃度は0.005mg/l になります。)