ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第104回」

2010-06-21 |   ビタペクト配布活動
 6月21日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第104回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を11個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1699個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1430部となりました。
  
 今回で通算114回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1699人分のビタペクト2、そして1430家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by



 今回は2家族がSOS子ども村に来て保養滞在していました。それぞれのお母さんにお話を伺いました。

(家族A)

 ゴメリ市(チェルノブイリ原発から約140キロ)から来た家族。この家族には5個のビタペクト2を渡しました。お母さんには3人の実子がいますが、そのうち1人の子ども、2人の姪、そして5人の子どもを引率してきていました。このお母さんは地元の多子家庭と障害児を支援する協会の会長で、5人の子どもはその会の会員です。
 お母さんの実子は2009年9月に、祖母に引率されてSOS子ども村に保養滞在していました。そのときの様子はこちらの記事をご覧ください。
チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第96回」(家族A)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/f09ebd298248eb3f7f5c1299bdf04770


 それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親(事故発生時14歳)9ベクレル
三女(12歳) 23ベクレル ○ → 22ベクレル ○
姪 (10歳) 15ベクレル
姪  (4歳) 23ベクレル ○
男子(14歳) 12ベクレル
男子(10歳) 20ベクレル ○
女子(10歳) 11ベクレル
男子(10歳) 23ベクレル ○
女子 (6歳) 24ベクレル ○
 
 お母さんの話によると、12歳の三女は心臓が弱く、さらに慢性胃炎を患っているそうです。心臓の精密な検査を受けたいと考えていますが、ゴメリ市の病院の医者のレベルは低い、と全く信用していません。と言うのも、このお母さんは第4子に当たる子どもを生後8ヶ月で亡くしています。その理由は医療ミス。
 熱が出て、むずかったので、医者に診せると「それは歯が生えてきたから。」と診断され、それを信じていたところ、3日後に意識がなくなったの救急車で集中治療室に運ばれたのですが、15時間後に死亡。正しい診断がされて、もっと早くに適切な治療が受けられていれば、死んでいなかったと、病院を訴える、ということもしたそうです。(ベラルーシでは珍しいケース。普通は泣き寝入りすることが多いです。)
 ゴメリの病院を信用していないのなら、首都ミンスクの病院はどうなのかと尋ねると
「すでに専門病院を訪ねたけれど、『ゴメリの人はゴメリの病院に行きなさい。』と門前払いされた。」
と怒っていました。
 この三女は去年の9月にも23ベクレルでビタペクト2を飲んだのに、また同じレベルにまで体内放射能値が増えていたので、お母さんはがっかりしていました。
 三女といっしょに保養に行っていて今回は来なかった二女も
「同じように放射能値が戻ったにちがいない。お金がかかってもいいからビタペクト2をミンスクで買って帰りたい。」
と心配していました。

 姪2人は免疫力が異常に低く、風邪をひいていないときのほうが時間で言うと少ないそうです。4歳の姪は慢性中耳炎で、夏でもちょっと風が当たると、すぐ中耳炎になるので、外出しているときは、耳を覆う帽子をかぶらないといけないそうです。
 14歳の男の子は喉の病気で治療用のスプレーを常に携帯しています。10歳の女の子も慢性胃炎。20ベクレルだった10歳の男の子は小腸の病気、さらに鼻が少しずつ曲がってきている(左右非対称になってきている)ので、近い将来、治療しないといけない、と話していました。
 23ベクレルの10歳の男の子と6歳の女の子は兄妹です。持病はありませんが、お母さんが第三子妊娠中にインフルエンザにかかって流産してしまい、精神的なショックから立ち直れず、上の子ども2人を今回の保養に連れてきたそうです。

 引率したお母さんが会長をつとめる多子家庭の協会には現在187家族が所属しているそうです。モギリョフの企業と契約を結び、食料品を受け取っては、各家庭に分配しているそうです。食料品と言っても、小麦粉や植物油などベラルーシ人家庭にとってはあって当たり前のものばかり。衣服や靴を配るときもありますが、食料品が一番喜ばれるそうです。
 でもこれはよく考えたら、相当経済的に困っているということになります。

