ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

日本文化情報センター 「絵葉書コレクション展」

2014-05-30 | 日本文化情報センター
 日本文化情報センターでは2012年から毎年、1年に1回6月に一ヶ月間、日本の絵葉書展を行っています。
 と言っても日本文化情報センター所蔵の絵葉書ではなく、一ベラルーシ人の個人的なコレクションなのです。
 ミンスクに住むジーマさんは長年海外文通を趣味にしており、たくさんの絵葉書をコレクションしています。
 何枚あるのか分からないぐらいたくさんあるそうです。1年間の間に届いた日本の絵葉書を多くのベラルーシ人にも見てもらおうと、集めたものを日本文化情報センターで展示することになりました。
 それにしても1年でこんなにたくさん絵葉書が届くのは本当にすごいことです。ただ絵葉書をもらうだけでなく、これだけの絵葉書をジーマさんも外国のお友達に送っているということになりますから、本当にすごいです。
 こういう趣味を持つっていいなあ、と思います。同じ趣味の友達が世界中にいるということですよね。すばらしい・・・という話をセンターの見学に来た子どもたちにも話しているのですが、携帯電話とメールの世代の子どもたちにどれぐらい伝わっていることやら・・・
 でも便利なツールをわざと使わず、美しい絵葉書を交換し合って、切手も集めたり、それによって異国の文化に触れるのは、本当にすばらしい趣味だと思います。絵葉書を買ってきたり、記念切手を選んで貼ったり、わざわざポストに投函したり、手間がかかっているのがいいところですよね。
 画像は展示のようすですが、日本に住むジーマさんのお友達が「あ、私が送った絵葉書が展示されている!」と喜んでもらえるかなあと思って公開しました。

 剣道体験会もそうですが、今後もベラルーシの人々との協力のもと、さまざまな活動をしていきたいと思っています。


ゴメリ州ヴィシェミールの学校で集団測定 第2回

2014-05-29 | チロ基金
2014年4月10日、チロ基金はベルラド研究所の協力のもとゴメリ州にある学校で、WBCによる内部被ばくの集団測定を行ったことをご報告しました。
 詳しくは「ゴメリ州ヴィシェミールの学校で集団測定 第1回」をご覧ください。

 4月の測定の際にはチロ基金から子どもたちにビタペクト3を渡し、飲んでもらうことになりました。そして5月20日再測定を行いましたので、ご報告いたします。

1回目の測定のとき対象となったのはゴメリ州ヴィシェミール(チェルノブイリ原発から約80キロ)にある学校の生徒53人と幼稚園児3人の合計56人でしたが、このうち48人が再測定に来ました。

 前回の56人の平均値(小数点第2位を四捨五入。以下同じ。)は体重1キロあたり(以下同じ)28.2ベクレルでした。
 今回の48人の平均値は19・4ベクレルでした。

 前回、最高の被曝量だったのは80.2ベクレル(17歳男子)で、最小の被曝量は17.8ベクレル(10歳女子)でした。
 今回は最高が44.5ベクレル(17歳男子。前回最高の被曝量だった子どもと同一人物)で、最小は7.9ベクレル(15歳男子)でした。

 48人中47人が前回より内部被ばく量が減少しました。逆に増えてしまった子どもが1人いましたが、たったの0.5%の増加です。
 48人の平均の減少率は27.95%、つまり約28%の減少率でした。
 
 最も大きく減少したのは64.9%で、最小の被曝量だった子ども(15歳男子)です。

 前回は80ベクレル代が1人、60ベクレル代1人、40ベクレル代1人、30ベクレル代11人、20ベクレル代39人、10ベクレル代3人で、10ベクレル代やそれ以下は0人でした。

 しかし今回は40ベクレル代1人、20ベクレル代19人、10ベクレル代27人、10ベクレル以下は1人でした。

 つまり前回は健康リスクが増えるとされている20ベクレルを下回ったのが56人中3人しかいなかったのですが、今回は48人中28人で、過半数を占めたということになります。

