ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年2月28日。ウクライナ侵攻から370日目

2023-02-28 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月28日。

 今日、ミンスク市立児童図書館の去年の業務報告が行われたのですが、やはり社会の変化による影響を図書館も受けていることがわかりました。
 まずコロナのせいで、2021年の来館者数が激減したものの、2022年には回復。しかし、子供向けの雑誌を読む子どもが減少し続けています。スマホの影響でしょう。大人で新聞を読む人も減ったのですが、去年から急に回復しました。それは戦争のニュースを知りたくて、新聞を読もうとする人が年令問わず増えたためだろうと司書は考えています。
 また市役所から市立児童図書館全体で2名の司書が選ばれ、図書館の安全を守る方法を学ぶ講習会に参加したということでした。
 私は選ばれていないので詳しい内容は分かりませんが、戦闘や攻撃などがミンスク市内で発生した場合の対処法についてだったと思われます。この講習会はこれからも定期的に行われるでしょう。

 児童図書館で最も懸念されている問題は、ロシアの雑誌がベラルーシに郵送されていないということでした。
 ベラルーシはロシア語も公用語なので、児童図書館内にロシア語の書籍や雑誌、絵本がたくさんあります。
 所蔵文献の8割がロシア語、2割がベラルーシ語です。
 その中でも定期購読している月刊誌で、ロシアで出版されているものは当然毎月、まとめて郵送されており、市内18館ある児童図書館に配布、開架されていました。
 ところが、去年の秋からロシアで出版している雑誌がベラルーシに届かなくなりました。問い合わせると、「必ず届けます。でもいつになるのか分からない。」という返事。
 先日やっと、今年の1月号が届いたそうですが、去年の10月号、11月号、12月号は同封されておらず、結局どうなったのか分からずじまい。
 ロシア国内の出版事情か郵便事情が混乱しているようです。


 今日、現地時間午前11頃、サンクトペテルブルクで正体不明の飛行物体が見つかったとして、近くのプルコボ空港や200平方キロメートルの空域が一時閉鎖されました。
 また、すべての航空機がただちに着陸か周辺の空域から離れなければならない「カーペット」計画が導入され、一時、モスクワなどに引き返す飛行機もありました。
 26日のミンスク近郊マチュリシチ空軍基地での爆破事件との関連を指摘する考えや、未確認飛行物体とはドローンではないかという憶測がSNS上で流れていますが、ロシア当局は未確認物体についてコメントしていません。


 モスクワ州知事は28日、モスクワ中心部からおよそ100キロ離れたエネルギー施設の敷地内に、ドローンが墜落したと発表しました。被害は出ていないということです。ドローンの所属は明らかにされていませんが、「標的は恐らくエネルギー施設だった」と主張しています。

2023年2月27日。ウクライナ侵攻から369日目

2023-02-27 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月27日。

 昨日のマチュリシチ空軍基地での爆破事件についてベラルーシでも一応ニュースになりましたが、国としては爆破の事実を確認していない、という状態です。
 ロシア大統領報道官も「コメントすることはない、なぜならベラルーシ政府が爆破が起きたと認めていないからだ。」と述べました。
 もしかするとロシアがノーコメントを貫きたいので、ベラルーシ政府に爆破のことを認めないでほしいと言っているのかもしれませんね。
 独立系メディアによれば、実行役は2人で、すでにベラルーシ国外へ出国済み(逃亡した)。使われたのはドローン2機。この爆破作戦実行のために数ヶ月に及ぶ準備期間があったそうです。
 しかし、ノーコメントを貫きたいということは、それだけ(言葉に出来ないほど)今回の軍機損害がロシアにとって衝撃だったという証明になりませんか。

 ベラルーシのマチュリシチで重犯罪を犯したとして、すでに1993年生まれのクリミア出身の人物(ウクライナ人?)がベラルーシ当局によって指名手配されました。マチュリシチで、と言っておきながら、昨日の空軍基地での爆発との関連は現時点で不明としています。が、関連があるから指名手配されたのでしょ? でもベラルーシ政府がこの爆破そのものを起きたと認めていないですよね。
 

 ベラルーシの野党リーダー、チハノフスカヤ氏は報告を受け、ロシアによるベラルーシの「ハイブリッド」な占領に抵抗を続けるとともに、ウクライナの自由のために戦うすべてのベラルーシ人を誇りに思うとツイッターに投稿しました。
 そのチハノフスカヤ氏と野党幹部のラトゥシコ氏の欠席裁判が今日、ミンスクで行われ、どちらも懲役19年が求刑されました。


 中国は明日から予定されているベラルーシ大統領の訪問に先立ち、同国との「全天候型で包括的な」戦略的パートナーシップを称賛しました。全天候型とは?

 その一方でウクライナ大統領は会見で、「習近平氏と会談する予定だ」「世界の安全保障にとって重要な意義を持つ」と明言しました。ただし、時期や場所には言及しませんでした。
「中国がロシアに武器を供与しないよう強く信じたい。それは私にとって、非常に重要なことです」
と中国側をけん制しました。


 ロシア大統領が、国際協力の強化に貢献したとして、俳優スティーヴン・セガールさんに友好勲章を授与したことを明らかにしました。この人はロシア国籍を持っていますからね。

 

 

2023年2月26日。ウクライナ侵攻から368日目

2023-02-26 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月26日。
 今日はマースレニツァというお祭り最終日で、クレープを食べる日です。
 そして、今まで悪いことをしてたら「許してください。」と頼める日で、そう言われたら必ず「許してあげますよ。」と返さないといけない日です。あるいは「○○さんが悪いことをしていたと思っていたけど、やっぱり許してあげようと思った。」と考える日です。こういう日があるので、喧嘩していたのも仲直りするきっかけになるし、いい伝統ですね。


