ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

SOS子ども村での保養滞在プログラム (2) サプリメント

2012-02-22 | 放射能関連情報
 SOS子ども村では保養滞在している子どもたち(年齢は2歳以上)にビタミンとミネラルのサプリを支給しています。
 これは飲むタイプのサプリです。
 タブレット状になっていて、水に入れると泡が出て溶ける発泡タイプのサプリです。
 レモン味やオレンジ味がついていて、小さい子どもでもジュース感覚で飲めます。気の抜けかかったサイダーのような味です。ただ長期間(3週間以上)の連続服用は望ましくない、とされています。
 ベラルーシ製ですが、その企業「Vitus」のサイトはこちらです。(ぷくぷく泡が出ていますね。)

http://vitus.by/ru/glav/catalog.html
 
 
 いろんな種類のサプリを作っていますが、その中でも3種類をSOS子ども村では選んで、年齢別に与えています。
 2歳から4歳までは「クローハM」というサプリを保養滞在中飲みます。この商品についてはこちらです。(ただしロシア語です。)

http://vitus.by/ru/Vitamin_mineral/kroham.html


 内容はこうなっています。
 ビタミン類は多い順に A、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、C、K1、ビオチン、D3
 ミネラル類は多い順に カルシウム、亜鉛、リン

 5歳から12歳までは「クレプィシM」を飲んでいます。この商品についてはこちらです。(ただしロシア語です。)

http://vitus.by/ru/Vitamin_mineral/krepyshm.html


 内容については1タブレット(1回分)がこのようになっています。
ビタミンА  1440 МЕ
鉄 4ミリグラム
ビタミンE 12ミリグラム
カルシウム  20ミリグラム
ビタミンВ1  1ミリグラム
マグネシウム  3.2ミリグラム
ビタミンВ2  1.2ミリグラム
銅  0.4ミリグラム
ビタミンВ6  1.3ミリグラム
亜鉛 1.2 ミリグラム
ビタミンВ12  2
セレン  10マイクログラム
ナイアシン  12ミリグラム
マンガン  1ミリグラム
パントテン酸  4.8ミリグラム
葉酸  100マイクログラム
ヨウ素 100マイクログラム
ビタミンС  60
リン  15.5ミリグラム
ビタミンК1  30 マイクログラム
ビオチン  30マイクログラム
ビタミンD3  190 МЕ


 13歳から16歳までは「ヴィートゥスM」を飲んでいます。この商品についてはこちらです。(ただしロシア語です。)

http://vitus.by/ru/Vitamin_mineral/vitusm.html


 内容については1タブレット(1回分)がこのようになっています。

ビタミンА 3000 МЕ
鉄 2ミリグラム
ビタミンЕ 10ミリグラム
カルシウム 10ミリグラム
ビタミンВ1 2ミリグラム
マグネシウム 8ミリグラム
ビタミンВ2 2ミリグラム
銅 0.4ミリグラム
ビタミンВ6 2ミリグラム
亜鉛 2.4ミリグラム
ビタミンВ12 5マイクログラム
マンガン 1.2ミリグラム
ナイアシン 20ミリグラム
モリブデン 14マイクログラム
パントテン酸 10ミリグラム
ヨウ素 100マイクログラム
葉酸 200マイクログラム
ビタミンС 75ミリグラム
セレン 20マイクログラム

 
 以上のサプリメントにはビタミン、ミネラル類のほか、香料、固化剤なども含まれています。
 詳しく内容をお知らせしましたが、保養滞在する日本人が必ずしもこのとおりにビタミンやミネラルを摂らないといけない、ということではありません。
 SOS子ども村で滞在しているベラルーシ人の子どもはこのようなサプリを摂っているということです。
 あくまでご参考までに。

