ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

NHK サイエンスZERO 内部被ばくの実態を探る

2011-12-27 | 放射能関連情報
 12月17日にNHKが放送した番組サイエンスZEROの「シリーズ原発事故④ 内部被ばくの実態を探る」
 

http://www.dailymotion.com/video/xn1c1c


 これを見ると放射能被ばくによって発病することを解明するのは大変難しいと、つくづく思いました。
 被ばくと甲状腺癌の関係はチェルノブイリの場合、20年経ってからようやく科学的に因果関係がある、と認定されました。
 私は白血病は広島と長崎の原爆のときの事例で因果関係が証明されていると思い込んでいたんですが、違うんですね。
 そのほかの病気については全く認定されていないどころか
「まだよく分かりません。」
の段階です。
 何十年後の認定まで待ちましょう、と言っても、普通の人なら「そんなの遅い。」と感じるでしょう。
 
 とにかく被ばくが与える健康への影響を科学的に解明するのは非常に時間がかかる(もしかするといつまで経っても解明されない可能性がある)ことは、この番組を見てよく分かりました。
 やはりチェルノブイリの事例を参考にして、今から被ばくしないように対策を取っておくほうが、絶対いいと思います。
 取り越し苦労になる、とか科学的に解明されていないのだから大丈夫! と思う人もいると思いますが、対策を早め早めにしている人たちのことは、そっとしておいてあげてください。

 それから番組中、チェルノブイリ事故後生まれた人に甲状腺癌を発症した人はいない、とデータが出てきますが、癌でなくても甲状腺肥大などの異常はベラルーシでは年齢に関係なく今でもとても多いです。 
 また甲状腺にヨウ素だけではなく、セシウムも蓄積している、という研究発表もベラルーシにはありますので、
「福島第一原発事故後に生まれたから安心! 放射能のせいで病気にはならない。」
と思い込むのも危ないです。
 番組ではあくまで甲状腺癌に注目して、話を進めていました。
 チェルノブイリ後では他にもいろいろな病気が増えていますし、甲状腺癌はたった一つの例です。
 また比較的生存率が高い、と言われている病気ですが、一生ホルモン剤を飲み続けないといけないし、手術が成功しても完全に健康体に戻れるわけではありません。
 
 ベラルーシは風土病で慢性的に甲状腺のヨウ素が不足しているので、特にこの甲状腺関係の病気が増えました。
 日本にはこんな風土病はないのですから、ベラルーシのように甲状腺癌患者が増えるとは思いません。
 それより、他の病気にかかる可能性を考えて、今から被ばく対策をしてください。

土とカリウム

2011-12-27 | 放射能関連情報
 食品への基準値が厳しくなると、消費者はより安全な食品が食べられるようになる、と安心します。
 しかしその一方で生産者は状況が厳しくなると感じます。
 するとここで「健康が優先か、経済が優先か?」という議論になってしまうのですが、私自身は健康が最優先なのは当然としても経済の位置は2番目にしてほしいです。健康のために経済を全部犠牲にしてはいけないです。
 日本の経済状況が悪化すると、今のベラルーシのようになってしまいます。
 経済状態が悪くなると、薬が手に入らなくなったり、難しい手術が自国で受けられなくなったり、その前に医療の世界、医療技術の進歩などが萎縮してしまいます。 
 そうなると助かる命も助からなくなります。日本はベラルーシのようになってはいけません。そのためにも経済力、国力を持つことが大事です。

 2011年12月25日付asahi.comより。

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112250256.html



 汚染米、カリウム濃度影響か 福島県と農水省が中間報告

 福島県産のコメから国の暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、県と農林水産省は25日、原因分析の中間報告をまとめた。基準超えのコメがとれた水田は、土のカリウム濃度が低かったり、浅い層にセシウムが多かったりといった傾向があった。カリウム肥料の少なさや深く耕せなかったことがコメのセシウム吸収につながった可能性が原因として考えられるとしている。

 県などは、土質や栽培方法、水や周辺環境などが複合的にかかわったのが原因とみて、引き続き調べる。また、農水省はこれらの分析結果も参考に、来年度の作付けの基準を検討する。

 県などは、基準超えのコメがとれた22カ所と、その周辺の基準以下のコメがとれた9カ所で田の土を採取。農家から与えた肥料の量を聞き取るなどした。

 その結果、土の中に含まれるカリウムが少ないほど、コメに含まれるセシウムが多いとの関係がわかった。カリウムはセシウムの吸収を抑える効果があるとされる。基準超えの田のカリウム濃度は100グラムあたり6.7ミリグラムで、福島市の平均の3分の1程度だった。カリウム肥料が少ない分、セシウムを取り込みやすかったとみられる。

 また、基準超えの田では、土の深い層に比べ浅い層でセシウムが多かった。地表から5センチまでの層は、5~15センチの層より平均3.6倍高かった。多くは山間部の狭い場所にあり、トラクターなどが入れず深く耕すことが難しかった。このため、イネの根の張り方が浅く、地表近くのセシウムを吸収しやすかった可能性がある。

 また、山林をつたってきた沢水を引き込んだ田が多かった。県などは、玄米が育つ夏前後に、山林などからセシウムが流入した可能性があるとみている。

 一方、基準超えの田の土に含まれるセシウムは1キロあたり2321~1万1660ベクレルと幅があり、土壌とコメのセシウム濃度に明確な関係はなかったという。(井上亮、木村俊介)