 ウクライナの軍事ニュースメディアによると、ミンスク郊外にあるマチュリシチ空軍基地で、駐留していたロシア軍機や滑走路の除雪作業機械などが爆破されました。
 ベラルーシの反政府組織バイポルがパルチザン活動を行ったと認めています。
 バイポルはベラルーシとポーランドを組み合わせた名称が表すとおり、ポーランド国内の反政府派ベラルーシ人が2020年大統領選挙後に結成された組織です。
 ロシア空軍が9機しか所有していないAWACS A-50という早期警戒機の1機を爆破することに成功したそうです。もちろんベラルーシとロシアの国営メディアは報道していないニュースです。
 爆発は今日の朝と夜の2回あり、正確な時刻ははっきりしていません。
 爆破に使用されたのはドローンと思われます。ベラルーシ空軍の大失態ではないでしょうか。
 空軍基地周辺では、多数の軍人と交通警察隊員がすべての通行車両をチェックしているのが地元で確認されています。
 おそらくベラルーシ当局は今、必死で犯人の捜索をしているでしょう。ロシア側がベラルーシにどれだけ文句を言うことか。必ず犯人を検挙しないといけないと捜索しているでしょうし、また逮捕されたら、犯人が死刑になるのは目に見えています。
 

 今日に日付が変わった頃の夜中にベラルーシとウクライナの国境で銃撃戦が発生し、その結果、ウクライナの戦闘機が被害を受けたという情報がウクライナのメディアに広まりましたが、ベラルーシ国境警備隊は完全否定しました。
 過激派によって広められた嘘の情報であり、武器をしようとした事例は発生しておらず、ベラルーシ国境警備隊も発砲していないとしています。
 そんなことを言われるとマチュリシチ空軍基地のロシア機爆破もフェイクなの?と思いますが、逮捕されたら死刑になる可能性が高いのに、いわゆる犯行声明を出しているグループがあり、また空軍基地の周辺の走行車両は全て警察の検問を受けていて、その運転手がネット上に情報を流しているわけなので、こちらはフェイクではないでしょう。
 ただあベラルーシとロシアのメディアは現時点ではこの件について報道していません。

2023年2月25日。ウクライナ侵攻から367日目

2023-02-25 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月25日。
 ミンスクはほぼ一日中雪でした。

 ベラルーシ大統領が28日から3月2日の日程で中国を公式訪問し、首脳会談を行います。
 双方の発言の内容が気になりますね。
 

 去年の秋すでにベラルーシで民兵を実験的に組織していたと、今日報道されました。ベラルーシ安全保障理事会国務長官が述べたところによると、モギリョフ州クリモビチ地区ロブジャンスキー村議会が組織し、地元から選ばれた住民が民兵部隊を組織しました。
 武器が配られ、短時間の消防訓練に参加し、どのようなタスクを実行するかを伝えたところ、民兵のメンバーは大変良い成績を修めたそうです。
 実験結果がよかったので、これから民兵を各地で組織することが推進されそうです。

 さらに同国務長官は、民兵に関する法案を策定する時期に来ており、これから法律も作りましょうよと、国民に、というより政府に提案しています。
 また、民兵になりたいというなら女性でもなれると発言しました。
 このような細かい部分を法律で決めてしまいたいという考えです。
 この民兵の話ですが、べラルーシ大統領がこれに先立って、べラルーシ国民は全員、祖国防衛ができるよう準備しておくべきだと発言したことが関係しています。
 この民兵組織設立について現時点での同国務長官の考えでは、まずベラルーシが参戦、あるいは戦争当時国、あるいは戦場になる可能性が高まって、国内に戒厳令が敷かれ、経済も戦時下体制に移行した場合、民兵を組織すれば最大150万人が民兵となる。残りの国民は約800万人は、経済、産業、医療、教育などで、国と軍人を支えるほうに回る。(私の考えではこの数はもっと少なくなるはずです。未成年は戦えないし、働けないでしょ。高齢者や障害者も難しいですよ。)

 民兵は地方自治体により、民兵有志を募ります。戒厳令に則り、治安維持やその他の任務を遂行する上で地元の警察を補佐する立場の兵士という位置づけです。
 大事なのは、民兵になりたいという自発的な意思を持っているかどうかです。ボランティアのようなものですね。
 民兵は動員された兵士ではないので、自宅に住み続けることができます。
 各自に小型の武器が支給されますが、それも自宅で保管することになります。
 何かあったときにはそれで自分の家族は自分で守ってください、そのための武器を自宅で保管していていいです、ということです。

 もし、ベラルーシ共和国軍が動員や徴兵を行った場合、年齢などに該当する民兵は、地方自治体組織の民兵という立場から共和国軍兵士という立場に変更されます。
 民兵として働くために、現在の職を退職・休職しないといけないということはありません。有給休暇扱いとなるので、家族も養えます。
 まあ、戒厳令が解かれたら元の職場に戻るだけなので、こういうシステムを残しておきますということですね。
 民兵になりたいかどうか、強い意思があるかどうかが肝心だそうです。
 実際、どれぐらいのベラルーシ人が民兵に名乗りを上げるでしょうか。
 

