ベラルーシの歯科事情はどのようなものか、ご質問をいただきましたので、このブログ上でご紹介したいと思います。
ちなみに
ベラルーシの全般的な医療事情については、日本外務省HPをご覧ください。
ここではベラルーシに滞在中、歯が痛くなったら、どうしたらいいのか、という点について書きます。
まず、旅行や留学などで、ベラルーシへ入国する場合、
ベラルーシの医療保険に加入しなければ、入国できません。ホテルに滞在するときは、予約しておいたホテルにチェックインするときにホテルの従業員が代行してくれます。
そうでない場合、主に空港で保険に入ることになります。自分で空港内の窓口へ行ってください。空港職員が、「保険に加入しましょう。」と言ってくれることもあります。
保険料は1日1ドルぐらいで安いです。
そしてベラルーシ滞在中に病気や怪我をして、治療を国立あるいは公立の病院など医療施設で受けることに鳴った場合、必ずこの保険証を提示してください。それによって、治療費が無料になります。(ただし、薬代などは有料。)
したがって、急に歯が痛くなったとき、そして国公立の病院あるいは診療所の歯科に診てもらうときは、保険証を見せると無料になります。
しかし、歯の病気で死ぬ人はいないため、夜間などは歯科は開いていませんので、注意。
次が問題なのですが、ベラルーシには現在前述の公立の病院・診療所内の歯科のほか、私立の歯科医院がたくさんできています。
ここでの歯の治療は、保険が利かず、全て有料です。
さあ、公立の歯科、私立のデンタルクリニック、どちらへ行けばいいのでしょう。それぞれ一長一短あります。ベラルーシで歯科治療を受けたことのある日本人の体験談などもご紹介します。
<国公立の病院・診療所内の歯科>
(長所)保険に入っていれば無料。麻酔を使った治療も受けられる。
(短所)居住地域によって、行くべき病院・診療所が決まっているので、患者が選ぶことはできない。
無料なので、近所の住民がたくさん来るので混んでいる。要予約。突発的な歯痛が始まったので、駆け込んでも、予約しないとダメとか、今込んでるから待って、とか言われてずっと待たされる可能性あり。
設備が古い。日本のようなハイテクな医療レベルではない。(例:口の中ににたまった唾液を吸引してくれるような装置がついていない。)
医者は愛想が悪い。英語は通じないと思っておいたほうがいい。治療方法など説明などはしてくれない。
(体験談)詰め物はその日のうちに取れた。前の患者の抜いた歯がそのへんに血まみれで転がっていたのを見て、気絶した日本人がいる。
(アドバイス)ハンカチあるいはタオル類を持参するとよいと思います。
<私立のデンタルクリニック>
(長所)施設がきれい。医者は愛想は振りまかないが、まだまし。説明もしてくれるほう。ただし、基本的に全てロシア語だと思ってください。
設備も日本ほどではないが、新しい。器具や充填物も外国製のものを選び、わざわざそれを謳っているところも多い。
(短所)保険に入っていても有料。平均的ベラルーシ人の感覚からするとものすごく高い。治療の内容にもよるけれど、日本の保険適応料金と同じぐらい。
しかし、最近の傾向として「タダでも公立の歯科に行ったところで、結局無意味だ!」と不満に思っているベラルーシ人のお金持ち(あるいは医療にかかるお金は惜しくないと言う考えのベラルーシ人)は最初から私立のデンタルクリニックへ行く。そのため、混んでいる。予約を入れておいたほうがいいですが、突発的な歯痛のため、駆け込んだとしても、臨機応変に対応してくれる。
麻酔を使う治療を認可されていないクリニックがほとんど。麻酔医がいて、レントゲン撮影ができるような施設があるところだったら認可されていると思うが、私立のクリニックは小規模経営が多いので、期待できない。
そのため、麻酔が必要な抜歯はしてくれないため、クリニックが抜歯をしてくれる公立の病院を紹介してくれる。(結局国公立の歯科へ行かなくてはいけない。)