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 今から来年のことを考え、土壌にカリウム肥料を入れるなど、工夫をしてください。
 日本人の主食はお米なのですから、日本で育ったお米を全て食べられるように(安心して買えるように)日本人はしてください。
 日本の農業が萎縮するのはよくないことです。経済に影響します。
 放射能の問題に絡んで健康か?経済か? ときかれるときに「経済優先です。」と答えると「健康優先です。」と思っている人から冷血人間にみたいに言われることもあるかもしれません。
 でも健康問題も経済問題も全てどこかで繋がっています。完全に切り離して対抗させる問題ではないと思います。
 

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第127回」

2011-12-26 |   ビタペクト配布活動
 12月26日にビタペクトTと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第127回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクトTを7個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2とビタペクトTは合計1883個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1660部となりました。
 今回で通算137回目のビタペクトT(ビタペクト2)と「チェルノブイリ:放射能と栄養」の配布となりました。
 延べ人数ですが、1883人の子どもにビタペクトT(ビタペクト2)を、1660家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクトTを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a



 今回は2家族がSOS子ども村に保養滞在していました。引率してきていた2人のお母さんは姉妹ですが、それぞれの家族にお話を伺いました。


(家族A)
 カリンコビッチ市(チェルノブイリ原発から約100キロ)の近くにあるボブロビッチ村から来た家族。お母さんが6人の子どもを引率していました。この家族には5個のビタペクトTを渡しました。
 6人の子どものうち1人は年の離れた弟。家族Bのお母さんは妹なので、兄弟のうち3人が保養に来たことになります。
 3人は実子。2人も親戚の子ども(姉妹)でした。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。
 
母親(事故発生時10歳)9ベクレル
長女(14歳)14ベクレル
長男(10歳)27ベクレル ○
次女 (5歳)27ベクレル ○
弟 (14歳)21ベクレル ○
女子(12歳)21ベクレル ○
女子(10歳)26ベクレル ○

 子ども達の健康状態ですが、弟以外は健康だそうです。
 その弟ですが、胆嚢の働きが弱く、胆汁がうまく分泌されないという病気(というより体質)だそうです。
 神経系統の病気も持っています。
 ビタペクトTをあげて大丈夫ですか? とSOS子ども村の医師リリヤ先生に確認しましたが
「かえってビタペクトTを飲むほうが胆嚢の働きがよくなるから、ぜひ飲むように。」
という答えでした。よかったです。
 お母さんは
「チェルノブイリ事故当時を知っているのは私だけなのに、私が一番放射能値が少ないのはどうして?」
と不思議そうにしていました。
 結局はお母さんが受けた被曝(放射能)は新陳代謝の結果、体外に排出したのと、食生活がよいからだと思います。
 子どもたちはおそらく食品(特に家以外の場所で食べたもの)による被曝を受けているのだと予想されます。
 それから体重が少ない(年齢が低い)と、どうしても体重1キロ当たりの放射能値は多くなります。
 同じ汚染された物を食べても、太ったお母さんとやせた子どもでは、体重1キロあたりのベクレル数に開きが出てしまいます。


(家族B)
 モズィリ市(チェルノブイリ原発から約90キロ)から来た家族。お母さんが3人の実子と2人の親戚の子ども(兄弟)を引率していました。この家族には2個のビタペクトTを渡しました。
 結局2家族の全員が親戚同士です。お正月をSOS子ども村で迎えることになって、大喜びでした。
 
それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。
 
母親(事故発生時6歳)19ベクレル
長男(10歳)18ベクレル 
長女 (6歳)23ベクレル ○
次男 (1歳) 0ベクレル 
男子(10歳)15ベクレル 
男子 (4歳)20ベクレル ○

 お母さんにお話を伺いましたが子どもたちは全員持病などもなく、健康ということでした。
 今回は元気な子どもがほとんどでうれしかったです。
 でもやはり体重1キロあたり20ベクレル以上は心配です。ビタペクトTをちゃんと飲んで、0ベクレルにしてほしいです。

 画像は記念撮影のようすです。クリスマスツリーの前でみんな笑顔ですね。(1人保養とは関係ない子どもが写っています。)
 日本のことを紹介するお話もしましたが、お母さんも子どもたちもけっこう日本のことをよく知っていました。
 お母さんがいろいろ教えているのでしょうね。
 ヨウ素を多く含む海草を食べましょう、と話すと1人だけが「いやだー。」と答えた以外はみんな「海草大好き!」と言っていたので、ベラルーシにも海草食文化が浸透してきているように感じ、うれしかったです。

 今回もいつものように子ども達に折り紙、絵葉書などをプレゼントしました。お母さん方にはアクリルたわし。
 絵葉書は富士山で、いい初夢を見てほしいな、と思いました。(もっともベラルーシには初夢の言い習わしがないのですが・・・。)(^^;)
 絵葉書に筆ペンで名前を日本語で書いたら、とても喜んでいました。
 お正月ももうすぐなので、リアルな野菜やお菓子の形をした消しゴム、おもちゃの笛、竹とんぼ、折鶴をあげるととても喜んでいました。さっそく竹とんぼを飛ばして遊んでいました。
 よい年を迎えてほしいですね。

 最後になりましたが、ビタペクトTの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や手作りのアクリルたわしなど子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。
 来年もまたこの活動を続けます。

乾燥きのこの基準値

2011-12-23 | 放射能関連情報
 日本の食品に対する基準値が4月から改正されそうで、よかったと思います。
 日本の対応は早いほうですよ。チェルノブイリの場合は、政治的にも経済的にも混乱していた時期と重なっていたので、基準値が改正されたのは、ソ連崩壊後で、それぞれの独立国家が独自に定めることになりました。
 日本の場合、問題は早い時期に厳しくするのはいいけれど、測定できる器械が十分かどうかです。
  