 これらのサプリと平行して、体内のセシウムが多い(体重1キロ当たり20ベクレル以上)子どもはビタペクトTを飲んでいます。
 そうでない子どもはこのサプリだけです。

 SOS子ども村での保養については以上ですが、これを上手に日本人向けにアレンジして保養プログラムを作るほうがいいと思います。
 1週間に1回と言わず、もっと魚料理を食べる回数を増やしてもいいと思います。
 ベラルーシ人より日本人のほうが泳ぎが上手ですし、プール施設も多いので、水泳を取り入れるのもいいと思います。

 またインタビューでは当たり前すぎて話にも出なかったのですが、規則正しい生活、十分な睡眠、体に悪い物を食べたり、しない(喫煙など)ことも保養中は大切です。
 ちなみにSOS子ども村では7才以下の子どもは昼寝をしています。

 また保養先で放射能汚染されたものを食べていては保養の意味がありませんから、安心して食べられる物、放射能を除く下ごしらえを取り入れた調理法で作った料理を食べるようにしてください。
 
 時間がなくて保養なんて行けない、という方も多いと思いますが、土日や連休を利用したり、また日々の生活の中にこのようなプログラムを上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。
 

SOS子ども村での保養滞在プログラム (1) 期間と食事

2012-02-21 | 放射能関連情報
 体内の被ばくを減らす、という意味で食生活(食材の下ごしらえ、バランスの取れた食生活)やペクチン、カリウム、カルシウムなどの摂取が大切だということは何度も述べました。
 これと平行して保養滞在することもとても大切です。
 チロ基金がビタペクトTを配布しているSOS子ども村にある保養滞在のプログラムについて、職員の方々にインタビューしましたので、このブログでご紹介します。
 日本人の方も被ばくしたと分かっている方、はっきり分からないけれど、震災以降さまざまな症状に悩んでいて「被ばくしているのでは?」と悩んでいる方、もし機会がありましたら、保養に行ってみてください。
 仕事などの関係で
「保養なんか時間がなくてとても行けないよ・・・。」
という方でも、日常生活の中に保養滞在のヒントを取り込んでみてください。

 まず保養滞在プログラムの期間についてです。SOS子ども村では19日間の期間となっています。
 期間長ければ長いほど保養の効果が得られます。
 ベラルーシでは、保養と言うと最低でも14日間の滞在になります。
 ただ、人によっては2日ほどの保養滞在でも不快な症状が軽減した、というケースがあります。
 日本人は忙しい人が多く、休みも取れない、という場合が多いのですが、土日や連休を上手に使って保養滞在してみてください。

 SOS子ども村では滞在開始後、すぐにベルラド研究所に行き、体内被ばくを測定します。測定するのはセシウム137とカリウム40です。
 カリウム40は放射性物質で体に悪い物ですが、この量を知ることによって体によい他のカリウム群の合計を算出できます。
 つまり体の中にカリウムがどれだけあるのか、測定できるのでカリウム不足かどうか判断することができます。
 カリウムが体内から全くなくなると心臓が止まります。またカリウム不足になるとセシウムが体内にたまりやすくなります。
 そのため、測定の結果、カリウム不足であることが分かった人には保養滞在中、高カリウム食を摂るよう指導します。

 またセシウムが多かった場合(子どもは体重1キロあたり20ベクレル以上)はセシウム排出のため、チロ基金からビタペクトTをもらい、滞在中から飲み始めることになります。

 普通のベラルーシの保養所では食事が出ますので、それを食堂で一斉にみんなで食べることが多いです。
 しかしSOS子ども村は糖尿病やアレルギーなど食事に気をつけないといけない子どもも多く滞在していますので、食事は引率してきた母親が手作りしています。
 保養所にキッチンがあり、2家族でそれぞれの子どもに合わせた食事を作っています。
 食費はSOS子ども村から出ており、やりくりしながら献立を考えます。

 そこで保養滞在が始まるときに栄養学の話を聞き、必要な場合高カリウム食についても指導を受けます。
 この他、ジュースを1日1人200ミリリットルずつ支給されます。
 果肉入りの100%の果物のジュース、あるいは野菜ジュースをSOS子ども村が購入しており、家族の人数に合わせて分配しています。
 ジュースの種類はいろいろですが、りんごジュースが多くなるようにしているそうです。