保険に入っていれば、抜歯は無料。しかし、
「今から歯を抜くけれど、それについて患者の私は賛成ですよ。後から『なんで抜いたんだ、歯を返せ。』などという文句は病院に対して決して言いません。」
といったことがロシア語で書いてある書類に署名させられます。
もちろん、その後の「麻酔が切れていない間は熱い物は飲まないようにしましょう。云々」といった説明は全部ロシア語です。
(体験談)国公立、私立に関係なく、歯が痛くても、鎮痛剤など薬は処方してくれません。
自力で近くの薬局へ行き、
「私は歯が痛いんです。鎮痛剤をください。」
と言って購入してください。ただ単に「鎮痛剤をください。」と言うより、歯が痛いことも言い添えるほうが、適当な薬を薬局で選んで「歯痛ならこれがいいですよ。」と勧めてくれる。
が、この一連の会話はロシア語(あるいはベラルーシ語)でしか通じないと思っておいたほうがいいです。
紙に書いておいて、見せるのもいい方法ですね。歯が痛いときなんかしゃべるのも苦痛ですから。
ベラルーシの医療従事者はみんな英語を勉強したことがあるので、英語は通じるはずなのですが、お互い発音が訛っていたりして通じなかったり、あるいは英語でしゃべるのが面倒くさいと思われる場合(愛想が悪い。目の前に困っている外国人がいても、どうでもいいや、と思う人)英語で説明してくれません。
もちろん、ベラルーシ人の医療従事者にも、優しい人、英会話が得意な人もいますので、運よくそういう人に当たったら、ラッキーと思ってください。
こちらが英語もロシア語も不得意と言う場合、治療にどうしても不安と言う場合は、通訳さんを雇うほうがいいです。もっとも医療通訳は内容によっては難しいので、治療の内容によっては通訳さんが誤訳したり、通訳ができなかったりします。
歯痛で死ぬ人はいない、と言うことになっていますが、病気や怪我によっては日本外務省HPにあるように、帰国して治療を受けることや、一時帰国するときに治療や検査を受けておくことも考えておいたほうがいいです。
ちなみに日本外務省HPでは
「薬局は各地にあります。しかし,簡単に医薬品を購入できない可能性が高く、一般的な常備薬(整腸剤,胃薬,目薬,鎮痛薬,総合感冒薬,湿布,体温計,バンドエイドなど)は日本から持参することを勧めます。」
とありますが、常備薬は簡単に買えます。ただ、日本人が考えているところの医薬品がベラルーシにないのが問題です。
例えば、目薬ですが、日本人が疲れ目にちょっとさすようなお手軽が目薬はベラルーシにはありません。アンプル入りのものすごく本格的な眼病用の目薬ならあります。
整腸剤は活性炭です。
処方箋なしで買えるとある鎮痛剤は、ベラルーシ人にはよく効きますが、私には全く効きません。
湿布は日本人に肩こりが多いので、日本薬局にはいろんな種類の湿布がありますが、ベラルーシではほとんど選択の余地がありません。
体温計は売っていますが、婦人体温計はないです。
バンドエイドはまともなものが売られていますが、個包装ではなかったり、めくりにくかったりします。傷口の大きさに合わせて切り取って使うタイプのものもあります。これを知らない日本人が見たらびっくりします。
他にもどうやって開封したらいいのか日本人には分かりづらい容器もあります。
例えばとあるインフルエンザの薬ですが、まずガラスのアンプルの口をナイフで切り、同封の粉薬をアンプルに入れて溶かした後、湯冷ましの水で4倍に薄めたものを、やっぱり同封しているスポイトで、患者の鼻の穴に3滴ずつ、1日3回に分けて入れましょう。使い切るまで溶かした液は冷蔵庫で保存すること。
・・・といった使用方法がもちろん全部ロシア語で書いてあるものが、薬局で売られていることもあります。
このように日本人の感覚では簡単に理解できない医薬品があるので、日本外務省は日本から常備薬を持参することを勧めているのです。