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ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2025年日本語能力試験の結果発表

2025-08-25 | 日本文化情報センター

 今日の日本時間午前10時に今年7月実施された日本語能力試験の結果が発表されました。

 ベラルーシでは午前4時です。そして5時には生徒から結果の一報が私の元へ届き、最後の生徒からの連絡が来たの午後の10時過ぎ。日本文化情報センターの日本語教室の生徒の結果が判明しました。

 29名の受験者のうち、合格は7名。やはり二桁台の数字にはなりませんでした。

 合格率は24%で世界平均より低くなりました。ただN4レベルの合格者は16人中5人でほぼ30%で、世界平均です。N3の合格率は9人中2人合格なので22%。今年はN1(受験者1名)とN2(受験者2名)の合格は一人もなしで残念です。

 今回の合否結果を元に9月からの新学年度に向けて新しくクラス編成を行います。

 今回不合格だった22名は残念でしたが、「1点足りなくて不合格」「2点足りなかった。」「3点足りなくて・・・」というギリギリ不合格だった人が多かったです。コンピュータが採点しますので、合格は合格、不合格は不合格で、動かすことができません。

 来年も上のレベルを目指す人、再挑戦して余裕の合格をする人が多く現れてほしいです。

 今回の合格者に対しては、レベルに合わせてチロ基金から受験料補助金が支給されます。

 ベラルーシでの日本語学習をご支援してくださっているチロ基金支援者の皆様、私はもちろん生徒もその保護者も深く感謝しております。

 

 

 


日本文化情報センターは移転します

2025-08-09 | 日本文化情報センター

 日本文化情報センターはミンスク市立児童図書館内に26年間開所していましたが、今月撤退することを決定しました。

 理由はいくつかありますが、最大の理由は、3年前に戦争が開始後、日本文化への圧力、差別が図書館内に広がったことです。日本語の授業を行っても、それは図書館業務ではないので仕事をしたと見なされず、つまり私は出勤していても何もしていないことにされました。ベラルーシの友好国である中国の言葉を教えるのは仕事をしていると見なされるようです。

 日本語朗読会などを企画するのも禁止。小さい子供向けの折り紙を教えることだけが仕事をしたと見なされるようになりました。要するにリストラの対象にさせようと私を仕事をしていない図書館員というレッテル貼りをしたかったようです。

 解雇される前にこちらから退職することにしました。とにかく日本語教室をやめさせようとしていることは明らかでしたので、夏休み(ベラルーシの新学年度が始まる前)というタイミングで退職願を出すことにしました。

 もう一つの理由は5月に起こった雨漏り事故のため弊センターが所蔵する展示品が被害を受けたにも関わらず、弁償金を図書館側が支払う気持ちも予算もないこと、そして事故から3ヶ月経過しても市の予算不足を理由にして屋根の修理を行おうとせず、雨漏りが続いているため、これ以上被害が広がらないように、展示品と蔵書を私は自宅へ避難させました。

 このように精神的にも物理的にも日本文化情報センターの活動ができなくなりましたので、図書館から撤退することに決定しました。

 しかし、日本語教室の生徒に「場所が授業はもうないです。解散。」などと言えませんし、チロ基金の支援者の方々にも申し訳ないです。そこで自宅の一室を改装してしばらく臨時の日本語教室を自宅で9月から行います。

 日本文化情報センターはミンスク市内にある聖ニコライ教会付属日曜学校に移転することが決まっているのですが、現在のところ教会建物が狭いため、信者の方々から寄付金を募って、新しい3階建の建物を建設する予定です。その2階の1室に日本文化情報センターが入ることになっていますが、インフレのせいで建設作業がなかなか進んでいません。

 建物が完成してから移転しようと思っていたのですが、雨漏り事故が起き、また戦争も終わりそうにないため、今年の夏に退職することにしました。

 先日作成したロシア語版日本文化情報センター新サイトを眺めながら、チロ基金支援者のおかげでこの26年間いろんな活動を実施できたなあと感慨深く感じました。日本文化情報センターは一時的に公式な所在地がない状態になりましたが、図書館以外の場所で活動を続けます。