 性別や年齢による効果の差などは見られませんでした。
  
 本当にすばらしい結果だと思います。やはりペクチンは効果があると再確認できました。

(ここで、チロ基金がこのような結果報告を公開しても「証拠を提示してないから、うその数字を並べているのではないか?」と疑う人もいると思います。どうしても測定結果の数値をこの目で見たい、という方は別途ご連絡ください。子ども達の本名や生年、体重などプライバシーに関することが記載されているので、測定結果の全項目をネット上で公開しませんが、どうかご了承ください。)

 今回の集団測定の結果が日本でも、手軽にできて長続きする内部被ばく対策につながれば・・・と心から願っています。


第6回 体調と対策メモ  クエン酸について

2014-05-26 |   体調と対策メモ
 すでに5回にわたり「体調と対策メモ」を寄稿してくださった方から、再び貴重な対策方法が届きました。
 このブログ上で公開します。今回のテーマは疲労です。
 似たような症状が出ている方、ぜひご覧ください。疲労感に困っている方のお役に立てれば幸いです。
 今までの寄稿についてはこちらにまとめましたので、ご参考ください。

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 こんにちは。こちらのブログに「体調と対策メモ」を寄稿させていただだいた者です。

 その後の生活で、効果があったと思われるものがありましたので、報告させてください。

※いつものように前提として申し上げますが、わたしは自分の症状を「被爆」と断定していません。311以降、それまでと違う体調不良を体験されている方の参考になればという想いです。
 あくまで「311以降の体調対策」とさせてください。


 震災以降、原因不明の慢性的な疲労感に悩まされている方も多いではないでしょうか。
 わたしもそうなのですが、一度「疲労」の原点に立ち戻ろうと考えました。

 身体が疲労している時、体内には乳酸が蓄積しています。
 この乳酸を分解してくれるのが「クエン酸」です。
 今回、疲労感からの脱却のためにクエン酸を飲んでみました。


○クエン酸摂取のすすめ

 クエン酸は、ドラッグストアで安価で手に入ります。梅干しやレモンなどにも含まれていますが、疲労感がひどい場合は、クエン酸そのものを飲んだほうが効果があります。
 クエン酸にはさまざまな効能があり、
・疲労回復
・カルシウムの吸収促進
・白血球の活性化
・血流改善
・悪玉コレステロールの防止
・ミネラルの吸収促進
・痛風の予防
・ストレスへの抵抗性アップ
などです。

 また、以前から重曹水を飲んでいたのですが、これがまずくて飲みにくく、クエン酸を入れれば、ソーダ水となり、とても飲みやすくなることに気がつきました。(ソーダ水にしても効果は落ちません)
 生姜シロップを入れれば手作りジンジャーエールになります。

※自家製ソーダ水の作り方

・クエン酸小さじ1/2(約1g)
・重曹(炭酸水素ナトリウム)小さじ1/2
・水250cc
 クエン酸と重曹を水筒またはペットボトルに入れ、冷たい水を静かに注ぎ入れる。
 好みでオリゴ糖や黒砂糖、フルーツのシロップなどで甘みをつける。このままでも。

 これを、水筒にいれて持ち歩き、日中ちびちび飲むことで疲労感がかなり軽減しました。
 クエン酸の効果は二時間らしいので、こまめに飲む方がいいようです。

 濃いクエン酸水を飲むと歯が溶けるなどの説がありますが、ストローを使ったり、カプセルに入れて飲んだりすれば問題ないと思います。
 非常にリーズナブルで効果が高いので、ぜひ試してみてください。

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (6)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 たくさん描いた中で一番の出来と思った作品を手にみんなで記念撮影しました。
 生まれて初めて墨で描いたとは思えないほどの完成度ですね。
 みんな大喜びでした。(^^)
 このような機会を通じ、日本文化への理解を深めてほしいですね。

 最後になりましたが、書道道具や今回使用した和紙を提供してくださった日本人の方、本当にありがとうございました。
 墨汁などを購入するための経費はチロ基金が負担しました。
 チロ基金を支援してくださっている皆様、深く感謝しております。
 ベラルーシ人側からも要望の声が高く、また来年もぜひこの墨絵・書道体験会を行いたいと思っています。

 
 

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (5)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 みんな真剣に絵筆を握っています。
 4時間ぐらいかけて、「竹」「蘭」「野菊」「百合」「桜」「松」をかき上げました。
 先生はさらに色を使った「牡丹」の描き方も教えてくれました。
 色つきは墨一色だけより難しそう・・・
 でもやり方は分かったので、みんな家でも描いてみると話していました。

