ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシ下院議員選挙

2008-09-30 | ベラルーシ生活
 9月28日ベラルーシ下院議員選挙が行われました。
 反政府派が「選挙をボイコットしよう!」と呼びかけるデモや集会を行いました。
 その様子を画像で見たい方はこちら。

http://www.nn.by/index.php?c=ar&i=20313


 この画像だけ見るとすごく国内が混乱しているように思えますが、実際には選挙は無事行われました。街中も平穏です。

 先日、日本のテレビの番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」でベラルーシが取り上げられ、独裁国家、独裁大統領にもこんないいところがある、と紹介されましたね。
 ルカシェンコ大統領は、自分のことを「独裁者」とは思っていないと思いますよ。会ってきいたわけではないから、はっきり分からないけど、「強権を持った大統領」とは思っているでしょう。
 私は「独裁者」と「強権を与えられた大統領」は別だと思います。
 
 ベラルーシ人にもいろいろな考えの人がいます。
「ルカシェンコ大統領は独裁者だ! 選挙をボイコットしよう!」
とデモをする人(全体から見れば少数派。)もいれば
「ベラルーシには(政治・経済面においてまだ不安定なので)長期政権が不可欠。有能な大統領に多くの権利を与えて長い期間で采配をふるうほうがいい。」
という人もたくさんいます。

 ベラルーシのマスコミもそれぞれの姿勢から選挙のことを報道していました。
 でも政府寄りだから、デモがあったこと自体を報道しない、ということはありませんでした。政府系マスコミも反政府系のデモのことを(批判しつつも)隠さずちゃんと報道していました。
 
 ほんと、いろんな人がいて、いろんな立場、いろんな紹介のされ方、見方がありますよ。
 
 ついでに私が言いたいのは、これです↓
 選挙ボイコットを訴えたベラルーシ人よ、あなた方がデモを計画して、何かと言いたいことがあるのは分かるし、言いたければいくらでも言ってくれ。
 しかし!
 「ボイコットしよう!」シールをうちの児童図書館の外壁や入り口のドアやらに貼るのはやめてほしい。掃除する人の身にもなってください。
 特に図書館裏にあるゴミのコンテナーにシールを貼ってどうする?
 こんなとこに「ボイコット」シールを貼っても誰も見ないよ。(ゴミ収集車の職員ぐらいは見るかもしれんが。)
 しかも、このシールを苦労して剥がしている私の身にもなってほしい。

 ついでに書くけど、私はボランティアで、センターが入っている児童図書館の外壁の落書きを消しています。
 日本のテレビでミンスクの町並みを「きれい。」「北朝鮮みたい。」と紹介していたそうですが、ミンスクにだって、汚くて落書きだらけのところはいっぱいあるんですよ・・・
 私が落書きを消しているのは、将軍様のためでも国家のための奉仕でも何でもなく、ただ日本文化情報センターを開設する場所を与えてくれた、児童図書館に対する恩返しのつもりでしているのです。
 落書きを消しつつ、こういうシールを剥がすこともしているのです。

 前述のサイトの画像にもあるけど、「ボイコットしよう」と落書きしている、反政府派の方々よ、母国の現状を憂うのは勝手ですが、そんなことを主張しつつ街の景観を汚すような落書きとシール貼りをするのは、何だか矛盾してませんか? 
 政府批判をする前に、もっと自分が住んでいる街を大切にしようよ・・・
 貼ったシールは全部自分たちで剥がしてくれい・・・。バス停の時刻表にシールを貼るのも迷惑になるのが分かっていない・・・。こんな人たちに政治を批判する資格はない。
 
  
 

T家の放射能測定結果

2008-09-27 | チロ基金
 チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第75回」でご報告していますが、6月17日に私とS夫は体内放射能値を測定しました。(詳細はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/dbd61bc492c498b84f0865f8f90d0b28


 このとき測定結果が13ベクレルだったS夫はその後、一ヶ月に渡りビタペクト2を摂取しました。
 0ベクレルだったものの、カリウム値が少ないという結果だった私は、高カリウム食生活を開始しました。
 その後8月に入り、私の両親がベラルーシへ来て、二人とも放射能の測定をしたい、という希望だったのと、私たち夫婦が再測定、娘も測定させたかったのとで、みんなそろってベルラド研究所へ行くことになりました。

 しかし、そこで知らされたのは、ベルラド研究所の創立者でもあったネステレンコ所長の死去のニュースでした。
 享年74歳でした。物理学者で、ベラルーシ科学アカデミー会員でもあったネステレンコ博士は、チェルノブイリ原発事故後、科学アカデミーのやり方では、事故の影響を正しく判断できないと考えて、科学アカデミーを去り、ベルラド研究所を設立。研究メンバーをそろえて、放射能汚染地域を回り、独自の汚染度調査を行いました。
 そして体内放射能値を座るだけで測定できる装置を導入して、ベラルーシ各地の住人の体内放射能値を測定し、膨大なデータを集めました。
 さらにベラルーシでは唯一の、体内放射能を排出する働きを持つ健康食品「ビタペクト2」を開発しました。
 本当に惜しい人を亡くしました。ベラルーシにとって損失です。チェルノブイリ原発事故被害者のためにどれほど多くのことをなしえたのか、ネステレンコ博士の業績は計り知れない大きさです。

 前回の放射能の測定をした6月、お話したのが最後になるとは思っていませんでした。そのときはお元気そうに見えたのに・・・研究所員の話では、持病を抱えつつも最後まで働き続けたそうです。
 ベルラド研究所は、新しい所長にはネステレンコ博士の息子さんが就任し、再スタートを切りました。どうかこれからも末永く、ビタペクト2を作り続けてほしいです。
 現在のところビタペクト2を摂取する以上に有効な、体内放射能の排出方法がないのですから・・・
 ここにネステレンコ博士の生前の業績に敬意を表しつつ、ご冥福を謹んでお祈りいたします。
 
 8月29日、まだ悲しみに包まれたベルラド研究所で、体内放射能の再測定をしました。
 前回13ベクレルで、ビタペクト2を摂取したS夫は11ベクレルに下がっていました。
 カリウム値は153グラムのノルマのうち130グラムしかなく、不足している、と判断されていたのですが、今回は149グラムのノルマのうち、114グラムで、改善していない、と判断されました。
 でも、ちょっと待ってくださいよ。どうして、ノルマの値まで下がってしまったのでしょう?
 それは「2キロ痩せたから」です。カリウムのノルマの値は、性別、年齢、体重によって異なるのです。
 放射能値は劇的に減らなかったものの、S夫は痩せました。
 ビタペクト2を飲んだS夫に起こった変化とは、
「トイレに行く回数が、1日4、5回に増えた。」
でした。と言っても、下痢(軟便)ではなく、そういう状態も飲み始めた最初の1週間ぐらいでおさまりました。
 これはペクチンが持つ整腸作用により、宿便が排出され、体重が軽くなったと思われます。
 これはいいことですねえ。S夫君にはちょっと痩せてほしいと思っていたので、うれしいことですよ。

 次に再測定の私です。前回0ベクレルだったので、気をよくしていたら、今回は22ベクレルでした。どうして???
「それは放射能に汚染されたものを食べたからです。」
と所員さんに言われました。そう言えば、1週間前にグロドノ州に行ったときに森で集めたキノコを食べたけど・・・
「でもたくさん集められなくて、一人当たり2、3個しか食べていないし、グロドノ州って汚染地域じゃないですよね・・・?」
(普段SOS子ども村で、非汚染地域でも高い放射能値の結果が出ている子どもたち大勢に出会っているので、↑このセリフを言う私の声は小さい・・・)
 所員さんからは
「どこのどの食べ物が安全という保証はないですよ。」
とあっさり言われてしまいました。

 カリウム値も44グラムのままで、全く変化なし。
「毎日ココアを飲んで、干しぶどうを山盛り食べてください。ビタペクト2も飲んでね。」
と言われてしまいました。とほほ・・・
 仕方ないので、今回は私自身が実験台となり、ビタペクト2を飲んで再測定に望みます。再々測定結果をお楽しみに・・・