 チロ基金からの支援を無駄にはしません。また日本語教室の生徒のためにも授業は入学時の約束通り無料で行います。

 早く聖ニコライ教会の建物が完成してほしいです。先月、私が工事の進捗状況を見たところでは、今年は無理で、あと2年ぐらいかかるのではないかといったところです。(いわゆるお賽銭箱にお金を入れましたが、建築費用全体で言えば雀の涙ていどかも・・・インフレも早く終わってほしいです。)とにかく教会完成まで自宅で日本語の授業をかんばります。

 私自身は定年前に退職して、無職になってしまい、経済的な不安が全くないわけではないです。しかし、自分自身の年金のために日本語の授業ができなくなっても図書館にしがみつき、いつリストラされるのかビクビクしながら通勤するほうが精神的に無理です。

 収入はなくなりましたが、自宅で制約を受けずに日本語教育を続けるほうがいいですし、それが生徒のためにもなると思います。幸いチロ基金のおかげで、教科書もそろっていますし、教材作成用のプリンターもあります。今回の件はすでにチロ基金支援者の一部の方には事前に知らせており、新しい教室用の机の購入日をすでに寄付してくださった方もいます。

 気持ちを新たに今後も日本文化情報センターの活動を続けることをこのブログ上でもお知らせいたします。

 

 

 

 


日本文化情報センターのHPロシア語版できました

2025-08-02 | 日本文化情報センター

 日本文化情報センターのHP、ロシア語版がようやく完成しました。

 リンク先はこちらです

 これで11月に日本文化情報センターのロシア語版gooブログが消滅しても大丈夫です。

 (次はこの日本語版ベラルーシの部屋ブログを何とか保存しなくては・・・)

 


2025年7月日本語能力試験ミンスク会場にて無事実施されました

2025-07-06 | 日本文化情報センター

 今年第1回(7月)の日本能力試験がミンスク会場にて無事実施されました。

 今回は例年と異なり、ベラルーシ大学国際関係学部ではなく、ミンスクコンサートホールで行われました。コンサート会場で試験?!と思われるでしょうが、コンサート会場内に会議室が複数あって、それを組み合わせて日本語能力試験を実施したようです。(私は実行委員会の人間ではないので、理由は知りません。)

 今回大学の教室を使えなかったので、場所の確保のために受験料が2-3倍になったのかなと思いました。いろいろと不便な点があり、来年はまた試験会場をベラルーシ大学に戻してほしいところです。受験料も安くなったらいいなと思いますが、インフレで来年は、どんな受験料になるのか見当もつきません。

 特にN1とN2の教室が隣で、聴解問題のときに他のレベルの聴解問題の音声がまる聞こえで、聞き取りの邪魔のしあいになり、試験の途中でN2の教室を変更するという、とんでもないことがあったそうです。途中まで聞いていた試験問題をまた最初から聞き直したりして、受験生にとってラッキーなのかアンラッキーなのか・・・

 初めて使う試験会場なので、こういうことが起きないように事前に教室の割り振りをしたり、リハーサルをすれば良かったと思いますが・・・

 さて、弊センター日本語教室の生徒29名はN1(1名)、N2(2名)、N3(9名)、N4(16名)、N5(1名)に分かれて受験しましたが、感想もそれぞれで「難しかった」「簡単だった」「聴解ができなかった」「漢字が意外とできた」などなど聞きました。

 ネットでの合否発表は8月末です。今から結果が楽しみです。合格者には受験料補助金がチロ基金から支給されますので、できるだけ多くの生徒が獲得してほしいです。

 試験の結果はまた改めてご報告いたします。お楽しみに。(ただその頃は、このgooブログを使っていない可能性がありますね・・・)

 


チロ基金提供JLPT模試「私たちのテスト2025 」N4実施しました

2025-06-28 | 日本文化情報センター

 2025年6月21日、チロ基金提供の模試「私たちのテスト」N4レベルを実施しました。

 結果は受験者12名で、4名が合格。合格率が30%で世界平均とほぼ同じでした。模試の問題の難易度が実際の試験の難易度と同じぐらいだったと言ってよいでしょう。

 1週間後の授業のときに合格者に、チロ基金から合格証を授与し記念撮影もしました。今回合格した4名は本試験が不合格であっても、今年の9月からN3クラスに進級できます。でも模試で合格だった人は、本試験でも合格する可能性が高いので、期待しています。

