日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「高校受験を控えた『中学生』さん」。「時ならぬ花『ハイビスカス』、花開く」。

2009-11-19 07:50:46 | 日本語の授業
 今朝もまだ暗いのです。出勤の時間は大して変わっていないのに、寂しい限りです。思えば、学生達の下校時もそうです。最後の学生が帰る頃は、もう暗くなっています。

 最近は、中学校の授業を終えてやってくる中学生さんが、トリを務めています。中学校が終わると直ぐにやってきて、まずは「中級クラス」に入って日本語の勉強をします。それが終わると、高校受験のための学科の勉強を、一時間か一時間半ほどして帰るわけですから、疲れるでしょうに、本当に頑張り屋さんです。

 けれども、そこは子供のことですから、時々疲れて機嫌が悪くなることもあります。タイから来た子ですから、寒さにも弱いのでしょう、先日は、「具合が悪い」とグシュンとしていました。そうかと思うと、真っ赤な顔をして(日本語)学校に来て、
「日本の中学校は大変、大変。十周、十周。先生。日本は大変。マラソンだよ。疲れた。疲れた」と叔父さんのような恰好をして座り込んでしまいます。

 日本では、「体育」はとても大切な科目です。先生も、きちんと教えてくれますから、中学生の方も、まじめにしなければなりません。それほど「体育」を重視していない国から来た人は、大変でしょうね。ぺーバーテストもあれば、実技のテストもあります。手を抜いたりしたら、直ぐに(先生の)罵声が飛んできます。女の子でも、マラソンは言うに及ばず、サッカーやバレーボール、バスケット、ダンスなどの練習をしますから、ルールや基本的な動作などは皆知っています。

 基礎体力をつけるためには、(また冬であることも関係しているでしょうが)まずは「走り」というわけなのでしょう。

目を丸くして、
「明日もあるよ。はあ、大変、大変。また走るんだよ」

 「体育」は大切です。体力がなければ、やりたいことが見つかっても、し遂げることはできないでしょう。しっかり運動して、勉強や仕事ができるような身体を作らなければならないのです。
 彼女はタイでも「頭のいい子」で、通ってきたそうですから、きっと勉強さえしておけばいいとでもいった環境で育ってきたのでしょう。ところがどっこい、日本では、そうはいきません。しっかりスポーツをさせられますからね、頑張って下さい。

 とは言うものの、本当に彼女は頑張り屋さんなのです。また、こう言っては何ですが、彼女のお父さんもお母さんも、この子のために頑張っています。

 なんでも、(高校受験のための)願書を書く時、「特技」を書く欄に、お父さんが「特技、力持ち」と書いたそうで、親子の仲がいいのがよく判ります(これを聞いて、私たちはみんな笑ってしまいましたけれども、この一言で、高校の先生達の心証をよくしたことでしょう。しかし、本当に力持ちなのです。10キロほどもありそうな学生鞄を抱えて、中学校と日本語学校と家を行き来しているのですから)。お母さんも、この子を高校へやるために、パートに出ているそうです。この子もそれを知っているので、頑張らなければならないと思い定めているのでしょう。

 さて、高校ならぬ、大学や大学院の受験を控えている面々です。

 本当にやりたいことを見つけるという作業は、大体終わり、あとは「(日本語の)レベル合わせ」だけです。

 これも、日本人にとっての「難関校」と、外国人にとっての「難関校」は違いますから、そこの所が案外難しいのです。さすがに、滑り止めに「東京大学を」などという馬鹿げたことを言う学生はいなくなりましたが。そうは言いましても、やはり、勉強したいことと、それが学べる大学でありながら、しかも彼らの今の日本語のレベルで合格できそうなところを選ぶというのは案外に難しい作業なのです。

 とは言いながら、学びたい所で、学びたいことを学ぶのが一番。たとえ、一度失敗したとしても、

「絶えたりと 見えし水すら 草ごもり また湧き出づる 況んや人は」 (岡野直七郎)

 ですから、再度挑戦してみるのも、また一つの方法でしょう。

 そういえば、葉の色が変わり、もうだめかなと思っていた「ジャコバサボテン」が蕾を一杯つけました。根性ですね。この鉢をくれた学生もそうでした。「東京大学」の大学院は難しいということがわかっていても、「私が勉強したいことが勉強できるのは、ここしかない」の根性で、この最難関校の「研究生」になり、直ぐに「修士」試験に合格しましたから。ただ、彼女の場合、ただの根性だけではありませんでしたけれども。

 花といえば、昨日の暖かさに驚いたのか、「ハイビスカス」の花が、咲いています。いいのでしょうか、もう冬ですよ。おまけにここは本州なのに。大丈夫かなと却って心配になってしまいます。
 
日々是好日

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