ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

地獄の沙汰も酒次第(4)

2016年07月12日 05時05分20秒 | 酒の話
ずいぶん待たされた。
やっぱり乗船代を6円にねぎったのがまずかったのかなぁ・・・
そして薄ぼんやり照っていた日差しも暮れて周りも暗くなったころ、
やっと手下の鬼たちが来てお白洲に引き立てられた。
周りは暗い中にかがり火が赤々と灯っている。
(地獄の世界ではまだ電化していないのかな?)
赤鬼・青鬼・斑鬼、
そんな鬼たちに囲まれた一番奥にいるのはあの有名な閻魔様。
絵に描かれ仏像に彫られた通りの憤怒の表情。
あんな表情を続けるのはかなり疲れるだろうなぁ・・・
それとも筋肉がすっかり硬直してしまってるのかなぁ~
それとも怖がってほしいのかなぁ~
うんうん、きっとそうだろう。
この閻魔様を見て「きゃぁ~かわいい!!」なんてギャル死人などにいわれたら、まったく閻魔様の立つ瀬はない。
ここは一応閻魔様の顔を立てて怖がっておこう。
そこで、ははぁ~~~とばかり土下座する。
閻魔様もこれで今日の仕事は終わり。
早く帰って呑みたいなぁ~なんて思ってるもんだから、かなりなおざり。
あくびしながら壁の柱時計をちらちら見る。
えっ、地獄に(年代物とはいえ)柱時計があったのか・・・
傍の秘書鬼が罪状を読み上げる。

「ぐうたら百姓、せっかく娑婆で生を受けながら、ただただ、むざむざ、だらだら、生きてきた、いてもいなくてもどうでもいい人間。
ただ呑むだけで何の役にも立たなかった人間。その罪軽からず。
よって灼熱地獄でその緩んだ心と体を焼いて鍛えなおすのが妥当かと思われます」
そう聞いて閻魔様、物憂げに面倒くさそうに「ふむ、ふむ。そうせい!」
いかん!暑いのはかなわない。
「お言葉ながら、ひたすら呑んで暮らしたのはこれも世のため人のため、ただただ酒税を誰よりも多く払いたいと思ったればこそ、そこら辺をどうかおわかりいただきたく・・・」
と大切に持ってきた1升瓶、「ともあれ、まずは・・・」と閻魔様に注ごうとしたら、
「なんだそれは?酒か!今は勤務中である!!酒でごまかそうとは許せぬ!!!」
(いかん!閻魔様って意外と律儀な仕事人間だったんだな)
「いえいえ、酒ではありません。般若湯です」
「なに、般若湯とな?」
そして1杯、ごくごくごく。
「うむ、いかにも般若湯だ」
そして少し気を取り直して、
「それなら針地獄はどうだ?毎日毎日針に針山をのぼり刺されて娑婆での暮らしを反省しろ!」
「いえいえ、娑婆ではいつも健康に気を使い心の中までアルコールで消毒してきました。
地獄に来てまで針灸や足踏み健康をしたいとは思いません。ほかにもっといい物件はないでしょうか?」
といいながら、すかさず閻魔様に酒を注ぐ。
閻魔様もそろそろいい気分になって、
「まったく面倒くさいやつだな、じゃぁここから選べ!」と、メニューを投げてよこす。
(ここはファミレスか?)
でもまあ自分で選ぶのにこしたことはない。
メニューを見ると、
ずいぶんいっぱいあるんだなぁ~

・等活地獄~お互いに殺しあう世界らしいどうもこんな世界性に合わないな・・
・黒縄地獄~暑く焼けた鉄板に倒して焼けた縄でたたく。勘弁してよ焼き鳥じゃないんだから。
・衆合地獄~剣の葉を持つ木の上に美人がおいでおいでと誘惑し、登ると今度は木の下に美人が現れる。その昇り降りのたびにけがだらけ。でもこの方がましか。登らなければいいのだから。
 誘惑にはもう負けないぞ!
・叫喚地獄~熱湯の大釜や猛火の鉄室に入れられ、号泣、叫喚する。温泉くらいの暑さだったら、サウナくらいの暑さに部屋だったら考えてもいいな。
・大叫喚地獄~叫喚地獄よりもさらに大きな釜や部屋に入れられ苦しみはさらに増す・・・というのだけど叫喚地獄とたいして変わりない。ネタ切れ?
・焦熱地獄~串刺しにされて鉄板の上で焼かれる。焼肉じゃないんだから。勘弁してよ。
・大焦熱地獄~また更なる極熱で焼かれて焦げるという。焦熱地獄とたいして変わりないね。ネタ切れ、想像力不足。ごめんだね。
・阿鼻地獄・無間地獄~坊さんたちの食糧や田畑を荒らしたり仏像や仏具などを壊した罪人が落ちる最悪の地獄。飢えに苦しみ自分の手足さえも食べるという。食料不足の時僧侶達の面倒を見ると言っておきながら、何もせずに飢えさせた者が落ちる・・・なんていやはや、坊さんの恨みは怖い。こんな坊さんたちこそ地獄に落ちないのかな?
・八寒地獄~ものすごく寒いところらしい。

(まったくろくな物件はないな!)

「あの~叫喚地獄と八寒地獄をブレンドした物件はありませんか?」
「そんなものあるか!」と一喝される。
しかしよく見るとメニューの最後に小さく「本日のお勧めメニュー」というのがあった。
「泥酔地獄」
「うん?これは??」
「酔っ払いが行くとこだ。無理やり呑まされるぞ。苦しいぞ~~~!」
これだ!
「ここに行きます!」


(続く)
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落ち葉

2016年07月12日 04時22分48秒 | 花便り


なんてこともない落ち葉の写真です。



でも落ち葉ってとってもきれい!・・・だと思わない?



やがて朽ちて土にかえっていく・・・



最後に輝き朽ちていく・・・



美とはそんなものかもしれないね。



死とはそんなものかもしれないね。



なんてこともない、落ち葉の写真でした。


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