 さらにビタミンとミネラルのサプリを支給しています。1人20回分で滞在期間中飲み終わるように指導しています。
 これは飲むタイプのサプリです。
 このサプリについては別に詳細を記事にします。

 次に食事です。
 SOS子ども村では1日5回食事をしています。
 朝食、午前のおやつ、昼食、午後のおやつ、夕食・・・です。

 内容について具体的に説明します。
 測定の結果、セシウムが多かった子どもは、朝起きてすぐにビタペクトTを1タブレット(約2グラム)をコップ半分の水といっしょに飲みます。
 そうでなかった子どもはビタペクトTは飲みません。
 場合によっては水ではなくジュースや紅茶といっしょに飲むこともあります。しかし必ず水分といっしょにビタペクトTを飲みます。
 
 朝食のおかずは肉類や魚類のないものです。例えばおかゆ、クレープ、カッテージチーズ、サラダなどです。

 昼食と夕食には必ず肉類か魚類のおかずにします。種類は特に問いません。
 しかしお肉が大好きなベラルーシ人はつい魚を食べず、おかずは肉ばかり・・・ということが多いです。SOS子ども村では必ず1週間に1回以上は魚のおかずを出すように指導しています。
 しかしそれでも忘れがちなので
「木曜日は魚の日」
と決めており、木曜日までに魚のおかずを作らなかった場合、木曜日には魚料理を作るようアドバイスしています。

 昼食と夕食には野菜類(サラダなど)を必ず添えます。種類は問いません。
 このほか海草をたくさん摂ることを勧めています。
 また昼食の量が多くなるようにし、スープや黒パン、ベラルーシ人の主食であるジャガイモを食べるようにしています。

 飲み物ですが、支給されたジュース、ビタミンとミネラルのサプリのほか、紅茶、コンポート(日本人が想像するコンポートは飲み物ではないのですが、ベラルーシでは飲み物です)、牛乳などの中から選びます。

 午前と午後のおやつですが、クッキー、あるいはビスケットが多いです。このほかお菓子を与える場合はゼフィール、マルメラード、パスチラの中から選びます。
 このお菓子について詳しくはこちらです。 

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/66d8a830f9f715a8534cd17c746c9350


 これに果物を1種類食べます。果物を食べるのは1日に1回だけです。午前のおやつのとき食べたら、午後のおやつのときには果物は食べない、ということです。
 測定の結果、カリウムが不足していることが分かった人には、食べる果物はドライフルーツ(干しブドウなど)が多くなるように指導します。
 カリウム不足に関係なく、食べる果物はりんごを一番に勧めています。

 おやつのときの飲み物は、ジュース、牛乳、コンポート、キセーリ、飲むヨーグルトなどの中から選びます。ただカリウムが不足していることが分かった人には1日に1回は必ず1杯のココアを飲むように指導しています。

 食生活については以上ですが、これを読んで
「こんなにたくさん食べられるのかしら?」
と思われるでしょう。
 しかし1回の食事の量は少なくして、胃腸にかける負担を減らそうという考えから、1日5回、少しずつ食べることになっています。

 このほか栄養学や衛生学のレクチャーを母親や年長の子どもは聞きます。
 衛生学、と言うと何だか難しそうに思えますが、実際には
「病気にならないように清潔を保つ。手洗い、うがいの励行」
「どうして人間は病気になるのか? ばい菌と免疫力のお話」
と言った分かりやすい話です。
 またベルラド研究所製作のビデオ「自分を放射能の影響から守ろう」を見ます。
 チロ基金が渡している「チェルノブイリ・放射能と栄養」もレクチャーの資料として活用しています。