 ところでベラルーシの基準値について
「ベラルーシは厳しい。日本も見習うほうがいい。ただ乾燥キノコだけは日本の基準値より緩くて、1キロあたり2500ベクレルだけど・・・(どうしてなんだろう?)」 
という意見の方がおられます。(日本の食品の基準値は1キロあたり500ベクレルなので。)

 まずはこちらの記事をお読みください。
 2011年12月20日のAsahi.comより。

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干すとセシウム倍に シイタケ産地悲鳴「検査法変えて」

 干しシイタケから国の基準値を超す放射性セシウムの検出が相次いでいる。乾燥で重量が減り、1キロあたりのセシウム量がはねあがるためだ。干しシイタケは通常、水で戻して食べるため、産地では検査のやり方に疑問の声も上がる。

 発端は東京電力福島第一原発から約300キロ離れた静岡県伊豆市。10月、販売業者が自主検査した干しシイタケから国の基準値(1キロあたり500ベクレル)の2倍の値が出たと県が発表した。この春に加工したものだった。県の再検査でも超えた。県は原発事故後に加工した伊豆市の干しシイタケの出荷自粛を決めた。

 「こんなに離れたところでまさか、こんなことになるなんて」。同市椎茸(しいたけ)組合の鈴木博美組合長(63)は困惑する。その後の検査で鈴木さんの地区は自粛が解除されたが、今年600キロほど収穫した干しシイタケの4割が売れ残った。

 干しシイタケは、保存性に優れるだけでなく、乾燥によってうまみが濃縮されるため、だしとしても重宝され、この季節、おせち料理の煮しめにも使われる。

 半面、水分がなくなる分、生よりも重さが約10分の1に減る。県は、基準値超えの原因が「乾燥」にあるとみて、水に戻した状態でも測った。干した状態で599ベクレルだったのが、10分の1以下の49ベクレルと基準値内に。水に溶け出したセシウムも23ベクレルだった。県は「食べる状態では健康に問題ない」と呼びかけた。

 その後、検査が広がり、19日現在で同県を含め、神奈川、群馬、栃木、福島の5県で計39件の基準値超過が見つかっている。

 地元の農協は、国に検査方法の変更を求める署名活動を実施し、全国の生産者に賛同を呼びかけた。今月12日には、水で戻して食べる状態にしてからの検査を訴え、厚生労働省と農林水産省に緊急要請をした。

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 引用は以上です。
 このように乾燥きのこに関しては、水で戻して重さが10倍になることを想定して、ベラルーシは1キロあたり2500ベクレルの基準値を定めています。
 つまり水で戻した乾燥きのこ1キロあたり250ベクレルが基準値であるとお考えください。

 日本も新しい基準値を作るときはざっくり「食品」という分類にしないほうがいいです。
 新基準案では、「一般食品」(肉も野菜もいっしょくた・・・)が1キロあたり100ベクレルですが、もっと細かく分類すべきです。
 摂取量の多い米は別扱いにしたほうがいいし、前述の乾燥キノコは10倍の1000ベクレルまでOKにするか、干ししいたけ生産者・販売業者さんたちの訴えどおり、水で戻して食べる状態にしてからの検査にしたほうがいいですよ。

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 2011年12月23日付毎日jpより。


http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20111223ddm001040067000c.html?link_id=k_kanren_news_body



<東日本大震災>食品セシウム新基準了承 茶など飲用状態で検査--厚労省部会

 食品に含まれる放射性セシウムの新しい基準値について、厚生労働省は22日、新設する「乳児用食品」を1キロあたり50ベクレルなどとする案を薬事・食品衛生審議会の放射性物質対策部会に提案し、同部会は了承した。国民からの意見募集や文部科学省の放射線審議会への諮問を経て、来年4月に施行される見通し。(3面に「質問なるほドリ」、26面に関連記事)

 新基準値案はコメや野菜、肉などの「一般食品」が同100ベクレル、「牛乳」が同50ベクレル、「飲料水」が同10ベクレル。「乳児用食品」の対象は粉ミルクやベビーフードなど乳児向けに販売される食品。「乳児用食品」と子供の摂取量が特に多い「牛乳」については、「子供は放射線の影響を受けやすい」と指摘されているため、「一般食品」の半分の同50ベクレルとした。

 茶や乾燥食品の検査方法も定め、茶は「乾燥させた原材料の状態と飲用にする状態で形態が大きく異なる」として、お湯に入れた状態で検査し「飲料水」の基準値を適用する。乾燥シイタケなどは、原材料と水戻しして食べる状態の両方に対し「一般食品」の基準値を適用するとした。

 暫定規制値の検査をパスして流通した今年のコメや大豆、牛肉は半年~9カ月間の経過措置を設ける。加工食品は来年3月末までに製造されたものは、賞味期限が切れるまで暫定規制値を適用する。しかし、賞味期限は長いもので2年あり、委員から「新基準に適合しない食品が長期間流通するのは消費者の混乱を招く」と指摘され、厚労省が経過措置を再検討する。【佐々木洋】

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 乾燥キノコについてはこれでよかったんでしょうか。
 「原材料と水戻しして食べる状態の両方に対し「一般食品」の基準値を適用する」というのが何だか変な感じがするのは私さけでしょうか?
 もっと検査は簡素に(でも確実に)するほうがいいと思います。これから何十年、何百年と検査を続けないといけないのですから・・・。

 