 本試験はいよいよ1週間後。模試が不合格だった生徒も自分の弱点が見えてきたと思うので、今のうちにしっかり復習して、試験に臨んでほしいところです。

 


雨漏り事故発生

2025-05-28 | 日本文化情報センター

 日本文化情報センターの天井から雨漏りが発生しました・・・。

 日本文化情報センターはミンスク市立児童図書館の一つの施設なのですが、その図書館が入っている建物がソ連時代に建設されたもので、老朽化が進んでいます。

 そして今年、ベラルーシは異常気象で平均気温が10度ぐらいで非常に寒く、そしてほぼ毎日雨が降っています。そのせいで、図書館の屋根にヒビが入り、そこから雨水が建物内部に流れ込んできました。

 今のところ2箇所から雨漏りしているのですが、そのうちの1箇所が日本文化情報センターの真上・・・

 運が悪い・・・しかも夜間に雨が降り、館内に誰もいなかったので、バケツを置くといった対象法もできず、今朝出勤したら、弊センター所蔵の展示品の一部が濡れてしまっていました・・・

 何とか乾かしてほとんど元通りに直せた展示品もありますが、直せないほど水でぶよぶよになってしまった展示品もあります・・・。

 悲しいです・・・。展示品を寄贈してくださった方に申し訳なく、心が痛みます。

 天気予報では異常気象は続き、ほぼ毎日雨の予報が出ています。早く屋根を修繕してほしいのですが、予算がなくしかも役所での手続きも難しくて、すぐには修理してくれないでしょう。

 この図書館では以前、外国語文学閲覧室の窓ガラスに大きなヒビが入り、ガラスを早く交換してほしいと申請を出しているのに、結局新しいものに入れ替えたのは半年後で春になっていました。こんな調子なので、屋根の大掛かりな修理が完成するのは1年後ではないでしょうか。

 それまでにも雨が降るのに・・・。建物全体が老朽化しているので、ヒビがある2箇所だけ修理しても、次はまた別の箇所にヒビが入る可能性が高く、そのたびにバケツを持って走り回らないといけません。

 弊センターは念の為、雨漏り箇所の真下には何も置かないように展示品や書籍を離れた箇所に移動させました。

 今回の雨漏り事故で蔵書が濡れてだめになったという事態にはなりませんでしたが、もしそんなことになったら、心が痛むどころかショックで心臓が止まります・・・。

  添付画像は日本文化情報センターの天井の雨漏り箇所を下から見上げて撮影したものです。

 


第22回岬文壇エッセー大賞に挑戦

2025-05-09 | 日本文化情報センター

 毎年11月30日が締め切りの岬文壇エッセー大賞コンクールに弊センター日本語教室の生徒6名が参加しました。 

 毎年参加してますが、今年は人数も増えました。

 このコンクールについては壺井栄ゆかりの小豆島で行われているエッセーのコンクールだと説明するほうがイメージしやすいでしょうか。

 詳しくは公式サイトをご覧ください。

 やはりベラルーシ人生徒にとっては日本語は母国語ではないので、エッセー(というより作文のレベル)を書くのはとても難しいことです。申し込む前から、まあ受賞しないだろうと思うのですが、日本語の勉強だと思って生徒に毎年案内しています。もちろんやる気のある人しか参加しません。こういうやる気のある人はいつか必ず日本語能力が伸びていくと信じています。

・・・・・ 

 2025年5月の追記です。

 壺井栄文学館のHPで入賞者が発表されました。残念ながら今年もベラルーシからの入賞者はいませんでした。母国語ではないので、なかなか入賞できなくて当然ですが、その母国語ではない言語で、作文を書いたというのが大切な経験だと思います。

 また来年も挑戦する生徒が出てきてほしいです。優秀賞をとった3名の方の作品を上記の壺井栄文学館HPで閲覧することができます。私は感動して、涙が出そうになりました。やはりこれぐらい感動する話でないと入賞できないですね。生徒にも読ませて、来年のコンクールのための参考にしてもらいたいと思いました。 