 このほか、
「楽しい気分になるのも保養プログラムの主要な部分」
と考えていますので、さまざまなお楽しみプログラムもあります。
 例えば、動物園、サーカス、観劇、観光に行きます。家庭の宗教によっては教会のミサにも行きます。
 またSOS子ども村内でゲームをして遊んだり、さまざまなコンクールをしています。他にも手工芸をして楽しい時間を過ごすようにしています。
 
 SOS子ども村ではスポーツには力を入れていません。
 小学生以上の子どもたちは近くの学校に短期間受け入れられているので、平日は学校に通っています。
 運動は学校の体育の授業が主になります。
 しかし放課後、SOS子ども村内でサッカーやバレーボールをしたり、子どもたち同士で試合をしています。自転車もあるので、それに乗って遊んだり、冬場はそり遊びをしています。 
 
 SOS子ども村では設備がないので行っていませんが、水泳など全身運動になるスポーツをするのがお勧めだそうです。 
 
 

セシウムと心臓疾患の相関関係

2012-02-16 | 放射能関連情報
「セシウムと心臓疾患の相関関係」について元ゴメリ医科大学学長のユーリー・バンダジェフスキー博士とその奥さんガリーナさんへのインタビューが、日本語に翻訳されています。


http://vogelgarten.blogspot.com/2012_01_01_archive.html



 ぜひぜひご覧ください!
 ご夫婦の葛藤、特に奥様の気持ちを考えるとベラルーシに住んでいる私としては、涙が出る思いです。
 お二人の生の声が聞こえてくる貴重なものです。日本語に翻訳してくださった方、本当にありがとうございました。
 
・・・・・・・・・

 ユーリー・バンダジェフスキー博士が来日公演することになりました!
 詳しくは「放射能防御プロジェクト」木下黄太のブログ をご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/69fb130ad04bc2e2d3c36fcbe4d90bf8


 あるいはバンダジェフスキー博士の日本語公式サイトをご覧ください。

http://yury.bandazhevsky.org/


 それにしても、バンダジェフスキー博士が今ベラルーシに住んでいない、というのがベラルーシ人にとっては不幸ですよ。
 ベラルーシ語の詩「私たちの星」の一節を思い出してしまいました。
「私たちの星は 夜空にあって 私たちとともにはいない」

 もっともバンダジェフスキー博士にはウクライナで研究を続けてほしいです。どこにいようとそれが多くの人のためになると思います。

「みんなのカルテ」と飛蚊症について

2012-02-15 | 放射能関連情報
 震災後、体調が悪く
「もしかして被ばくしてしまった?」
と悩んでいる方へ。
 「みんなのカルテ」というサイトをご存知ですか?

 このサイトの「初めての方へ」のページから転載します。

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 「みんなのカルテ」は原発事故後の体調の変化や不定愁訴の情報を共有できるよう症状を記録するためのカルテです。
 原発事故後の「あきらかに何かがおかしい」と感じる方の声を集め、ある時期を境に同時多発的に特徴的な症状が派生していることを理解できるようにすること、その全体像と関連を把握できるよう改ざんのない症状のデータベースとして誰もが公に共通認識を持てる環境を整えること、それが「みんなのカルテ」の目標の一つです。
 ご本人だけでなくご家族に関する症状もお書き込みいただけます。2011年3月11日以降、放射能汚染によるものではないかと感じられる不定愁訴を含む自覚症状、不安に思われる症状についてご記入ください。みなさんのご協力に感謝いたします。

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 「みんなのカルテ」

https://sites.google.com/site/sos311home/karte


 このサイト内には「保管庫」があり、カルテの内容を閲覧することができます。

http://sos311karte.blogspot.com/


 これを読んでいて、何度かどきっとしました。
 ここでは「飛蚊症」について書きたいと思います。
 飛蚊症について詳しくはこちらです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9B%E8%9A%8A%E7%97%87


