ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシの雑誌「マラドスツィ」10月号に新美南吉童話ベラルーシ語訳が載りました!

2013-10-31 |   新美南吉
 ベラルーシの文芸雑誌「マラドスツィ」10月号に新美南吉童話ベラルーシ語訳が載りました!
 今回は「あめ玉」と「去年の木」が掲載されました。

 この雑誌のサイトはこちらです。

 なぜか南吉さんの写真は載りませんでした・・・。でも3ページにわたり、新美南吉の紹介、日本文化情報センターの紹介、二つの童話が紹介されてとてもうれしいです。

 マラドスツィというのはベラルーシ語で「青春」という意味です。

 厳密に言うと、掲載されたのは「ビャロースカ」(白樺)という雑誌のほうですが、この雑誌は現在「マラドスツィ」に統合されています。そのため表紙には「マラドスツィ」とありますが、実際には「ビャロースカ」誌編集部によって採用されたということになります。(何だかややこしいですけど・・・。)

 一応「マラドスツィ」は青年向け文芸雑誌で、「ビャロースカ」は子ども向けの雑誌です。でもやっぱり子ども向けの雑誌はベラルーシでは出版を続けるのが厳しいのかもしれません。そんな事情から統合された形で出版されています。

 発行部数は2468部ですが、ベラルーシでは歴史ある文芸雑誌(1953年創刊)でベラルーシ文学者の作品が掲載されているので、新美南吉童話の翻訳が紹介され、光栄です。

 この記事を書いたジャーナリストのショーツィクさんはタイトルに「東から来た星」というタイトルをつけてました。
 そうかあ、新美南吉はベラルーシ人にとっては東(日本)から来た星なんですね。
 南吉さんの詩「彼は小さい星です」を思い出しました☆

新美南吉の童話を読んだベラルーシ人の感想文

2013-10-23 |   新美南吉
 新美南吉作品のロシア語・ベラルーシ語訳の朗読会を通じ、ベラルーシ人から感想が集まっています。
 一部を日本語に訳しましたので、ご紹介します。

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 「『手袋を買いに』を読みました。新美南吉の童話はとても繊細で優しく子どもに何かを教えてくれます。」
オリガ(ミンスク 出版社勤務)

「『でんでんむしのかなしみ』の感想。
 よい翻訳のおかげで今まで知らなかった日本の作家の作品を読むことができました。日本の童話を読むときは少しでもいいから日本人の哲学について知っておいたほうがいいです。日本文化と密接に繋がっているからです。
 でも人間が感じることは世界のどこの人でも共通しています。ですから、人生に何かあった人は『でんでんむしのかなしみ』を読むのがいいかもしれません。あるいはこれから何か起こるかもしれない人も。人間は精神的に失敗したことに気がいってしまうものです。
 この作品で私が気に入ったのは導入部分がとてもロシアやベラルーシのお話と似ていたことです。もしかすると読者が入り込みやすいようにこのように翻訳したのかもしれません。会話のシーンもとてもおもしろかったです。実際私たちベラルーシ人も友達にこんなふうに愚痴をこぼしているのです。結末は前向きで教えがあります。よく練られた翻訳は年齢に関係なく読めるようになっていると思います。

『あめ玉』の感想。
 世界のお話はとても大きくておもしろいです。全てのお話にその民族の文化や伝統が登場人物の表情に物語の中で起こる出来事に表現されているものです。世界中の人が才能ある作家のよい作品を知るには翻訳されなくてはいけないと思いました。
 私はこのお話を知り合いに話して聞かせました。年齢はばらばらです。(6歳、12歳、17歳、31歳、65歳、80歳)この6人はこの作品を理解することができました。唯一6歳の子どもが尋ねました。『侍って何?』次の質問は『どうしてみんな侍を怖がっているの? 侍は兵隊さんみたいに優しくて、みんなを悪いやつらから守ってくれるんでしょ? 侍は強くて何でもできるんでしょ?』 つまりこのお話からこの子どもは想像をふくらますことができたということです。小さい子供向けの作品だと思います。作者と翻訳者に感謝します。
 大きい読者も大変楽しく読むことができたと思います。それぞれがこのお話の哲学的な意味を汲み取ったことでしょう。一方で私たちの日常生活に重なる部分も多い話です。親が子どもをなだめたり、びっくりすることが起こったり、怖いと思っていた人が実は優しかったりして、いい大人が恥ずかしくなったり。この作品からは日本人の賢明さが伝わってきます。

