電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

大木正興氏とダイヤモンド1000シリーズのこと

2005年06月18日 17時57分35秒 | クラシック音楽
私の小規模なコレクションの中に、日本コロムビア社の「ダイヤモンド1000シリーズ」のパンフレットがある。たぶん、1970年ごろのものと思われるが、ベートーヴェン生誕200年で、アルフレッド・ブレンデルの演奏するピアノソナタ集か何かに添付されていたものであろう。
この裏面に記載されている、大木正興氏の推薦文が、実に味わい深い。「幅の広い音楽体験を持つために」と題して、ある物故した指揮者の演奏こそが絶品だとして古い録音を集め、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲すらしらないという偏狭なレコードマニアを戒め、こんな言葉を残している。
「音楽を本当に身近かなものとして受取るためには、まず古今のすぐれた作品を、できるだけ数多くきいて、幅の広い音楽体験をもつことから始めるよりほかに方法はないのである。」
この後に、「しかし、たくさんの名曲を日常手許に置いて、時に応じて自由にきき楽しむというのは、経済的にもなかなか容易なことではない。」として、この廉価盤シリーズの企画について、曲目や演奏者を評価している。
氏は、かつてNHK-FMの金曜「夜の室内楽」の解説をつとめたこともあり、また音楽の友社から『室内楽のたのしみ』という著書も出されているが、偏りのない紹介ぶりが好ましく感じられた。この文章を読むと、まったく本当だなぁと思う。事実、多くの愛好者がこのシリーズを懐かしそうに語っている(*)。音楽の文庫本として、裾野の普及に貢献した功績は大きいが、はたして同社の誰が企画をしたものか、興味深い。NHKのプロジェクトXでも取り上げていないようだし(^_^;)、謎解きのような興味がある。どなたか、本邦初のクラシック1000円盤企画の経緯を御存知の方はおられませんか。
(*):たとえば 安田さん・BQクラシックス など。
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ジュリーニのCDがない!

2005年06月17日 20時34分29秒 | クラシック音楽
カルロ・マリア・ジュリーニの訃報にともない、あちこちのWeblogで追悼記事が掲載されている。放送などではさかんに耳にしているが、そういえば、ジュリーニのCDはあったのだろうか。調べてみて驚いた。ジュリーニの指揮する演奏のCDがない!いくらなんでもそんなはずはないだろうと、あちこちひっくりかえして調べてみると、一枚子どもが持ち出していた。イツァーク・パールマン(Vn)、ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏する、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(東芝EMI TOCE-7053)だ。
このCD、録音レベルが低いのか、通常のヴォリューム位置では小さな音しかでない。思いきりボリュームを回し、ようやく快適に聞けるようになる。演奏は、実にゆったりしたテンポで、パールマンのヴァイオリンの美音を楽しめる。

ところで、面白いことに気がついた。私のライブラリに全くCDがない有名指揮者が何人かいるのだ。今まで積極的に購入して来なかった指揮者と言っても良いだろう。たいしたライブラリではないので、欠けているところがあるのはやむをえないのだが、偏り方がいかにも自分らしい。

■私のライブラリに欠けている有名指揮者
(1)フルトヴェングラー
(2)チェリビダッケ
(3)ギュンター・ヴァント
(4)アーノンクール

なるほど、これでは某音楽評論家とは好みが合わないはずだ、と苦笑いしてしまった。
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虫歯についてのメモ