 この協会はイタリアからの支援も受けていて、ときどき子どもたちが選ばれて、イタリアに保養に行っているそうです。そういう機会を逃さず、病気の子どもは治療を受けさせているそうです。
  

(家族B)

 ゴメリ州トゥーロフ市(チェルノブイリ原発から約180キロ)から来た家族。6個のビタペクトを渡しました。この家族には8人の子どもがいますが、上の子ども2人は16歳以上になっているので、今回は6人の子どもがお母さんといっしょに保養滞在していました。 
 それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親(事故発生時10歳)13ベクレル
男子(16歳)30ベクレル ○
女子(15歳)24ベクレル ○
女子(14歳)33ベクレル ○
女子(10歳)19ベクレル ○
男子 (8歳)29ベクレル ○
女子 (7歳)23ベクレル ○

 お母さんの話によると、16歳の男の子は7歳のときに病気になり、その後長期間歩けなかったそうです。現在は元気になりましたが、最近は背骨の異常が見つかり、治療を受ける予定だそうです。
 10歳の女の子は右耳が慢性中耳炎。さらに話すことが非常に苦手で、家族以外とはほとんどしゃべることがなかったそうです。他人と話すことに緊張してしまい、引きこもりがちでしたが、1年前から専門医の指導を受け、発音もよくなり、だいぶ改善されたため、今は外出もできるようになったそうです。
 7歳の女の子はおねしょが治らず、心配していました。
 14歳と10歳の女の子はアイルランドに保養滞在したことがあるそうです。トゥーロフ市にある多子家庭協会に所属しているからなのですが、やはり食料品や衣類、毛布などを支援物資としてもらっているそうです。
 しかし、この家族は子ども全員にビタペクト2をあげることになったほど、測定結果がよくなかったです。
 今回は保養に来なかった18歳の娘は、7歳ぐらいまで普通に育っていたのに、どんどん視野が狭くなってきてほとんど目が見えない状態になり、さらに病状が悪化するにつれ、ストレスから精神病になってしまったそうです。放っておくと暴れて手をつけられなくなるので、投薬で神経を鈍らせ、反応を遅くするようにしているそうです。完治しそうになく、こんなことってあるのかと恐ろしいです。
 ストレスのせいで精神病、というより、神経のどこかに異常があるので、視野も狭くなってしまったのでは・・・そのほうを治すほうがいいのでは・・・と素人ながら、考えてしまいました。 
 
 この家族は大家族なのに、お母さんの父親の家に同居しているそうです。お父さんと2人で必死で働いており、近々ローンを組んで一軒家を購入する予定だそうです。 このローンを返すのがまたまた大変だろうな、と思いました。16歳の男の子は、家事の手伝いもして、とてもしっかりした子でした。いろいろ苦労しているだろうけど、家族同士助け合っているんだろうな、と思いました。

 今回も子どもたちに折り紙やぬりえのプレゼントをしました。そして今回は特別に日本の昆布のプレゼント!
 これは北海道、昆布の名産地、羅臼にお住まいのSさんからのプレゼントなのです。昆布を作られているSさんからの心のこもった贈り物です。Sさんからのお手紙によると、旨みのある昆布をつくるために手間隙、そして長い時間がかかるそうです。
 プレゼントしたのは乾燥昆布とそのまま食べられるおやつ昆布。(懐かしい!)
 ベラルーシにも昆布サラダが売られていますが、細く切られて、他の野菜と混ざっている状態です。乾燥昆布も売られていますが、こちらも細切りの状態で袋詰めされているので、ベラルーシ人は昆布の真の姿を見たことがありません。
 今回の「折りたたんである状態」の羅臼昆布を見て、みんなびっくり!!!
 「え、これが昆布?」「知らなかった・・・。」
 お母さんたちは「どうやって料理するの?」と必要な分だけ切って使う、ということすら知りませんでした。
 いつも配っている「チェルノブイリ・放射能と栄養」のコピーですが、この本の中には昆布料理レシピが載っているのです。
 昆布入りハンバーグというのもあるので、ベラルーシの子どもたちにぜひ食べてもらいたいですね。