『去年の木』の感想。
 新美南吉の人生はとても短かったですが、多くのことを児童文学に残しました。私が思うに、彼の作品は子どもだけではなく、大人のための寓話だと感じます。『去年の木』は過去を持つ真の友情の物語だと思います。小鳥は友達のために歌を歌い、会えない時間があっても木のことを忘れませんでした。そしてずっと友達を探し続けました。最後の歌を歌うことに間に合い、木もそれを聞くことができました。感動的な瞬間です。友情を理解するという哲学がここに表現されています。私たちの生活の中でもこのようなことは起こります。多くのことを考えさせてくれる作品です。」
タチヤーナ(モロジェチノ市立中央図書館司書)

「『でんでんむしのかなしみ』と『あめ玉』を読んで。
 どちらの作品も人生の意味にういて考えさせられます。特にでんでんむしのお話が気に入りました。悲しみを自分の殻の中に入れておくことをいやがり、最初は友達に愚痴をこぼしていました。この重荷をなくすにはどうしたらいいのか助言を求めていました。でも他のでんでんむしも同情してくれませんでした。でも最後には友達が正しかったと認めるのです。人生に苦労があってもそれから逃れようとしてはいけない、がまんして嘆くのをやめるようにしないといけないと理解したのです。
 『あめ玉』のほうですが、人を見かけで判断してはいけない、と教えているように思いました。侍は非情な人間で荒っぽいものなのだと母親は考えています。黒いひげを生やした外見というだけでもそうです。だから子どものわがままを理解しようとせず、切り捨ててしまう人物だと母親は考えました。でも怖そうな侍でもあめ玉がほしいと言う子どもの気持ちが理解できるとは母親は分かっていませんでした。作者は侍が本当は優しい人であることを示しています。子ども二人とも満足するようにちょうど半分ずつになるようにあめ玉を切ったからです。このようなお話を子どもに聞かせることは大変ためになります。」
スベトラーナ(ポーロツク市立第7児童図書館司書)

「お話で癒されるとはこういうことを言うんですね。ストレスが消えました。
 『でんでんむしのかなしみ』『あめ玉』『ごんぎつね』『去年の木』『手ぶくろを買いに』を朗読会で聞きましたが、全ての作品が気に入りました。民族の違いはあっても、お話にはやはり共通する部分があると感じました。『でんでんむしのかなしみ』は勇気を出して人生に向き合うことを言っている話だと思いました。
 『手ぶくろを買いに』は人生ではポジティブな考えを持つほうが、うまくいくことが多い、ということを教えてくれています。
 『あめ玉』は外見は怖そうでも、中身は必ずしもそうではない、ということ、力が正義に変わることを教えてくれます。
 『去年の木』は永遠の友情があることを思い出させてくれました。
 新美南吉の作品はどれも教育的な面が行間に隠れていると思います。でも子どもでも理解できるように書かれています。
 『ごんぎつね』は確かに悲しい物語ですが、テーマは他人への理解であり、これは大切なことであり、苦労があっても相互理解ができるようにならない、というテーマだと思いました。全てのよいお話というものは読者にとって限りなく深く読めるものだと思います。」
リュドミーラ(ミンスク 出版社勤務)

「『ごんぎつね』も『でんでんむしのかなしみ』も私たちの人生を反映しています。人の優しさに気づくのはいつも遅すぎるのです。新美南吉の全ての作品がいい話だと思いました。深い意味がつまっており、さまざまな視点での見方を示唆しているからです。」
リジヤ(ミンスク 「ビブリヤテカ・プラパヌエ」誌編集長)

「『でんでんむしのかなしみ』は哲学的な話です。この作品はどちらかと言えば大人向けでしょう。それぞれみんな自分の悲しみを抱えて人生を歩んでいかないといけない、というのは本当のことだと思います。
 『去年の木』は信じることと友情についてがテーマだと思います。そのほかの作品も全てとてもいい話ばかりで、多くのことを教えてくれます。」
オリガ(ミンスク 「ビブリヤテカ・プラパヌエ」誌副編集長)

「『手ぶくろを買いに』が一番気に入りました。きつねの親子の姿が感動的に描写されているからです。」
タチヤーナ(ミンスク 図書館員)

「『ごんぎつね』が気に入りました。この作家の作品はとても優しくそして哀しい。」
ニコライ(ミンスク 画家)

「『去年の木』がよかったです。寓話的、多重構想を持ち、深遠な作品。この作品だけではなく、全ての作品が深く、才能にあふれているが、少し悲しい。」
エリザベータ・ポレエス (ミンスク 詩人)

「『ごんぎつね』は教訓的で哲学的な意味が行間に隠れている。『でんでんむしのかなしみ』も同様です。」
ニーナ・ガリノフスカヤ(ミンスク 詩人)