 そして、初測定のY子。結果は20ベクレル。キノコか、大好きで毎日飲んでいる牛乳が原因、と言われました。
 カリウム値は40グラムのノルマに対し39グラムで、一応合格。ただし成長期の子どもだからノルマを超えているほうが好ましい、と言われました。
 親子で干しぶどうを毎日かじるしかないですねえ。

 それから日本からベラルーシへ来たばかりの私の両親。(しかし今までほぼ7年連続ベラルーシに来ていて、ベラルーシでいろんな物を食べているという日本人。)
 父は16ベクレル。母は22ベクレルでした。(母は私と同じ値。)
「キノコをいっしょに食べたんですか?」
と所員さんからは言われました。
 今度からは汚染地域だろうがそうでなかろうが、ベラルーシでキノコをとったら、「チェルノブイリ:放射能と栄養」に掲載されているように、キノコを調理(流水できれいに洗ってから、30分間煮沸すると9割の放射能がキノコから水のほうへ移る)して、放射能を除去してから食べます・・・

 カリウム値は父は88グラムのノルマに対し53グラム。母は59グラムのノルマに対し47グラム。
「少ないです。食品からカリウムをどんどん摂取してください。」
と言われました。

 その場でビタペクト2を購入し、その日のうちに干しぶどうと干しアンズを市場で買いました・・・。
 次の日から家族全員でビタペクト2を飲み始めました。
(ただしS夫は「11ベクレルなんかどうってことないから飲まなくていい。」と飲んでいません。)

 その結果、父は翌日から
「ヨーグルトに混ぜて飲んだら、便秘になっていたのが治った!」
と大喜び。ペクチンの整腸作用が効いたようです。
 子どものY子もヨーグルトに混ぜると嫌がらず食べてしまいますね。ビタペクト2は水に溶かすより、食べてしまうほうが摂取しやすいと思います。

 2週間ほど続けた後、私の両親は帰国してしまいましたが、私とY子は飲み続けています。
 約20ベクレルと放射能値が特別多いわけではないので、1日に1回(ティースプーンすりきり一杯)ずつ飲んでいるのですが、そうすると1ヶ月ちかく経過した今でも1パック全部飲みきれていません。
 とりあえず、SOS子ども村で子どもたちに渡しているのと同じ条件にして、1人1パック全部飲み終えるまで続けてから、再測定に行こうと考えています。
 
 ビタペクトを現在飲んでいる私ですが、やはりS夫と同じように、トイレの回数が増えました。飲み始めた最初のうちは特に変化はあありませんでしたが、その後、トイレの回数が1日に2、3回に増えました。しかし下痢だとか、お腹が痛いといった症状は全くありません。
 そのような状態が1週間続いた後は、トイレの回数は元に戻りました。
(Y子はトイレの回数は特に増えていません。)

 そして、飲み始めて一ヶ月近く経過した現在・・・肌の調子がいいです! (^0^) 顔がすべすべになりました! (宿便が排出されて肌がきれいになった???)
 放射能値が減るより、こっちの効果のほうがよっぽどうれしいかも・・・(^^;) これは新発見ですねえ。

 それでは、自ら実験台になった私の再々測定結果をお楽しみに・・・!

(画像は体内放射能測定中のY子。ベルラド研究所にて。)


(チロ基金が行っているビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by


 




チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第79回」

2008-09-26 |   ビタペクト配布活動
チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第79回」

 9月11日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第79回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を13個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1518個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1170部となりました。
  
 今回で通算89目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1518人分のビタペクト2、そして1170家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by


今回、2家族が保養のためSOS子ども村に滞在しており、お話を伺いました。

(家族A)

 ゴメリ州ベトカ(チェルノブイリ原発から約150キロ)から来た家族。お母さんが2人の実子、2人の養子(1人は姪)、ポコリュビッチ村に住んでいる女の子を1人、引率してきていました。
 この家族には子ども全員に1個ずつ、合計5個のビタペクト2を渡しました。
 またこの家族は2006年11月にもSOS子ども村に保養滞在しており、ビタペクト2を飲んだ子どももいます。
 そのときの様子はHP「ベラルーシの部屋」内、2006年11月過去ログ、チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第51回」(家族A )をご覧ください。
 当時はゴメリ市の近くのポコリュビッチ村(チェルノブイリ原発から約140キロ)に住んでいました。 

http://belapakoi.s1.xrea.com/logs/2006/index.html


 各人の2006年度と今回(2008年度)の体内放射能値は次のとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親     13ベクレル   → 11ベクレル 
長女13歳  11ベクレル ○ → 29ベクレル ○
長男11歳  12ベクレル ○ → 24ベクレル ○
姪 19歳             23ベクレル ○
養子 6歳  10ベクレル   → 26ベクレル ○
女子14歳             22ベクレル ○

 残念ですが、2年前ビタペクト2を飲んだ子どもも、飲まなかった子どもも全員の体内放射能値が上がっていました。

 長男は甲状腺の肥大、そして足の骨が歪んでいる病気で歩行が困難なため、車椅子に乗っていましたが、現在は補助器具をつけて、自力で歩けるようになっていました。
 お母さんは腎臓結石と肝炎を患っています。
 この家族では姪を2人養女にしていますが、前回保養に連れてきていた姪(現在18歳)は今回は来ておらず、前回の保養で留守番をしていた姪が初めて保養に来ていました。
 6歳の養子の男の子ですが、とても背が低くて、3歳ぐらいにしか見えません。内分泌の異常が原因と医者に言われています。
 2歳のときに生みの親に親権を放棄され、この一家に引き取られたのですが、そのときすでに栄養失調のため発育が悪く、歯も1本も生えていなかったそうです。
 
 自分の家族も病気だったり、障害を抱えたりしているのに、姪二人や、さらに他人の病気の子どもを引き取る・・・お父さんはスラブ正教教会の神父さんだそうなので、こんなことができるのかもしれません。 


 
(家族B)

 ゴメリ市(チェルノブイリ原発から約140キロ)から来たお母さんが2人の実子、1人の養女、ゴメリ多子家庭協会の会員の子ども6人を引率してきていました。この家族には8個のビタペクト2を渡しました。
 またこの家族も2006年8月にもSOS子ども村で保養滞在しています。

 そのときの様子はHP「ベラルーシの部屋」内、2006年8月過去ログ、チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第48回」(家族A)をご覧ください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/logs/2006/index.html


 この家族の2006年度と今回(2008年度)のそれぞれの放射能値測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親    12ベクレル   → 13ベクレル
長男13歳 36ベクレル ○ → 31ベクレル ○
次男11歳 12ベクレル   → 30ベクレル ○
養女 4歳             0ベクレル 
男子14歳 11ベクレル   → 21ベクレル ○
女子13歳            37ベクレル ○ 
女子12歳 36ベクレル ○ → 20ベクレル ○
女子11歳            35ベクレル ○
女子11歳            20ベクレル ○
女子10歳            42ベクレル ○

 このうち、11歳と10歳の女の子は3人姉妹です。13歳と12歳の女の子も姉妹でルドニャ・モレモノワ(チェルノブイリ原発から約100キロ)に住んでいます。14歳の男の子もルドニャ・モレモノワに住んでいます。

 このお母さんなのですが、7年前に手術をして甲状腺を切除しています。ホルモン剤を一生のみ続けないといけません。13歳の長男、11歳の次男には吃音障害があったのですが、今回話をしてみると、ずいぶんよくなっていました。
 今回は年齢制限のため、保養に来ませんでしたが、長女(19歳)は心臓に欠陥があります。

 引率してきた12歳の女の子は脳炎にかかったことがあります。
 14歳の男の子は前回来たときはおねしょに悩んでいましたが、中学生になってもう治った、ということでした。よかったですね。

 4歳の養女は早産(妊娠8ヶ月)で生まれて、この子もすぐに生みの親から親権放棄されて、孤児院に入れられたそうです。その後、この家族に引き取られました。
 しかもこの女の子は小児麻痺のため、右ひざの関節が悪く、歩行に問題があります。ミンスクの病院で手術するようゴメリの病院で勧められましたが、今度は心音に雑音が聞こえたため、手術を拒否されました。ロシアへ行けば、すぐに手術はできると言われましたが、手術代に1500$かかると言われたそうです。
 そんなお金がないので、心音が正常になるまで待って、ミンスクで手術を受けることを希望しています。
 視力も低下が進み、弱視になりつつあるそうです。目の大きさが左右で違っていました。