2023年2月24日。ウクライナ侵攻から1年

2023-02-24 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
  2023年2月24日。
 ロシアがウクライナに侵攻してちょうど1年です。
 ベラルーシのメディアは特にこれといった特集番組は報道していません。
 ただ、この1年で、8万4000人のウクライナ人がベラルーシに避難してきたと報じています。
 日本へは2000人超ですね。
 そこへこんなニュース。昨日付の毎日新聞から。
・・・
 ロシアによる侵攻を受けたウクライナから逃れた学生たちと、前橋市内で日本語学校などを運営する学校法人との間で学費を巡るトラブルが起きていることが、関係者への取材で判明した。一部の学生らは「事前に一定期間は学費無料と説明されていたのに、その期間内から支払いを求められた」と主張。一方で、学校法人側は「(そうした)契約も約束もない」などとしている。一部の学生は既に東京都内の学校に移るなどしたという。
 学生らに住まいとして市営住宅を提供し、一部への教材費補助を決めている前橋市もこのトラブルを把握。学校法人との話し合いに疲れて心身の不調を訴える学生もいるとして、精神保健福祉士や保健師を派遣している。
 この学校法人は「ニッポンアカデミー」で、運営する日本語学校などで2022年5月以降、ウクライナから避難してきた学生の身元保証人になり、計約40人を受け入れている。
 複数の学生によると、来日前に学校法人の関係者から日本語学校や専門学校の案内をメールで受け取った際、行政の支援を前提に「学費は無料」などと書かれていたという。無料期間は「1年」や「半年」と伝えられたとしている。
 しかし学校法人側は9月、学生の来日時期にかかわらず学費を請求すると連絡した。10月に説明会があり、配布された資料では理由について「(当初の案内は)最大の支援の可能性として提示した内容で、契約でも約束でもなく、意向」などとしている。
 学校法人側は学費の支払いについて、学校に入金▽学校法人理事長が代表を務めるNPO法人の活動資金として入金▽ウクライナ大使館または日本赤十字社へ学生名義で学校を通じて入金――のいずれかを選ぶ案を提示した。
 ある学生は10月分から半年の学費として約30万円を求められたといい、別の学生は「学生証ももらっていない状態なのに、学校法人から学費を払うように何度も求められ、精神的に疲れた」と話した。
 また資料では、学生らがこうした内容を口外しないように求めており、「仮に、それ(学校の立場に対する配慮)を守れないとするならば、保証人としての立場も返上しなければならない」などと記されている。
 これに対し、一部の学生は東京都内の弁護士法人に所属するウクライナ人弁護士に相談。弁護士によると、これまでに聞き取りに応じた16人はいずれも「一定期間は学費無料と説明された」と話したといい、「第1陣は1年、第2陣は半年、それ以降は3カ月などと言われたようだ」としている。
 学校法人の理事長はこれまでの毎日新聞の取材に「無料にすると言った覚えや契約、約束もない」と説明。学校法人の関係者が来日前の学生らとメールでやり取りをしたことは認めつつ「学生には前橋市などから支援金が支給され、アルバイトも紹介した。十分に自立しており、有償は当然だ」としている。
 前橋市は22年4月、個人で避難してきたウクライナ人に学費30万円などを支援する方針を表明。しかし、その後は「日本語学校が身元保証人となる場合の支援金は10万円を上限とする」とし、学校法人にも説明したという。この方針について、理事長は「前橋市が30万円を支援すると言って、それを果たさない方が問題だ」と話した。
・・・
 
 そして今日付のNHKのニュース記事の抜粋です。
・・・
「NIPPONACADEMY」の清水澄理事長は24日夕方、県庁で記者会見を開きました。
 この中で「はるかに裕福な人で自立ができているにも関わらずそれ以上の支援を行えば“こじき”になってしまう。自立という部分について具体的な説明が足りなかったかもしれないが、避難民としての常識的な判断がもう少しできるかと思っていた。ただ、残念ながら一部の人はできていなかった」と述べました。
 一方、清水理事長は会見で「ウクライナの人たちの支援の状態は、はっきり言って難民貴族だ。ものすごく真面目にやっていて頭の下がる人もいるが、お金を払わないで牙を向ける学生もいる。『牙を向けた学生の言い分が正しい』となっている社会の現状はおそろしい」と述べました。
 清水理事長はこの発言の真意について記者団から問われたのに対し「ウクライナの学生は家賃や税金、渡航費もただの中で、アジアの人たちはみんな自分でお金をまかなっている。アジアの人と比べたら、お金を持っているのは事実だ」と述べました。
 学生たちの相談に応じてきた東京の弁護士法人の村尾龍雄弁護士はNHKの取材に対して学生の一部がすでに東京の語学学校に移ったり身元保証人を変えたりしたことを明らかにしました。
 そのうえで「ロシアによる侵攻で傷つけられ日本を頼って来日した学生たちがなぜこのような目にあうのか、とても許しがたい。学生たちから法律上の依頼があれば対応していきたい」と話していました。

・・・

 コロナのせいで、日本語学校は経営が苦しくなっているのです。
 ベラルーシで細々と日本語を教えている私のところにも、「学生さんに案内してほしい」と入学勧誘のメールが日本にある日本語学校から届くのです。
 HPを見たら、定員100人のところ、30人しか学生がいない日本語学校もありました。
 一応、この日本語学校は授業料はこれぐらいですよと生徒に話してあります。が、平均的な収入しかないベラルーシ人では学費を捻出できません。
 今回ニュースになっている日本語学校も、ウクライナ避難民が入学してきたら、前橋市が授業料を出してくれる、つまり収入が増えると最初は浮足立ったのではないでしょうか。
 とにかく戦争から遠く日本へ避難してきたウクライナ人に日本の学費を払えというのは無茶です。

 今、日本に避難しているウクライナ人はやっぱり帰国するか、それとも長期滞在を念頭に置いて、就職などに本腰を入れるか判断を迫られている人も多いと思います。
 後者の場合、日本語ができないと就職が難しいので、日本語の勉強をしないといけませんが、日本語学校に行くのは効果的です。そのあたり、地方自治体などが学費を出して、避難者支援としてほしいです。まあ、地方自治体によってはいろいろ難しいのでしょう。だったら、ウクライナを支援すると表明している日本政府が負担すべきですよ。日本は武器をウクライナに供与できないのだから、せめて避難民の日本語学習支援をすればいいのに。
 日本人のすぐ隣に日本語のわからない無職の外国人が住んでいる社会より、日本語を日常生活レベルで理解できて、真面目に働いている外国人が住んでいる社会のほうが、日本人にとっても得なのに、と思います。もう少し政府がしっかりしてほしいですね。地方自治体に負担を丸投げしているから問題になるのでは?と思います。
 日本とウクライナは友好国なのでしょ?