「『でんでんむしのかなしみ』はとても奥深く哲学的な作品だと思いました。私たちみんなに多くのことを教えてくれます。この作品を読めば何かあったときに自分はどうしたらいいのか、絶望しないこと、常に賢明に折り合いをつけること、自分と調和して生きること、などを教えてくれると思います。」
アンナ(ミンスク 図書館司書)

「朗読会で聞いた全ての話がよかったです。特に『手袋を買いに』はとても暖かい、そしてハッピーエンドだから気に入りました。友情を大事にし、お互い信じあうことができる人が本当のプレゼントを受け取ることができるのだと思いました。このお話を読んだ子どもは優しい人になれると思います。」
ビクトリヤ(ミンスク 図書館員)

「『ごんぎつね』に表されている考えがよかったです。早合点してはいけない、前もって起こりうる結果についてよく考えないといけない、ということを教えてくれていると思いました。」
ゲオルギー(ミンスク 大学生)

「『ごんぎつね』は人間の行動が思ってもいない方向へ進むことを教えてくれていると思いました。生きている者同士の間であっても、ときどき分かり合えないことがあると思います。他の作品も言葉で表現できないほどすばらしい作品ばかりです。100年前に日本に偉大な作家が生まれていました。」
エブゲーニイ(ミンスク)

「『去年の木』は深い哲学を持っており、読んだ人に生活の中に隠れた意味について考えさせます。人がこの世を去るとき、残された人、子孫に多くの思い出を残すことができます。その人たちの人生の道を明るく照らし、善人になれるような教えを残すこともできるでしょう。この作品を聞くとき、作者が他界したことが重なって聞こえます。大変若くして亡くなりましたが、自分の作品を通して、人間の品位について、また現代の子どもたちに進むべき高い道徳を教え続けています。」
ワレンチーナ(オシミャヌィ)

「『ごんぎつね』がよかったです。ごんが兵十を助けていたからです。」
ダリヤ(モズィリ 9歳)

「『ごんぎつね』がよかったです。理由はごんが自分が悪かったと認めたからです。」
アンゲリーナ(ミンスク 12歳)

「『あめ玉』がよかったです。自分のすぐ隣にいる人のことを忘れないようにしないといけないです。」
アレクサンドル(モズィリ 8歳)

「『でんでんむしのかなしみ』と『あめ玉』を読んで。『あめ玉』のほうがおもしろかった。さむらいは子どもがけんかしないようにちょうど半分にしたから、えらいと思った。」
パブリナ(ミンスク 11歳)

「『あめ玉』『ごんぎつね』『去年の木』がよかったです。お話は人間関係が円滑にいくように必要な解決策を教えてくれます。
お話の中では、比喩的に登場人物が、他の形を取っても役に立ち、誰かの力になることを教えてくれると思います。どの話もとてもおもしろかったです。ありがとうございました!」
イリーナ(モズィリ)

「『でんでんむしのかなしみ』『ごんぎつね』『狐』がよかったです。悲しいお話で教訓的です。ベラルーシでは主人公が最後に死んでしまうようなかわいそうな話は子どもにはあまりしません。」
レイラ (ミンスク 幼稚園長)

「『でんでんむしのかなしみ』『去年の木』は哲学的な作品で将来起こる困難に対する心の準備になると思いました。」
アレーシャ (ミンスク)

「『でんでんむしのかなしみ』は人生について教えてくれる奥深い内容です。」
オクサナ(モズィリ)

「『ごんぎつね』は奥深い作品です。どんな行動を起こすとどんな結果が返ってくるのか教えてくれます。このお話はよい結果のために対策を採っても必ずしもうまくいくとは限らない、と言いたいのではないでしょうか。」
オリガ (ミンスク 音楽教師)

「『去年の木』もいいお話でしたが、一番よかったのは『ごんぎつね』です。普通はこんなお話はありません。他のお話と似ていないところが気に入りました。このお話から日本の文化についても知ることができます。それとごんのことが大好きになりました。ごんは人間のことを愛していて、でも難しいときもあったけれど、それでも自分の失敗を直そうとしたからです。」
ソフィヤ (ミンスク 13歳)

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 どうしてベラルーシ人が新美南吉の童話に共感を覚えたのか、これらの感想に表れていると思います。
 
 また感想が集まりましたら、追加します。


読売新聞滋賀県版に新美南吉童話について載りました

2013-10-21 |   新美南吉
 滋賀県民の皆様、そして読売新聞購読者の皆様。
 新美南吉童話がロシア語・ベラルーシ語に翻訳されたことが、2013年10月20日付の読売新聞滋賀県版に掲載されました!
 33面の「さざ波」というコラム欄です。
 ぜひご覧ください。この記事はネット配信はされませんので、お見逃しなく!