 それにしても、自分も投薬生活を続けていて、子どもも完全に健康体ではないのに、さらに障害児も引き取って育てるなんて、このお母さんはすごい、と思いました。普通の人には簡単にまねはできませんよね。 


 今日本で議論されている赤ちゃんポストはベラルーシにはありません。生まれてすぐに産院で、親権放棄できるからです。そのほうが、子どもの命を守ることができ、生年月日も親の名前も、あるいは親がつけた自分の名前も記録できます。
 赤ちゃんポストの設置にはいろいろ議論があると思います。また出産直後に親権放棄できるベラルーシの制度にも、長短あると思います。
 ここではこのことについて議論しませんが、いわゆる捨て子に、血のつながりはないけれど、暖かい手を差し伸べる家族もいることを書いておきたいです。
 
 今回も子ども達に折り紙や絵葉書、日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪を子どもたちにプレゼントしました。
「これは難しいよ。」
と言ったのですが、折り紙より先に知恵の輪を外したい、とみんな順番にがんばっていました。(SOS子ども村の職員さんまで夢中になっていました。)(^^;)
 すると、30分ぐらいで外してしまいました。賢い! 

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、絵葉書や手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。





日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村 その6

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 そしてみんなで記念撮影をしました。

 茶の湯に参加してくださった皆さん、裏方で支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました!

 私たち一家は茶道については、名人でも何でもなく、趣味程度に習っていたことがあるだけですが、今回も多くの方のご協力のおかげで、日本の文化を今年もベラルーシ人に紹介することができました。
 この場を借りて、ご協力してくださった方々、SOS子ども村の方々にお礼申し上げます。
 また来年9月、菊の節句の頃に茶の湯をベラルーシで紹介したいと考えています。

日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村 その5

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 最後になりましたが、SOS子ども村と記念品の交換をしました。
 SOS子ども村の皆さん、どうもありがとうございます。(^^)
 こちらからも、日本から持ってきた記念品を渡しましたが、100歳の日本人女性の方が、作った折り紙の舟、2艘(大きいほうには七福神がのっています!)を贈呈しましたら、ベラルーシ人のみなさんはとても驚いていました。
 (日本人の私ですら最初見たとき驚きましたからねえ。)
 この折り紙舟はSOS子ども村で現在「長寿のお守り」として飾られています。 

日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村 その4

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 お抹茶のことは
「すごく濃い緑色をしている! 味もおいしい!」
というご感想をいただきました。ベラルーシでも中国製「緑茶」が売られているのですが、確かに抹茶みたいに緑色じゃないですよね。 

 そして「私たちも『お道具拝見』がしたい!」
とのご要望により、茶筅や茶勺を実際に手にとって見ていただきました。
「茶筅は1本の竹を細かく割って作るんですよ。」
と話したらびっくり。
「本当! つなぎ目がない!」
とみなさんじっくり見入っていました。
  

日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村 その3

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 子どもたちは果敢に茶の湯に挑戦したのに、SOS子ども村の職員さんたちは、なぜかもじもじ・・・
 一生に一度しかないかもしれない、お抹茶の味を試すチャンスなのに、どうしてみんなこんなに遠慮するのか・・・??? と思っていたら、
「正座ができないから・・・足がしびれて立てなくなる・・・」
と心配していたのだそうです。
 それで
「椅子に座ったままでもいいですよ。」
と言ったとたんに、「私も、私も。」と、このとおりずらり。(^^;)
 お菓子とお抹茶を楽しんでいただけました。

日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村  その2

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 踊りの後は茶の湯の歴史を簡単に紹介して、T家の人々(私、私の両親、娘のY子)4名で茶の湯の紹介(ロシア語解説付き)をしました。
 その後、自ら体験したい人は、どうぞ(^^)と呼びかけたところ、さっそく子どもたちが畳の上へ・・・
 渡された懐紙にも、干菓子やお饅頭にも興味津々。
 初めて茶の湯を見たはずなのに、ちゃんと正座して、茶碗を回してから飲む子どもたち。
 すごいですねえ。
 お母さんたちは
「茶道を目の前で見られるなんて、本当に私たちは運が良かった。子どもたちの一生の思い出になりました。」
と話してくれました。

日本文化情報センターの活動 茶の湯の紹介 2008・SOS子ども村 その1

2008-09-25 | 日本文化情報センター
 2008年9月9日、日本文化情報センターは創立9周年を迎えました。
 それを記念して、今年はSOS子ども村で茶の湯を紹介することになりました。
 今回で6回目の実施となりました茶の湯の紹介。 今までの「茶の湯の紹介」活動についてはこちらをご覧下さい。


2002年 日本文化情報センター創立3周年記念

2003年 グロドノ市立中央児童図書館

2004年 日本文化情報センター創立5周年記念

2005年 ポーロツク市立第7児童図書館

2006年 スベトロゴルスク市立中央児童図書館

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2004年からSOS子ども村に保養滞在している多子家庭の子どもを対象にチロ基金からビタペクト2を無料で配布しています。
 詳細はチロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村」をご覧ください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katsudou.html


 このような交流活動あったため、SOS子ども村から前から「茶の湯の紹介をしてほしい。」という要望があり、今年ようやく実現する運びとなりました。

 SOS子ども村はちょうど開村13年を迎え、その前夜祭のイベントの一つとしても、茶の湯を紹介することができ、私たちも感激ひとしおでした。
 会場となったホールには、SOS子ども村の職員さんのほか、チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第78回」
http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/542d2c8d29e4f56055492de964b6b511

のときにビタペクト2を渡した家族、白血病で闘病中の中学生の女の子も見学に来てくれました。

 茶の湯はまず、浴衣姿のY子の踊りで幕を上げました。


 

抗議に対する日本テレビからの反応

2008-09-22 | ベラルーシ生活
 9月19日に日本テレビに、20日に日テレ子会社とプロデューサーに、番組製作のため取材協力したのに、その痕跡すらないその態度は何なのか説明を求めるメールを送りました。
 すると20日の夜、プロデューサーの代理人として、ロシア人スタッフ(通訳の方)がロシア語で謝罪の言葉を、伝言してきました。
 プロデューサーの後藤さんには、日本語でメールを送ったのですが、どうして本人が日本人の私に日本語で、説明してくれないんでしょうか?
 ・・・と思いつつも、とりあえずその伝言を聞くことにしました。

 その説明によると、まず
「最初は本当に日本文化好きのベラルーシ人を取材する予定だった。」→というふうに私も最初の電話がかかってきたときは言われていたのですが、実際に取材班が来て番組名が「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?」と教えられ、しかも去年放映された第1弾の内容をHPで見ていた私は、すぐに「『日本文化好きのベラルーシ人』の番組には絶対ならんわ。」と思いました。

 だったら最初から、日本文化情報センターなんか取材しなきゃよかったのに。
 それに私のような不愉快な思いをした人は他にもいることが分かりました。
 センターでの取材後、ベラルーシの合気道クラブでもインタビュー取材をしていたそうです。
 もちろん、この人たちも全員放映カット。
 さらに日本に親戚が住んでいるというベラルーシ人(もちろん日本びいき)にもインタビューをしたそうです。この人、当然のことながら、日本の親戚に
「もうすぐテレビに出るから絶対見てね!」
と連絡しており、その後放映を見た親戚からも、やっぱり私と同じように「何で全く顔も名前も出ないんですか?」という苦情が日本テレビに来たようです。
 あーあ。かわいそうに。気持ちがよく分かりますよ・・・。

 さらに日本テレビ側からの説明です。
「ところが予定が大幅に変り、取材の9割は放映されなかった。」→そりゃ、そうですよね。だって内容が「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?」で、視聴率のために美人は優先して放映することにしたんだから。
 繰り返しになりますが、だったら最初から、日本文化情報センターなんか取材しなきゃよかったのに。

