ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

地獄の沙汰も酒次第(3)

2016年07月08日 19時18分05秒 | 酒の話
ぎーこ・.ぎーこ・ぎーこ
櫓の音だけが聞こえる。
次第に岸から遠ざかりすぐに岸が見えなくなる。
岸ばかりではない。
暗い霧に舳先さえも見えない。
いったい何人乗ってるのだろう?
みな一言もしゃべらないでじっとうつろな目で・・・
底も見えない川底を、
雲もなくただひたすら暗い空を、
霧でまったく見えない対岸を、
もうすっかり見えなくなった今来た岸を、
いつまでもいつまでも見続けている。

みんなどうしたんだろう?
まるで死人のようじゃないか。
そうか、みんな死んでるのだ!
じゃあしゃあないな、一人で呑もう。
ごくごくごく・・・
しかし何にもない船だな。
カラオケでもないのか?
船頭は船頭小唄の一つも歌わないのか?
(別に聞きたくもないけど・・・)
綺麗どころのコンパニオンとかいたらいいのになぁ・・・
いっきいっき!なんて酒を進めてくれたら、もうちょっとみんな盛り上がるのになぁ・・・

ぎーこ・.ぎーこ・ぎーこ
相変らず聞こえるのは櫓の音だけ。

6円は安かったかな?
せめて10円くらいは払ってもよかったかな?
なんて思いながら一人でちびりちびり呑んでると、
やがて薄ぼんやりと対岸が見えてきた。

やっぱり!
たいして遠くないじゃないか。
うんうん6円でよかったんだ。

そしてようやく岸にたどり着く。
みんなぞろぞろ降りていく。
ここもやっぱり殺風景なところで、
周りは霧で何も見えない。
一応念のため日頃の癖、酒のバーゲン屋や自動販売機を探すけど、何も見えない。
もちろんここにも観光案内所もないし、コンビニもない。
これじゃまるで過疎の村だね。
もっとイベントをして地獄暮らし希望の人を呼び寄せて地獄興しをしようなんて思わないのかなぁ~
まったく面白くないところだなぁ・・・

しかしこんなに霧ばかりだと気象予報士は楽だろうな。
「今日は霧時々霧、所により霧です」
週間予報も楽だろうな、
「今週は霧時々霧、所により霧です」
でもこれだったら気象予報士はいらない。
みんな失業しているだろう。
というか現世では嘘ばかりついてたのできっと舌を抜かれているだろう。

なんてことを考えてたら周りの人は一人また一人と減っている。
どこに行ったのだろう?
そうかきっと地獄の法廷に連れていかれたんだなぁ~

さて地獄ってどんなところだろうな?

(続く)
コメント
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