日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

東京は暑いと思っていた…。

2008-09-30 07:41:41 | 日本語の授業
 出かけ際に、外を覗くと、昨日の雨は霧雨になっていました。これならたいしたことはあるまいと、傘も持たずに出てきたのですが、失敗でしたね。だんだん服が湿り気を帯びてくるような、そして靴まで水気を吸って重くなるような、そんな鬱陶しさにつきまとわれ、路上の花や草木も見ずに必死で学校まで歩いてきました。着いた時には、汗びっしょりです。メタポ対策には、なるほど歩くのが一番いい。

 ところで、昨日の事でした。午前のクラスが終わってから、残って学校で勉強をしていた学生が、アルバイトへ出る時、ついと私のそばへ寄って来て「先生、東京はどうしてこんなに寒いのですか。もう冬ですか」。彼女は、遼寧省の出身です。言われて、そっちの方がずっと寒いのじゃないかという表情をすると、「日本は、暑いと聞いていた。寒い時の服を持ってきていない」。思わず「すぐ送ってもらいなさい」と大声で叫んでしまいました。

 中国の北方では、東京の気候を、タイやフィリピンと同じと思っているのではないかと思ってしまいます、彼らの話を聞いていますと。「ほんとの冬はもっと寒い」と脅しますと、「どうしよう」。

 まあ、昨日は特別で「11月の気温」ということでしたから、「晩秋」か「初冬」並みの気温で震え上がったのも無理からぬ事でしたが。

 しかし、いったいどうしてこんな誤解をしたのかと考えながら、話を聞いていますと、中国でも、日本の「若い人向けのドラマ」や「アニメ」などが紹介されているようで、そこからこんな勘違いをしてしまったようなのです。日本人は、冬でも薄着ですからね。でも、これは一概に「伊達の薄着」というわけでもないのです。

 中国では、とにかく子供に厚着をさせます。「少し寒くなったかな」くらいでも、もう何重にもくるまれます。綿入れにくるみ込まれた子供は、まるで布団が歩いているみたいに見えました。

 日本から行った当座は、それが不思議でたまりませんでした。子供は少し運動すれば、すぐ汗をかいて、暖まるもの。こんなに着ぶくれしていたら、まず、動けないじゃないかと。コロコロ転がって終わりじゃないかと。全く子供らしくない。お爺やお婆でもあるまいしと。

 日本では、昔から「子供は風の子」と言われてきました。「子供には薄着をさせるのが、身体のために一番いい」と。また、「そうでないと健康には育たない」とか、「厚着の子供は不健康で、病気がちになる」とも、言われてきました。そして、薄着のまま、外で、遊ぶのが一番いいとされてきたのです(もっとも、最近は、塾の勉強や、プールへ行ったりと、なかなか幼児や児童でも自由な時間は見つけられないようですが)。

 だから、『有名幼稚園』などでは、「冬も裸で過ごさせます」というのをうたい文句にしている所もあるくらいです。「乾布摩擦」を、幼稚園や小学校で取り上げているところも、もうニュースにはならないくらい多いのです。

 子供とはそういうものとしか考えられなかったので、中国で見かけた中国人の子供は、かわいいとか言う前に、これで大丈夫なのだろうかと感じられたのも無理からぬ事でしょう。

 そういう習慣の違いから、日本の薄着の子供を、中国のテレビで見れば、「なんと、東京は暑いところか。冬でも子供が半袖で走っている」となるでしょうし、日本の「ドラマ」や「ニュース」で、冬に短パンやミニスカートで、町を闊歩する若い女性を見れば、ますますその思いを強くすることでしょう。

 けれども、一言で言えば「東京の冬は寒いです」。しかも、大陸の乾燥した寒さとは違い、じめじめとした、下から迫って来る湿り気を帯びた、水気の寒さですから、「体感温度」は、同じ零度でも、もっともっと寒く感じられます。

 フフホトから来た女の子も「寒い」「寒い」を連発していました。寒さの質が違うので、震え上がっていたようです。

 私も北京で暮らしていた時、「今日の温度は、マイナス10度」と言われて驚いたことがありました。日が照っていると、それほど寒さを感じないのです。もちろん風が強い日には、体温がさらわれていくようで、「マイナス10度ね。これなら解る」と思ったものですが。

 寒さに震え上がっている二人(高校を卒業したばかりです)には、早速若い先生が、ユニクロを教えていました。ここで「二千円か三千円で、厚手のものを買って当座を凌げ」ということなのでしょう。

 今日は、お昼には雨が一時止むそうですから、学校においてある自転車(「天山来客」さんが、帰国する時、学校に寄付してくれたものです)に乗って、二人で見に行ってくればいい。中国からすぐ送ってもらうにせよ、今日明日の用には立ちませんから。

日々是好日
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