 日本の新聞にもベラルーシでの取り組みが紹介されて本当にうれしいです。

 滋賀県どころか日本にも住んでいない私のために記事がファイル形式で送られてきました。
 本文内では私自身が南吉童話を翻訳し・・・とあるのですが、正しくはうちの娘が翻訳しています。それにベラルーシ人が校正を加えて、という形で翻訳を創っています。

 読売新聞に載ったことを励みにして、翻訳作業を引き続きがんばります! (私が翻訳しているのではなく、人にやらせているんで、頑張るのは私ではなんですが。)(^^;)
 
 コラムではべラルーシでは活発に新美南吉のことが紹介されている、と褒められましたが、実際には40箇所近くの出版社、新聞社、テレビ、ラジオなどのマスコミ関係に取り上げてもらうことを頼みまくったものの、結果としては反応があったのはそのうちのごくわずかでした。
 ベラルーシ語に翻訳したのは史上初なので、新美南吉を紹介するよりは、「ニュース」の扱いでベラルーシの新聞に載りましたけどね。

 しかし朗読会をするとベラルーシ人の間で新美南吉への共感が広がっていることは肌で感じています。

 もうすぐベラルーシの学校は秋休み。(日本の学校にはないですが、ベラルーシの学校にはある秋休み。)
 小学生が山盛り図書館にやってくる時期です。
 また朗読会をします。

チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第154回」

2013-10-17 |   ビタペクト配布活動
 10月17日にビタペクト3と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第154回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はビタペクト3を9個、そして「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2078個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1910部となりました。
 今回で通算168回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2078人の子どもにビタペクトを、1910家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(チロ基金は以前ビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a



(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80



 今回は2家族が、SOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族にお話を伺いました。

(家族A)

 ノボポーロツク(チェルノブイリ原発から470キロ)から来た家族。
 お母さんが7人の子どもを引率していました。
 しかしこのお母さんには会うことができませんでした。このお母さんには17歳の長女がいて、年齢が高いことからお父さんと留守番をしていました。専門学校に通っているそうですが、私がSOS子ども村を訪問する前日に、学校の同じクラスの友だち数名から集団で殴る蹴るの暴行を受け、入院したのです。お父さんから連絡があり、お母さんは(どういう理由か12歳の次男も連れて)自宅近くの病院へ戻りました。
 とても気の毒です。これもいじめってことなんでしょうか。ベラルーシでもいじめはあるのですが、だんだん凶暴になりつつある、暴力シーンの多いテレビや映画、ゲームの影響か? とSOS子ども村の職員さんたちは話していました。

 放射能の測定自体はお母さんが一時帰宅する二日前に受けていました。この家族には4個のビタペクト3を渡しました。
それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時9歳)16ベクレル 
長男(15歳)18ベクレル  
次男(12歳)29ベクレル ○
次女(12歳)39ベクレル ○
三女(11歳)17ベクレル 
四女 (9歳)18ベクレル 
五女 (8歳)31ベクレル ○
六女 (5歳)28ベクレル ○

 お母さんがいなかったので、詳しい話を聞くことができませんでしたが、次男が生まれつき心臓病で、5歳のときに手術を受けたそうです。
 今でも疲れやすく、身体障害者認定を受けているそうです。
 他の子ども達は比較的健康ということでした。
 ただお姉さんが大怪我して入院、お母さんはそばにいない、ということで、みんなしょんぼりしていてあまり元気がなかったです。


(家族B)
 
 モロジェチノ(チェルノブイリ原発から390キロ)から来た家族。
 お母さんが7人の子どもを引率していました。
 ただ一番年上の長男はミンスクの大学に通っているということで、SOS子ども村には寝泊りしているだけだそうです。
 この家族には5個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時14歳)15ベクレル 
次男(12歳)21ベクレル ○
三男(11歳)30ベクレル ○
四男 (9歳)29ベクレル ○
五男 (6歳) 0ベクレル
長女 (5歳)20ベクレル ○
次女 (2歳)21ベクレル ○

 次女は2歳なのですが、来年初め3歳になるということで、お母さんが希望したため、ビタペクト3を渡しました。
 子どもたちは健康だそうです。ただ長男が偏平足だということでした。五男は片足だけが偏平足で、矯正する体操があるので、それを18歳までにして治しておかないと、40歳を過ぎてから歩行に問題が出てくる、と医者におどかされたそうです。 
 偏平足ってそんなに問題があるの? とびっくりしました。
 本人は特に不自由していないそうです。
 お母さんは出産のたびに髪の毛が抜けて、大変だそうです。