 

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (4)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 好きな漢字を選んでおきましょう、と事前に日本語の授業で言っていたのですが、決められなかったという人のために、会場では見本を用意しておきました。
 しかし、自力で辞書を使って、漢字を選んできた人も多く、なぜかやたらと画数の多い漢字を見つけ出してきた人も・・・
(これ「亀」の旧字体ですよね。)

 漢字が好きな人はやっぱりこだわりがあるんですね。

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (3)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 今回は絵だけではなく、その横に自分の好きな漢字を添えて、完成作品を家で飾れるような作品にすることにしました。
 漢字のほうも練習します。

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (2)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 さっそく描き始めました。まずは縦の線を描く練習。
 それから一歩進んで竹を描きます。
 竹が基本で、お花など少しずつ難しいものに挑戦していきます。
 リタ先生がとても上手に教えてくれますので安心です。

日本文化情報センターの活動 墨絵・書道体験会 (1)

2014-05-25 | 日本文化情報センター
 2014年5月25日、昨年に引き続き日本文化情報センターの活動、墨絵体験会を行いました。
 今年は時間と会場の関係で書道体験会もまとめて実施しました。

 昨年初めて開催された墨絵体験会のようすはこちらです。

 剣道を紹介してくれているミンスク剣道クラブのメンバーの1人、リタさんが今年も墨絵の先生です。
 リタ先生は現在国立ベラルーシ教育大学の大学生。美術が専攻なので、将来は学校の美術の先生になります。
 まずはリタ先生がお手本を見せてくれます。
 昨年に引き続き参加した人もいますが、ほとんどが墨絵も書道も初体験の人ばかり。生徒さんはふだん日本文化情報センターで日本語を勉強している人たちばかりなので、漢字は分かっているのですが、筆で書くのは緊張気味です。

 それに比べさすがリタ先生はすらすらと慣れたようすで描いていきます。

 

漫画「美味しんぼ」をめぐって論争が起こっていますが

2014-05-22 | 放射能関連情報
 先日発表された漫画「美味しんぼ 第604話 福島の真実編」で、登場人物が福島第一原発に取材に行った後、疲労感をおぼえたり鼻血を出したりするなど、体調の異変を訴え、実在の前福島県双葉町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。」という場面が描かれました。

 これに対して「風評被害を助長する内容」との批判されたり、作者が「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」と語ったり、双葉町が出版社に抗議したり、福島県のサイトにも抗議文が公開されたり、環境大臣も記者会見で鼻血と原発事故の因果関係を否定したりしました。

 漫画なんだから、作者には表現の自由がある、という考えや、いやこの漫画は人気のある作品なんだから影響力を考えるべきだった、という意見もあります。(人気のない漫画だったら、責任とか考えず、何描いてもいいのかね・・・?)
 漫画でもやりすぎだとか、いやよくぞ言ってくれた、という意見。
 因果関係をはっきりさせてほしい、という意見・・・などなどが噴出しました。

 私はここで、この意見のほうが正しい、とか鼻血が出るのは被曝のせいですよ! と断定したりするつもりはさらさらありません。
 ちょっと違うことを思い出したのです。

 今から20年近く前のことです。つまりチェルノブイリ原発事故から10年も経ってないような時期でした。当然のことながら福島第一原発事故が日本で起きる前のことです。
 日本にロシアの児童文学を研究しているグループがありまして、1年に1回会報誌というか、研究発表のための雑誌を発行しています。
 そのグループから次号にベラルーシの児童文学について寄稿してほしいと頼まれました。
 それはいいのですが、グループのメンバーの1人(その人は現在すでにこのグループを脱退しています。)がこう言い出したのです。
「ベラルーシにはチェルノブイリ原発事故をテーマにした児童文学があるでしょう? それについて紹介する原稿を書いて下さい。」
 私がそのような作品はないと答えると、その人は「ええ?」という怪訝そうな顔をしました。
「チェルノブイリの事故のせいで白血病になって死んだ子どもの話や、ふるさとの村が汚染地域になって移住しながらも、新しい地でけなげに生きる家族の物語とか、そういうのないの?」
ときかれたのですが、児童文学(つまりフィクション、創作)ではそのような作品はベラルーシにはありません、と答えました。

