日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

季節の「変わり目」

2008-09-27 12:00:53 | 日本語の授業
 昨日は、朝から蒸し暑く、まるで「蒸し風呂」の中へでも放り込まれたような、変な天気でした。ところが、お昼過ぎにサーと驟雨が来てからは、一雨ごとに寒くなるという、秋のお天気そのままに、気温がぐっと下がって、狐にでもつままれたよう…。帰る時には、冷たい風になっていました。

 そして、今日です。朝は二十度を切っていました。寒いですね。学校へ来る時も、長袖姿の人の姿が目立ちました。ヤッケ姿で犬を散歩させている人もいましたし。

 思えば、19日(つい先週の出来事でした)「寒い、寒い、きっと寒いに違いない」とびくびくしながら行った、フフホトも北京も寒くありませんでした。その上、「乾燥しているに違いない」と思っていたフフホトは、緑に包まれていましたし、「カラカラの乾燥」どころか、21日にはザーザー雨で、「嘘だろう。ここは本当にモンゴルなのか」と、もう予想と大違いで何が何だか解らぬうちに、北京へと戻ったような案配でした。北京でも、予想外に暑く、厚手の上着も、セーターも必要なく、フウフウと汗をかきながらの二日間でした。着いた日には雨も降っていましたし。

 日本に戻っても暑かった。中国へ出発する前は、台風が来るとの天気予報に一喜一憂していたのに、戻ったら、「台風は来なかった」。そして、大陸に比べれば、やさしいものの、真夏のような暑さでした。でも、暑かったのは二・三日で、今日の、この涼しさです。

 本当に、「秋」はこうでなくてはいけません。こうでなくては「秋」とは言えません。今日は、涼しさも秋らしく、お空も典型的な「秋晴れ」の青空です。その「青」の上を、ふわふわとした軽い雲が漂っています。

「女心と秋の空」と、なぜか「秋空」には「女心」が登場してしまうのですが、暑かったり、涼しかったり(この「涼しさ」を「寒さ」に感じてしまうところに、すでに「風邪を引くぞ」の兆しなのです)が、続くと、覿面、学校では、病人が増えてしまいます。人の身体というのは本当に正直なものですね。

 中国人の学生は、南から来ている人でも、寒さには強いというか、「四季の移ろい」に順応性があるらしく、学校を休むというまでには至らないのですが、南の国から来た学生達は、バタンバタンと将棋倒しのように、倒れていきます。

 毎年のことですが、梅雨の頃と、秋口とが、彼らにとって、日本暮らしの最難関の関所といった感じになってしまいます。一年がんばれると、もう大丈夫なのですが。これも、「夏に秋が始まり、秋に冬が始まり、冬に春が始まり」といった「その季節になった時には、既に次の季節が始まっている」という日本の四季の形を、徐々に身体が体得していくからなのでしょう。しかしながら、初めはだめですね。7月生にとっては、一種の「洗礼」のようなものです。

 上のクラスの人達はもう大丈夫なのですが、彼らの口からは、「声が出ません」とか、「頭が痛いです」とかいった言葉が、「おはようございます」や「こんにちは」の代わりに出てきます。ここで無理をさせると、結局は「風邪引きさん」が増えるということになってしまいますから、無理はさせられません。させられないのですが、勉強はどんどん進んでいきます。一日でも休んだら大変です。

 今週で、『初級Ⅰ』のクラスは『初級Ⅱ』になりましたし、『初級Ⅱ』のクラスは『中級』に入ってもう二・三週間が過ぎているというわけですから、今休まれると大変です。とにかく毎日がんばって学校へ来てもらわなくてはなりません。「お湯をたくさん飲みなさい」とか、「いつも一枚多めに服を持っていなさい」とか、先生方は大忙しです。

 それに、『初級Ⅱ』に入った段階で、このクラスの中国人のうち、余力のある人には『中級』にも参加するように勧めていますので、勉強の「分量」がますます増えていきます。日本語の「イロハ」から始めた人が、同時に、二クラスを受けるというのは、多少抵抗があるでしょうが、『初級Ⅱ」になっていれば、もうそれほど抵抗はないでしょう。

 つまり、もう『初級Ⅱ』に入ったということは、日本語を学び始めて三ヶ月が経過したと言うことですし…、まあ、普通にいって、「4級レベル」には達しているということですから、そろそろ手を広げたほうがいいのです。そして、どうにか、二クラスを同時進行という形で続けてもらい、いずれ、今年の4月開講のクラスと合併して、来年の7月には、「日本語能力試験の一級」をめざすと言う形になってもらうのが、一番望ましい。

 就学生達は、アルバイトをしながら、学校で勉強していますし、在学期間は決まっています。もう少し勉強してもらわなくてはならないレベルの人でも、延長はできません。それ以上は、この学校にいられないのです。もちろん、自分の国でも、勉強なんてしなかったという人は別ですが、普通の学力があれば、「一級レベル」は一年くらいで終わらせて、その上の、せいぜい高校くらいには、レベルと上げておかないと、大学や大学院に入学することが出来ても、そこで苦労するということになってしまいます。

 しかし、在日ビザで来ている人達には、基本的に時間の制限がありません。ゆっくり勉強してもいいのですが、実際は早ければ早いほどいいのです。月ごとにお金を払っているわけですから。特に中国の方の中には、出来るだけ早く「一級試験」に合格して、日本で仕事をしたいという「大卒者」が少なくありません。「留学生試験」は難しいのですが、「一級試験」というのは、きちんと習ったことを勉強してさえいれば、また、大学で勉強をしたことのある人にとっては、それほど難しい試験というわけではないのです。

 その「留学生試験」のことですが、実は、私には、この試験が始まってから、一つだけ、変えた「やり方」があるのです。

 以前は、文法用語のうち、少々難しいものは、もう少し後でとか、上級になってから、入れようとか導入時期を割合に考慮したりしていたのですが、今はほとんどと言っていいほど考えていないのです。

 迷わず、文法事項が出た時に、その単語を入れるようにしています。いろいろと忖度しても仕方がないということに、(このテストのお陰で)気づかされたのです。その上、その方が、お互いに楽だということにも、気がついたのです。

 学生達は、そういう言葉の導入後は、当然のことのように、覚え、復習時に問えば、その言葉を返してきます。外国人である彼らにとっては、その方が自然なのかもしれません。難解であるであろうと、勝手に思って出し渋っていた私の方が、おかしかったのかもしれません。

 まあ、そういうわけで、授業が、随分楽になりました。

日々是好日
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