電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンのユーモア~「交響曲第93番」を聴く

2011年06月15日 06時01分02秒 | -オーケストラ
作曲家ハイドンには、ユーモアのセンスが作品に現れているという点で、とても好感を持っています。典型的な作品として、例えば交響曲第94番「驚愕」が有名ですが、この第93番も、思わず笑ってしまうところがあります。

第1楽章:アダージョ~アレグロ・アッサイ、ニ長調、4分の3拍子。重々しく荘重な序奏に続き、力のこもったアダージョが奏されると、アレグロ・アッサイの、活力に満ちた音楽に変わっていきます。
第2楽章:ラルゴ・カンタービレ、ト長調、2分の2拍子。最初の主題は、1st-Vn, 2nd-Vn, Vla, Vc のトップ奏者による弦楽四重奏で奏でられ、オーケストラに引き継がれ、変奏されていきます。その真面目くさった演奏の中、およそ5分頃に、突然ファゴットが(^o^)/
思わず爆笑するか、うふふと忍び笑いをするか、そのあたりは人によりましょうが、ハイドン先生のユーモアは、筋金入りですね。
第3楽章:メヌエット、アレグレット、ニ長調、4分の3拍子。文字通りの舞曲メヌエットです。快活で、思わずくるりくるりと回転しながら踊りたくなる、切れ味の良いリズムです。
第4楽章:フィナーレ、プレスト・マ・ノン・トロッポ、ニ長調、4分の2拍子。前楽章に続き、歯切れの良いリズムと古典派らしい響きのバランスが素晴らしい演奏。ロンドンの聴衆の趣味を考慮したのでしょうか、たいへんすっきりとわかりやすいフィナーレです。

楽器編成は、Fl(2), Ob(2), Fg(2), Hrn(2), Tp(2), Timp., 弦5部。

この交響曲は、ハイドンがロンドンでの演奏会のために書き上げた、いわゆる「ロンドン交響曲」の中の一つだそうです。従来、エステルハージ家の楽団が主人のために演奏するのを通例としていたハイドンが、ロンドンの市民階級を中心とする演奏会に向けた作品として作曲したものです。そう考えると、映画「アマデウス」でしばしばぶっ放したような、あまり貴族的ではないユーモアも、なんとなく理解できるような気がします(^o^)/

1968年の4月19日に、オハイオ州クリーヴランドのセヴェランス・ホールで収録されたアナログ録音で、プロデューサーはポール・マイヤースと記載されています。CDは、SONY の88697489042 という番号の2枚組です。収録後、すでに43年になりますが、録音も明快なものです。

■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管
I=8'13" II=5'36" III=4'44" IV=4'40" total=23'13"

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