 この家族のお父さんはアフリカ出身。お母さんはベラルーシ人ですが、子供たちを見ているとお父さんのほうの遺伝子が強いなあ、と思いました。
 子ども達は、サッカー、ダンス、音楽に非凡な才能があるそうで、やっぱり筋肉とかリズム感とかアフリカの血のおかげなのかな、と思いました。

 つい「お子さんたちは外見上のことでいじめにあったりしませんか?」とお母さんに尋ねましたが、やっぱりある、ということでした。
 でもスポーツや音楽で才能を発揮しているので、学校では他の子どもから尊敬されているそうです。また学校の先生の指導にも大きく左右されるとお母さんは話していました。
 日本でもいじめが問題になっていますが、学校の先生にもよるんだろうなあ、と改めて思いました。  
 
 画像は記念撮影したものです。ただ家族Aのお母さんなど写っていない人がいます。
 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、折り鶴の作り方(千羽鶴プロジェクト)、着物から作った巾着袋をプレゼントしました。
 日本の絵葉書に子ども達の名前を日本語で書くと、家族Aのほうの子ども達にはようやく笑顔が出ました。家族Bのほうの子ども達は興味津々ということで熱心に眺めていました。

 最後になりましたが、ビタペクト3の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や巾着袋、絵葉書など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。


サッカー日本代表、欧州遠征(10月):ベラルーシ戦テレビ放送予定

2013-10-15 | ベラルーシ生活
欧州遠征(10月):第2戦
SAMURAI BLUE(日本代表) vsベラルーシ代表
日時:2013年10月15日(火) 15:15(日本時間21:15)キックオフ
会場:トルペド・ジョジノスタジアム(ベラルーシ)
テレビ放送:日本テレビ系列にて21:00から全国生中継

SAMURAI BLUE(サッカー日本代表)が、欧州遠征(10月):第2戦で10月15日(火)にベラルーシ代表と対戦します。

FIFAランキング42位(AFC46チーム中1位)の日本代表が対戦する、ベラルーシ代表は80位(UEFA53チーム中38位)になります。※9月発表時

注目のテレビ放送予定ですが、
地上波は、読売テレビを含む、日本系列で生中継されます。
ベラルーシ戦は、NHK-BS1での放送予定はありません。
※欧州との時差の関係で、午後9時15分キックオフとなります。

 ・・・だそうです。試合があるのは知っていたけれど、日本でテレビ放映されるとは思っていなかったので、びっくりです。
 さあ、どちらが勝つでしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 はい、試合結果です。日本代表 ベラルーシに0-1で完敗。

 詳しくはこちら

 私としてはどっちが勝っても負けても嬉しいような嬉しくないような・・・(^^;)
 でも実を言うと日本が勝つだろうと思っていたので、意外でした。

ベラルーシの児童雑誌「ストラナ・スカザク」にロシア語訳の新美南吉童話が掲載されました

2013-10-14 |   新美南吉
 以前からお知らせしていましたが、「ストラナ・スカザク」(日本語訳すると「お話の国」) という子ども向けの雑誌に新美南吉の「去年の木」ロシア語訳が掲載されました。
やっと載りました。しかし予定していた「ごんぎつね」は載っておらず、日本とはまるで関係ないヴィルヘルム・ハウフの「鼻の小人」が載っていました。表紙も「鼻の小人」の絵です。

 一応、この号に収録されているのは「鼻の小人」と「去年の木」です、と表紙に載っているのですが、「鼻の小人」はベラルーシ人はよく知っているので「あのドイツの話か。」とすぐ分かるのに対し、「去年の木」はまるで知られていないうえ、表紙には何の説明もないので、この雑誌の表紙を書店で見て「あ、日本の話が載っている。読んでみたいな。」とは誰も思わないでしょう。
 「鼻の小人」を読みたいな、と思ってこの雑誌を買った人が、たまたま新美南吉の話も目にしましたよ、ということになると思います。

 ちなみにこの雑誌は9000部発行で、ベラルーシだけではなく、ロシアでも購入・購読可能な雑誌なので、相当な数の子どもや保護者が「去年の木」を読むことになると思います。
 それはそれで本当にうれしいことです。私が知っている限りでは、これがベラルーシでもロシアでも新美南吉の童話が児童向け雑誌に載った最初ですから。

 しかし、一言ここに書きたいのですが、そもそも9月号に掲載される予定が10月号に延びて、その理由が編集長が言うには、イラストレーターが夏のバカンスに行っていたため、締め切りまでに挿絵が完成しなかった、ということでした。
 しかし、この10月号をよくよく眺めて感じたのですが、バカンスなどは関係なく、イラストレーターに力量がなく、「ごんぎつね」に出てくる日本の物(着物や家屋)の絵が描けず、イラストが一番描きやすい「去年の木」にしてしまった、という感じです。
 