 それにしても、この日本語学校の理事長の発言ですが、他のメディアでは、ウクライナ避難民を乞食扱いしていて「(アジアからの留学生と比べるとウクライナ人避難民は)自立ができてる人がそれ以上やったら乞食でしょ」「避難民に対しての理解が甘かった」などと話しています。
 避難民に対しての理解が甘かった、じゃなくて、儲け話だと思ってた自分の考えが甘かった、のまちがいでは?
 避難先の国の言葉を真面目に勉強しようとしている外国人の存在は、逆にありがたいものだと思うのですが。日本に住んでても日本語を勉強しようとしない外国人だって大勢いますよ。
 (あーあ、侵攻から1年目の節目の日にどうして、日本発のこんなお粗末な報道記事を読んでるだろう、私・・・と思いました。)


 ウクライナにおける包括的で公正で永続的な平和を訴え、ロシア軍に対して即時完全無条件撤退を改めて求める決議案を国連総会が採択しました。
 賛成141、 棄権32、 無投票13、 反対はたったの7か国でロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアです。
 ウクライナ側がロシア侵攻による犠牲者への黙とうを呼び掛けると、ロシア国連大使は異議を唱え、「すべての犠牲者のために」と加えてから黙祷が捧げられました。

 前線に立つロシア兵士の中には病気休暇を得るために自分の足に銃を撃ち、恐怖と家族に入る補償金のために自死を選ぶ人もいるそうです。


 中国は、ロシアとウクライナの双方に対し「互いに歩み寄り、できるだけ早期に直接対話を再開することを支持する」と表明し、全面的な停戦を目指すよう呼び掛けました。
 ロシアが使用をちらつかせる核兵器について「使用や威嚇には反対すべきだ」と表明。生物化学兵器についても「いかなる国がいかなる状況においても、研究開発や使用することに反対する」との考えを示しました。

 ロシアが、中国企業とドローンの購入をめぐり協議しているとドイツメディアが報じたことについて、中国政府は「紛争地域に対するいかなる武器販売もしない」と軍事兵器の提供を否定しました。ドイツがフェイクニュースを流していると主張しているのと同じことですね。
 中国も国際社会の中であまり信用がないのですが、今後どのように出るか気になります。

 
 ポーランド大統領は今日、同国が保有するドイツ製の主力戦車レオパルト2を保有国として初めてウクライナに引き渡したと明らかにしました。

2023年2月23日。祖国防衛者の日

2023-02-23 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月23日。
 今日はロシアもそうなんですが、ベラルーシは祖国防衛者の日です。
 そして明日はウクライナ侵攻からちょうど1年。
 ウクライナ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、
「われわれは打ち砕かれてはいない、多くの試練を克服してきた。われわれは勝利する。われわれの土地にこの悪や戦争をもたらした全ての者に責任を取らせる」
と述べました。

 昨日モスクワを訪れた中国の外交トップ王毅・政治局員とロシア大統領が会談しましたが、ロシアと中国の関係を緊密にし合うことなど、いつもどおりの内容でしたね。
 王毅政治局員は帰国、ベラルーシには来ません。が、今日ベラルーシ大統領は新華社通信とチャイナ・メディア・コーポレーションとのインタビューに応じました。
 そこでは、ウクライナでの紛争に関して、中国の立場を重要視しており、中国抜きでは深刻な結果につながる可能性があると大統領は述べました。ベラルーシも中国を重要視している姿勢であると強調しています。

 さらにベラルーシ大統領は、この国では誰も戦争を望んでいないが、ベラルーシは自国の主権と独立を守る準備ができていると述べました。すでに準備は万端に整えており、この1年、ベラルーシはぼうっとしてなかったということですね。
 ベラルーシがウクライナを攻撃しない理由についても説明しました。
「ウクライナの人々はベラルーシ人にとって大切な人々です。私の先祖はウクライナのチェルニゴフとキエフの間にある地域の出身です。」
 ルカシェンコ大統領はウクライナにルーツのあるベラルーシ人だったんですね。
「したがって、私たちは絶対にウクライナを攻撃するつもりはありません。」
 よかった、ベラルーシの大統領がこういう考えの持ち主で。
 ただし、ウクライナ側からベラルーシに向かって攻撃があれば、ベラルーシ人は「対応を余儀なくされるだろう。」つまり自国の主権と独立を守るためなら準備もできているし、戦うということです。
 このような状況が起きた場合、ベラルーシは支援を受けると述べ、主にロシアが支援してくれることを暗に示しました。というより、このことはみんな知っていますよね。
 さらにもしウクライナがベラルーシを攻撃した場合、対応するが、そこへロシアなどがベラルーシの支援をするので、
「それ(ロシアのウクライナ侵攻)は完全に異なる戦争になるでしょう。それは即座に異なる性格を帯びることになります。ベラルーシ人はベラルーシの大地を守るために抵抗し、ロシア軍とともに侵略者(ウクライナとその支援国)と戦います。」
 ベラルーシ大統領の発言は示唆に富んでいます。ウクライナがベラルーシに攻撃することが、ロシアのウクライナ侵攻を次のステージに移るきっかけになる可能性が高く、下手をすればこれが第3次世界大戦勃発のきっかけになるかもしれないとも読めます。
 もちろんそれをベラルーシ人は望んでいないので、とにかくウクライナが誤った決断をしないように牽制し続けています。と同時にベラルーシが置かれた立場についてウクライナ側も理解してほしいという気持ちも表れていると思います。 
 