チロ基金提供模試「私たちのテスト」見本

2025-04-27 | 日本文化情報センター

 せっかくなので、チロ基金提供の模試「私たちのテスト」の問題用紙と解答用紙も画像でご紹介します。

 日本語能力試験の公式問題集の見本を参考に、私が毎回パソコンとプリンターとホッチキスで手作りしています。

 できるだけ本物の用紙に似せるようがんばっていますが、実際の解答用紙は厚紙に束になって印刷されていて、試験の前に一枚ずつ切り取る形式なので、さすがにそこまでそっくりには私は作れません。

 チロ基金提供なので受験者(日本文化情報センター日本語教室の生徒)は受験料無料、つまりチロ基金支援者の方々のおかげです。

 支援は主にコピー用紙やプリンターの購入などですが、はっきり言って、問題用紙を綴じるホッチキスの針だって値段は安いものですが、お金が全くないと購入できないので、日本からの支援に大変助けられています。

 支援者の皆様、本当にありがとうございます!

 6月には「私たちのテストN4」を実施予定です。日本の皆様からのご支援を有効活用させていただきます。

  近日中に今回のN1とN3に合格した2名に合格証を授与し、日本語能力試験受験料の補助金をチロ基金から支給します。

 2025年3月23日付の投稿記事「2025年日本語能力試験ミンスク会場実施決定しましたが」でご説明したように、急激な受験料値上げに対する救済措置として、受験料の約半額を補助金として支給することにしましたが、インフレが進んでいるので、模試「私たちのテスト」に合格者には補助金のおよそ半額を早めに支給することにしました。日本語能力試験受験料の4分の1が試験前に返ってくるということです。

 また改めてご報告いたします。チロ基金支援者の皆様、お楽しみにお待ちください。


チロ基金提供模試「私たちのテスト2025」N1とN3実施しました

2025-04-27 | 日本文化情報センター

 予定通り2025年4月27日、チロ基金提供つまり受験者の受験料無料の模試「私たちのテスト」N1レベルとN3レベルを実施しました。

 結果はN1は受験者2名で、1名が合格。 

 N3は12名受験で、1名が合格でした。N3はもう少し合格者が多ければよかったというのが私の本音ですが、本試験である日本語能力試験は7月6日に行われるので、それまであと2ヶ月強、模試の不合格者も受験勉強に追い込みをかけてほしいところです。

 やはり、模試をしてよかったですよ。教える側からすると、「この生徒は読解が苦手だな。」とか「聴解が苦手だな。」とか優先して改善しないといけない点が明確になりました。

 N1合格者ですが、ぎりぎりの合格だったので、本試験もぎりぎり不合格になってしまう可能性があるため、模試で合格だったからと手を抜かず、しっかり漢字の復習をしないといけないなと考えています。

 添付した画像は「私たちのテスト」実施中の会場の貴重な写真です。場所はミンスク市立中央児童図書館のホール(日本語で歌おうコンサートをしていたところですね。) 

 撮影した時は試験開始直前の氏名の記入をしているときなので、生徒の邪魔はしていません。

 机の上に仕切り板が立ててありますが、これはコロナ感染症対策ではなく、カンニング対策で す。12名受験者がいるところへ、机が9台しかないので、いくつかの机に二人掛けしないといけないのですが、そうすると近すぎて隣の人の答えが丸見えになってしまうため、このような仕切り板を立てています。

 仕切り板は画材屋でチロ基金の寄付金で購入したもので、木製の台座に立てているのですが、この台座はS夫が手作りしてくれたものです。このようにいろいろ工夫しながら、模試を実施しています。

 公立図書館で、日本語教室の生徒はミンスク市在住の場合、全員この図書館の来館者カードを持っているので、模試の場所代は無料。これも助かっています。


第36回伊藤園お〜いお茶新俳句大賞に参加

2025-04-15 | 日本文化情報センター

 毎年2月末日が締め切りの伊藤園お〜いお茶新俳句大賞に今年の弊日本語教室の生徒24名が応募しました。(生徒ではないけれど、私も応募しましたよ。)

 今年は団体申し込みがインターネットでできるようになったので、日本文化情報センターを参加団体の一つとして登録しましたよ。すると生徒の申し込みがずいぶん楽になりました。今までは一人一人が自宅住所や電話番号を英語で打ち込んでいて、間違えそうになっていたので・・・。