NHKあさイチの放射能測定再検証

2011-12-16 | 放射能関連情報
 10月にNHKの番組「あさイチ」が特集を組んだ「放射線大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査」で発表した測定値が正しくなかったとして、11月に謝罪、そして12月15日の放送で再検証する内容が放映されました。


http://www.j-cast.com/tv/2011/12/15116527.html?p=all


 視聴した方はさまざまな感想があると思います。
 私も複雑な気持ちになりました。
 いろいろ思うことはあるのですが、一点だけ。
 今回の測定結果で、セシウム134が検出されていないのにセシウム137は検出されていた、というケースです。
 セシウム134は半減期が2年なので、チェルノブイリ原発由来のセシウム134は現在、検出されることがありません。
 そのため、日本の食品の中からセシウム134が出てきたら、これは福島原発由来のものだと、言い切ることができると思います。

 しかしセシウム137のほうは半減期が約30年で、300年ぐらいは検出され続けます。なので当然ベラルーシでもセシウム137の測定を中心に行っています。
 今回の番組内の調査で、セシウム134が検出されていないけど、セシウム137が検出された場合、このセシウム137はチェルノブイリ原発由来の可能性がある、ということでした。

 これを聞いて、変な気持ちになりました。え、そうだったの? と思いました。
 これが正しいとすると、1986年にチェルノブイリ原発から日本へ飛んできたセシウムが、、25年経過した現在でも日本人の食事の中に入っていた、ということです。福島に近いとか遠いとか関係ないです。
 と言うことは、かれこれ25年もの間ずっと、微量ですが日本人はチェルノブイリ由来のセシウムを食べ続けてきた、ということになります。

 これをどうとらえるかですね。核実験が多かった60年代も放射能の値は増えていたんだし、25年間チェルノブイリ原発のセシウムを食べていても日本人全員病気というわけではないんだから、放射能なんてどうってことない、大丈夫と思う人もいるでしょう。 
 逆に、すでに今まで被曝し続けていたのか、だったらこれ以上の被曝は極力避ける努力をしよう、と思う人もいるでしょう。
 
 番組内では自然界から受ける生きている限り避けられない放射能のことや、いろんな種類の放射性物質があるということも話していましたね。
 こういうこと聞いていると、被曝は避けられないのか、と暗い気持ちになる人が増えてしまうような気がします。
 でもやはり若い人ほど、被曝量を下げる努力をするほうがいいと私は思いました。
 
 それにしても、やっぱり原発は一国だけの問題じゃないですね。こんなに広範囲、長期間にわたって放射能が拡散してしまうんですから・・・。

おかげさまで重版決定しました

2011-12-15 | 放射能関連情報
 世界文化社から出版された「自分と子どもを放射能から守るには」の重版が決定しました。すでに5刷となりました。
 本書をお買い上げくださった皆様、本当にありがとうございます。
 読者の方のお役に立てれば本当にうれしいです。

 私の手元にも重版の献本が届いております。やはり手にとってページをめくることができると、感慨深いものがありますね。本っていいなあ、なんて改めて思いました。
 個人的には本のページからベラルーシらしさがにじみ出ているのがうれしいです。
 うちの子からは「絵がかわいいからステキな本。」と感想を言われましたが・・・。(あの・・・翻訳の部分は・・・?)
 
 とにかく放射能、と言うだけで暗いイメージがどうしてもありますが、ただ怖がるだけではなく、放射能が周囲にあっても生きていく、という考え方に日本も変わっていくしかないのだと思います。
 この本を読んで少しでも前向きになれた、という感想をお持ちの方が増えたらうれしいです。 
 
 正直に申しまして、発売前はこんなに版を重ねるとは思っていませんでした。
 翻訳著作権料をたくさんいただきまして、恐縮しております。
 日本人に降りかかった放射能問題のために、このような関連書がたくさん売れるようになりました。著作権料をいただくのはもちろんうれしいのですが、反面それだけ心配されている方が多い、という証拠ですし、またいただいた著作権料を困っている人のために還元できないかどうか、ずっと考えていました。

 このたびその一部をチロ基金に寄付しました。
 そして11月に実施されたゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会へ支援活動の支援物資購入のためのお手伝いをさせていただきました。この活動について詳しくはこちらでご報告しております。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/a044392edb86222cfe30d917c76b41b3


 ほかの使い道についてはまだ模索中です。この本をお買い上げくださった皆様、本当にありがとうございました。


2011年12月15日付の産経新聞でもこの本のことが取り上げられましたので、リンクを貼っておきます。
内部被曝から身を守ろう ベラルーシの専門家が出版(産経新聞) - goo ニュース

日本人形コンテスト 番外作品 「福島への愛」

2011-12-11 | 日本文化情報センター
 今回の人形コンテストに出品されていた作品のうち、4作品がとても似ていたことにお気づきの方もいるでしょう。
 そう、エントリーナンバー(6)「茶の湯」とエントリーナンバー(7)「寿司」とエントリーナンバー(8)「帝の愛する鳥」とエントリーナンバー(9)「ご主人様の望み」です。

 このうちエントリーナンバー(6)「茶の湯」とエントリーナンバー(7)「寿司」を作った作家さんは同じ人です。
 この方はベラルーシでは有名な若手人形作家さんです。
 この作家さんは2人弟子がいます。そのうちの1人がエントリーナンバー(8)「帝の愛する鳥」を製作し、もう1人のお弟子さんがエントリーナンバー(9)「ご主人様の望み」を作りました。
 そのためこの4作品は作風が似通っているのですね。