 いつものことながら、風土病で慢性的にヨード不足のベラルーシ民族にいかに昆布が大切なのか、力説してきましたので、保養滞在中からさっそく食べることでしょう。
 SOS子ども村の職員さんたちも「体によさそう。味見したい。」と話していました。(はさみで切ってみんなで仲良く分けてね!)

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、昆布をわざわざ北海道から送ってくださったSさん、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。

ロシアとベラルーシ、ガス紛争再燃か 納金巡りトラブル

2010-06-21 | ベラルーシ生活
 とりいそぎ更新しておきます。一体これからどうなるのか。いつもは暖房が必要になってくる11月ごろにこういうベラルーシとロシアの間のエネルギー問題が出てくるのですが、6月にすでにこのような事態になるとは・・・。

ロシアとベラルーシ、ガス紛争再燃か 納金巡りトラブル(朝日新聞) - goo ニュース


ロシアとベラルーシ、ガス紛争再燃か 納金巡りトラブル 2010年6月19日23時50分

 【モスクワ=星井麻紀】ロシアとベラルーシの間で「ガス紛争」の危機が高まっている。ロシアの政府系天然ガス独占企業「ガスプロム」が、ベラルーシ側に約2億ドル(約180億円)の未払い金があると主張。精算できない場合は契約に従い、21日からガス供給量を85%減量すると18日に発表した。

 ガスプロムによると、ベラルーシとの今年の契約では第1四半期が千立方メートル当たり約169ドル、第2四半期が同約184ドルだが、ベラルーシ側は昨年の契約料金の同150ドルで支払っているという。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は18日、「この問題は交渉中だ。我々は負債はないと考える」と話した。ロシアは昨年末、ベラルーシに適用してきた石油の特恵関税をほぼ全廃すると通告し、ベラルーシ側は強く反発。この問題での不満が今回の対応につながったと見られる。

 両国間では2007年8月にも同様の問題が起きたが、ロシア側の最後通告にベラルーシが応じて全額を支払い、ガス供給停止は回避されている。ロシアの天然ガスは、欧州向けの7割がウクライナ経由、3割がベラルーシ経由で供給されており、欧州への影響も懸念されている。

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 ちなみにこちら発のニュースでは、21日午後、すでに「2週間以内に納金します。」と発表。弱気・・・と言うか、そうするしか方法がないようです。

北京五輪ハンマー投げメダルのゆくえ

2010-06-11 | ベラルーシ生活
 とりあえず更新しておきます。

室伏の繰り上がり銅なし…CAS“逆転裁定”(スポーツニッポン) - goo ニュース

2010年6月11日(金)06:01
 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は10日、北京五輪陸上男子ハンマー投げで国際オリンピック委員会(IOC)がドーピング違反で失格とした2位のワジム・デビャトフスキーと3位のイワン・チホンのベラルーシ2選手による提訴を認める裁定を下した。

 両選手は資格を回復し、5位の室伏広治(35=ミズノ)の繰り上がり銅メダルはなくなった。CASによると、北京の検査所での検査手続きに不備があったため、違反と断定するには根拠が不十分と判断した。

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 一応これで決まりましたよ、ということなのですが、すっきりしませんね。しかも2年もかかっている。こんなに時間がいるものなんでしょうか。選手たちも気の毒。メダルがあっちに行ったりこっちに行ったり。
 すごく大事なことなのに、もっとしっかりしてほしいですね、オリンピックのドーピング検査所。
 次のオリンピックではこういうもやもやなしで、すかっと試合参加、そして美しいメダル授与をしてほしいです。