2005年06月16日 21時05分34秒 | 健康
歯医者さんの話から、虫歯についての若干のメモ。
(1)プラークとは、糖分が分解する過程でできたねばねば成分とミュータンス菌などがまじりあってできた歯の汚れのようなもの。
(2)虫歯の予防は、このプラークをできるだけ早く除去することが基本。食後3分以内に歯磨きをすることが効果的。
(3)口内のpHは6.8前後。糖分を摂取すると、3分以内にpHが3~4程度まで下がる。このときエナメル質がとかされ、脱灰が起こる。その後、唾液の働きなどで、次第に口内pHは6.8前後まで回復する。
(4)しかし、pHが回復する前に再び糖分を摂取すると、急速にpHが低下し、さらに虫歯が進む。したがって、糖分を摂取したらすぐ歯磨きをすること、だらだらと長い時間甘いものを食べないこと、というのが虫歯予防の鉄則だ。
(5)エナメル質が虚弱な場合は、フッ素塗布が有効な場合がある。ここでいうフッ素はフッ化ナトリウムのことで、フッ素単体やフッ化水素ではない。
(6)放置されたプラークが石灰化したものが歯石。歯石を放置すると歯肉炎になる。歯肉炎を放置すると歯が結合している顎の骨が溶け、歯がぐらつくようになる。見た目には虫歯がないのに歯が抜けることもある。これが歯周病。歯肉の高さが下がっていることが健康な歯の条件。
(7)口臭は90パーセントがプラークや舌のよごれが原因。残りは蓄膿症や糖尿病など他に原因がある場合が多い。朝や空腹時など、唾液の分泌が少ないときは、自然口臭が強くなる。
若い歯医者さんだけに、話が面白い。こういう説明なら、聞くほうもわかりやすい。
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南東北地方、ようやく梅雨入り

2005年06月15日 20時43分17秒 | Weblog
福島、宮城、山形の南東北三県が、今日ようやく梅雨入りしたらしい。昨年は六月七日と早かったが、今年は昨年よりも一週間以上遅れたことになる。もっとも、例年は12日あたりなので、実際には数日遅れた程度であるが。カッコウも鳴声をきいたし、しっかり活着した田んぼの稲も、すくすくと成育している。ここしばらく曇り空が続いて、サクランボの収穫が進んで欲しいものだ。
サクランボは、雨が降ると熟したものから実割れがおこり、商品価値がゼロになる。したがって、サクランボに雨は不都合だ。最近は、ビニールハウス(テント)が普及し、最盛期には雨が降っても大丈夫になっているが、雨音を聞きながら収穫作業をするのはやりきれない。いやになってしまう。だから、農家によってはラジカセを鳴らして作業をしているところもある。高齢の人の場合は歌謡曲や演歌のようなものが多いが、中にはポピュラー音楽や洋楽を流しているケースもある。若い人が中心ならそれも話題となり、休憩時には盛りあがる。
クラシック音楽は、残念ながらサクランボ収穫作業には似合わない。ここはひとつ、胸ポケットに入る携帯ラジオや、携帯電話のノイズも入りにくいので、落としても惜しくないカセット・ウォークマンなどを使うことにいたしましょう。

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今日は電車で通勤

2005年06月14日 21時59分01秒 | Weblog
今日は、都合により電車にて通勤。朝の電車は混み合い、かなり大変だ。都内の通勤の皆さんの苦労がしのばれる。つり革につかまり、文庫本を読む。今日は、小学館文庫で前屋毅著『ゴーン革命と日産社員』を読む。カルロス・ゴーンを社長に迎えて急速に業績を回復した日産自動車が、ゴーン社長一人が立派だったのではなく、改革を計画し実行したクロスファンクショナルチーム等のリーダーたちがいたからだ、という内容の本だ。こういう話は、結果を後から説明するものだから、「へぇーそうか」とは思うものの、インパクトは薄い。

帰りはドヴォルザーク「スラブ舞曲」作品46と72の全16曲を、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、携帯CDプレイヤーで楽しんだ。これは、1962年から65年にかけて、クリーヴランドのセヴェランス・ホールで録音されたもので、作曲家の誠実な仕事を丹念に演奏することで、音楽の持つ立派さと親しみやすさを同時に表現した演奏だと思う。コシュラー指揮チェコフィルのお国ものの演奏もあるけれど、さすがにレーザーディスクでは携帯することはできませんね(^_^;)>poripori