 このブログでコンテストのことをお知らせしてしばらく経ったある日、私が再び人形展へ行くと、「茶の湯」と「寿司」がいなくなっていました。
 あれれ、どこへ行ってしまったのですか? と主催者さんに尋ねると
「チェコで開かれる人形フェスティバルに出品することになったので、作家さんがこの間持って帰ってしまった。」
ということでした。
 もしかするとチェコの人形展で日本人の方が、ベラルーシ人作家の作った日本がテーマの人形を見たかもしれません。

 その後この作家さんは新しい作品を作ったので、人形展の途中から追加展示することになりました。
 それがこの「福島への愛」という作品です。
 本当はこの作品もコンテストに出品したかったそうですが、間に合わなかったそうです。そのためこの作品はコンテスト参加作品ではありません。

「この作家さんが作る作品は、ぱっと見ただけで『ああ、あの人は作ったんだな。』とすぐ分かるなあ。」
と思いながら拝見しました。
 お人形なのですが、作家さんの意図するところがすごくよく分かる作品でした。
 おぼろな薄いピンク色の着物は震災、原発事故が起こった春を表し、また桜の色なので日本を象徴しています。
 黒い色は起こってしまった苦悩。
 頭のかんざしは放射線状に伸び、放射能の拡散を表しています。髪に貝があしらわれているのは汚染されてしまった太平洋の海のこと。
 お人形は未来の方角を眺めて、心配そうな表情です。泣いているようにも見えます。
 悲しい気持ちになります。でも作品名は「福島への愛」なんですね。
 愛があるからこそ、の表現なのですね。

 ・・・と感じました。と作家さんに話すと
「そう、そのとおりなんです。私がこの作品で表現したことが、全部分かっていただけたと思います。」
と話していました。
 この作家さんは普段は西洋風のお人形(金髪だったり、バラの花やレースやリボンのついたドレスを着ているお姫様のような)作品を作っている方です。
 でも今回の人形展のテーマが日本だったことから、
「映画や本、それにインターネットでいろいろ調べました。」
そうで、
「日本文化に今、非常に触発されています。今後しばらくは日本をテーマにした作品を作っていきたい。いろいろアイデアが浮かんでいるんです。」
と話していました。
 
 かなり大きな作品なので、一体作るのに2ヶ月かかるそうです。ただいくつかのお人形を平行して作成しているそうです。
 (作っているところを見てみたいです。)
 この方はもともと新聞記者をしていたのですが、趣味だった人形制作を本業にすることにして、新聞社を退社したのだそうです。

 全ての心のこもった作品に、作家さんたちありがとう! と思いました。
 日本からの投票数が少なくてすみません、と主催者団体側に言いましたが
「それでも日本人がベラルーシのこのようなコンテストでメールを通じて参加したのは初めてのこと。日本人の方々の意見も知ることができて本当によかった。」
と話していました。
 思っていたほど日本からの投票数が伸びなかったのは、おそらくこのブログを見に来る日本人の方、というのは放射能のことを心配していて、チェルノブイリ関係の情報がほしくてアクセスする方がほとんどだからだろうな、と思いました。
 きっと放射能のことが心配で頭がいっぱいの状態で、人形どころではないのでしょう。
 ・・・と私なりの解説のようなことも主催者側に話しました。
 ベラルーシ人側は
「それはそうでしょう。当然です。今の日本人の方のお気持ちは分かります。25年前もここでは大変な状況でしたから・・・。」
と理解を示してくれました。

 でも私が感じたことは文化や芸術も人間に必要だ、ということです。
 原発事故が起こったために、日本とベラルーシの距離は短くなりました。
 「チェルノブイリの祈り」を書いたベラルーシ人ジャーナリストのスベトラーナ・アレクシエービッチは
「恐怖が世界を一つにする。」
と日本での講演会で話したことがあります。
 放射能への恐怖が、日本人とベラルーシ人の心を近づけた・・・と思います。

 でも恐怖が民族をつなげる、と思うと、寂しい気持ちになります。
 恐怖だけではなく、文化や芸術といった美しいものも、異なる民族をつなげてほしい、と思いました。
 そのような意味においては、この人形展「日本玉手箱」は大きな役割を果たしたと思いますし、コンテストに投票してくださった方の心もいっそうベラルーシに近くなったのでは・・・と思います。

 たかが人形・・・ではないと思うんですよね。
 そして社会の中でいろいろ混乱が起きると、どうしても経済が最優先となってしまいます。
 今放射能が食品にまで拡散した日本では「経済優先か健康が優先か」という議論が起こっています。
 芸術作品より今日口にする食べ物のほうが優先されるのは当然です。
 食べないと生きていけませんから。

 でも今回の人形展の作品を見ていて、私は圧倒される思いでした。
 ベラルーシでは今、経済危機がずっと続いていて、混乱状態にあります。解決策は見出せていない状態で、これからどうなるのかも全く分かりません。
 そんな状況にも関わらず、芸術作品を作っている人がこんなにたくさんいて、しかも立派な展示会も開催しています。
 来場者も大勢いました。作品を買い上げるコレクターもちゃんといて、最終日は展示されていた作品の数が減っていて会場がすかすかな感じになっていました。

 経済的には全く自慢できる国ではないのですが、文化に対する人々の姿勢を見ていると、ベラルーシは実はすごい底力を持っている国で、底力を持っている人もたくさん住んでいるところなのではないか・・・と思えてきました。
 文化が滅んだり、あるいは滅んでもいい、と思っている人ばかりの国・・・のほうが危ういと思いました。
 日本も問題は山積していますが、文化が滅ばないうちは大丈夫!
 ・・・このようなことを考えさせられた人形展でした。日本文化情報センターも参加できて本当によかったです。
 日本の関係者の皆様、ありがとうございました。
 
