日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「秋晴れ」。「開放感」。「言葉の遊戯」。「「読解プリント」。「黒いヒメヒマワリ」。

2009-08-27 08:01:45 | 日本語の授業
 今朝は、秋晴れです。全くの上天気。光に反射して辺りがキラキラしています。遠く彼方に、一筆でさっと刷いたような、ちぎれ薄い雲が見えるのですが、それも微かなもの。まずは、青一色とでも言うべき空でしょう。

 昨日の午後、授業のため、一階に下りていくと、「Dクラス」の学生が、ガラス戸を開け放っていました。そして、「先生、気持ちがいいです。私は好きです。いい匂いがします」と、ニコニコしながら言います。私は思わず、クンクンと匂いを嗅いでみたのですが、何の匂いもしません。怪訝そうな顔をしてみせますと、「風がいいです」。

 ともかく、爽やかな風で、これまで、冷房に鎖されていた教室で、授業を受けなければならなかった彼にしてみれば、風が感じられる処にいる、即ち、極楽だというわけで、それが「いい匂い」という表現になったのでしょう。

 夏休みの前は、「後、幾日経つとお正月」の気分で指折り数えていたくせに、休みが始まってしまうと、彼らとしても、随分学校が恋しかったようです。二週間の休みのうち、何度か来られた学生は別にして、アルバイトを詰めていた学生は、新学期が始まると、少し早めに学校に来て、食事を済ますや、職員室に上がってきて、何やかやと話したがります。他の学生達が来るまで、恋々として教室に下りて行こうとはしません。

 とにかく、友達と話したい、教師のだれかと、無駄話をしたいといったところなのでしょう。

 このクラスでは、一人ひとりの欠点を見つけては、「(私が)あげつらい、(学生達が)あげつらわれる」ということが恒常化しております。一人の学生も逃しません。この「一人も逃さないで、あげつらう」というのは、傍から考えるよりも、かなり難度が高く、普通の教師はなかなかまねができないところなのです。というふうに、私は自負しているのですが、そういうやり方で、追い詰められて(日本語が)上手になった「Aクラス」のおしゃまさんたちは、今、やられたのと同じやり方で、私をとっちめてやろうと、日々待ち構えています。つまり、これは、必ず我が身に降りかかってくることなのです。やる方も、彼らが卒業するまでは、緊張状態が続きます。教師の方でも、体力が、ある程度なければ、続けられることではないのです。


 まあ、これは、例年のことなのですが、この「Dクラス」の誰にとっても、今、あげつらわれているのは、明日はわが身ということになります。そういうわけで、それならば、先に、人様をあげつらってやれと、牙を研ぐというのが習わしのようになっているのです。最初は、当然のことながら、「自分のことをあげつらって、苛めた」私(教師)が、その対象となります。日本語のレベルが上がってくると、互いに、「やられたり、やり返したり」というのが出来るようになるのですが、まだまだ、乳歯が生えてきたくらいですから、そううまくいきません(けれど、うまくいった時は、本当に嬉しそうです)。

 私に、的を絞って、皆でやってやろうと努力(?)しても、(日本に来てから)まだ半年も経っていないのですから、牙の研ぎ方も甘く、返り討ちにあってしまうのが常だったのです。ところが、それも、夏休み前と後で少し変わってきました。休みが明けてみると、あろう事か、以前私がよく使っていた手で、攻めて来るではありませんか。もっとも、まだまだ下手ですけれどもね。そんな甘い攻め方で、私が音を上げるであろうと思うなんておこがましい。そんなのは、百本束ねてきたって、私にしてみれば、屁の河童。

 それどころか、「どんどん来い。どんどん来い」と、こちらは余裕たっぷりの態度を見せつけてやります。とはいえ、彼らの成長が、ある意味では嬉しいものですから、負けて見せてやりますと、中には図に乗って、下手な攻め方で、攻めてくる輩が出てきます。下手なのはだめです。そこは、一本投げ、また蹴手繰りなどの技を使い、片っ端から潰してやります。

 何と言っても、教師ですからね。ここは私の土俵の上です。初めから勝負ありなのですから。と、のんきに構えているわけにも生きません。力の差を見せつけておかないと、あら探しばかりに長じて、その手段に頼って言葉を磨こうとする「Aクラス」のおしゃまさん軍団と同じになってしまいます。まあ、このクラスは平均年齢が、彼らよりも三四歳高いので、そういうことはないでしょうが…。

 この「Dクラス」も、もう「初級Ⅱ」の教科書の40課に入ります。10月からはそろそろ「非漢字圏」の学生にとっては大変な「中級」レベルに入っていきます。そのためにも、少しずつ「読解」問題をしていかなければならないのですが、夏休みに学校へ来て、そういうプリントを読んでいたのは、中国人の学生ばかりなのです。本当に来て欲しかった「非漢字圏」の学生は、ほとんど来ず、来ずとも大丈夫と思われる中国人学生ばかりが、学校へ来て、一生懸命勉強していたのですから、なかなか思うようにはいかないものです。

 と言うわけで、今週の金曜日から、「読解(と言いましても、初級レベルの読解です)」プリント」を渡すことにしました。初めは「非漢字圏」の学生だけにやるつもりだったのですが、この二三日の様子を見ていますと、休み中に来られなかった中国人学生が、休み中のプリントを、他の人から借りてやっていたのです。そして、答えを教えてもらいに、職員室にまで来たのです。「あれれ、中国人もしたいのかな」と少々驚きましたので、昨日の授業の時に、「やりたい人はいるか」と聞いてみたのです。すると、スリランカの学生を除く皆が手をあげました。「勉強だよ、宿題なんだから。やるつもりがない学生は手をあげないで下さい。先生たちは忙しい」と嫌みを言いますと、「します。します」。そのうちに、「先生、私も欲しい」とスリランカの学生までが言いに来ました。

 そこで、「今までの宿題をしていない人は、それが終わるまで、渡さない」ということ、それから、「来週の月曜日に提出できなかった人は、次のは渡さない」ということを約束してもらいました。

 ちょっと「かわいそうかな」とも思ったのですが、まず、「毎日の宿題」です。それが出来る人が、更なる高見を目指すために、上のレベルの問題をさせるというわけですから、宿題すらできない人には、こういうプリントは関係ないのです。別に出来ないのに、同じクラスだからという理由で、皆が同じ宿題をやらねばならないということもないのです。

黒いひまわり


 さて、どれほどの人が今までの宿題をやって見せてくれることでしょう。中には二冊目に入ってから、余り提出していない人もいたようでしたし…。

 ところで、前に中国人のYさんにいただいた黒い「ヒマワリ(?)」が咲きました。「ヒメヒマワリ」のような小振りの花なのですが、不思議な美しさですね。一緒にいただいた白いアサガオは今週から咲いて、今日も、優しげな明るさを放っているのですが、もう一種が、黒い花だったとは…確かに変わった花だとは聞いていたのですが。

日々是好日
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「コメツキバッタ」。「民族... | トップ | 「夏」。「就学生が一人もい... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本語の授業」カテゴリの最新記事