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まとまった時間

2005年06月13日 22時09分55秒 | Weblog
若い頃、まとまった時間がほしいと思うことがあった。細切れの時間でなくまとまった時間があれば、あれもこれもできるのに、というわけだ。今も同じことを思わないではないが、少しさめている。たぶん、まとまった時間ができても、あれもこれも仕上げる気力は残っていないような気がする。
若い人を見るとき、可能性とか時間があることをうらやみはしない。選択することは他の可能性を捨て去ることと同義であるし、時間があっても有効に使えるとは限らない。つい衝動に動かされて動いてしまうことのほうが多いだろうと思うからだ。
だが、一つだけ若い人がうらやましいのは、気力の充実だ。新しいことを覚えてやろう、ものにしてやろう、という貪欲さがある。これがなければ、かりにぽかっとまとまった時間ができたとしても、何もできずに過ぎてしまうことだろう。
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『古くて豊かなイギリスの家、便利で貧しい日本の家』を読む

2005年06月12日 20時33分31秒 | -ノンフィクション
新潮文庫で、井形慶子著『古くて豊かなイギリスの家、便利で貧しい日本の家』を読む。生まれ育った家とあちこち転々とした安アパートしか知らないので、著者が批判する日本の家づくりというものを実際にしたことがない。したがって、施主と建築家の力関係だとか、モデルハウスの幻想性というものも、実感としてわからない。
著者が日本の家と言っているのは、どうやら都会の建売り住宅のことらしい。田舎のわが家などは、日本の住宅には入らないのだろう。英国では毎年DIYでドアにペンキを塗るかもしれないが、わが家では毎年春と秋に板戸と細竹を編んだ網戸とを交換し、ぞうきんできれいに拭く。トイレにアポロ宇宙船のような仕掛けはないし、天井までの収納などもなく、便利さで押し潰されそうな家とはほど遠い。今でも井戸があり、裏の畑でポチならぬネコがなく。のんびりした暮らしだ。車がありデスクにはパソコンがあり、妻の机にもLANケーブルが伸びているけれど、それを伝統的な日本の田舎の生活や風景をこわすものだとは思わないけどなぁ。古びた黒板塀ごしに年代物の松が見える家並みも、それほど違和感があるとは思えない。
私もアンテナや電柱が建ち並ぶ街並みよりも、電線を地中に埋設した通りのほうがすっきりしているとは思うけれど、どの家にもテレビのアンテナが林立していた風景は、昭和30年代~40年代の風景として懐かしさを感じるくらいだ。むしろ、80代の老父母が、畳の生活は50代・60代までのもので、年取ってからはベッドがらくだ、と徐々に洋風の生活スタイルに変えてきているのが正直な姿だろう。
ただし、英国のリビングの代表として掲載されている、たっぷりドレープの入ったカーテンやビクトリア朝時代様式のような家具やクッションなど、インテリア雑誌から抜け出たような写真のようには決してならない。年寄りの感性を見ると、さっぱりした空間に麻の端切れをしいて、小ぶりの火鉢ほどの大きさの花瓶を飾る。そして、畑で育てた白い芍薬(シャクヤク)をどさりといけている。生活は質素だが実に豪華だと思う。
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ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」について