 ところが、団体の申し込みは2月末日ではなくて、2月12日でした。このことを伊藤園のサイトでは1箇所に普通の大きさの文字で表記していたので、私、うっかり見落としかけましたよ。くわばらくわばら。

 それで生徒に「12日までに俳句を作ってください。」
と言うと、
「えー、28日までまだ時間があると思っていたのに!」
という反応が多かったです。俳句を書いておくことは10月の授業で宣伝していたんですが。

 12日までに俳句を作った生徒は団体申し込みができましたが、それまでに「まだ書けてません。でも28日までには書きます!」と言っていた生徒は結局、個人申し込みをしました。団体申し込みだったら、先生は助けてあげられるのですが、個人申し込みの場合、入賞した場合の商品の受け取りなども自分で手続きをしないといけなくなるので、面倒なんですよね。でも、のんびり屋さんたちはその分自助努力してください、としか言いようがありません。

 10月の結果発表が楽しみです。

 T先生は日本人で日本語が母国語なのにどうして入選しないのかと生徒から厳しい視線(^^;)で見られているので、毎年、今年こそはと応募していますが、どうなるでしょうか?

・・・・・

 2025年4月15日の追記です。
 伊藤園から3名の俳句が2次審査を通過したと連絡が来ました!
 厳密には、生徒2名と私の計3名です。

 私、生徒に毎年俳句を教えているのに、日本人の自分が入賞したことが一度もないので、今年入賞できたら、やっと教師の対面が保てるわ!と驚喜しましたよ。

 しかし、2次審査に選ばれても、入賞できる確率は半々ぐらいだろうと私は思っています。この3人のうち一人でもいいから入賞しますように・・・! 最終結果発表は10月です。またこのブログでご報告しますね。

 

 

 

 


ミンスク第3世代大学

2025-04-04 | 日本文化情報センター

 ミンスクに第3世代大学という大学があります。と言っても日本の方々にはよく分かりませんよね。

 第3世代とはベラルーシでは60歳以上の年齢のことを指します。第1年齢は18歳以下の子供時代、第2年齢は現役で働く時代という人生の年齢区分をベラルーシではしています。第3世代大学とは、高齢者向けの教育を行う場ということで、欧米を中心にありますが、ベラルーシにも創立されたということです。

 日本だと、18歳以上で高卒の人は、何歳になっても大学受験できますから、わざわざ第3世代大学を創立しなくてもいいのかなと思います。高齢者が日本は多いですけど。

 ベラルーシは平均寿命が短いので、第3世代大学のような高齢者向けの教育の場などはないのではないかと思われがちですが、ちゃんとあるんですね。2010年にグロドノ市に大学ができたのが最初だそうです。

 ミンスク第3世代大学がミンスク州立大学のスペースを借りて、講義をしているということで、私は今回ゲスト講師として招かれ、日本の地理と自然についてのレクチャーをしました。出席した生徒の皆さんはやはり全員女性でした。(ベラルーシ人男性の平均寿命が短いのでこうなってしまいがちですね。)

「ベラルーシ人は平均寿命が短いから、長く勉強しても仕事の役に立たない。」という人も大勢います。

 昔の話ですが、私が日本語を教えていたベラルーシ人女性に、40歳後半の日本人男性で、本格的に英会話の勉強を始めた知人がいる、と話したら、すごくびっくりされて、「ベラルーシ人でそんなことする人はいない。英会話をマスターする頃には寿命だから、職場の出世にもつながらないし。やっぱり日本人は長生きだから、何歳になっても勉強を続ける人がいるんですね。」と言われたことがあります。

 その言葉に私自身もびっくりしましたが、何だか平均寿命が短いとベラルーシ人は人生の折り返し地点が30歳で、50歳は晩年のような心境で、60歳になると余命も残りわずか・・・と感じてしまってるのかと思いました。だから40歳過ぎて、外国語などを勉強しようと思い立つ人も少ないのだろうと思っていました。実際、そういう人が多いと思います。(でも平均年齢とは、その年齢のあたりで国民の大部分がバタバタ死ぬという意味ではないですからねえ。)