 せっかくですので、投票終了後はコンテスト出品作品の画像は公開しない予定でしたが、このまま公開をこのブログ上で続けることにします。 

人形展コンテスト おまけの画像

2011-12-10 | 日本文化情報センター
 人形展の会場には「あなたが一番好きな人形はどれ?」という人気投票も行われていました。
 投票箱のような箱が置いてあって、そこに作品名を書いた紙を入れて投票する形でした。
 とてもたくさんの投票があったと思います。
 その結果も最終日に発表されました。
 それがこの作品です。
 とてもリアルで、細かいです。
 このおじさん人形が耳に挟んでいるタバコなんて、長さ1センチ、直径1ミリぐらいです。
 おばさん人形が持っているバッグも手作り。作成した作家さんは
「これは私の主人がモデルで、こっちの人魚は私がモデルなのよ。」
と笑っていました。
 そう、このおばさん人形、よく見ると足が魚になっている人魚なんです。
(こういう顔をしたベラルーシ人が・・・本当にいますねえ。)
 ・・・というわけでたくさんの作品の中からベラルーシ人来場者が選んだ人気ナンバーワン作品はこちらでした。
 

日本人形コンテスト結果発表 3位!

2011-12-10 | 日本文化情報センター
 こちらは第3位に入ったエントリーナンバー(5)「三つの春」です。
 この作品も高評価でした。
 三つの作品で大きな時間の流れ、親から子、孫へと続いていく世代の流れ、伸びていく桜の木・・・を表現していて、すばらしいと思。小さい作品なのに、大きなテーマを表現できていますよね。
 私は個人的には
「ああ、このおばあさんのお人形・・・。こういう顔のおばあさんも日本にいそう・・・。」
と思っていました。(^^;)

 作家さんご本人は、
「製作前にいろいろ調べたけれど、まちがって女の子の人形の着物の襟の合わせ方を逆にしてしまいました。これを一番最初につくったのですが、その後に作ったお人形は間違えないように注意しながら作りました。」
と話していました。
 それにしても、やはりよく研究されていますよね、皆さん。

 日本で今年の春起こった震災を受けて、でもいつかまた桜の咲く春がくるようにと、再生の願いを込めて作られたそうです。
 作家さん、ありがとうございます。
 人の形をしたものがそのままお人形になるのではなく、深い考えや作家さんの想いを、お人形が表してくれることもできるのですね。

日本人形コンテスト結果発表 2位!

2011-12-10 | 日本文化情報センター
 こちらは同点2位に入った作品エントリーナンバー(12)「ベラルーシ風招き猫」です。
 この作品も人気がありましたねえ。 
 日本の招き猫、というお人形でしかもお守りアイテムである招き猫を、ベラルーシ風にアレンジし、二つの文化を融合させた、という点が高く評価されたと思います。
 作り方も丁寧ですよね。
 この作家さんはふだんから猫を題材にした作品を主に作っている方で、猫だったら簡単に作ってしまいそうです。
 作家さんにお話を聞くと
「このコンテストのことを聞いたとき、私も出品しよう!」
と思ったそうです。
 そしてお友だちで日本へ行ったことのある人がいて、お土産に小さい招き猫をくれたそうです。
 家で飾っていたのですが、今回の製作にあたり、それをじーーっと見た後、作業に取りかかり2日間で一気に自分の招き猫を仕上げたそうです。

 2位に入って大変喜んでおられました。
 日本人である私は会場にいると、見に来たお客さんに
「この抱えている鳥は日本ではどういう意味を持つのか?」
ときかれ、答えられませんでした。(^^;)
 招き猫の手の上げ方の意味については説明できるけど・・・
 やはりただ日本人形の真似をするだけではなく、作家さんの考えが反映されているのがいいですよね。

日本人形コンテスト結果発表 2位!

2011-12-10 | 日本文化情報センター
 人形コンテスト2位に入ったのは2作品でした。そのうちの一つがこちらエントリーナンバー(10)「秋の誕生」です。
 いっしょに写っているのは作家さんです。
 実際には2人の作家さんの共同制作です。ここには写っていないほうの作家さんが、この人形の着物を作りました。
 刺繍も全て手作りのオリジナル作品です。
 
 実は私はものすごく悩んでいたのですが、最終的にこのお人形に1票を入れました。
 どうしてかというと、最初会場で見たときに
「あ、このお人形、顔を白塗りしているけど、この化粧を落としたら・・・日本にこういう顔した人いるわ!」
と思ったからです。
 あと着ている着物の刺繍も作家さんのデザインで自分で一針ずつ刺してあるところに、手間ひまかけて作ったのだろうなあ、と感心しました。

 作家さんにお話を聞いたところ、一ヶ月半かけてつくったそうです。作る前には、文献を調べたり、日本映画を見たりして髪型や着物について研究したそうです。
 手に持っているのはかんざしだそうです。でも魔法の杖でもあるらしいです。

 会場で
「実はこの作品に私から1票いれたんですよ。」
と話したら、作家さんは突然
「このお人形あげます。」
と寄贈を申し出てくれました。
 びっくりです! (展示会は即売会も兼ねていて、世界に一つしかない作品ばかりなので、どの作品もかなり高価なのです。)
 本当にいいんですか? と何度も念を押してしまいました。
 でも「どうぞ、どうぞ。」と言われるので、ありがたくいただき、今は日本文化情報センターで展示してあります。(^^)

 お人形にはよく見るとカードがついていました。
 そこに作品名と作家さんの氏名が書いてありました。
 私はこのお人形の作品名を「秋の誕生」と訳していましたが、よく見ると「秋の生まれのアキ」とありました。
 つまりこのお人形の名前はアキさんなんですね!
 