 そして「ごんぎつね」の代わりにハウフの「鼻の小人」を無理やり詰め込んだような感じなのです。「鼻の小人」のページは字がかなり小さくて、とても子供向け雑誌とは思えないようなぎっしり詰めた誌面なのです。
(「去年の木」は1ページに詰め込んだけど、行間に余裕があってまだ読みやすいです。)

 それでどうして「鼻の小人」にしたのかというと、この話は10年前にロシアでアニメ映画化されているのですが、そのアニメに出てくるシーンを適当にネットで拾って、文章の間にはめ込んだ、というデザインなのです。
 つまり時代考証も面倒だし、よその国の文化・風習・風俗を知らないから描けないし、そのために勉強したり、資料を集めたり、日本人に質問するという努力は一切したくない、というのがこの雑誌で挿絵を担当しているイラストレーターなのです。
 こういうプロ意識ゼロのイラストレーターをイラストレーターと呼んではいけません。
 ただのネットからコピペしているだけの人です。
 おそらく「ごんぎつね」に使えそうなイラストをネット検索したけど、見つからないので、アニメの絵を(これもおそらくアニメスタジオ側には無断使用)はめ込むだけでできる「鼻の小人」にしましょうよ、それなら30分でできるし・・・という感じで作った、というのが私、ではなくうちの娘の予想です。

 翻訳者である私の娘の氏名は幸い掲載されていましたが、新美南吉が生誕100年を今年迎えたことなど詳しいことはまるで載っていませんでした。
(私は「それでも初めて南吉さんの作品が載ったんだし・・・。」と慰めたのですが、うちの子のほうがよっぽど怒っていました。)
 この「去年の木」についている挿絵の小鳥と桜の木もネットで素材を見つけて、適当に合成したようにしか見えず、とにかく手抜きなんですよね。
 こんなの10分で作れますよ。これのためだけに「バカンスを取ったから締め切りに間に合わなかっ。」というのは嘘でしょう。

 私の上司である図書館長曰く「いい仕事ができてない」でしたが、この雑誌そのものは日本円にすると50円もしないぐらいとても安い雑誌なので、子どもが気軽に買いやすい、親も買い与えやすいという長所はあるものの、実際は儲かっておらず、イラスト担当者も薄給で働かされている(なので、いい絵を描こうという努力もしない)のかなあ、とも思いました。

 ここに批判を並べ立てましたが、一方でこれが現実だとも感じています。
 つまり日本で新美南吉のことを国民的童話作家と思っているファンからすれば、このベラルーシの雑誌が「鼻の小人」を優先したのは屈辱的に感じますが、実際にはベラルーシでは新美南吉は全くの無名の外国人の作家で、アンデルセン童話賞をもらっているわけでもないし、「日本のナンキチ・ニイミはすごい作家ですよ。」といった評判すら聞いたことがないわけです。
 そんな現状なのでたったの1ページでもカラーの挿絵をつけて、掲載されただけでも、大切な一歩だと言えます。

 今回翻訳作業をして、40箇所近い出版社、マスコミ関係に掲載を打診しましたが、そのほとんどが返事すらくれませんでした。
(返事が来たと思ったら、すでにその出版社が倒産していたり、雑誌が廃刊になっています、というお知らせだった、というのが3件ありました。)
 このような中で、ベラルーシとロシアの二か国で読まれている子供向けの雑誌に新美南吉作品が掲載されたのは、ようやく一つの成果が現れた、と思っています。
 この雑誌は近日中に半田市にある新美南吉記念館に1部寄贈しますが、ベラルーシ国内の図書館にも寄贈する予定です。 


チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第153回」

2013-10-03 |   ビタペクト配布活動
10月3日にビタペクト3と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第153回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はビタペクト3を6個、そして「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2069個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1900部となりました。
 今回で通算167回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2069人の子どもにビタペクトを、1900家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(チロ基金は以前ビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a



(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80



 今回は2家族がブレスト市(チェルノブイリ原発から約440キロ)から、SOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族にお話を伺いました。

(家族A)
 お母さんが3人の子どもを引率していました。この家族には2個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時12歳)27ベクレル 
長男(15歳)25ベクレル ○ 
長女(12歳)28ベクレル ○
次女 (1歳)22ベクレル

 健康状態についてお母さんにお話を伺いました。
 長女が近視というほかには、特に問題はないそうです。ただ次女がダウン症です。年齢が3歳以下なので、ビタペクト3は渡していません。
 お母さんは「小さい子どもはどうしたらいいの?」と質問したので、ペクチンを多く含む果物(りんご)や野菜(グリーンピース)などを勧めました。
 被爆の原因は食べ物だと思いますが、具体的な理由は分かりませんでした。
 次女がダウン症ということで、お母さんはSOS子ども村の心理カウンセラーにカウンセリングしてもらったり、一生懸命に子育てしているようでした。
 