2005年06月11日 21時47分54秒 | -協奏曲
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を特に意識したのは、たしかバーンスタインがウィーンにデビューしたときだったか、ピアノを弾きながら指揮をしたときである。テレビで見るバーンスタインに対し、「ベートーヴェン気取りかい」と少々意地悪な見方をしていたが、演奏が始まってからは、上機嫌で快活で爽快な乗り乗りの演奏に、すっかり魅了された。ピアノ協奏曲第1番って、こんなにいい曲だったのか、と。
その後、FM放送でエミール・ギレリス(Pf)、クルト・マズア指揮ソビエト国立交響楽団による1976年のモスクワ音楽院大ホールでのライブを録音し、カセットテープでしばらく聞いていた。80年代に入ってからは、アルフレッド・ブレンデル(Pf)、ハイティンク指揮ロンドン・フィルハーモニーの演奏によるLP(Ph X-7718)に魅了された。
最近は、バブル崩壊により新録音が少なくなり、昔の録音が再発売されるだけになってしまったが、輸入激安盤の登場により、かえりみられることなく放置されていた録音も商品として再び光があたるようになった。別に英文の解説書を読まなくても、中身を良く知っている録音ならば不都合はない。そんなわけで、かつてLP時代には手が出なかった演奏・録音を、次々とCDで購入するようになった。レオン・フライシャー(Pf)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏(SBK-47658)が、最近のお気に入りだ。
第一楽章、颯爽と登場するピアノが、ウィーンに登場した若きベートーヴェンの姿を思わせる。第二楽章のラルゴも、とてもやさしい緩徐楽章だ。当時のウィーンっ子たち(特にご婦人が)参ってしまったのもうなづける。そうして第三楽章、バーンスタインのようなスゥイング感とは違うが、正確なリズムの上に展開される、覇気に満ちたかっこよさ。
この協奏曲は、独奏ピアノと管弦楽のバランスが、それ以前の時代と比較して、ぐっと管弦楽の比重が高まっているように思う。その意味で、いささか録音は古くなったが、セルの指揮するクリーヴランド管弦楽団の演奏は、素晴らしい。時には優しく時には重厚に、弦楽器群の抜群のアンサンブルの中で金管楽器が独特の輝かしさで響きわたる。(セルは、ここぞという時にはトランペットをホルンで裏打ちさせることもいとわなかったらしい。)
前にも書いたことがある(*)が、このピアノ協奏曲でも、第1番のほうが第2番よりも3年ほど後に書かれているとのこと。しかし、出版はこちらの方が先になったため、第1番となった、ということらしい。交響曲やピアノソナタ、弦楽四重奏曲でも同じ様な関係があり、ベートーヴェンはどうやら自信作の方を先に発表するという作戦を取っていたようだ。
(*):電網郊外散歩道:ベートーヴェンの第1番

参考までに、録音・演奏データを示す。

■ブレンデル(Pf)、ハイティンク指揮ロンドン・フィル、1975年11月、ロンドンにて録音
I=17'11" II=12'27" III=8'45"
■フライシャー(Pf)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管、1961年2月、クリーヴランド、セヴェランス・ホールにて録音
I=16'29" II=12'15" III=8'36"

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録音データを調べる

2005年06月11日 12時14分04秒 | クラシック音楽
あるWEBLOGで、オークションでデンオンの My Classic Gallery のセットを入手した、とあった。私も同じシリーズを集めている。同じことを考えている人がいるものだ。
さて、この方の場合は、「フランス近代ピアノ名曲選」を取り上げていた。ずっと昔に、コロムビアの廉価盤でエラート1000シリーズというのがあり、この中にも「フランス近代ピアノ曲集」というLP(RE-1018-RE)があった。マグダ・タリアフェロの演奏で、シャブリエやセヴラク、アーン、サン=サーンスなどの小品の他に、ドビュッシーの「ピアノのために」「アラベスク」「喜びの島」などが取り上げられ、ずいぶん楽しんだ記憶がある。ただし、いかんせん録音が古かった。ピアノの低音がびんびん響くような、鮮明な録音であればなぁ、と残念に思ったものだ。
それが、録音技術が年々進歩し、じゅうぶんに満足できるようになった。このことを痛感したのが、1974年に録音されたヤン・パネンカの演奏するシューマンの「謝肉祭」だった、と前に書いた(*)が、ジャック・ルヴィエの演奏する「フランス近代ピアノ名曲選」は、いつごろ録音されたものか。『デンオンのデジタル録音15年の歩み』というパンフレットで調べてみた。