日本文化情報センター来館者数4万人突破

2023-02-23 | 日本文化情報センター
 今日、日本文化情報センター来館者総が4万人を突破しました。
 1999年に開設されてから24年。とうとう4万人です。
 やはり日本語教室の授業の出席者数が多いことが理由ですね。
 弊センターに活動資金や展示品、日本語教室に教材などを支援してくださっている方々に厚くお礼申し上げます。
 今後ともどうか宜しくお願いいたします。
 


 

2023年2月22日。ウクライナ侵攻から365日目(正しくは364日目)

2023-02-22 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月22日。
 ウクライナ侵攻から365日目、とタイトルに打ち込んでから、あれ、まだ1年経っていないのに、365日目とは私が計算間違いしていたのではないかと思い、そうだったら訂正しないといけないと調べていたら、侵攻初期のころ、すでに1日間違えていたことがわかりました。
 ・・・1年間休まずブログで主にベラルーシ発で、侵攻関連のニュースを書いてましたが、もうこの数字を訂正するのも数が多くて大変なので、そのままにしておくことにしました。すみません。
 明日が365日目で、侵攻(戦争状態)が365日間続いているということです。そして明後日24日は366日目に突入するわけですね。
 あーあ、1年も続くとは思ってもいませんでした。


 べラルーシ国防省はウクライナから妨害工作員が侵入を図っているとして、国境警備隊が2週間の軍事演習をすることを発表しました。

 ベラルーシでは過激派犯罪の数が減少し続けていると発表しました。それは政府当局が対策や検挙に注力しているからであり、つまりベラルーシ社会は住みよくなっているということです。ちゃんと管理されているので、国民の皆さんは安心してください、ということですね。
 
 ミンスク市裁判所ではテロ事件の首謀者として、レストラン経営者ワディム・プロコピエフなど3名を裁判にかけることを公表し、この3名が3月6日午前10時30分までにミンスク市内の裁判所に来るよう召喚しています。もちろん3人ともとっくにベラルーシを出国しているので、裁判をかけられるためにのこのこやってくるわけがありません。今から欠席裁判になることが分かっています。
 プロコピエフ氏は、ポーランドで(べラルーシ政府から過激派認定を受けている)パホニア連隊を創設した罪でも起訴されています。パホニア連隊は主にベラルーシから出国・亡命した反政権派ベラルーシ人や、ウクライナを助けたいと思ったベラルーシ人が集まった連隊で、ポーランド国内で訓練を受け、ウクライナの激戦地でウクライナ軍と戦っています。
 この連隊を創設するにも資金が必要なわけで、かつてレストラン経営で財を成したプロコピエフ氏が創設したというわけです。
 テロやこんな連隊を勝手に創って、ロシア兵士とベラルーシ人兵士を戦わせているわけですから、判決は死刑になる可能性が高く、当然ベラルーシに帰国するわけがありません。


 今日は気温が下がりましたが、雨も雪も降りませんでした。
 夜、雲のない空を見上げたら細い三日月がかかっていて、その右下に宵の明星が輝き、左上には火星が光っていました。
 ベラルーシの国民的詩人マクシム・バフダノヴィチの詩を思い出しました。
 まさに今の私の心境にぴったりの内容です。有名な作品なので、多くの翻訳者によって多くの言語に翻訳されています。
 私も日本語に翻訳したので、よろしければリンク先「バフダノヴィチの詩 多言語翻訳プロジェクト」でお読みください。


2023年2月21日。ウクライナ侵攻から364日目

2023-02-21 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月21日。
 ミンスクは牡丹雪が降っていました。

 ロシア大統領は予定通り今日、モスクワで「年次教書演説」を行い、米露間の核軍縮枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を表明しました。
 核兵器を縮小する努力をロシアは停止するということです。
 これから核兵器を使うかもね、と匂わせています。が、ただの脅し文句であってほしいです。
 
 ウクライナ侵略を正当化し、ウクライナへの軍事支援を続ける米欧を批判しました。「戦いに至らしめたのは西側諸国であり、ロシアは常に紛争を止めるために尽力している」と強調。
 「併合」を一方的に宣言したウクライナ東・南部4州は「ロシアの新しい部分」として、返還せずに支配を続ける意向を示しました。

 例えばウクライナ人の子どもがロシアへ連れてゆかれ、ロシア人の養子になっていると西側は報道していますが、ロシアの報道では、ウクライナからの攻撃により、ロシアに併合された地域で、親に死に別れた孤児が大量発生。かわいそうなので、ロシアで保護し、ロシア人の養親が責任を持って育てる覚悟をしたという美談となっています。
 この孤児たちの中にはロシア系、つまりウクライナ生まれのウクライナ育ちだけれど、実はDNAはロシア人だという子どもが多いような気がします。(私からすれば、本当に天涯孤独の身になった孤児なら、人種問わず助けてあげてほしいし、養親になろうとする人のことは尊敬しますが、本当は親がいるのに、サマーキャンプに招待してそのままロシアへ、というのは人権を蹂躙していると思います。)

 とにかく、ロシア側の報道では、ロシアは尽力しているのであり、悪いのはウクライナで、もっと悪いのはその後ろで操っている欧米諸国。戦争を続けて当然だよね、という意識を国民に植え付けています。
 ロシア大統領の演説を聞いて、これは本当だ、すばらしいと思うロシア人も国内には大勢いると思います。


 ベラルーシの国会では、公務員が国家反逆罪を犯した場合、死刑になるという法案が可決されました。
 ベラルーシはヨーロッパで唯一死刑制度が残っている国。この調子では死刑制度が廃止しましょうという雰囲気すらないです。日本と同じですね。