 実際に製作年月日も秋で、カードに記載されていたのですが、これをよく見ると・・・
 私の誕生日と同じ日でした!!!
 (アキさんは2011年生まれなので若いですけどね・・・)(^^;)

 アキさんと私は誕生日が同じなんですね。
 これも何かの運命ですね。
 2人でこれから日本文化情報センターで働きます!

 

日本人形コンテスト結果発表 1位!

2011-12-10 | 日本文化情報センター
 11月4日から12月10日までミンスク州立図書館内のギャラリーで行われていた、ベラルーシ人人形作家さんたちの作品展示会。今年のテーマは日本でその名も「日本玉手箱」。
 展示会場で行われた、ベラルーシ人作家さんたちによる日本人形コンテストの結果発表が最終日に行われました。

 コンテストにはこのブログを通じて日本の方からのメールによる投票も募りました。
 皆様からいただいた投票数がそのまま審査基準となりました。つまり日本人だけで選んだ結果です。
 メールを通じて20票の投票をいただきました。そこへ私の1票も追加して全部で21票になりました。
 その結果はこのとおりです。

第1位 エントリーナンバー (2) 「東洋のモチーフ」  7票
第2位 エントリーナンバー (10) 「秋の誕生」 4票
第2位 エントリーナンバー (12) 「ベラルーシ風招き猫」 4票
第3位 エントリーナンバー (5) 「三つの春」 2票

 そのほか
エントリーナンバー (1) 「折鶴を持つ少女」 
エントリーナンバー (6) 「茶の湯」 
エントリーナンバー (7) 「寿司」 
エントリーナンバー (13) 「くま侍」 
 ・・・の作品にも1票ずつ入りました。

 投票してくださった皆様、本当にありがとうございます。
 投票数が予想以上に少なかったのが残念ですが、それでも私1人が審査員をするより、20人の日本人の方の意見が反映されてよかったと思いました。
 ベラルーシ作家さんで審査員をされた方の票はここには入っていないのですが、会場で意見を聞くとベラルーシ審査員もエントリーナンバー(2)「東洋のモチーフ」に票を入れていました。
 つまり日本側が推した作品と、ベラルーシ側が推した作品が一致していた、ということです。
 私は日本人の感覚とベラルーシ人の感覚は違うだろうから、異なる結果になると思っていましたが、予想が外れました。
 ベラルーシ人審査員の方のお話では
「技術面でレベルが高い作品。」
ということでした。ちなみにこの作品はフェルト細工です。
 色使いも細かい指先の表現も繊細で、かわいらしいのに幽玄な日本の詫び寂びの世界も表していると、日本人からもベラルーシ人からも高評価でした。

 ・・・というわけで「東洋のモチーフ」は堂々の1位です!
 1位から3位に入った作家さんには表彰状が主催者団体から送られました。
 また1位の作家さんには日本文化情報センターから記念品が贈られました。大したものではないのですが、今後も和風のお人形を作るために必要になるかもしれない、材料類(和風の文様が入った布など。)です。
 和風の模様が入った紙もお渡ししました。
 何と言ってもプロの人形作家さんですから、これを生かして、新しい作品を創ってくれることでしょう。
 
 ただ1位の作家さんは表彰式を欠席していて会えませんでした。ミンスクではなく地方都市在住の方で、しかもお子さんが病気になってしまったのです。
 主催者側から必ず表彰状と記念品を渡してくださるそうです。
 すでにご本人には電話で連絡してあるのですが、1位になると思っていなかったそうで、電話口でとても驚いていたそうです。

 画像にはこの作品といっしょに女性が写っていますが、この女性は作家さんではありません。この作品を購入した人形コレクターさんです。
 人形展が始まって間もない頃、この人形を見て
「本物の日本人だわ。」
と一目ぼれしてしまったそうで、作家さんに購入を申し出たそうです。作家さんは展示が終了したら、持って帰ってください、と言っていたそうです。
 それが1位になって、コレクターさんは「やっぱり!」と思ったそうです。
 この写真撮影後、包装されこの方のおうちへお嫁にもらわれていきました・・・
(日本人形さん、達者でなーと思いました。)

ベラルーシ人人形作家による「日本人形コンテスト」投票締め切りました

2011-12-09 | 日本文化情報センター
 一ヶ月に渡り日本人の皆様の投票を募っておりましたベラルーシ人人形作家による「日本人形コンテスト」ですが、12月8日をもちまして締め切らせていただきました。
 投票してくださった皆様、貴重な日本からの1票、ありがとうございます!
 ベラルーシ人審査員の票も加えて、12月10日の閉会式にて、結果発表が行われます。
 そのときのようすはこのブログ上でも発表します。
 どの人形が1位になったのか、興味深いところです。
 投票された方はもちろん、そうでない方も楽しみにお待ちください。
  