 その人は、理解できない! という反応で、
「どうしてそういう子ども向けの文学作品をベラルーシ人は書かないのか?」
と言い出し、さらには「日本なんか、外国で起きた事故なのにチェルノブイリをテーマにした漫画だってあるのよ。それに引き換えベラルーシ人は何もしないのね。自分の国で起きたことなのに。」
と批判し、
「ベラルーシ人はダメ民族。」
という結論を下しました。 

 このダメ民族ってつまり何? と言われれば
「自国の問題を子どもに分かりやすく語って聞かせようとしない。自国の問題に向き合おうとしないふまじめな態度。怠け者であり、頭脳も使わない。つまり優秀ではない民族。(それに引き換え日本人は優秀。)」
 ということです。(あくまでこの人の個人的な意見です。)


 この人に対して私はこのような提案をしました。
「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」という本があります。これはチェルノブイリで被災した子ども達の作文集です。子ども達の体験したことが子どもの手によって書かれています。この本について原稿を書くのがいいと思いますが・・・。」

 しかし、「私たちのグループは児童文学をテーマにしているので、原稿で取り上げるのもプロの作家による文学作品でないとだめだから。」という理由で却下されました。

 結局チェルノブイリとは全然関係のない、ベラルーシ児童文学作品について原稿を書いてこの件は終わりました。

 ここで、どうしてベラルーシにはチェルノブイリをテーマにした児童文学作品がないのか、説明します。
 チェルノブイリをテーマにした創作で、大人向けの作品はあります。しかしベラルーシでは基本的に児童文学と言うのは対象年齢が14歳までとなっており、したがって子ども向けではないと表現やシーンが描写されるのは、教育上よくない、とされています。
 主に飲酒や喫煙シーンや性的な描写、残酷なストーリーなどです。
 このような描写があると児童文学のジャンルから外されます。
 チェルノブイリについては小さい子どもに語って聞かせるには、かわいそうすぎる、不安感を扇動する、五感では分からない放射能の説明を子どもにも分かるように説明するのは難しい、よく分からないまま「危険だ」「恐ろしい」と吹き込むのは、子どもにとってストレスになる・・・といった理由で「話すのはやめておいたほうがいい。」というテーマに分類されるのです。

 「チェルノブイリ」というより「放射能被曝と健康」というくくりで子どもに教えるのは中学生以降です。
 それもフィクションである文学作品として、要するに、作り話で「マーシャは10歳で白血病で死にました。」といったお話を子どもに話すのは、意味がないし、建設的でもないというのがベラルーシ人の考えです。

 それより中学生ぐらいになってから、歴史の授業で「1986年に原発事故が起きました。」と教え、理科の授業で「放射能とはこういうものです。」と科学的に説明し、保健体育の授業で「被曝を防ぐにはどのような食生活を送れば言いのか。」を教えるほうが、実際的であるということです。
 もちろん消火作業に従事して急死してしまった消防士の話や、たくさんの子どもが甲状腺がんになった、と言う話も教育現場でしますが、これは日本で言うと道徳の授業の範囲内で、つまり、気の毒な子どもには同情し、遺族を思いやりましょう、勇敢な消防士さんたちに感謝しましょう、という心の教育です。

 ベラルーシ人に前述の日本人の意見を話すと
「そんなお涙ちょうだいの創作を小さい子どもに読ませてどうするの? そんな作品子どもは読みたがらないし、親も読ませたくないよ。だから文学者も書かないんですよ。」
と言われました。
 私も同感です。

 ベラルーシの児童文学でチェルノブイリをテーマにした作品がない理由がお分かりいただけでしょうか。

 チェルノブイリをテーマにした漫画はベラルーシ以外の国で作られています。一番多いのが日本です。
 それは日本が漫画大国だから。ベラルーシには日本人が想像するプロの漫画家は(私が知るかぎり今のところ)いません。
 ベラルーシにはチェルノブイリをテーマにした漫画を描く人がいないのです。