「辰巳さんのインタビューなど全部カットされたことを、事前に連絡しなかったのは悪かった。お詫びしたい。」→ブログで宣伝したり、私や娘の顔、センターの様子を見るのを楽しみにしていたチロ基金協力者や親戚の方には、ご迷惑おかけしました。
 この件について日本テレビ側がお詫びしたこと、この場でお伝えいたします。

「番組最後のテロップで取材協力者としての氏名を出さなかったのは、辰巳さんや日本文化情報センターなどが放映されなかったから。」→それじゃあ、全く無視になってしまう・・・。本当に繰り返しになりますが、だったら最初から、取材に来なければよかったのに。

「でも、放映されていなくても、番組テロップに取材協力者として氏名を出してほしい場合は、事前に頼んでおけばOK。」→何じゃ、こりゃあ・・・絶句・・・
 ということは、番組のテロップに名前が出ている人ってみんな前もって、「協力したんだから、私の名前、出しといてね。」って頼んでいる人なんでしょうか? 考えられない・・・
 
「ギャラ(出演料)に関しても前もって話しておかないとだめ。」→私は芸能人じゃないんだから、ギャラをくれ、なんて一言も言っていませんよ。
 大体ギャラ(出演料)と謝礼は別物です。
 どうしてこんなこと、電話で言ってきたのでしょう・・・私が脅してお金を取ろうとする人だと勘違いしてびびったのかな? (他にもこんなケースが今まであったのかもしれない・・・日テレ・・・)

 さて、私は後藤氏宛てのメールにこういう提案を送っていました。
「放映されなかったとしても、私がインタビューのときに話したベラルーシ事情などが番組の制作にちょっとは役立って、全く無駄にはなっていないと思うので、やはり、取材協力者として、私の氏名、日本文化情報センター、ミンスク市立第5児童図書館に感謝しています、といった一文を、この番組の公式HPの掲示板にでも、載せてくれないでしょうか?」
 せめて、番組放映後、時間が経ってからでも、一言でいいから公式に表明してくれるとそれだけでもこっちの気持ちが救われるのにな・・・と思ったからです。

 すると、22日後藤さんから直接電話がかかってきました。
 放送時間が少なく、ベラルーシのことをたくさん放映できず、カットしてしまったこと、そのことを事前に連絡しなかったことをお詫びします、という声を聞きました。
 私からの提案については、この掲示板は、視聴者からの番組の感想を載せる掲示板なので、「お詫びと訂正」を載せると違和感があると私自身思ったので、私がこの掲示板宛に送った投稿に対する返事として、番組スタッフ側から、全部カットした理由と、取材に協力したことに対する感謝の気持ちを掲載してほしい・・・とお願いしました。
 
 しかし、これは視聴者からの感想を載せる掲示板なので、それはできません。と言われました。
 それも分かるんですが、じゃあ、一生懸命協力したのに馬鹿をみた私たちの気持ちはどうなるんですか・・・(涙)
 このブログで、日テレ批判をし続ければいいのか・・・私なんてブログがあるからまだ救われているほうで、純粋な気持ちで取材を手伝ってくれたベラルーシ人は「本当に馬鹿を見た。」「日本人なんて信用できない。」と思ってしまうだけですよ。これもいやですよ、ほんとに。

 しかし、電話で後藤さんと話し合った結果、日本文化情報センターあるいはミンスク市立第5児童図書館宛てに、取材協力に関して謝意、そして記念として、日本を紹介する粗品を日本テレビ名で謹呈する・・・ということになりました。
 私は「日本テレビの片隅に置かれているような、不要の古雑誌とかでも、宣伝用カレンダーでも、何でもいいです。」と言っておきました。
 それぐらい郵送するのって日本テレビにとっては難しいことじゃないと思うし、日本を紹介するものとして、センターや図書館で末永く活用できるし、放映されなかったけど、日本のテレビ局が取材に来てよかったな、という思い出になると思うんですよ。
 
 というわけで、話し合いもまとまりました。後藤さんは「すぐに送ります!」とは言いませんでしたが、やっぱりもっと前向きに事態を解決したいのは、みな同じ。
 では、本当に日本テレビから粗品が送られてきたら、このブログで改めてご報告します。


「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」取材の経緯 その2

2008-09-21 | ベラルーシ文化
 「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」取材の経緯その1 の続きです。
 
 ベラルーシ人へのインタビューが終わった後、私だけインタビューされることになりました。 
 当然のことながら、私がベラルーシへ来た経緯や、すでに何年ベラルーシに住んでいるのか?など、基本的な質問をまず受けました。
 その後いろいろな質問をされました。たとえば後藤氏は
「昨日ベラルーシ入りしたばかりなんですが、ミンスクは町並みがきれいですよね。ごみも少ないし・・・。ベラルーシは独裁国家と言われていますが、悪いところだけではないと思います。」
と話したので、どうしてミンスクの町はきれいなのか、説明しました。
 理由はいろいろありますが、前ミンスク市長の政策の一つが「清潔な街・ミンスク」だったことや、ミンスク市役所で雇われている清掃員の給料が意外と高いので、就職を希望する人がけっこう多いこと、つまり捨てられるゴミの量に対して掃除をする人が多いから、という話をしました。

 このあたりの話は「こんな街どこかでみたことがある。北朝鮮だ。首都を徹底的にきれいにするところが似ている。」とテレビ番組では紹介されたそうですね。
 (「ミンスク市内でも汚いところはありますよ。」と後藤氏には話しています。)
 首都がきれいだと、「北朝鮮みたい。」と思う日本人って、どうなんでしょうか? きれいな街は独裁国家の象徴なんですか?
(私自身は汚いゴミだらけの町には住みたくない・・・) 

 次に
「最初に来たときと今とではベラルーシは、変ったところがありますか?」
ときかれたので、以前と比べると交通(道路の整備、地下鉄の延長)と通信(電話、ネット環境)がずいぶん便利になったこと、商品の種類も増えて、ずいぶん暮らしやすくなったことなど、自分の生活で変ったと思ったことを話しました。

 それから、昔はベラルーシは夜になると、暗い街灯がついているだけで、ショーウインドーや広告に電気が入っていなかったので、とにかく夜は真っ暗なイメージだったけれど、今はすっかり明るくなった、とも話しました。
 というのも、ベラルーシも経済の状態が昔に比べればすいぶんよくなり、商店が看板にイルミネーションを使ったり、ショーウインドーをライトアップするようになって、すっかり明るくなったからです。

 それだけではなく、ミンスクのメインストリートに接する建物は全部ライトアップされるようになったのですが、その照明の当て方や色を、ミンスク市役所の担当者の人が一人で全て決めているので、統一感があって、とてもきれいだと、話しました。
 資本主義の国によくある、商店の個々の照明が勝手に瞬いて、夜きれいな街、ではなく、統一されたデザインとして、街をライトアップしているミンスクは世界的も珍しいんですよ、と教えてあげたら、後藤氏は少し驚いているようでした。

(こういう日本で知られていない面をテレビで紹介してほしいのですが、でも結局、統一されたデザインも「独裁っぽい」と思われるんでしょうねえ・・・。)

 日本の商業地にありがちな、それぞれが自己主張しているけばけばしいネオンより、私はミンスクのすっきりしたライトアップのほうが、個人的には気に入っています。
 電気の無駄使いという意見もありますが、治安の面を考えると、夜真っ暗なのは、怖いですよ。特に冬はベラルーシは午後4時には暗くなってしまうので、光があるほうがいいと思います。

 他にも「ルカシェンコ大統領が長期政権を握り続けていることについて、どう思うか?」
という質問には
「旧ソ連が崩壊して、混乱の中出発したベラルーシには長期にわたる政策が必要で、こういう時期に政権担当者がころころ変るのは、余計に混乱を招くだけだし、結局ベラルーシ国民が長期政権を望んでいるから、こういう結果になっているのだと思う。
 たとえば今、突然ルカシェンコ大統領が辞任したりすると、せっかく今まで築き上げてきた社会が再び混乱してしまうのではないか、とベラルーシ人は恐れている。(日本みたいに「首相なんて誰がなったって、大して変らない。」と思っているのとは違うのです。)
 だから、長期政権になっていて、それがこの国にとっては必要な正しい選択だと思っています。
 反対派ももちろんいるけど、(日本でも全く批判されない首相なんていないでしょ? みんな文句言い放題で、支持率が上がったり下がったりです。)少数で、積極的か消極的かは別としても、大統領を支持しているベラルーシ人はとても多い。要するにこういう政治体制をベラルーシ国民自身が選んでいるんです。」
といったことをお話しました。

