ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第232回」

2018-10-15 |   ビタペクト配布活動
 10月15日にビタペクトと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第232回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はビタペクトを10個と、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー1部を渡しました。  
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2646個、セルロースの合計は150個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは2194部となりました。
 今回で通算248回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2646人の子どもにビタペクトを、約143人の子どもにセルロースを、2194家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)


http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html



(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/bb1fb7afb4cac464789e2684181e7d42


(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80


 チロ基金は以前ビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。

 今回は2家族がべトカ(チェルノブイリ原発から約150キロ)から保養滞在していました。

(家族A)

 この家族はいわゆる家庭タイプ孤児院の家庭です。お母さんが8人の養子や里子を引率していました。
 2013年にも保養滞在していたことがあります。そのときの様子はこちらをご覧ください。
チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第144回」

 ただし、前回の保養にも今回の保養にも参加したのは、母親と男の子一人だけです。
 この家族には5個のビタペクト3を渡しました。それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果は以下のとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時25歳)45ベクレル
養女(11歳) 30ベクレル ○ 
養女 (8歳) 18ベクレル  
養女 (6歳) 22ベクレル ○
養子 (4歳) 25ベクレル ○
男子(14歳) 16ベクレル 
男子(13歳) 30ベクレル ○ → 22ベクレル ○
男子(12歳) 28ベクレル ○
女子 (5歳) 18ベクレル  

 このうち養子の4人は兄弟で、両親、両祖父母全員が若くして亡くなったとかで、このお母さんの一家の養子に最近入ったそうです。
 4歳の男の子はアレルギー体質、14歳の男の子は喘息を持っており、13歳の男の子は歩行困難の障碍があります。
 このお母さんは長年、恵まれない子どもを引き取っては育て続けていますが、最近はさまざまな子ども手当が減ってきているそうです。
 この家の子ども達はイタリアやベルギーに保養に行っていますが、毎年全員行っているわけではなく、やはり予算の関係で、行ける年もあれば、行けない年もあり、いわゆるチェルノブイリの子どもたちのための海外保養の機会も縮小傾向にあるようです。
 歩行が難しい13歳の男の子ですが、2回の手術を受けて、だいぶ歩けるようになりました。
 しかし、このような手術を障碍児認定されている子どもは無料で受けられるはずが、
「最近は個人負担です。」
と病院側から言われて仕方なく、イタリアで保養を受け入れた家族から援助してもらって、手術代を工面したそうです。
 お母さん自身は糖尿病患者ですが、インスリンは国から無料で受け取っています。


(家族B)

 お母さんが6人の子どもを引率していました。この家族には5個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果は以下のとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時14歳) 15ベクレル
養子 (6歳) 27ベクレル ○
養子 (5歳) 19ベクレル 
男子(11歳) 26ベクレル ○
女子 (9歳) 27ベクレル ○ 
女子 (9歳) 29ベクレル ○ 
男子 (8歳) 25ベクレル ○
 
 お母さんにお話を伺いましたが、子ども達は比較的健康だそうです。
 お母さん自身は甲状腺肥大と関節痛に悩んでおり、お父さんは胃潰瘍だそうです。
 数年前に一軒屋に引越し、化学肥料は一切使わない自然農法で育てた野菜と果物だけ食べるようにしている、と話していました。
 昔、近くの森できのこを集めて、洗ったり、ゆでたりして、放射能を除去したと思ったものの、念のため検査してもらったら、「やっぱり食べてはだめなレベル」の放射能が検出されて、捨てたそうです。それ以来、きのこを森で集めて食べるのは一切やめた、ということでした。
 どうしてもきのこが食べたい場合は、室内栽培されているマッシュルームを店で買ってくるそうです。
 
 チェルノブイリ原発事故が起きた日、このお母さんの祖母(当時70代)は、、
「手足の関節が痛い。」
と訴えていたそうです。中学生だったお母さんは、
「年のせいだろう。」
と軽く考えていましたが、その後、べトカでは、30代40代で、関節痛に悩む人が増えたそうです。
 さらに小児がんが増え、生まれてすぐにがんが見つかるケースすらあった、とこのお母さんは話していました。

 この2家族が住んでいるべトカは汚染地域に指定されていましたが、今では汚染地域ではなくなり、住んでよい地域になっています。若い人向けの住宅も建設され、18歳になると優先して入居できます。ただし、入居を始めてから5年以内に規定の価格を支払えば、自分の持ち家になりますが、それができなかった場合、借家住まい扱いになり、家賃を払い続ける、という決まりだそうです。
 べトカの人口は増え続けており、安心な地域、ということになっていますが、実際にはそこに住む子ども達は内部被曝を受けています。
 また、安全宣言を出されていますが、周囲には「放射能があるため、立ち入り禁止の森」もたくさんあります。
 またべトカにはWBCのある病院があり、無料で検査を受けられます。
「これで本当に安全な地域と言えるの?」
とお母さんたちは話していました。


 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、日本語で子どもの名前を書いたカードなどをプレゼントしました。
 子ども達は、日本語に強い関心を示して、
「日本語を勉強したい。」「日本に行ってみたい。」
と口々に話していました。
 それぞれ悩みを抱えた子どもたちだと思うのですが、明るい夢を持ってほしいなあ、と思いました。

 画像は記念撮影した様子です。この後も、ツーショット写真をみんなからせがまれて大変でした。(^^) 
 
 最後になりましたが、ビタペクトの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に深くお礼申し上げます。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。