 飛蚊症はベラルーシでも増加したのですが、ベラルーシの研究者も「チェルノブイリ事故の影響に間違いない。」と言っている症状なのです。
 ベラルーシ国立放射線医学研究所の調査結果(1996年。事故発生から10年目の報告)によると、ベラルーシ国内の放射能汚染地に住む6歳から15歳の子ども3000人を調査したところ、年間3ミリシーベルト以上の被ばくを受けた400人の子どものうち60%に飛蚊症が見つかったのです。
 被ばくの原因は牛乳や肉、キノコなど汚染された食品を長期間食べたため、としています。

 また調査した400人のうち3%には萎縮性胃炎が見つかった、とも報告しています。
 ベラルーシでは子どもの慢性胃炎が多いのですが、それは汚染された食べ物が長くとどまっている胃の壁に食べ物から直接放射能が当たるため、胃炎になりやすくなる・・・とベラルーシの医師から聞いたことがあります。
 
 それから「みんなのカルテ」を読んでいて思ったのですが、もともと持病があった人は、それが悪化していることが多く、とても気の毒でした。
 このカルテに「症状がよくなりました。」の報告が増えることを祈っています。

 

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第129回」

2012-02-14 |   ビタペクト配布活動
 2月13日にビタペクトTと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第129回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクトTを6個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2とビタペクトTは合計1902個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1680部となりました。
 今回で通算139回目のビタペクトT(ビタペクト2)と「チェルノブイリ:放射能と栄養」の配布となりました。
 延べ人数ですが、1902人の子どもにビタペクトT(ビタペクト2)を、1680家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクトTを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a




 今回は2家族がゴメリ市(チェルノブイリ原発から140キロ)からSOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族にお話を伺いました。

(家族A)
 お母さんが6人の子どもを引率していました。この家族には3個のビタペクトTを渡しました。
 このお母さんは3人息子がいますが、長男は保養滞在に来ていません。2人の実子と2人の甥、1人の姪を引率していました。それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。
 
母親(事故発生時11歳)16ベクレル
次男(7歳)26ベクレル ○
三男(4歳)15ベクレル 
甥 (7歳)21ベクレル ○
甥(10歳)27ベクレル ○
姪 (4歳)15ベクレル

 10歳の甥と4歳の姪は兄妹です。お母さんにお話を伺いました。
 7歳の次男は早産で生まれてきて、体重が1500グラムしかありませんでした。
 言葉の発達が遅く、しょっちゅう歯で舌を噛んでしまいます。最近までお母さんしか何を言っているのか分からなかったのですが、現在特別な幼稚園に通っており、ずいぶん改善されてきたそうです。
 4歳の姪は食物アレルギーがあり、10歳の甥も次男もビタミン欠乏症、と言われたので今回の保養で、治したいとお母さんは話していました。 
 他の子どもは健康、ということでした。
 

(家族B)

 お母さんが2人の実子、1人の姪、1人の洗礼子を引率していました。この家族にも3個のビタペクトTを渡しました。洗礼子というのは、子どもが洗礼を受けるときに立ち会う1組の大人が必要なのですが、洗礼父、洗礼母、洗礼子という関係ができます。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。
 
母親(事故発生時12歳)17ベクレル
長男(15歳)30ベクレル ○
長女 (2歳)17ベクレル 
姪  (7歳)20ベクレル ○
洗礼子(15歳)22ベクレル ○

 長男は2歳のときに喘息を発症、4歳の時にはB型肝炎になりました。胆管が生まれつきねじれており、胆汁がうまく出ないそうです。学校の体育の授業はずっと休んでいるそうです。
 長男は小学生のとき、体内放射能を学校で測定してもらったことがあり、そのとき結果がよくなかったので、スピルリナをもらって飲んだことがあるそうです。
 長女は食物アレルギーがあります。
 姪はよく風邪をひくそうです。
 洗礼子は糖尿病患者です。糖尿病になる前からあまり視力がよくなかったのですが、発病後はさらに視力が落ちてしまったそうです。
 