 さて、取材が終わった後、隣室にいたロシア人通訳の人が戻ってきて、後藤氏に言うには
「日本の歌をベラルーシ語で歌うCDが製作されたってきいてましたが、それは辰巳さんが発案されたCDだったんですよ。」
 私はロシア人の通訳さんが、CD「月と日」のことを知っている、ということが驚きでした。
 ベラルーシ語の歌なので、ベラルーシ人ではなく、ロシアから来た方が知っているのですから・・・。  
(「月と日」について詳細はこちらです。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/songs/index.html


 通訳さんは「月と日」を聴きたい、と言ったので、ケースが少しひび割れていたのですが(こんなのしか手元になかった・・・)「ぜひ聴いてください。」とプレゼントしました。
 これが今回の取材で一番うれしいことでした。
 取材自体は悪いことはなかったですよ。
 (放映自体は問題だったけど・・・)

「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」の感想

2008-09-20 | ベラルーシ文化
 テレビ番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」を見たHP「ベラルーシの部屋」管理人のさばさんが、掲示板で感想を更新しています。
 皆様、ぜひアクセスしてください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/x/repo/hobby_book.cgi


 この内容を読んで、「こんな番組にしたかったなら、最初から日本人の私なんかに取材申し込みなんかしなければよかったのに。取材なんか別に電話でもよかったんじゃないか。」
と思いました。例えば・・・(さばさんの投稿から一部引用します。)

・・・・・
以下番組の流れを簡単にまとめます。

ベラルーシは「美女は出国禁止の独裁国家」と紹介される。

会場ええーっ!。

「美女だらけの独裁国家」と紹介 (→「美女だらけ」っていうのはないんじゃない?)

テレビクルーによる美女紹介。通りすがりの美人を撮影。ファッションもセクシー。

(→ 街角で、取材班の目から見て「美人」「セクシーな服装」と思った人ばかりを撮影し、「不美人」はカットして放映し「ほら、美女だらけの国でしょ?」と言うのは、おかしいと思いませんか?)

そのとき、クルーは警察官に呼び止められる。

また別の場所でも同じ。「警備局」を名乗る男たちによって撮影中止の指示をうける。

(→ 路上で取材をするのには許可が要ります。日本でもそうでしょ? 歌手が渋谷の路上でゲリラライブやPV撮影をしたりするのに、事前に許可がないと取り締まられるのと同じです。)

美女があつまる場所の紹介→国立モデル学校?「美の学校」 ここでも取材拒否

(→これは国立モデル学校ではなく、(主に女性の)美や美容について学ぶ大学です。ベラルーシだけではなく、ロシア各地にもあります。
 もちろんモデル学科もありますが、それだけではなく美容師、ネールアート、服飾デザイナー、メーキャップ、ダイエット講座などもあります。 
 モデルだけを国が養成している学校と思わないでください。)

昔はモデル事務所が人身売買のかくれみのになっていたので、国が一括管理するようになった、ということがわかる。

→今や国の財産。 トップモデルのひとにインタビュー。

(→美人でなくても若い世代は国の財産でしょう。ベラルーシでもそうですが、少子化が進んでいる日本も同じ。外国へ人身売買で売られていく場合ではない!)

ミス・ベラルーシコンテストの紹介
(→本当に美女だらけの国なら、ミスベラルーシがミスワールドに選ばれてもおかしくないのに、今のところ一人も選ばれてはいないのはなぜ? 日本人は選ばれているのに。)

子供のファッションショーを紹介
(→ベラルーシでは貧富の差が広がっており、貧しい家庭の親が子どもを、あるいは子ども自らが家計を助けるため、モデルエージェンシーに登録してくることがけっこう多いです。)


外交手段で他国を手玉にとる「ヨーロッパ最後の独裁者」から見習うところは?という雰囲気で紹介映像はおしまい。


その後、スタジオの討論

テリー伊藤「美人が北朝鮮のよろこび組みたい」(→ひどい。いっしょにしないでほしい。)

イラン(の女性)コメンテーター、サヘル・ローズ「美人はビザがとれない。イランとにている。」
(→美人でも、留学などちゃんとした理由で外国へ行く場合、ビザが下ります。大体、美人とか美人じゃないとか、ビザが下りるとか下りないとか誰がどういう基準で決めているの?)

日本がまねするとしたら「外交戦略」。外交下手の日本はどうすればいい?と討論


・・・・・・・・

 さばさん、詳しく教えてくださってありがとうございました。
 自分もセンターも登場しないので、この番組の録画を見る気もあまりないんですが、せっかく親や親戚がわざわざ録画してくれたので、実際に見たらまた改めて私からの感想を書きます。

 他にもこの番組HPの掲示板でも視聴者からの感想や意見を閲覧することができます。(ベラルーシのことはあまり書いている人が今のところいませんが・・・)

http://www.ntv.co.jp/dokusai/bbs2/board0.html


 私からは、日本テレビ、この番組を制作した日本テレビ子会社の日テレアックスオン、この会社で働くプロデューサーで、実際に私に取材をした後藤氏に、
「取材に協力したのに、氏名をテロップで流さなかったのは、どうしてなのか?」 と説明を求めるメールを送信してあります。

 この番組の感想専用掲示板にも、(視聴者からの感想ではなく、取材協力者の苦情ですが)自分の意見を送信しておきました。
(でも結局ボツにされています。) 

・・・・・・

 他にこの番組を視聴した方から私の元へ届いたご意見・ご感想です。

「ブログまとめて読みました。日本テレビには、ばかにするなと言いたいですね。
ベラルーシで日本文化情報センターで携わっている人の立場も考えろ! 美人の国、美人の国、と同じ放送をするな!レベルが低すぎる。
 プロデューサーの担当を女性に変えるべきです。
 ずっとマスコミのおごりが続いているのです。ブログと言う世間に公開できる場ができてきたことで、少しは変わってくるかもしれませんね?
 日本テレビからどんな物が送られてくるのか?
プロデューサーの後藤さんが、日本文化情報センターに来てどのような事をしているか見ているのですから興味津々です。ちゃんと送ってくるかな、、、。」

 これで何もなかったら、本当に日本テレビ最低ですね。

・・・・・・・・・・・・・・・

「いきなりトップに紹介のあった「ベラルーシ」。
トピックの切り口は冒頭らしく面白半分の「美女一杯♪」というものでしたが、内容は実に中立的なまじめなものでしたね。
とても住み易い穏やかな国だという印象を受けました。
ルカシェンコ大統領も「アクは強いけれど何だか親しみかんじる、賢い良い指導者」という感じ。
 一気に理解が深まった感じです。
他の「独裁国家」と言われる国についても、どこも良い面を紹介していて結局驚いたり、笑ったりしながら最後まで一気に見てしまいました。
ゴールデンタイムの放映だったし、ベラルーシに興味を持つ人が一気に増えたのではないかしら。 良い機会となりましたね。」

 そうですね。よくも悪くも、ベラルーシは日本ではなかなか紹介されないので、そういう意味では、放映の意味があったと思います。
 私が不愉快に感じたのは、放映そのものではなく、いろんなベラルーシ人(日本人の私も含みますが)に取材の協力を求めておきながら、全部カット。
 感謝の気持ちをまるで示さない日本テレビ側の姿勢です。

・・・・・・・・・・・・・・

「逆に考えれば今回のようなベラルーシの偏ったイメージしか伝える意思の
ない番組にTさんや日本文化センターの名がテロップに出てこなかったのは不幸
中の幸いであるような気もします。日本文化センターの映像が紹介されたならま
だしも、美女紹介中心の内容でテロップにTさんやセンターの名前だけ出てきた
ら「一体どんな取材協力をしたんだ?」と普段のTさんやセンターの活動を知ら
ない人達には誤解を招いたかもしれませんから・・」

