午後から夜に雨になるかもしれないと、朝の予報は言っていたけど、夜8時過ぎに雷雨になったのには驚いた。10月というとあまりそういう降りかたをするというイメージがないからだ。帰りはもっと早かったので、特に濡れたりしたわけではない。
晩飯は南行徳メトロセンターの松屋。秋の感謝祭で牛焼肉定食が100円引きの530円とポスターが出ている。
なので牛焼肉定食にする。
松屋へ入ると牛丼(牛めし)よりも定食を食べるほうが圧倒的に多い。豚の焼肉とか生姜焼きの定食も食べるが、一番好きなのは牛焼肉定食。そして、松屋へ行くとほとんど定食ばかり食べてしまうようになった原因も、牛焼肉定食。
もう23、4年前の社会人2年目か3年目の頃のことになるけど、船橋へ買い物に行ったとき、船橋駅前の松屋で初めて牛焼肉定食を食べた。これが実においしくて感動した覚えがある。
別に貧しい暮らしをしていたわけでもないし、独身寮ではおいしい晩飯が出てきたし、週末は洋食っぽい店でハンバーグやポークソテーのようなものも食べたし、ステーキファミレスのフォルクスなんかへ行ったりしたこともある。なのに、松屋の牛焼肉定食には感動した。それは、おそらく、
「この値段で、これだけおいしいとは!」
というコストパフォーマンスの高さのほうだったと思う。当時の牛焼肉定食が500円は越えていたか、いなかったかも覚えていないが。
子供のときとか、若いときとかに第一印象が鮮烈で記憶に強く残ったことは、ずっとあとになっても尾を引くようだ。年を取るほどいろんなものを食べて舌も肥えてきているはずなのに、いまでも松屋の牛焼肉定食を食べると満足を感じる。昔、感動したときの記憶が調味料になっているようだ。
昔、初めて食べたときに感動したとか、頻繁に食べて舌に馴染んだりしたとかいった味は、いつまでたっても再び口にすれば記憶を呼び覚ますのだろう。
自分にとってそうなのは松屋の牛焼肉定食だけでなく、(多くの人にとってもそうらしいが)吉野家の牛丼にも同じことが言える。小学生のときに、銀行か市役所かへ用事で出かけた祖父がおみやげに買ってきてくれて、初めて食べたときに香りと味に感動したことは今でも覚えている。
味噌ラーメンだと、やっぱり1970年代ごろに流行った味の味噌ラーメンだし、うどんだと関西の家庭や町のうどん屋の味に一番近いなか卯となる。