 お母さんたちは2人とも、生殖器系の病気を持っているそうですが、詳しくは話してくれませんでした。
 聞き取り調査では言いにくいことは無理に尋ねないようにしているので、具体的にどのような病気なのかは分かりません。

 お母さんたちは
「情報をいろいろとありがとうございました。」
と感謝していたそうです。
「チェルノブイリ事故のことはもうずっと昔に起きたことだと、あまり意識していませんでした。でもこの保養に来たおかげで体内被曝の数値などもはっきり知ることができて、よかったです。改めて放射能のことを意識するようになれました。」
とも話していました。
 やはり自覚がないと被ばくへの対応もできない・・・と言うかしませんよね。

 今回もいつものように子ども達に折り紙、おもちゃの笛などをプレゼントしました。お母さんにはアクリルたわし。折鶴をあげるととても喜んでいました。
 きれいな便箋に子どもたちの名前を筆ペンで書いてあげると、びっくりしていました。

 最後になりましたが、ビタペクトTの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や手作りのアクリルたわしなど子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。


関東在住の方からのメールです

2012-02-11 | 放射能関連情報
 先日関東在住の女性の方からメールをいただきました。
 了解を得ましたので、簡単に内容を公開します。
 
 この方は湿疹ができていましたが、九州に1週間疎開、そしてアップルペクチン摂取によって症状が改善しました。しかしアップルペクチン摂取を終えた後、再び湿疹ができたそうです。
 体内被曝など測定をしていないので、被ばくと湿疹の関連性は分かりません。

 この方の親戚の小学生の男の子はだらだら出る鼻血、そして強い疲労感を訴えていました。
 しかしアップルペクチン摂取後、全て改善したそうです。
 この男の子も測定などはしていないので、被ばくとの関係は分かっていません。
 しかし2人とも震災前までは元気で暮らしていたのに、その後このような体の不調が出てきて、病院に行ってもよく分からないままだったそうです。

 私の元に多くの日本人の方からさまざまな症状を訴えるメールが来ています。
 私は医者ではありませんし、メールの文章からだけではアドバイスをすることもできません。
 また全ての人の全ての症状にペクチンの効果が出るわけではありません。
 しかしアップルペクチン摂取後、原因不明の症状が改善した、という日本人の方からの貴重なご報告ですので、ここにお知らせします。

 

日本文化情報センターの活動 出張講演 モロジェチノ中央図書館

2012-02-09 | 日本文化情報センター
 2012年2月8日にベラルーシの都市、モロジェチノにある中央図書館に出張講演へ行ってきました。
 依頼されたテーマは日本庭園。
 出席したのは私のほか、ベラルーシ国立植物園で未来の園芸家の育成もしている先生や地元で園芸を子どもたちに指導している先生も参加しました。
 私はモロジェチノに行くのは初めてだったのですが、とても町がきれいでびっくりしました。
「今は雪が積もっているけれど、夏はもっときれいですよ。」
と図書館員さんたちに言われました。次回はぜひ夏に行きたいです。

 図書館は町の中心部にあり、とても立派な建物でこれにもびっくりしました。
 シャンデリアがいっぱいぶら下がっていました。貸し出しコーナーに行って日本文学の棚を見ると村上春樹や井原西鶴など多数のロシア語訳が並んでいました。(侮るなかれ、ベラルーシの地方都市図書館・・・。)
 文学作品はたくさんあるけれど、情報を教えてくれるような文献や資料は少ない、という話でした。
 
 図書館内のホールには80人の人がやってきたので、平日の昼間なのにそんなに日本庭園のことが知りたい、という人がたくさんいるのか、とそれにも驚きました。
 さらには地元のテレビ局や新聞社も取材に来て、モロジェチノに日本人が来たのは初めてだから、と話していました。
(でもおそらくマスコミが把握してないだけで、以前にモロジェチノに来たことのある日本人はいると思いますよ。)