■フランス近代ピアノ名曲選 (DENON GES-9255)
【ドビュッシー】ジャック・ルヴィエ(Pf)
(1-6)「子供の領分」 1984年4月、オランダ、ハーレム・コンセルトヘボウ、初出:OF-7158(LP)
(8)「レントより遅く」 1984年4月、「子供の領分」に同じ
(10)「アラベスク第1番」 1985年5月、録音地:同上、初出:33C37-7734(CD)
(11)「亜麻色の髮の乙女」 1983年7月、オランダ、ライデン、シュタットヘホールザール、初出:OF-7092(LP)
(12)「花火」 1982年8月、オランダ、ハーレム・コンセルトヘボウ、初出:OF-7059(LP)
【サティ】高橋悠治(Pf)
(13-14)「ジムノペディ第1番/第2番」1976年1月、日本コロムビア第1スタジオ、初出:OX-7071(LP)
(15)「グノシェンヌ第1番」 同上
【ラヴェル】アラン・プラネス(Pf)
(19)「亡き王女のためのパヴァーヌ」 1980年11月、埼玉・狭山市民会館ホール、初出:OF-7057(LP)

実は、この話題の発端となったWEBLOGの記事にコメントすべく、テキストエディタで記録していたものだが、該当のWEBLOGの胴元(Doblog)が、「だんな、ここは文字数に制限がありまっせ」、送信不可とおどすようなので、急遽こちらの記事とした次第。自分自身のために調べたことだが、結果的に他人様のためにも役立つなら幸いである。

(*):電網郊外散歩道・ブックオフ等の全集分売CDについて
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夜中にネコが!大騒動

2005年06月11日 03時05分18秒 | アホ猫やんちゃ猫
夜中にネコが何やら騒いでいる。閉め忘れた窓から出て、チョロチョロ動くヤツをつかまえてきたらしい。室内で逃がされては大変と優しい言葉をかけてやると、満足そうにさんざんいたぶったあげく、とどめをさした。おかげで、すっかり寝そびれてしまった。「可愛いふりしてあの子、わりとやるもんだね」と、その残虐無道ぶりを後世まで語り継がれることだろう(^_^)/
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今年の梅雨入りは

2005年06月10日 21時57分53秒 | Weblog
関東地方などは梅雨入りしているようだが、当地は毎日晴天が続き、サクランボ農家にとっては梅雨入りがいつごろか気になる時期だ。そんなときは、備忘録に聞いてみましょう。
$ grep "梅雨" memo200*.txt
memo2004fm.txt:2004/06/07 梅雨入り 本日、例年より五日ほど早く梅雨入り宣言。雨ふりで湿気が多い。
だそうです。職場はビル全館が空調なので気がつかないが、そういえば今日は帰りの通勤路が、わりに蒸し暑かったような気がする。夜に入ってからぽつぽつ雨の音がする。東北の遅い梅雨入りも、そろそろかな。
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井上ひさし氏の蔵書

2005年06月09日 22時28分21秒 | Weblog
山形県川西町の「遅筆堂文庫」(*)には、井上ひさし氏の蔵書が収蔵されており、実際に書き込みや付箋を付けた箇所を読むことができる。岩波の現代生物科学講座や、情報科学講座などのシリーズまでが購入されていることに驚いたが、実際にはほとんど書き込みも付箋もついていなかった。専門書のレベルだと、読みこなすのは難しいのだろうと思われる。しかし、農業統計などのハンドブックや科学技術の一般向け解説書などは実によく付箋が付けられており、技術礼賛の未来論に対しては後ろ向きな記述にアンダーラインが引かれてあった。たとえば、距離のわからない世界一周の航海は、燃料を積む必要のない帆船だからできた、という点に注目している。たしかに、食糧は現地調達できても、燃料は現地調達できない。現地調達できる推進力は風だけである。コンピュータ関係は残念ながら充実しているとはいいがたい。UNIXワークステーションのマニュアルビデオテープがあったのには驚いたが、実際にワークステーションを使った形跡はない。ビデオで見て、どんなものか見当をつけたのだろう。その興味関心の広さに驚くとともに、専門的な力とは別な、大局的な見方ができる力、というものを認識した。
(*):井上ひさし:遅筆堂文庫
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最近の通勤の音楽はショーソン「交響曲」他