 しかし、平均寿命が男性より長く、高学歴を受けたことのある女性も(日本より)多く、貪欲に学び続けようという知的好奇心あふれるベラルーシ人女性が、ちゃんといることが今回分かりました。第3世代大学の在校生は約1000人で、最高齢は91歳だそうです。

 依頼されて日本の地理や自然について話しましたが、学生のみなさんは、もともと高学歴の持ち主で、現役時代も知的な職場で働いていたり、それなりに出世していた人がほとんどで、なおかつ新しい知識を吸収したいという意識の高い人ばかりでした。
 こういう方々は、食事とかにも気を遣っていそうで、認知症とかなりそうにないなと感じました。質疑応答も鋭い質問が飛んでくるし。私も60歳になったら、認知症予防のためこの大学に入学しようかと思ったぐらいです。
(でも、どっちかと言うと東洋の文化とか思想とか社会とかについて話をする側になりたいですね。ずっと日本文化情報センターの活動をしている感じです。)

 日本の自然について講義をするうちに、鶴の話になり、最後に折り鶴を作るワークショップをしましたが「折り紙? 初めてするわ。」というJD(笑)の方々も全員完成させることができ大満足でした。

 今回は児童図書館を飛び出して、日本文化情報センターの活動を行いましたが、今後もこのような機会に恵まれたら、積極的にこちらからベラルーシ人の輪の中に入っていこうと思いました。

 チロ基金の活動を支援してくださっている日本の皆様、心から感謝申し上げます。 


2025年日本語能力試験ミンスク会場実施決定しましたが

2025-03-23 | 日本文化情報センター

 今年の7月の日本語能力試験、ミンスクも会場に選ばれました。それはそれで喜ばしいニュースなのですが、突然受験料が大幅値上げとなり、生徒の間から悲鳴が上がっています。

 具体的には・・・

 N1レベルが103ルーブルから210ルーブルの値上げ(約2倍)

 N2レベルが75ルーブルから160ルーブルの値上げ(約2倍)

 N3レベルが54ルーブルから120ルーブルの値上げ(約2.2倍)

 N4レベルが39ルーブルから95ルーブルの値上げ(約2.4倍)

 N5レベルが23ルーブルから80ルーブルの値上げ(約3.5倍)

 このN1受験料210ルーブルですが、現在のレートで日本円に換算するとおよそ9800円になります。日本国内の受験ではレベルに関係なく一律7500円(税込)です。日本で7500円で受験できるN1が平均月収の少ない(日本より物価が安い)ベラルーシで9800円もするなんて酷すぎると思います。

 ちなみにベラルーシ人の平均月収は今、2400ルーブルなので、そのうち210ルーブルを試験の受験料に払わないといけないということが、どういう感覚なのか、日本人の皆様にもわかっていただけると思います。

(日本の方に感覚的にわかりやすく言うと、月収24万円の人が去年10300円だった資格試験を受けようとして、今年21000円に受験料が前触れなく値上がりしたのを今日知った・・・という感覚です。) 

 N1は経済的余裕のある人で、合格できる自信があり、認定証を使って早く日本に就職しようと切羽詰まっている人しか受験しようとしないでしょう。

 とうとう弊教室の生徒の中からも、お金がなくて受験できないと諦める人が出てきました。自信もないから、高いお金を出す気にもなれないんですよ。

 これでは今年、ベラルーシでの受験者数が減少してしまうと思います。これではベラルーシでの日本語教育を盛り上げることができません。

 仕方がありませんので、弊教室で勉強している生徒には、チロ基金からの支援で作成する模試「私たちのテスト」を無料で受験してもらおうと考えています。

 お金がなくて日本語能力試験を受験できない生徒は、「私たちのテスト」を受けて、チロ基金から合格証をあげたいです。

 ただ、「私たちのテスト」は国際的に通用する日本語能力の証明書にはなりませんので、N1やN2レベルの公式な認定証を使って、日本へ留学や就職しようと思っているベラルーシ人は、高いお金を払ってでも、日本語能力試験を受験せざるをえません。

 救いなのは、弊日本語教室の授業料はチロ基金のおかげで無料と言う点です。ベラルーシ国内の民間の語学教室だと、日本語の場合、月謝が毎月120ルーブルはかかりますので、やはり弊教室の生徒たちはまだ運が良いと思っています。