 それに対し、日本はよその国のことですが、漫画でチェルノブイリのことを表現してくれます。
 やはり20年ぐらい前にそういう日本人が描いたチェルノブイリの漫画を読んだことがありますが、ベラルーシに住んでいる者からすると描写にリアリティーがない(ああ、外国人の抱いているベラルーシのイメージってこんな感じかな・・・と思いました。)さらに白血病にかかった女の子が、死の直前まで家族と会話していて、その会話の途中にガッと血を吐いて、一瞬で絶命・・・とか、実際に起こった事故をテーマにしているのに、やはりリアリティーがない・・・と思いました。

 死の直前の白血病患者さんは意識も混濁して、こんなにぺらぺら話なんかできないし、それこそ白血病患者は必ず口から血しぶきをあげてから死ぬ、といったイメージを読者に植え付けませんかね? 
 「美味しんぼ」で主人公が鼻血を出すシーンを描いたら、「福島の住民みんなが鼻血だしてるわけじゃないのに!」と批判するけど、誤った描写や不自然な描写なんて、漫画(創作)の世界ではいっぱいありますよ。
 でも「美味しんぼ」は人気漫画だから「影響を考えろ。」と言われるんですね。
 無名漫画だったら、おかしな描写をしても影響力が小さいから、そんなに批判しなくてもいい、という考えでしょうか。
 でも、こういう考えは変だと私は思います。

 こういう考えが当たり前になると、有名な作品では超リアルに、間違ったことは描かないように注意しないといけない。(表現という観点からすると、作品の世界が縮こまって、芸術としてはおもしろくない方向に進みそう。)
 無名の作品なら、事実と異なる表現もOK。(芸術としてはおもしろい方向に進みそうだけど、「それはいくらなんでもないでしょ。」「傷つく人がいるよ!」という批判はしなくてもいいし、批判も受け付けなくていい、という考えになります。)

 一方で前述の日本人の意見を思い返すと、福島第一原発事故が起きてから、3年ほどなのに漫画の世界で早速取り上げられるなんて、さすが日本人ですよ。ベラルーシ人より優秀な民族なのですから、当然・・・とこの人は今思っているでしょうね。

 しかも「美味しんぼ」については論争まで巻き起こり、政治家まで発言するんですから、ベラルーシではありえない状況です。

 すばらしい。日本人の皆さんは表現の自由があること、表現の場があること、美しくても醜くても論争を戦わせることができる環境の中にいるのですよ。
 今後も大いにあらゆる表現媒体を駆使して、福島第一原発事故をテーマに取り上げ、どんどん表現してください。
 そしてどんどん議論してください。議論して意見を言い合うのは大事なことだと思います。


 さて、ついでながら、前述の作文集「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」についてです。
 この本について原稿を書くほうが、チェルノブイリの被災者の生の声を紹介できるのになあ、と思っていた私は提案を却下されて、少々がっかりしていました。

 ところがそれから数年後・・・チェルノブイリの子ども達を支援している日本の方からこんな話を聞きました。
 あの作文集はコンクールをして作品を募集し、審査員が目を通して優秀な作品をまとめて印刷されました。翻訳して日本で販売して売上金の一部はチェルノブイリ被災児救援活動の資金にしようという考えも出て、実際そうなりました。
 さらに作文が載った子どものうち3人を選んで日本へ保養に招待することになりました。
 選んだのはベラルーシ側で、私にこの話をしたのは受け入れた日本側の団体のメンバーです。

 やがて保養滞在のためにベラルーシの子ども3人が来日しました。そのうちの1人、オーリャさんは自分が書いた作文の中で
「私は白血病になってしまった。入院している。」
といったことを書いた子どもだったのです。
 作文の中では明らかに重症患者になっている様子を書いていましたが、日本に来た彼女はピンピンしています。
 日本人ボランティアが、本人に尋ねると、
「私は白血病にはかかっていない。健康です。でもあるとき病院に行ったら、私と同じ名前でオーリャという白血病の女の子と知り合ったの。あの作文はコンクールのことを聞いて、その女の子の気持ちになって書いてみたの。」
と答えたそうです。