 全くそのとおりです。この番組が「美人の紹介」しかしていなかったら、私やセンターの名前は一切出してほしくないですね。
 ただ、美人だけじゃなくて、ベラルーシの外交のことなども紹介したそうなので、そのあたりの点で、私からの協力が全くの無だったとは思いません。

・・・・・・・・・・・・・
 
 さて、以下のメールからの抜粋はこの番組を見た日本人の方が、番組掲示板に何度か投稿したのに、一つも採用されなかった、というものです。

「日本でのテレビ放送の件ですが、全くひどいですね・・・。
 私もテレビにかじり付いてとても楽しみにその時を待っていたのですが、Tさんやご家族、また、日本文化センターの様子を見られなくてとても残念でした。
 でも、ブログで取材の様子やTVスタッフがTさんを訪れたきっかけなどを読ませていただきましたが、放映されたTV内容を見て、これは初めから取材されたものを使うつもりなどなかったのでは、と思うくらい、美人がなんたら、ルカシェンコ大統領がかんたらと、ああまた以前のような放送のされかた・・ と思うもので、すごくがっかりしました。
 私も番組の投稿欄になんどか意見を投稿しましたが、全部却下されて載ることはありませんでした。私でさえ頭にきたくらいですから当事者のTさんにしたら、忙しい時間をさいて協力したのにどんなにご立腹、またがっかりされたことでしょう・・。本当に残念です・・。

 掲示板投稿の件ですが、取り立てて過激な投稿をした訳でもないのですが(と自分では思っているのですが)、その後何度か、投稿が採用されていないかHPに見に行ったりしたのですが、ひとつも採用されていませんでした・・。
「投稿が掲載されない理由などにつきましては、いかなる場合もお答え出来ません」との但し書きがあったので理由を尋ねることもできません・・。ほんとに残念ですが・・。
 こういうことで、協力してくれたベラルーシの人達の信頼を失ったらいやですね・・。日本人として恥ずかしいです・・。

 何度も投稿しても、同じアドレスからの投稿になるので、同一人物としてしつこいと思われたくらいかもしれません。
 でも、誹謗中傷やルール違反の投稿ならまだしも、ちゃんとした意見で投稿しているのに採用されないのは、何か納得できません。」

・・・・・・・・・・・

 全く、日本テレビのほうが独裁的ですよ。他の国のこと、
「取材拒否ばっかりされた。報道の自由がない。独裁国家だ。」
と言える立場に全くないですね。
 このメールをくださった方のように、放映を楽しみにしてくださっていたまじめな方々には本当に申し訳ないことをしました。
 繰り返しになりますが、このブログなどで番組の宣伝などしなければよかったです。

・・・・・・・

 さて、放映されてから時間が経ってしまいましたが、ようやくこの番組の録画を見ることができました。
 私の感想は・・・
 番組自体の時間が長すぎたような気がします。もっと内容のある番組にすればよかったと思いますが、ツメが甘いと言うか、下調べがちゃんとできていないというか・・・
(最後の鳩山兄弟との対談も、外国の独裁国家とは接点がなかったですね。とってつけたような感じ。)

 美人とか、北朝鮮のピョンヤンの画像を挿入したりして、時間を埋めている感じがしました。ボリビアの覆面で靴磨きしている人も同様。
 せっかく時間があるなら、美人とかで時間を潰すのではなく、ルカシェンコ大統領の経歴や、どういった時代背景で選ばれた大統領なのかとかも、じっくり紹介してほしかったです。

 私やベラルーシで合気道している人に取材依頼の電話をする暇が事前にあったのなら、路上での撮影許可を前もってもらったり、美の学校の取材許可を早めにもらっておけばよかったのに。
 何年テレビの仕事をしているんでしょう? 外国へ取材に行くのが初めてではないでしょうに・・・。そういう当たり前な仕事もせずに、いきなり行って警官に注意されたりしているのを放映して、恥ずかしくないのかなあ、と思いました。

 それと「大統領が美女に囲まれている写真」が出てきた、というのをさばさんの投稿で知って「何のこと?」と思っていたのですが、これは結局、ミス・ベラルーシコンテストの会場にやってきた大統領を撮影したものだったんですね。
 (やっと謎がとけた。)
 それでもって、テリー伊東が「北朝鮮の喜び組みたい。」とコメントしているのを聞いて、またまた「いっしょにしないでくれ。」と思いました。
 だって、あれはミス・コン参加者の画像で、「大統領喜ばせ組の皆さん」とかじゃないでしょ? 大体写っている女の人たち、大統領のほう、誰も見ていないですよ。

 それに「美女出国禁止」という名称の法律があるわけでもないです。
 街頭で通行人に「美女出国禁止という法律があるのは知っていますか?」なんてきいても、そりゃあ「知らない。」の返事しか返ってこないでしょう。
(そんなことより、大統領の政治のことや、現在の生活満足度とかきけばいいのに。)
 人身売買は外見がきれいかどうか、に関係なく、また男性でも問題になっています。
 (男性の場合は身分証明書を取り上げられて、強制労働させられてしまうケースが多いです。)
 自国の人間を守る法律があるのは普通です。

 せっかくなんだから、この辺の問題を掘り下げて紹介してくれたらよかったのに、とも思いますが、どうでもいいような大統領のホッケーの画像なんかで、時間を潰していて、もう少しまじめにベラルーシの紹介をしてくれないものか・・・と残念です。

 あと私のほうから付け加えるなら・・・
 ベラルーシ国内で外国人モデルの広告禁止、というのは本当です。
 行き過ぎ(「表現の自由がない!」とか批判されそう)かとは思いますが、番組内でも紹介されていたようにベラルーシではモデルは国のもの、つまり国家公務員なのです。
 そのため、モデルの仕事を国がある程度国内で確保しないといけないわけです。
 ベラルーシ人モデルの仕事を増やすために、ベラルーシ国内での外国人モデルの広告を禁止したわけです。
 モデルが国家公務員としての仕事を保障するために行ったことで、自国の人材を保護する政策である、とも言えるのです。
 (物は見方によって変りますねえ。)

 歌手などの芸能人もほとんどが国家公務員です。なので、現在大型のCD店では必ず「ベラルーシ歌手CD棚」を設置しないといけないし、テレビやラジオで流す音楽の70%をベラルーシ歌手の音楽にすること! という法律もあります。
 どうしてかというと、ベラルーシはロシア語とベラルーシ語が公用語であるため、隣のロシアの歌手の歌も全部理解でき、ついロシア人の音楽ばかり聴いて、そのCDばかり買ってしまう・・・という傾向があります。
 CDを売る側が「売れるから。」という理由だけで、ロシア人歌手のCDしか店に置かなかったら、ベラルーシ人歌手のCDが売れなくなってしまいます。
 歌手も国家公務員なので、国が自国の歌手のCDの売り上げ促進する法律を作ったり、ベラルーシのラジオなんだからベラルーシ人歌手の歌を優先して流そう、というのも、全て、歌手という職業の人の仕事を保護するための政策なのです。

 自分がホッケーが好きだから、アイスホッケー場ばかりたくさん建設して無茶している、とテレビ番組では紹介していましたが、このアイスホッケー場、ホッケーの試合がないときは、他のスポーツの試合もできるし、コンサートホールにもなるし、商品見本市の会場になったり、レストランなどの施設も入っています。
 ホッケーだけするんじゃないですよ。
 文化的複合施設として建設しており、結局はこれも国民のためにしていることです。

 ホッケースタジアム建設は、経済面だけではなく、ベラルーシの文化レベルを上げようと努力している大統領の文化政策の一つなんですけどね。
 巨大図書館(国立図書館)をつくったのも、もともとの国立図書館(旧館)の建物の老朽化が進み、雨漏りしたりして、保管してあった貴重な中世時代の古文書が危ない・・・ということで、建設された最新式の図書館なのです。
 (ちなみに図書館なのに迎賓館も兼ねています。)
 しかし、資源がない国なので、国民の血税で作ったのです。(寄付を募ったり、売上金を建設費に計上する宝くじを大量に発売しました。)
 これもベラルーシの貴重な文献を永久に保管するため、という文化事業の一つなのに、巨大なものを建設すると、「独裁者イコール巨大建設物好き」のようなレッテルを貼るような見方をするのは、偏った見方だと思います。