(家族B)
 お母さんが6人の子どもを引率していましたが、このうち1人は学校に行っていて、WBCの測定は受けていません。さらに12歳の長女は家でお父さんと留守番しているそうです。理由は牛を飼っているから、その世話をするためです。
 この家族には4個のビタペクト3を渡しました。それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時8歳)28ベクレル
長男(11歳)20ベクレル ○
次女 (9歳)22ベクレル ○
三女 (5歳)26ベクレル ○
三男 (4歳)27ベクレル ○
四男 (1歳)22ベクレル

 子どもたちは比較的健康だということでした。ただ今回保養に来ていない長女が一番病弱で、アデノイド、扁桃腺を取る手術を受けたりしたそうです。
 7人兄弟のうち、一番年上だからという理由で、留守番を任され、保養に行けずWBC測定を受けられなかったり、せっかく保養に来ているのに学校に行っていて測定につれて行ってもらえなかった子がいたり、運命なのかなあ、と思いますが、このように、WBC検査のチャンスからもれる子どもや無料のサプリをもらえない子どもなどが出てくるものなのかもしれません。これは将来の日本でも起こりうることだと思います。
 できるだけそういうことのないように体制作り、チェック機能作りを日本はしないといけないと思いました。

 この一家はグロドノ市内に住んでいますが、町外れの一軒屋に住んでいるそうです。そして牛を飼っていて、いつもその牛乳を飲んでいるのだそうですが、被爆の原因はそれではないかと話しました。
 しかし1年に1回この家の牛の牛乳は放射能の検査を受けており、毎回「大丈夫。」と言われているそうです。具体的に1リットル何ベクレルだったのか、といった結果報告はしてもらっていない、ということでした。牛乳の基準値は1リットルあたり100ベクレルなので、おそらくそれ以下なのだろうと思いますが、測定した数値を明確に示さないというのは、やはりおかしいと思います。
 放射能測定に限らず、ベラルーシの医者などもそうなのですが、対応というものが、こんな感じです。
「1リットルあたり何ベクレル、と検査結果を教えても、素人にはこれが危険なのか安全なのか、どうせ分からないでしょ。だから簡単に『大丈夫』と言っているんです。」
 おそらくこのお母さんは「お宅の牛乳は大丈夫ですよ。」と言われたときに「はあ。」としか答えていないと思われます。
「大丈夫って具体的に1リットルあたり何ベクレルなんですか?」
とつっこんで質問していないのです。
 こんなふうに対応されないように、検査を受ける側も賢くならないといけません。賢くなる、とは放射能の知識をつけるということです。日本人の皆さんも賢くなってください。

 学校で放射能のことを勉強していませんか? と子どもたちに尋ねたところ、日本で言うと小学5年生の長男が
「学校でチェルノブイリのビデオを見た。」
と言っていました。1986年にこのような大事故があり・・・といったどちらかと言うと歴史的事実としてチェルノブイリを教える、というもので、先生も「放射能は危険。」といった子どもを怖がらせるようなことは言ってなかったそうです。
 小学生ではまだ難しいかもしれませんが、放射能についてちゃんと学ばないといけないな、と思いました。

 画像は記念撮影したものです。ただ家族Aのお母さんと次女は写っていません。
 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、折り鶴の作り方(千羽鶴プロジェクト)、着物から作った巾着袋、こけしをプレゼントしました。かわいい現代風デザインのこけしにとても喜んでいました。

 最後になりましたが、ビタペクト3の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や巾着袋、こけしなど子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 4

2013-10-01 |   新美南吉
 感想文の一部です。感想を書いてくださった方には日本のあめ玉を、子どもにはあめ玉と折り紙を記念に渡しました。
アンケートの一番気に入った作品、今回の集計結果は複数回答可なのですが、このようになりました。

「でんでんむしのかなしみ」6名
「ごんぎつね」5名
「手ぶくろを買いに」5名
「去年の木」4名
「あめ玉」1名

 今回初めて「手ぶくろを買いに」を朗読したのですが、やはり日本人の間でも「ごんぎつね」人気を二分するだけあって、ベラルーシでも同じ数になりましたね。

 あめ玉は日本製の本物です。お話「あめ玉」に合わせて、和風の紙に包んでみました。
 ちなみにベラルーシにはこんなにまん丸なあめ玉は売っていないのです。これをさむらいが刀で真っ二つに切ったのはすごく難しいことだとベラルーシ人にも分かってもらえたかなあ、と思います。
 ちなみにベラルーシ人に「あめ玉」と言ってもまん丸な飴は想像できず、平べったい楕円形のもの、あるいは棒のついたにわとりの形(!)をしたものを連想するんだそうです。