 

2023年2月20日。ウクライナ侵攻から363日目

2023-02-20 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月20日。
 ミンスクは強風でした。

 キーウをアメリカ大統領が電撃訪問しました。そこへ空襲警報が鳴り響きました。ベラルーシからロシア空軍機が離陸したため、警報がなりましたが、キーウでの被害は報告されていません。
 アメリカはウクライナを支援することを約束しました。

 昨日、中国がロシアに武器供与をしようとしているとアメリカ側が発言したことについて、中国政府は「戦場に絶え間なく武器を提供しているのはアメリカだ」と強く反発しました。

 昨年11月に急死したベラルーシのマケイ外相についてベラルーシの独立系メディアが自殺だった可能性を報道しました。
 政府・医療関係者計4人の話としています。ただ、自殺を装った他殺説は退けています。
 真相は分かりません。10年後ぐらいに遺族がインタビューに答える形で語るかもしれません。
 私にはマケイ外相が自殺しようと思った動機が分かりません。もっとも人の心の悩みなど他の人にも家族ですら分からないことのほうが多いですよね。

 

2023年2月19日。ウクライナ侵攻から362日目

2023-02-19 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
  2023年2月19日。
 昼間は明るくて日が照っていたのですが、夕方急に暗くなって、すごく雪が降っています。
 と思ったらもうやみました。

 不景気のせいかベラルーシも振り込め詐欺が増えていて、地下鉄に乗ると振り込め詐欺に注意しましょうというアナウンスが流れ、ポスターも車内に貼ってあります。
 そしたら、うちの子が「ああ、この間うち(固定電話)にもかかってきたよ。」と思い出したように言うので、え、どんなふうだったの?ときいたら、女の人で「もしもし? 私よ私。」とも言わずにいきなり、
「今、病院にいるの。しくしくしく・・・」
と泣いたので、うちの子は何も答えず電話を切って、こんなことがあったことを親に言うことすら忘れていたそうです。
 ベラルーシは麻薬の問題もあるし、日本でもそうですが治安が悪くなっていますね・・・。


 ウクライナでも気球の問題です。
 イギリス国防省は今日の戦況分析で、ウクライナ軍が15日にレーダー反射器を取り付けた気球を首都キーウ上空で発見したと報告しました。
 ウクライナ当局は少なくとも六つを撃墜したと主張。イギリス国防省は「ロシアの気球である可能性が高い」と指摘しています。
 イギリス国防省は「ウクライナの防空システムの情報を入手し、地対空ミサイルや弾薬の貴重な備蓄をウクライナに消費させるためのロシアの新たな戦術の可能性が高い」と分析。そういう目的があるんですね。


 アメリカのブリンケン国務長官は、ロシアに対し中国が武器の供与を検討している情報があるとして懸念を示しました。
 さらに中国の王毅政治局員に対し懸念を伝え、武器を供与した場合「米中関係に深刻な問題を引き起こす」と警告したということです。
 中国は表立ってウクライナ侵攻に関与しておらず、経済面だけロシアを支援していましたが、武器を供与するとなると、ウクライナを巡る状況が変わってきます。
 中国外務省によると、王毅政治局員は今月中にロシアを訪問する予定で、そのときに武器供与の話を進めようとしている可能性が高いです。アメリカは前もって釘を刺しておいたということですね。
 中国が武器を供与するとしたらその見返りをロシアに要求するのは当然で、その見返りの中身が何なのか気になります。

 一方で中国外務省の公式ウェブサイトでは、
「ウクライナの危機が長引いて拡大することを望んでおらず、状況のさらなる悪化を回避し、平和のために着実に努力するために、国際社会と協力する用意がある」
と王毅政治局員は述べています。
 中国はこの問題において常に対話と平和の側にいて、交渉の促進を提唱してきたとも述べ、さらにウクライナと中国は戦略的パートナーであり、両国の人々は友好関係を維持していると強調しました。
 でも中国がロシアに武器を供与したら、ウクライナとの友好関係も一気に崩れますね。
 

2023年2月18日。ウクライナ侵攻から361日目

2023-02-18 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月18日。
 ミンスクは雨が降っています。

 ポーランドが対ベラルーシ国境検問所3か所のうちの1か所について閉鎖を決定したのを受け、ベラルーシは17日、ポーランドのトラックの出入国を制限すると発表しました。
 ベラルーシ国境経由での出入国を除き、リトアニアやラトビアといった第三国を経由しての入国を禁止しました。
 ポーランドもどうして検問所を閉鎖することにしたのでしょう。この戦争時に刺激をベラルーシに与えないほうがいいのに。何か深い考えがあるのかもしれませんが。


 国際オリンピック委員会IOCがロシアとベラルーシの選手の国際大会復帰を検討していますが、
「それだったら私達も参加できるようにしてほしい。」
とベラルーシの反体制派スポーツ選手達が運営するスポーツ連帯財団がIOCに求めました。
 当然ですね。しかしスポーツ連帯財団はベラルーシ国内ではなくリトアニアに拠点を置いているので、どのような形で参加できるのかIOCの見解が待たれます。


 ベラルーシ内務省はミハノビチの農場で94人の不法移民が拘束されたと明らかにしました。国籍はアルジェリア、アフガニスタン、エジプト、イエメン、イラク、シリア、モロッコ、パキスタンで、ロシアからベラルーシに不法入国し、その後西ヨーロッパに出国するつもりだったと話しています。移民問題がずっと続いていますね。