 プレジデントという呼称禁止についてですが、もともとプレジデントというのは外来語のようなロシア語で、「社長」といった呼称を表すロシア語は他にもいろいろあるので、特に混乱は起きていません。
 (もともと「プレジデント」という呼称はあまり使われていなかったと思います。)

 スーパーマーケットのことが紹介されていましたが、確かに10年前とは大変な違いです。
 ベラルーシ国内で つくられた食料品は国から補助金が出されるので、価格が抑えられている、ということでしたが、それより、輸入品に高い関税がかけらている、というほうが庶民の感覚に近いですね。
(絵本9冊受け取るだけにどれほど苦労したことか・・・)
 
 CIS諸国研究所の副所長さんにインタビューしたのはよかったですね。
 で、ロシアに原油価格を釣り上げられそうになると、パイプラインを止めてしまって、大国ロシアと堂々と渡り合うルカシェンコ大統領の外交手腕に日本は見習うべきところはないか・・・というくくりでした。
 これは確かにそうなのですが、結局この後、ロシアとベラルーシの統合国家計画(2005年には通貨統合する予定だったんですよ! でも何事も起こらなかった・・・)が、帳消しのような状態になり、ベラルーシのマスコミもこの件に関しては何も報道しなくなってしまいました。
 実際には経済状態が上向いているロシアが、そうではないベラルーシを統合しても、経済的に得することはないんです。ベラルーシ国内で天然エネルギー資源とか金とかダイヤモンドとか採れるわけでもないし・・・。

 ベラルーシ向け原油価格をいきなり上げたのは、実はわざと両国の関係を悪化させて、ベラルーシとの統合国家計画を白紙にしてしまおうという、ロシア側の深遠な計画だったのかもしれません。
 これが本当なら、ベラルーシの外交手腕よりロシアの外交手腕のほうが上、ということになりますね。

 とにかく、日本テレビなんて、適当に下準備して、適当に撮影して、適当に説明をつけて、何とか番組としての目鼻をつけているだけなんですよ。
 浅くて荒い内容の番組でした。以上、感想終わりです。

「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」取材の経緯 その1

2008-09-20 | ベラルーシ生活
 日本テレビで放映された番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」での、取材の経緯、裏話についてです。

 8月8日午後、出勤すると、勤務先である日本文化情報センターが入っているミンスク市立第5児童図書館の副館長さんから言われました。
「ロシアのテレビ局を名乗る女性から、2回電話がかかってきて、日本文化情報センターの代表(つまり私のこと)がいないか探してたわよ。」

 ベラルーシじゃなくて、ロシアのテレビ局が私にモスクワからわざわざ電話してくるなんてなんだろう? と思っていると、しばらくしてその人から電話がかかってきました。
 実はロシアのテレビ局ではなく、日本のテレビ局がロシアの会社を通じて電話をしてきていたのです。
 モスクワからリサーチしてきたロシア人がまず在ベラルーシ日本大使館に連絡し、ベラルーシに住んでいる日本人のことを尋ねて、日本文化情報センターに電話してきたのでした。

 そのときのこのロシア人からはこういう話でした。
「日本のテレビ局が、ベラルーシのことを紹介する番組を撮影しようとしています。それで、ベラルーシに住んでいる日本人を探しています。取材をしてもいいですか?」
それで私が
「ええ? ベラルーシの何を紹介するんですか?」
と質問すると
「ベラルーシの社会とか、文化とか。」
「それはいいことだと思いますけど、どうして私が取材に協力するんですか? 私は日本人なんですよ。ベラルーシの文化を紹介したいなら、ベラルーシ人にインタビューしたりするほうがいいと思いますけど・・・。」
「ベラルーシ人は日本についてどう思っているんでしょうか? 日本文化に対する関心が増えてきていると思いますが・・・。」
「ああ、それはそうですね。」
「なので、『日本のことが好きなベラルーシ人』を日本のテレビで紹介したいのです。」

 今から考えると、大嘘ですね、これ。
 リサーチをしている人は、他にもベラルーシで空手や柔道をしているベラルーシ人を知りませんか? とか、ベラルーシで日本語を学んでいる学生にもインタビューして、「日本のどこに興味がありますか?」といった質問をして、日本語で答えてほしいと思っている、と私に話しました。

 私は大学に関しては、
「大学所在地などはすぐに調べられるけど、今は夏休みだからすぐに日本語専攻学生が見つかるかどうか・・・。日本語の先生にきいてみてください。」
とアドバイスしました。
 そして、私には日本文化情報センターに日本びいきのベラルーシ人や、かわいい小学生を集めておいてほしい、と頼んできました。
 しかし、やはり夏休みの最中なので、みんなバカンスを取って、どこかへ行ったりしているし、小学校も先生がいないから、連絡が取れないので、集められないと断りました。
 
 今から考えれば、無理してベラルーシ人を集めなくてよかったあ・・・
 駆けずり回って、ベラルーシ人の中高生を20人集めて、日本のテレビ局が撮影して、実際の放映ではものの見事にカットされたという、不愉快な経験があるのです。
 なので、「夏休みなので無理です。」と繰り返して、今回は断ったのです。(大正解でしたね。)

 でも、「日本が好きなベラルーシ人」がテーマで、日本文化情報センターを撮影しているのに、日本人の私が一人ぽつんといるだけでは、おかしい、というのは分かります。なので
「うちの子(6歳)なら、間違いなく連れて来れますけど。」
と言うと、その人は
「ぜひ、お願いします!!! でも、できたらもう少し日本好きベラルーシ人がいたら、いいと思いますけど、子ども一人でもいいのかどうか、取材スタッフにきいておきます。撮影は8月14日になりますが、時間は前々日に連絡します。」
ということで、電話は切れました。

 さて、撮影前々日、撮影の時間を知らせる電話がモスクワからかかってきました。時間を伝えるとそのリサーチのロシア人は、それではよろしくとさっさと電話を切ったので、
「ああ、他にベラルーシ人を呼んでこなくてもいいんだ。うちの子だけ連れて行こう。」
と思いました。
 日本が好きなベラルーシ人のために日本文化情報センターで、働く私にインタビューするのだ、と思っていたので、撮影当日は自分は着物を着て、子どもには浴衣を着せて、センターで待っていました。

 時間になるとプロデューサーの後藤氏、撮影する2名のスタッフ、ロシア人通訳の女性がやってきました。
 そこで、初めて後藤氏から私は「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」のことをきかされたのです!!!
 話が全然違う! 
 しかし、幸い私は「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?」という番組が1年前に放映されていたことを、ネットで偶然見つけており、内容を多少は知っていたのです。

 また後藤氏からは、独裁国家から日本が学ぶべきものはないか、というまじめなテーマ(でもくくりはバラエティー番組・・・)ですと説明を受けました。
 ベラルーシという独裁国家に住む日本人としての視点から、この国のことを話してほしい、と頼まれたので、取材を受けることを承諾しました。

 後藤氏は
「ベラルーシは美人の国と言われていますが・・・」
と話し始めたので
「また、そういう切り口で報道するんですか? つまらないから、やめてくださいよ。『世界一美人が多い国』なんて、まちがいだと思いますけど。」
と私が言うと「え、そうなんですか?」と驚くので
「そんなこと、言ってるのは日本人だけですよ。世界一美人が多い、なんて誰が決めているんですか? まあ、そういうことに関しての私の意見は自分のブログに書いてますけど。」
と話し、
「今はネットがあるから、テレビが一方的に発信した情報に対し、一般庶民も自分の意見を表現できるし、便利な時代になりましたね。」
(前にフジテレビが取材に来たときは、夫の職場を撮影したのに、放映では「フリーター」と紹介したのが、一番不愉快だった。でもHP『ベラルーシの部屋』で、私が「訂正」しております。)
 そういう『間違いと訂正』はネット上でできるし、1回放映して終わりのテレビ番組と違って、ネットだと長期にわたって文章が読まれるのが長所。今回の放映に関しても内容に間違いがあったら、自分のブログ上で訂正させていただきますので、と後藤さんには直接言っておきました。
 代わりに、事前に放映日時など、ブログで宣伝しますよ、と言ったら後藤さんは「ありがとうございます。」と言っていました。