新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 3

2013-10-01 |   新美南吉
 新美南吉展も参加者の皆さんはみんな熱心に見ていましたよ。
 感想も集まり、とてもうれしいです。これから感想を日本語に翻訳し、新美南吉記念館に送る予定です。

 前回とちがって、夏に新美南吉記念館へ行ってきた私の両親がDVDを買って持ってきてくれたので、映像を交えて新美南吉の人生を紹介することもできました。朗読会の後、参加者の皆さんと茶話会をしまして、和やかな雰囲気の中、朗読会の感想を話し合いましたが、「新美南吉はハンサムだ。」とベラルーシ人女性の間で、南吉さんはモテモテだったことをここに記しておきます。(笑)

 今回の朗読会が無事終わり、ほっとしていますが、すでにベラルーシの地方都市、オシミャヌィとバラノビッチの図書館でも朗読会を開催してほしいという希望が舞い込んでいます。
 新美南吉童話をベラルーシで紹介する旅に出ます。

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 2

2013-10-01 |   新美南吉
 朗読をしたのは4作品の翻訳者でもあるうちの娘です。
 7月30日の朗読会には間に合わなくて、今回の朗読会にやっと発表できた「手ぶくろを買いに」ですが、子守唄の部分は、日本語で歌ってもらいました。(もちろんロシア語の訳も言いました。)
 意外とシューベルトの子守唄はベラルーシでは知られていなくて(理由はロシア語に翻訳されたのが最近だから、まだ浸透していない。)歌っても「ああ、あの曲か。」にはならないのですが・・・。
 でも朗読の中に歌も入っているほうがアクセントになってよかったと好評でした。

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 1

2013-10-01 |   新美南吉
 9月30日世界翻訳の日に「新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会」を行いました。

 この朗読会は7月30日に行われた生誕100年記念朗読会と同じく、新美南吉生誕100年記念事業実行委員会より、後援を正式に受けています。
 新美南吉生誕100年記念事業のサイト内「後援事業・その他」のページはこちらです。

 予定していたより参加した子どもの数が少なく、20人ほどの参加者でした。しかし詩人や出版関係者、図書館関係者などの児童文学の専門家が参加し、貴重な南吉童話の感想を聞くことができました。
 今回は「でんでんむしのかなしみ」「あめ玉」「去年の木」「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」の5作品を朗読しました。このうち「でんでんむしのかなしみ」はベラルーシ語で、そのほかの作品はロシア語で朗読しました。
 
 「でんでんむしのかなしみ」の朗読の後には美智子皇后陛下が1998年インドで開催された国際児童図書評議会第26回世界大会で行った講演の中で、「でんでんむしのかなしみ」について述べられている部分のロシア語訳(この講演を翻訳したのは日本文化情報センターではありません。)を、声のきれいな図書館員さんに朗読してもらいました。
 
 また世界翻訳の日にちなみ、翻訳家としての新美南吉の顔も紹介しました。新美南吉は東京外国語学校(今の東京外国語大学)卒業で、英文学が専門です。安城女学校教師時代は全学年の英語の授業を担当していました。
 学生時代、新美南吉はバイロンの詩について研究をしていました。
 このほかマンスフィールドやミルンの作品の翻訳をしていました。また有名な「きらきら星」の翻訳もしています。
(新美南吉によると「ちらちら光れ小さな星」ですが、元の英語のTwinkle twinkleという語感に近いように「ちらちら」という言葉を選んだのだと思います。ただ、本人は英語から日本語への訳をしてみただけで、翻訳した詩がメロディーに合うかどうかは考えてなかったようです。新美南吉の訳詞ではこの歌を日本語で歌えません。それで「きらきら星」のほうが定着したんですね。)

 また新美南吉が英語の先生をしていたことや好きだった外国の作家の紹介もしました。アンデルセンが好きなのは当然かと思うのですが、チェーホフやドストエフスキーも好きな作家に挙げています。
 さらには新美南吉が翻訳したマンスフィールドが尊敬していた作家がチェーホフだったり、新美南吉が好きで、人にも読むよう薦めていたフランスの作家シャルル・フィリップがドストエフスキーを尊敬していたり、新美南吉童話の根底には実はロシア文学が多く潜んでいるのではないか・・・という話もしました。

 新美南吉の作品そのものはすでに英語、フランス語、中国語、ハングルに翻訳されていますが、今年日本文化情報センターがロシア語とベラルーシ語に翻訳する作業に関わることができて、とても光栄です。