 私は日本庭園の画像を交えながら、簡単ですが日本庭園が発達してきた経緯や理由、古いタイプの庭から現代の家庭の中に取り入れられている庭まで、お話しました。
  
 モロジェチノ中央図書館の方からは
「日本には花見という習慣がある。」
という話が出ました。どうもベラルーシ人からすると
「じーっと花を眺める。」
と言うのは
「日々の雑多な家事や用事に追われているので、無理。日本人がやっていることは理解できない。」
ということなのだそうです。

 まあ、花見って言っても、日本人もいろいろですよね。
 わざわざ人里離れた桜の名所まで行く人もいれば、朝から場所取りして、夕方からお酒を飲んで騒ぐ(^^;)という場合もあるし、きれいな桜の写真を撮ることに情熱を注ぐ人もいます。
 でも
「日本人は世界で一番働き者なのでしょ? 残業ばかりしているし、いつ花を見ているの? そんな時間はあるの?」
ときかれたときは
「忙しいからこそ、ときどきお花を見て心をなごませないといけないんですよ。」
と答えました。
 図書館側からは
「ベラルーシでも花見の習慣を取り入れたらどうか。でも桜はないので、りんごの花ではどうか?」
という積極的な意見が出てきてまたまた驚きました。
 私も
「花見と言っても日本人のまねなどしなくていいので、ベラルーシ人に合った感じの花見スタイルを作ればいいと思います。」
と話しました。

 日本庭園から花見論に移って盛り上がったわけなのですが、そう言われてみれば今までもベラルーシ人から
「日本には花見という祭があるそうですね。」
とよくきかれていました。私はてっきり、日本といえば桜、そして花見というイメージからこういう質問が出るのだろう、と思っていたのですが、どうやら実はベラルーシ人からすると
「変なことを日本人はしている。」
というイメージを持っているから、印象に残ってしまう・・・ということらしいです。(初めてこのことに気がつきました・・・。)

「だって、ベラルーシであなたの近所の人が道端のたんぽぽをじーっと眺めていたら、『気が変になったのでは?』と思うでしょ?」
とまで植物園の先生には言われるし・・・。
 満開の桜を見上げて大勢の日本人がニコニコしている様はベラルーシ人には「奇妙な光景」・・・のようです。

 しかし、ベラルーシ風の花見をやってみよう、という意見もベラルーシ人側から出ているので、これからどうなるのか楽しみです。
 
 このほか
「日本語を聞いてみたいから、詩を朗読して。」
と会場の人から言われました。これもベラルーシではよく頼まれることなんです。
 ベラルーシ人は幼稚園の頃から詩の暗唱を叩き込まれるので、得意なんです。そして日本人も同じように教育されていると思っているので、気軽に「詩を朗読して。」と頼んでくるんですよね。
 このようなことが全く得意ではない私はいつも世界で一番短い形式である詩、そう、俳句を読むようにしているのですが、(そうすると今度はすぐ「ロシア語に訳して。」と頼まれます。)あまりの短さに
「え、それだけ?」
という反応でした。(すみません。)

 でも図書館の方々がいろいろ準備などしてくれたおかげで、講演会はとてもスムーズに運びました。
 また機会があれば、モロジェチノに行ってみたいです。日本に興味がある人がこんなにいるとは思っていませんでした。
 そしてチロ基金からもこの図書館に資料文献の提供など行うことにしました。
 日本に関する興味が長く続いてほしいです。(まずはベラルーシ初の花見をモロジェチノでぜひ開催してほしいです。)

・・・・・・

 3月7日付のモロジェチノ新聞に記事が載りました。ロシア語ですが、このサイトで読むことができます。

Газета "Маладзечанская газета " № 18, 7 марта 2012г. "В японский сад – с Масако-сан" :

http://mgazeta.by/index.php?option=com_content&view=article&id=2081:2012-03-07-06-42-15&catid=136:2010-02-10-09-22-26&Itemid=536