 民間の日本語教室に通って毎月120ルーブル払い続けて、さらに日本語能力試験に高井受験料を払うとなると、ベラルーシでは日本語を勉強するのは贅沢な趣味になるか、あるいは独学で切り抜けようとする人に二極化すると思います。

 そして今年も例年どおり、申し込み方法がネット申し込みではありませんでした。日本大使館のサイトから申し込み用紙を紙に印刷して、顔写真を糊で貼り付け、銀行で支払った受験料の領収書といっしょに封筒に入れて、切手を貼って、ポストに投函し、大使館に郵送するという方式です。
 しかも消印有効ではないので、ベラルーシの郵便局がのんびりしていて、締め切りの28日までに大使館まで配達してくれなかったら、申し込みに遅れたという扱いになります・・・。受験者は悪くないのですが。

 さらに2025年になってもベラルーシではネット申し込みできない状況です。受験者数が他の国と比べて少ないので、このようなアナログ・手動の方式のままのようです。

 今年は受験者数が減ると予想されますので、来年もまたアナログな申し込み方法のままだと思います。ベラルーシ人は日本のことをハイテクの国で、ベラルーシより進んでいる先進国だと憧れて日本語を勉強し始めるのに、試験の申し込み方法が前世紀のままなので、日本人の私は恥ずかしく思っています。

 まだ締め切り前ですが、弊教室から受験する生徒の数は、とうとう30人を下回り、27人になる予想です。毎年二桁の合格者数(10人以上)を目標に掲げていましたが、今年は目標が達成するか微妙になってきました。世界の平均が合格率30%なので、27人中9人合格すればよいと考えています。

 これから模試「私たちのテスト」の問題を作成します。生徒のためにチロ基金が作るテストが少しでも役立てばと願っています

・・・・・

 追記です。

 チロ基金支援者の方の一人が、この現状を知り、受験料に対する補助金を寄付してくださいました。天の助けをいただいたような気持ちになりました。

 ただし、受験料をチロ基金がただ全額肩代わりするのではなく、試験に合格したら値上がり分のほとんどを補助するという補助金としての形です。例えばN1の受験料は昨年と比べて107ルーブルの値上がりとなっていますが、合格すればこのうち100ルーブルを受験者に渡します。

 生徒に通知したところ、大喜びで張り切って勉強する者が増えました。合格率がアップするかもしれません。

 受験料補助金を寄付してくださった方、心から感謝しております。生徒もみな喜んでおります。本当に助かりました。

 日本語を勉強するやる気があって、優秀なベラルーシ人をチロ基金は支えていきたいです。


2025年書道体験会 6

2025-01-12 | 日本文化情報センター

 日本語を教えている側から見ると、この二人の生徒さんが選んだ言葉が嬉しいですね。

 そう、愛があれば学びは成就しますよ。

 今回は23名の有志が書道体験会に参加してくれました。できた作品は家に持って帰って、飾っていると思います。(ベラルーシの家に床間はないけど。)

 漢字の勉強にもなるし、何と言っても書道を体験できたというのが、ベラルーシ人生徒のために役立ったと思います。

 書道会開催のために、かつて筆や硯を寄贈してくださったチロ基金支援者の皆様、墨汁や半紙の購入のために寄附を寄せてくださった皆様に深く感謝申し上げます。

 幸い、最近のベラルーシは中国から墨や書道用の紙を輸入するようになったので、消耗品に関しては、日本からわざわざ持ってこなくても現地で購入できるようになりました。

「いや、中国製のものは日本製のものに比べて劣る」とか言う人が日本人でもベラルーシ人でもいるんですが、生まれて初めて試しに書いてみるという人がほとんどなので、品質にはこだわりませんよ、私たちは。何事もまずは経験だと思います。

 チロ基金支援者の皆様のおかげで、書道の体験ができたこと、生徒一同感謝しております。


2025年書道体験会 5

2025-01-12 | 日本文化情報センター

 やはり、書いた人が求めている心の声のようなものが書道に反映されますね。


2025年書道体験会 4

2025-01-12 | 日本文化情報センター

 生徒の中でも長年、日本語を勉強している人は、書道も慣れている感じです。