電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

NHK-Eテレで山響によるベートーヴェン第五「運命」を聴く

2020年11月16日 06時02分39秒 | -オーケストラ
日曜夜、珍しくテレビの前に座りました。以前は、「N響アワー」や「仁〜JIN〜」などをほぼ欠かさず観ていたのですが、最近ではごく珍しいことです。お目当ては、NHK-Eテレの企画

クラシック音楽館 オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー 第三夜

を観るためで、ベートーヴェンの生誕250年記念プロジェクトだそうです。全国9つのオーケストラがベートーヴェンの名曲を四週にわたり演奏録画を放送することになっており、今回はわれらが山響こと山形交響楽団が交響曲第5番「運命」を担当するというものです。実際には、私が行けなかった9月24日、やまぎん県民ホールでの演奏会の一部を収録したもののようです。

会場内は、密を避けるためにお客様の入場人数を制限しているようで、ステージ上も従来の楽器配置と比べるとずいぶん距離を取っているようです。その楽器配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが両翼に分かれる対向配置で、コントラバスが4人ですので少し増強しているみたい。金管楽器は山響の特色となっているナチュラルタイプのホルン、トランペットが確認でき、音量バランスや音色の透明感に貢献しています。おそらくティンパニも明るい音色でキレの良いバロック・ティンパニでしょう。

指揮者の阪哲朗さんは、ずっとヨーロッパの歌劇場で活躍してきた方で、旋律をよく歌わせ、しなやかな音楽を聴かせてくれる人です。喩えが悪いですが、実際、かつての「巨大だが鈍重な象のイメージ」のベートーヴェンではなく、繊細さとともに瞬発力を感じさせる「ヒョウやピューマのようなイメージ」のベートーヴェンでした。よく言われる「苦悩を通じて歓喜へ」、山響らしさのよく出た第3楽章の緊張感がフィナーレで解放されるところが、すごく良かった〜。久々に聴いた「第五」、やはり強烈な力のある音楽でした。また、鳴り物(打楽器)が加わった「トルコ行進曲」も楽しかった。

団員の皆さんの様子が、次第に通常運営に戻りつつある山響の現在の姿を表していたのに対し、感染状況が収まらない大阪を本拠とする大阪フィルの皆さんは、会場に聴衆を入れずマスクをしての演奏で、収録時はまだまだ苦闘の真っ最中といった感じです。尾高さんが指揮した「田園」は、コロナ禍を乗り越えた後の、明るく幸せな希望の音楽を目指したようでした。

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