 チェルノブイリ被災児の作文集、と聞くと、当然自分の実体験のことを綴っているだろう、と思いますが、実際は創作の作品も混ざっていたのです。
 オーリャさんを保養に行ける一人に選んだベラルーシ側にその後、問いただしたところ
「彼女の作品は文学的です。作文として優秀です。だから選びました。」
という回答だったそうです。
 日本側としては賞金代わりの旅行目的でベラルーシの子どもを日本に呼んだのではなく、保養目的だったんですけどね。

 その後、私はこの本をあまり読まなくなりました。もしかしたら他にも、自分の体験談ではなく、架空の話を書いた子どもの作文が載っているかもしれないからです。

 つまり「これはノンフィクションの作文集で、子ども達の体験に基づいた実話ですよ。」と宣伝している本の中にも創作やフィクションが混ざっているんです。

 (今から考えると、依頼された原稿のテーマにこの本のことが採用されなくて、かえってよかったです。)

 「美味しんぼ」は漫画であって、創作の世界です。主役の山岡さんなども実在しないのです。実在しない人が漫画の中でいくら鼻血を出しても、これは被爆が原因です、という証明にはなりません。
 ところがこの作品には実在の人物も登場して、「証言」をしています。これで「鼻血の人が増えています」の根拠にしないと、「いいかげんなことを想像で描いている。」と批判されるからでしょう。

 いくら実在の人物であっても、漫画の中の発言だからこれは証拠にはならない、という考えの人もいるだろうし、逆に漫画の中でも実名を出しているんだから証拠になる、という考えの人もいるでしょう。
 このあたりが論争になってしまう理由なのかな、と思っています。

 漫画は漫画、創作の世界であって、リアルの世界ではない! とぶちっと区分けできるものでもないですよね。
 漫画でも映画でも、創作と現実の境界線の上にあるような作品が多いし、そういう作品のほうがおもしろかったりします。
 
 映画の「タイタニック」でも実際に起こった事故を扱っていますが、実在しない登場人物がいたり、実際はなかった出来事があたかもあったかのように映し出されています。
 実際に会ったことだけを忠実になぞるべき!と言う人もいるでしょうが、それだと、あの映画はあれほどヒットしたでしょうか。

 つまり創作部分とリアリティーのさじ加減をどうするか、というのが、作品によってそれぞれで、微妙で、そこが作品の醍醐味だったりします。

 子どものときは魔法使いが魔法をじゃんじゃん使う話を読んでも、すんなり感情移入できますが、大人になると「これは創作の世界だし、現実にはありえないよねー。」と思いながら、読んでしまいません?

 作者のほうのさじ加減もあるし、読者の側の受け止め方も人さまざまだと思います。

 結局何が言いたいかと言うと、前述の作文集の場合は「これは実話ですよ。」という前提で、(しかも作文を書いた子どもの本名や顔写真も載っています。)作られた本なので、そこへ創作の作文は混ぜないでほしい、ということです。

 しかし漫画のような創作ですよ、という作品の場合、100%真実を語っているとは思わないほうがいいということです。

 でも真実が0%というわけでもないのですから、この作品をきっかけに、取り上げられているテーマについて考えてみたり、議論しあうきっかけになればいいのでは、と思います。日本人はダメ民族ではないのですから。(^^;) 


・・・・・・・

 追記

 チロ基金が行っている聞き取り調査の結果を公表していますが、これだけ見るとチェルノブイリ原発事故後、鼻血に悩まされた人はいませんね。
 もっとも対象者の数が少ないので、これだけでは被爆と鼻血は関係ない、という証拠にはなりませんが、ご参考までに。
 

ベラルーシのゆるキャラ 2

2014-05-09 | ベラルーシ文化
 使い捨て靴カバーがベラルーシでは自動販売機で売られています。
 日本だと雨の日に靴がぬれるのふせぐ目的で靴にカバーをかける場合がありますが、ベラルーシでは衛生面において靴にカバーをかけるときがあります。主に病院です。
 この画像は小児外科センターの1階で撮影したものです。

 しかしミンスク国際空港の出国ゲートにもこの自動販売機が置いてあるので、飛行機でベラルーシを出国する人は、空港で探してみてください。
 空港にある理由は金属探知で、靴を脱げと言われる場合がありますが、そのとき、足が汚れないように靴の代わりにこの靴カバーをはきなさい、ということなのです。しかしお金を払わないといけません。
 私が知っている限りでは、ミンスクの空港でわざわざお金を出して靴カバーに履き替えている人を見たことがありません。