2005年06月08日 21時52分22秒 | -オーケストラ
夏至が近付き、ほんとうに日が長い。朝、まだ涼しい7時前に家を出て、夕方ようやく涼しくなった頃に帰る。蒸し暑さもないので、今が一番通勤がらくな時期だろう。そういえば、今日帰りに給油したら、ガソリンの消費率がリッターあたり19kmだった。たしか前回も同じ数値を記録しているので、エアコンを使わない夏場は、このくらいの値を示すのだろう。さすが、元祖(?)リッターカーMarchである。満タンに給油しても、5000円でお釣りがくる。以前は4000円でお釣りがくると喜んでいたのだから、給油1回につき1000円はガソリン代が上がった格好になる。月にCD1枚か2枚ぶんはガソリン代に消えたかな。

さて、今通勤で聞いているのは、ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルによるショーソンの交響曲とフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲だ。もう一週間近く毎日通勤時に聞いているので、だいぶ覚えてしまった。ショーソンの交響曲、第三楽章は追跡者と逃亡者の心理サスペンスドラマの背景音楽によさそうな緊張感がある。まだもう少し同じ演奏を聞き続けよう。

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デジタル化の周辺~書斎

2005年06月07日 22時42分25秒 | 手帳文具書斎
WEBサイトで、デジタル化の周辺を取り上げている(*)が、書斎の概念もデジタル化によって大きく変わったと言えるのではないか。
先ごろ、谷沢永一編『日本の名随筆・別巻6書斎』(作品社刊)を読んだが、このことを強く感じた。本書では、古書籍収集と稀覯本を中心とした、書籍陳列所としての伝統的な書斎の実状が描かれる。一部に、知的な生産の場所としての言及があるものの、コンピュータや情報処理に携わる場所、という観点は皆無だ。しかし、現在は、書斎でネットワークに接続し、キーボードを打っている姿が多くなっている、というのが現実だろう。
また、かつては一定の広さのスペースと立派な蔵書が書斎の条件だったが、現在は必ずしもそうとは限らず、コンピュータや多機能コピー・プリンタなどが導入された、オフィスとあまり変わりないような書斎や、面積は狭くても高機能な書斎が増えているように思う。
その意味で、デジタル化の波は、書斎の概念をも変えてしまっている。
(*): MyComputingStyle -- デジタル化の周辺
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昨日のサクランボの状況は

2005年06月06日 20時47分45秒 | 週末農業・定年農業
昨日のサクランボの状況は、写真のとおりである。
左は「高砂」という早生品種で、右が「佐藤錦」という品種である。ごらんのとおり、早生品種がそろそろ色づき始め、来週あたりから収穫が始まる。糖度が高く果皮がやわらかい主力品種の「佐藤錦」は、尾瀬のミズバショウと同様、例年六月の第三日曜日あたりが収穫に適した時期なのだが、今年は数日遅れるようだ。おそらく、今月の第四週あたりが、サクランボ狩りのピークになるのではないか。東北道村田ジャンクションから分岐する山形自動車道や、仙台方面から天童・東根市方面に至る国道48号線などは、だいぶ混雑するものと思われる。特に、有名ソバ屋は混雑する。街中の普通のソバ屋を見つけるほうがいい。街中にある山形のソバ屋さんは、地元の人が通っているから、たいていは非常においしいソバが食べられる。観光地のドライブインのようなところは、きわめて当りはずれが大きい。

さて、サクランボには、ほかにもいろいろな品種があって、昔からなじみの深い「ナポレオン」は大粒だが酸味が強く、もっぱら缶詰などの加工用。適期は六月末から七月始め。最近は、「紅秀峰」という優れた品種も出てきた。こちらはナポレオンと同じく遅めの品種だが、大粒で糖度が高く、適度に酸味もありおいしい。私はまず第一に「佐藤錦」、次に「紅秀峰」が好みである。

お値段は、時期が早いと高い。時期が遅れるとそれなりにこなれてくる。目安は収穫適期を過ぎた直後あたりの頃か。市場価格は、きれいに並べてパック詰めしたものとバラで箱に詰めたものとでもだいぶ違うが、例年は生産農家の出荷価格の倍から三倍になるようだ。
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