電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第229回定期演奏会でシューベルト、ショパン、ブラームスを聴く

2013年05月13日 06時05分45秒 | -オーケストラ
よいお天気の日曜の午後、午前中に果樹園の畑仕事を済ませ、山形テルサホールに出かけました。本日は、山響こと山形交響楽団の第229回定期演奏会の2日目、マチネです。曲目は、

(1) シューベルト 「ロザムンデ」序曲(魔法の竪琴)D.644
(2) ショパン ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
(3) ブラームス 交響曲第1番ハ短調 Op.68
   指揮:飯森範親、ピアノ:江崎昌子(えざき・まさこ)

の3曲。今回、ショパンのピアノ協奏曲第2番は、録音されるとのことです。

ステージ上の楽器配置は、左から 1st-Vn(10), Vc(6), Vla(6), 2nd-Vn(8)、正面奥には Fl(2), Ob(2) その奥に Cl(2), Fg(2) そしてその奥に Hrn(3), Tp(2) さらにその奥に Cb(4), Tb(3), Timp となっています。コンサートマスターは、犬伏亜里さん。

第1曲、シューベルトの「ロザムンデ」序曲です。弦がフワッと柔らかで澄んでいます。木管が加わるとシューベルトらしい親しみやすい音になり、さらに金管が加わると、ワクワクするような華やかさが出てきます。

第2曲、ショパンのピアノ協奏曲第2番。ステージ中央にピアノが登場し、Tb(1)、Hrn(2)に変わります。音楽監督の飯森さんによれば、若いショパンはオーケストラの扱いが未熟ですが、逆にピアノが引き立つ面もあるとのこと。たしかに、長めの序奏部の後でピアノが自在に入ってくると、音楽はぐっと精彩を増してきます。第2楽章は、きわめてロマンティックな緩徐楽章。弦のトレモロの中で、ピアノが素晴らしい演奏を展開しますが、ピアノとファゴットの組み合わせ等、音色的な工夫も感じられます。第3楽章:ショパンもやはりヴィルトゥオーゾの時代の申し子なのだな、と感じます。とにかくピアノが中心で、管セクションなど、楽器を置いて待っている楽員が多いです(^o^)/
でも、ホルンの角笛に続いてピアノが華麗に活発に動き回るあたりでは、はじめの短調の雰囲気はすっかり変わってしまっています。

ここで15分の休憩です。この間に、ステージ上はピアノが退き、コントラファゴットが加わってFg(3)となり、Hrn(4)、Tb(3)に増強されます。後半の曲目は、ブラームスの交響曲第1番、通称「ブラ1」(*1)です。

第1楽章:ウン・ポコ・ソステヌート~アレグロ。まずはティンパニに注目です。コントラバスの低音とダン・ダン・ダン・ダンとしつこく50回以上もリズムを刻むティンパニの音は、いやが上にも緊張感を高めます。山響の充実した響き!規模やパワーに依存するのではなく、各パートに内在するエネルギーの集中を感じさせます。そしてこの楽章の終了後の静寂!
第2楽章:アンダンテ・ソステヌート。ファゴットと弦、ホルンによる始まり。弦楽合奏は、もう古典派でも初期ロマン派でもありません。オーボエ・ソロの素晴らしさ、これを受け継ぐクラリネット・ソロの素晴らしさ。山響は、実に良い奏者に恵まれていると思います。そしてチェロが頑張って、どっしりとした低音の上に構築されたオーケストラ全体の響きは、たしかに充実したブラームスのものです。
第3楽章:ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ。弦のピツィカートの中で、木管とホルンの音。ブルックナーはあまりファゴットを使わないけれど、ブラームスはファゴットを実にうまく使います。ブラームスらしい音は、コントラバスやチェロとともに、ファゴットも大事な役割を果たしているようです。
第4楽章:アダージョ~ピウ・アンダンテ~アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ~ピウ・アレグロ。ほとんど休みなく終楽章に入ります。ピツィカートの緊張感。手に汗握るような、何かに追われているような切迫感。そこへホルンの朗々とした旋律。フルートに受け継がれて、雰囲気が変わります。堂々たるものです。ヴァイオリンとヴィオラが、例の有名な旋律を奏する中で、力強く前進するように変わっていきます。終楽章のブラームスの音楽は、力と熱に、さらに力と熱を加えていくようなものです。そしてティンパニの連打!最初から最後まで、平下和生さんのティンパニに魅了されました「ブラ1」でした。





終演後のファン交流会では、ソリストの江崎昌子さんの話も聴けて、さらにCD(ショパンの「マズルカ集」4,200円)を購入し、ご本人にサインしてもらって大感激でした。



音楽監督の飯森範親さんは、このたびセンチュリー交響楽団の首席指揮者に就任とのこと。なにやら強烈な逆風が吹き荒れる大阪の音楽界に、ぜひ爽やかな「そよ風」を吹かせていただきたいものです。

(*1):クラシック音楽オタクならば、「ブラ1」=ブラームスの交響曲第1番という公式が成り立ちますが、クラシック音楽に全くご縁がない一般人には、「ブラ1」と言えば女性下着1個の意味になってしまいます。ど田舎在住の中高年は、一般人の誤解を恐れ、決してこのような略称を用いることはいたしません。ちゃんと「ブラームスの交響曲第1番」と、フルネームで呼ぶように心がけておりまする(^o^)/

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