 靴カバーはガチャガチャのオモチャが入っていそうなプラスチック容器に1足ずつまるまったのが入っています。

 この靴カバーのことをロシア語でバヒルィというのですが、それでキャラクター名はバヒルキンなのですね。
 
 このプラスチック容器が靴カバーを履いているデザイン。
 かわいい! と思って喜んだのも束の間。
 よく調べると、この自動販売機はロシア製で、つまり、バヒルキンもロシア生まれであることが判明。

 ・・・ベラルーシ生まれのキャラではなかったのです。
 純にベラルーシ生まれのキャラはいないものか・・・私は再びキャラ探しをすることにしました。(続く)

 

ベラルーシのゆるキャラ 1

2014-05-09 | ベラルーシ文化
 ベラルーシでゆるキャラをさがそうとした私だったが、昔からキャラクター好きでゆるキャラを大量生産している東洋のとある国とちがって、なかなか見つからない・・・

 そんな中、発見したのが、これです。その名も「バヒルキン」・・・ロシア人っぽい名前ですね。
 これ何かというと・・・使い捨て靴カバーの自動販売機のキャラなのです。
 (次の記事を見てください。)
 

アイスホッケーのワールドカップ始まりました

2014-05-09 | ベラルーシ文化
 とうとう5月9日(戦勝記念日ですが)アイスホッケーのワールドカップがミンスクで始まりました!
 街中では祭りムードが続いていますよ。
 

 興味ないわって言うベラルーシ人もいるでしょうが、これを機会にミンスクの街も英語の表示やツーリスト向けの地図やらが増えて、ようやく首都らしくなりました。(^^;)
 タクシー運転手にも英会話の講習を受けさせたりしていましたが、ちゃんと通じるかなあ。
 
 ホテルの数も倍に増えまして、求人広告があちこちに出ているんだけど、ワールドカップが終わったら閑古鳥が鳴かないのだろうか? と心配。
 いやそんなことない、ホテルがたくさんあれば、またこういう国際試合を招聘することもできるのである、という強気意見のほうが巷では優勢です。

 さて、今ミンスク中で(おそらくベラルーシ中で)このワールドカップのマスコットキャラクターであるズーブルがあふれかえっています。
 ズーブルという動物って何?と思ったかたはこちらをご参照ください。
 
 ベラルーシのシンボルであるズーブルが選ばれたのは当然ですね。
 ちなみに名前はヴォラトといいます。一般から募集して決まったんだけど、その理由は
「美しい響きで、いろんな外国語で表記してもほぼ同じになる音だから。」
だそうで、ホッケーとかミンスクにこじつけてるわけじゃないんですね。

 1年前から関連グッズなんかがあちこちで売られていますが、どうせ記念に買うならヴォラト君がついているのがいいかなあ、などと思っているうちに、ふと考えました。
 今日本ではゆるキャラというものが流行っているらしい。
 このズーブルのキャラはベラルーシ生まれのゆるキャラにはならんのか?
 いや、しかし、ゆるい感じはしないなあ・・・
 もっとまじめで頑張り屋さんのイメージだ・・・
 そもそもベラルーシにはゆるキャラってないのかなあ。
 これで町おこし(国おこし)ができないものか。ゆるキャラの経済効果は(人気が出れば)とてつもないらしいし。(日本の場合。)
 
 というわけで、私はベラルーシでゆるキャラを探すことにしました。

(続く)
 

(ちなみに・・・ズーブルの両脇にいる動物2匹ですが、最近全然見ないので、どうやらマスコットキャラクター候補に挙がっていたものの、却下されてしまったキャラのようです。
 左がヨーロッパオオヤマネコで、右がビーバーです。個人的にはベラルーシに生息している野生のやまねこが大好きなのですが、このデザインはかわいらしすぎて、ホッケー向きではないですね。
 ビーバーは・・・ゆるい・・・全然強さが感じられない。だから却下されたか・・・。でもゆるキャラとしては一番ですね。正式にキャラとしてこの世に誕生しなかったのが、残念です。)