 トルコとシリアで起きた大地震。シリアのほうへ支援が来ていないとシリア政府が発言していましたが、ベラルーシからは45人の軍医や看護師、衛生士がシリア入りして、負傷者の治療に当たっています。
 救助作業をしていた軍の一部はすでに帰国し、その際、軍用機で住む場所を失ったベラルーシ人家族をベラルーシへ帰国させています。
 ベラルーシの軍医は、負傷してベラルーシ国内のロシア軍駐留基地へ戻されたロシア兵の治療も行っており、本当に多忙です。
 まあ、これもベラルーシ軍医がロシア軍を支援しているということなので、ベラルーシでロシア兵の怪我を治してあげる代わりに、参戦はしなくていいでしょう?とロシアにアピールできるポイントになっています。

 
 ウクライナ国内の停電ですがすでに回復し、一日中電気が使えるようになったようです。
 しかしまた大規模攻撃を受けたら、インフラが麻痺するので心配です。
 


2023年2月17日。ウクライナ侵攻から360日目

2023-02-17 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月17日。

 ベラルーシ大統領はモスクワへ飛び、ロシア大統領と会談しました。
 会談冒頭でウクライナ侵攻にロシアが投入しているスホイ25攻撃機を
「ベラルーシ国内でも生産する準備ができている。」
と述べました。
 ベラルーシには3箇所に航空機製造工場があり、2箇所は軍用機で、1 箇所は民間機用です。
 べラルーシではロシアの旅客機用に最大1,000個の部品をすでに製造しています。これを軍用機にも使えるようにすれば、べエラルーシ国内で軍用機の製造も可能となり、これは技術面での支援だということです。
 ウクライナからすると、ベラルーシがロシアを支援すること自体、「敵の友は敵」と見なすでしょう。 
 一方で、ベラルーシがそんなに高い技術力を持っているのか?と懐疑的な見方をする外国もあるでしょう。
 またベラルーシは、ロシアに技術支援をするので、実際にベラルーシ軍を参戦させることを強要しないでほしいと、ロシアの狙いをかわそうとしているように思えます。
 とにかくベラルーシ大統領の外交力にこの国の運命がかかっています。


 ロシアの大学がベラルーシ人の入学に門戸を広げることになり、今高校生を対象に大学を大きくPRしています。
 留学ではなく、ロシア人と同じ扱いで外国人が入学できる枠を3万人分ロシア全国の大学の中に用意しました。そのうち1300人がベラルーシ人用と決め、さらにロシアの大学の受験手続きをベラルーシにいながらにしてできるようになり、その応募締切が2月20日でした。が、3月20日まで延長されました。
 おそらく1300人も申込者が集まらず、定員割れしそうだからと思われます。それに成績が悪いと、入試に受かりません。今回の申込みが間に合っても、試験に落ちる人もいることも考えないといけないですね。
 成績が悪くてもロシアの大学で学ぶベラルーシ人学生は奨学金がもらえる、とかそのような宣伝文句につられて・・・という人もいるかもしれません。

 5年ほど前まではベラルーシ人がロシアで教育を受けたい、就職したい(特に都市部で。同じロシアでもシベリアなどは不人気)という状況だったのですが、2020年の大統領選挙やコロナの影響で、ロシアへ留学や就職、出稼ぎに行くベラルーシ人は減りました。
 今では、ロシアの大学に入学して卒業したら、ロシア軍に動員・徴兵される可能性が上がったので、どうしてベラルーシ人なのに、ベラルーシのためではなくロシアのために兵士となって、ウクライナ(などの国)に派兵されないといけないのか。そう考えたら怖くて保護者もロシアの大学に子どもを入学させたくないでしょう。
 ただ、ベラルーシ人の中にもロシア系の人、ロシアに親戚がいる人、親露の考え方の人も大勢いますから、そういう人(やその子息)の中には、「モスクワ大学? ああ、入学したい。」と日本人が東大に憧れるかのように、今回のベラルーシ人枠に申し込む人もいるでしょう。動員される可能性が低い女性のほうがロシアの大学入学を希望するのではないでしょうか。
 ちなみに人気がもっとも高い学部はインターネット・セキュリティ関連分野で、法学部や経済学部も人気(入学するのが難しい)だそうです。
 また音楽大学も入学希望者がいるそうです。逆にそれ以外の人気のない学部はほとんど希望者がいない状況で、大学格差というより、学部格差が広がっていると思われます。


 

2023年2月16日。ウクライナ侵攻から359日目

2023-02-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月16日。

 NHKニュース9でベラルーシの特集が組まれていましたね。
 市中での一般市民へのインタビューでしたが、ああ、この人達が話していること「(経済制裁などの影響で)品不足になっていることはない。」「西ヨーロッパ製の商品は減ったが、ロシア製の商品が増えている。」「ベラルーシは参戦してほしくない。」「ベラルーシとウクライナは兄弟だった。ロシアとも兄弟だった。」が、大部分のベラルーシ人の考えそのものです。

 ベラルーシ大統領は今日、首都ミンスクでNHKなど外国メディアの取材に応じました。この中で明日17日にモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談すると明らかにしました。
 また、記者団から、ベラルーシが今後、ウクライナへの軍事侵攻に参戦する可能性について聞かれたのに対し、ルカシェンコ大統領は、
「少なくとも1人のウクライナ兵士がベラルーシへ越境し、ベラルーシ国民の誰かを殺害しようとしたら、ベラルーシ軍は参戦する。」
と述べました。
 ウクライナ軍がベラルーシへ越境攻撃する可能性は低いでしょう。ベラルーシ軍と戦う余裕がありません。戦略的に見てもどうでしょう。
 ベラルーシ大統領はまた、平時のベラルーシの軍隊の規模は7万5000人だと述べました。多くの兵器をロシア軍に移動させたので、軍としての威力は大きなものではありません。ただ数段階の動員の後は、この数を50万人に増やすことが可能だそうです。ベラルーシの人口が900万人ほどで、半分が女性だとすると450万人が男性。未成年や高齢者のことを考えると、この50万人を軍に動員するというのはかなり難しいでしょう。女性も動員するという方法もあるので何とも言えませんが。結局は国民総動員になってしまうと思います。