ゴメリ州における糖尿病児童数

2011-12-02 | 放射能関連情報
 チロ基金は2005年から「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」に支援を行っています。
 前々から関係者の方から
「チェルノブイリ原発事故後、子どもの糖尿病が増えており、放射能被曝との関連性が疑われる。」
と何度も聞いていました。
 今回、協会長さんに
「どれぐらい増えているのか、とか放射能との関連性があるという研究結果などのデータはありませんか? もしあれば教えてほしい。」
 と頼んでみました。会長さんは了解してくれ、モズィリの病院で尋ねてきてくれたのですが、そいうデータは開示していないとかいろいろ言われ、見せてもらうことはできなかったそうです。
 しかしここ16年にわたり、ゴメリ州では毎年「ゴメリ州住民の健康と環境」というデータをまとめて発表しています。
 発行もしているそうですが、なかなか手に入りにくいです。発行しているのはゴメリ州立衛生・伝染病学・公衆健康センターで、公的機関です。
 今年、2011年も2010年度版が発行されました。
 その一部を会長さんが手渡してくれたので、読んでみました。糖尿病のことだけではなく、いろいろな疾病疾患のことが載っています。
 とりいそぎ糖尿病のことについてのデータをお知らせします。

(その後検索してみると、ロシア語版しかありませんが、ゴメリ州立衛生・伝染病学・公衆健康センターはサイトを持っており、そこで「ゴメリ州住民の健康と環境」以外にもゴメリ州の健康状態に関するさまざまなデータを見ることができました。)

http://gmlocge.by/ru/Reviews/


 「ゴメリ州住民の健康と環境 2011年度発行」にはゴメリ州における糖尿病の発症者数の推移のグラフが19ページに記載されています。
 これによると、ゴメリ州全体では、発症率(その年糖尿病を発症した人の数)は、1986年で人口10万人に対して112.7人です。それが2010年には234.2人になっています。
 全体(全ての年齢層)で言うと、1986年から微増し、1991年と1992年に156.5人と158.6人、と最初のピークがあります。
 その後は減り続け、1994年かた1997年に横ばい状態になりますが、1998年から一転、増加傾向となっています。

 ここで注目したいのは全ての年齢層の罹病者数のほかに、14歳までの年齢の子どもの罹病者数もグラフになっていると言う点です。
 どうしてこのように区別したかというと、子どもがかかる糖尿病というのは1型糖尿病であるからです。


http://ja.wikipedia.org/wiki/1%E5%9E%8B%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85


 ウイキペディアからの引用になります。
 
 ・・・1型糖尿病は糖尿病の一種である。しかし、生活習慣の影響による糖尿病は2型糖尿病といい、それに対し1型は自己免疫性疾患であるため、両者は全く異なる病気である。

 ・・・2型の主な治療法である食事療法や運動療法を行っても、1型の場合は効果がほとんどない。そのため、インスリン療法を中心に行う。インスリン療法は、強化インスリン療法とその他の治療法に分けられる。

 ・・・今日ではペン型注射器などが開発され、発症者の大半である小児でも自分で打ちやすくなった。

 ・・・発症率(0~14歳)は日本では10万人に約1.5人である(1993年日本糖尿病学会小児糖尿病委員会より) 


 ウイキペディアからの引用は以上です。
 そしてゴメリ州における14歳以下の年齢の子どもが糖尿病(1型糖尿病)を発症した率もグラフになっているのですが、このようになっています。
 このグラフをこのブログでそのまま見られるようにできればよかったのですが、どうもうまくいかないので、文章でお知らせします。

 1986年(チェルノブイリ原発事故発生年)には10万人に対して、3.0人。
 1987年は4.2人。
 1988年は3.7人。
 1989年(チェルノブイリ原発事故から3年後)には9.5人に急に増えました。
 1990年(4年後)には4.9人と減りますが、その後増え続け、全ての年齢層では横ばい状態だった1994年(8年後)から1997年(11年後)の間に1型糖尿病の発症率は一度ピークがきます。
 1991年は6.3人。
 1992年は9.8人。
 1993年は13.0人。
 1994年は16.1人。
 1995年は13.7人。
 1996年(事故から10年後)は13.3人。
 1997年は8.2人。
 1998年は9.0人。
 1999年は9.7人。
 2000年は7.5人。
 2001年は12.1人。
 2002年は8.3人。
 2003年は8.6人。
 2004年は12.7人。
 2005年は14.8人。
 2006年(事故から20年後)は11.0人。
 2007年は8.3人。
 2008年は15.6人。
 2009年は15.2人。
 2010年は13.0人。

 全ての年齢層のほうの発症率は1型と2型糖尿病の合計です。2型は生活習慣が原因である場合がありますので、放射能は関係あるかどうか決定できません。
 しかし1型のほうは自己免疫性疾患であり、その原因が放射能被曝である可能性は全くないとは言えません。

 この発表されたデータには、数字が示されているだけで、放射能被曝との関連性については述べられてはいません。
 患者数が増えたことは認めているものの、原因についてははっきりと記述していないのです。
 
 このデータをもって、放射能被曝のせいで、子供の糖尿病患者が増えた、とは言えません。
 しかし1986年に10万人に対して、3.0人だった発症率が、16.1人、つまり5倍以上にまで増えた時期もあったことや、24年経っても13.0人である、ということは事実です。
 
 モズィリ市糖尿病児童協会の会長さんは福島の原発事故の影響を大変心配しており、
「日本でこれから子供の糖尿病患者が増える可能性がある。」
と話していました。
 そして
「発病してからでは遅い。それに糖尿病以外の病気の患者もチェルノブイリ後増えているのだから、とにかく日本の皆さんは被曝しないように早め、早めに対応策を取っておいてほしい。」
 と何度も私に話していました。

 「ゴメリ州住民の健康と環境」というデータには糖尿病以外の病気のデータも掲載されています。
 これからこのブログ上でその内容を少しずつ翻訳して公開していこうと思っています。