 さて、なぜか後藤氏は撮影するとき、センターにベラルーシ人がいないとだめなので、誰でもいいからベラルーシ人の同僚の人や、図書館の来館者をつれてきてほしいと頼んできました。
 こういうことは、早めに言っておいてもらわないと困るのに・・・
 案の定、図書館員さんたちは、いきなり
「日本のテレビに出てくれませんか。」
と頼まれて
「急にそんなこと言われても・・・。今日は服が・・・髪型が・・・」
と嫌がりました。私も無理に頼みませんでした。
 うちの子じゃだめなんですか? と後藤氏にきくと、浴衣を着ていてベラルーシ人っぽくないし、それより、私とベラルーシ人同僚が仕事をしているシーンが撮りたい、と言われました。

 結局、ロシア人通訳さんが説得して、副館長さんが取材に協力することになり、さらにたまたま本を借りにきていた女性(その小学生の子どもは嫌がってセンターに来ませんでした。)と男子高生を何とか副館長さんが説得して、撮影に応じてもらうことになりました。
 センターでは机の上にロシア語とベラルーシ語に翻訳した日本の絵本を並べて、みんなが周りに座り、適当にしゃべってほしい、と言われました。
 それで私が、副館長さんたちに「前から日本の絵本を翻訳しているんですけど、今では40冊以上になりました。」とか「日本語のオリジナル文章も読めるようにしています。」とか適当にしゃべりました。

 その様子を撮影した後、来館者の二人にインタビューがありました。
「日本の絵本の感想は?」
女性「日本の絵本でも子どものために、きれいな絵を使ったり、字を大きく印刷したりして、配慮が行き届いていますね。」
高校生「日本語は難しそう。一生かかっても分かるようになるとは思えないし、習いたいとも思わない。」
 などなどインタビューに応じてくれました。(うちの子は「私にはどうして何もきかないの?」と納得しかねる様子だった。)
 今から考えれば、被害者が2人だけでよかった・・・
 大勢ベラルーシ人を引っ張ってきて、インタビューをして、結局全部カットされてたら、私はその後、図書館で針のむしろですよ・・・

 ちなみに、これらのベラルーシ人へのインタビュー(質問と答え)は全て私が通訳しました。
 ロシアから来た通訳の女性は、私がロシア語ができるから、自分は撮影の邪魔にならないよう、別室にいました。
 その間、その人が退屈しないように、チロ基金のパンフレットや日本文化情報センター関連の記事が掲載された新聞記事のコピーなどを渡していました。

 細かいことは言いたくないですが、私も通訳をしているのに、それ対する労働への賃金(通訳料)は全くもらっていません。
 通訳として雇われているロシア人女性は、センターでは通訳の仕事はしませんでした。

(その2に続く)

取材協力者の名前も明示しない日本テレビをみなさんはどう思いますか?

2008-09-19 | ベラルーシ生活
 9月17日、日本テレビで放映された番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」で、取材を受けたにもかかわらず、全てカットされ、しかも番組最後のテロップで、取材協力者として、私の氏名すら明示されませんでした。
 このような日本テレビの対応をみなさんはどう思われますか?
 私は抗議しようと思っています。

 この番組のサイトでは現在、掲示板で視聴者からの意見を募集しています。 

http://www.ntv.co.jp/dokusai/bbs2/entry.html


 私は視聴者ではなく、取材協力者ですが、一言言いたいです。もっとも、この掲示板は内容を事前にチェックしてから、テレビ局側が公開してもいい、と思った投稿しか載せませんから、私の抗議文など、ゴミ箱に捨てられるのは分かっていますが、一言言わずにはおれませんよ。

 ベラルーシについての放送は「美女」「検閲」「取材禁止」ばかりだったそうですが、日本テレビのマスコミとしての態度も独裁的じゃありませんか?

 みなさんも、テレビ局から取材を申し込まれたときは注意してくださいね。
 こんな例もあります。↓
「マンガ評論家 伊藤剛と岡田斗司夫 「NHK出演取り止め」巡り摩擦?」

http://www.j-cast.com/2008/09/18027212.html


 取材を受けたときに、私はスタッフの方に直接、こう話しています。
「前に日本テレビは『ベラルーシは美人の国』とか番組でしてましたけど、私は自分の意見をブログに書きましたよ。今回の番組でも、間違ってるな、というような内容でしたら、自分のブログに書きますので。その代わり、ブログで番組のことを宣伝しますよ。」
 スタッフの方は宣伝のことについては「ありがとうございます。」と言っていました。

 だから、このブログ上で宣伝したのですが・・・
 だから、批判もさせていただきます。 
 日本テレビには抗議メールを送ります。

https://www1.ntv.co.jp/staff/form.html


 ↑ここにあるように、メールを送っても、返事が返ってくるかどうか分かりませんが、その後の経過、日本テレビの対応についても、このブログで公開させていただきます。

 まあ、一つの国のことを全て詳しくテレビ番組で紹介はできないのは分かりますが、結局は視聴率狙いで、テレビ局が「こうしたい」という内容に曲げてしまうんですよ。
 視聴者の皆さんは、日本のテレビが垂れ流している内容について、鵜呑みにしないように・・・
 テレビだけじゃなく、いろんな情報ツールを使って、多角的な視点で物事を見るようにしてください。


日本テレビの番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」で取材を受けたのに、全部カットされました

2008-09-18 | ベラルーシ生活
 すでにお知らせしましたが、私、日本テレビで放映された番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2 ~日本の未来を考えるSP~」で、取材を受けたにもかかわらず、全てカットされました。
 あーあ。日本のテレビ局が来るって言うから、こちらも忙しい中、時間を割いて、神経を使って、いろいろ準備をしたんですけどね。
 しかも取材協力に対する謝礼なんか全くもらっていないんですよ。スタッフの方の名刺を1枚もらっただけ。
「謝礼をくれ。」とか「謝礼をくれないと取材に応じないぞ。」といったことは言っておりません。タダ働きでもいいと思って、取材に協力しているのは、日本文化情報センターがちらっとでも、日本のテレビ番組内で映ればいい、と思っているからです。
 でも、日本のテレビ局って、いつもこちらが放映してほしいなあ、と思っている部分は、「視聴率上昇には繋がらない。」と判断して、カットしてしまいます。
 どっと疲れが出ますね。
 こんなんだったら、カットされてもいいから、取材を受けたことに対して謝礼金はもらってチロ基金に寄付するほうがよっぽどいいや、と思います。 

 特に、日本文化情報センターの様子を楽しみにしていた方や、うちの娘の顔を見たいと思っていた親戚の方々には、申し訳ないことをしました。

 ベラルーシに住んでいる私はこの番組を当然まだ見ていないのですが、見たという方からのメールでは、ベラルーシの独裁国家としても良い面と悪い面の両方が紹介されたそうです。
 悪い面ばかり報道されがちなベラルーシ。たまにいい面が紹介されたと言えば、「世界一美人が多い」とか、誇張しすぎの内容で、いつも
「もっと別な面を紹介してくれないものか。ベラルーシは日本では知られていない国なんだから、ネタはいろいろあるはずなのに。」
と思っていました。
 そういう意味では、独裁国家と言われながらも、日本のマスコミで紹介されてよかったと、思っておきましょう。

 このブログもテレビ番組放映後、アクセスランキングが 1092736ブログ中 348 位にまで跳ね上がって驚きましたよ。
 アクセスしてくださった方、ありがとうございます。
 (ベラルーシ人の美人の画像がないか、このブログ内でせっせと検索した方、ご苦労さんでした。このブログ内の記事「ベラルーシは本当に美人の国なのか?」も併せてご覧になることをお勧めします。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/1a258c15d6808fb920e5068ec4b1ad6d

 
 私への取材シーンは全部カットされてしまいましたので、後ほどこのブログ上で、取材の内容や、裏話など更新させていただきます。
(どうしてうちの子を取材の場に連れて行ったのか、など理由があるのです。)

 ほんと、ブログとかHPとか、ネットの世界があってよかったです。テレビだと視聴率を気にした局側の意向だけが一方的に報道されるだけですが、ネットの世界で、視聴者や取材協力した側も自分の意見が、発表できますからね。