 さらにベラルーシ大統領は、現在ベラルーシ領内に1万5000人のロシア人兵士が駐留していると明かしました。
 ロシアの軍人はベラルーシに対する攻撃の場合に必要であると説明。必要に応じてベラルーシを防衛するとのことです。結局ベラルーシ人だけではベラルーシを守れないということでしょうか。
 ベラルーシ領内での配置などはロシア大統領との合意に従い、同盟軍の戦闘効果を高めるために必要な訓練を受け、ベラルーシ軍の部隊と調整しています。
 ただし、ロシア軍がベラルーシ領内に駐在しているのは、「ベラルーシがウクライナと戦うからではない。」とベラルーシ大統領は強調しました。

 またベラルーシ大統領は戦争を終わらせるために、アメリカ大統領とロシア大統領と3人で対面会談をすることを提案し、アメリカ大統領が移動するためにベラルーシからボーイングの飛行機を用意することもできると記者団に話しました。

 

2023年2月15日。ウクライナ侵攻から358日目

2023-02-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月15日。
 ミンスクは雪が溶けてきました。
 対ウクライナ国境地帯で勤務していたベラルーシの国境警備隊員が凍結したドニエプル川の上にいたところ、氷が割れて1人の隊員が水中に落ち、それを助けようとした隊長もいっしょに溺死する事故が起きました。

 昨日のバレンタインデーのニュース。
 日本からベラルーシのゴメリに住む女性宛に送られてきた小包の中に「向精神薬トローチ200個が入っていた」とミンスクの中央郵便局税関当局が発見。
 小包の中には他にも化粧品、医薬品、お菓子以外の食品も入っていたそうです。
 キャンディーのパッケージを見た職員が、不審に思い検査したところ、
 向精神物質であるN-メチルエフェドリンが含まれていることが明らかになりました。
 ベラルーシの刑法によると、違法性薬物の越境、運搬、輸送は最高4年間の禁固刑または最高7年間の懲役を課せらる可能性があります。

 さて、このトローチなのですが、税関当局がパッケージの画像をネット公開しています。
 それを見たら、第一三共ヘルスケアの「ペラックスイート」ブルーベリー味のトローチでした。
 第一三共ヘルスケアのHPを見たら、特徴として「せきの症状を改善するdl-メチルエフェドリン塩酸塩、殺菌成分セチルピリジニウム塩化物水和物等を配合し、せき、のどの痛みに効果を発揮します。」とあります。
 N-メチルエフェドリンとdl-メチルエフェドリン塩酸塩はどうちがうのか?と思って調べてみました。
 このN-メチルエフェドリンが何なのかはっきり分かりませんでしたが、エフェドリンは覚醒剤の原料になるそうで、含有量が10%を超えて配合されたメチルエフェドリンは覚せい剤取締法の対象になります。
 エフェドリン自体は漢方薬の麻黄に由来していて、気管支拡張剤として利用される側面もあります。
 その薬効をよりマイルドにした誘導体がdl-塩酸メチルエフェドリンで、気管支拡張剤や風邪薬として使用されています。
 それでこのトローチにも含まれているというわけですね。
 しかし、それがなぜ違法性薬物として取り締まられることになったのか。
 個人的にはこのエフェドリンを「マイルド」にしたdl-塩酸メチルエフェドリンという表現がどれぐらいマイルドになっているのかという点ですが、化学に弱い私には分かりません。

 ニュース記事によると、今回の小包の中にこのトローチが200粒入っていたということです。
「ペラックスイート」は1箱24粒入りなので、8、9箱を一度に発送したということでしょうか。
 第一三共ヘルスケアのHPによると、12粒中に含まれるdl-塩酸メチルエフェドリンが37.5mgなので、計算したら、200粒で625mgです。
 覚醒剤の原料となりうるエフェドリンを「マイルド」にしたdl-塩酸メチルエフェドリンを625mg摂取したら、人体はどうなるのか? いわゆるラリった状態になるのか? ・・・とうちの子(医大生)に尋ねたのですが、「別に症状なんか出ない量。そもそも一気にのど飴200個も食べられる?」とあきれ顔。
 というわけで、日本のみなさん、のど飴でオーバードーズしようとしても効果は得られません。
 たぶん一度に大量に送ったので、ベラルーシで不審に思われたのでしょう。
 そして「マイルドな」dl-塩酸メチルエフェドリンが大量に含まれていたことから、ベラルーシ側が検査したらN-メチルエフェドリンが出てきたという結果が出て、「覚せい剤が日本からベラルーシへ送られてきた。」というように聞こえるニュースになって広がる・・・ということになりました。
 日本人の私からすると、日本の会社が覚せい剤をのど飴に混ぜているわけないでしょ。と思いますし、おそらく送った人は善意で日本のど飴をベラルーシ人に郵送したのに、法律違反の疑いまでかけられ気の毒です。受取人側の女性が警察の取り調べを受けるんでしょうか。のど飴が送られてきただけで。

 私のこの記事を第一三共ヘルスケア関係者が読んで気を悪くされたら申し訳なく思います。
 ただ、ベラルーシへ何か物(特に口にするもの)を送るときは、内容に気をつけるほうがいいです、と日本陣向けのこのブログで言いたいです。
 のど飴を送っただけで、覚せい剤取締法違反になる可能性があります。
 それと内容だけではなく数量にも気をつけてください。一度に同じ種類のものをたくさんつめて送ることは避けたほうが無難です。