ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

地獄の沙汰も酒次第(8)

2016年07月20日 18時31分07秒 | 酒の話
こうして鬼とさしつさされつ・・・
さしつ・・・
さされつ・・・

でもなんか物足りないなぁ・・・
なんか肴ないの?
枝豆とか、モロキュウとか、トマトとか、ジャガイモの塩ゆでとか、せめて(嫌いだけど)オカラとか・・・
「そんなものあるか!でも焼肉ならいっぱいあるぞ!」
(やっぱり、鬼は肉食なんだね)
「焼肉?いいねいいね!それ持ってきてよ」
「よっしゃ!」傍に使えている鬼に言いつける。
「焼肉もってこい!」
そして「呑め呑め!」と一升瓶からごくごくと注ぐ。
あの~その酒、娑婆から持って来た酒なのだけど・・・
まるで自分の酒のよう。
それにこの鬼意外と酒に弱いんだな。
もう顔が真っ赤だ。
あっ、そうかもともと赤鬼、そんな顔だったんだ。
傍にいる鬼、どうした?体でも悪いのか?顔が青いぞ?
あっ、そうかもともと青鬼、そんな顔だったんだ。

焼肉が来るのを待ってる間、ふと素面に戻って、鬼に聞いてみた。
「しかし、なんだね、鬼ってけっこう大変な仕事だね。給料とか有給とかあるの?勤務時間は?」
「そんなものあるか!年中無休じゃ!!」(と、言って大きなため息・・・)
「えっ、無給!それだったら衣食住にもこと欠くだろう。いったいどうやって暮らしているの?」
「ここは地獄。雨は降らない。気温も年中同じ。それで住の心配はない」
(なるほど)
「でも衣は?」といってあらためて鬼を見ると、裸、着ているものはパンツだけ。
これじゃ衣装代はかからないね。
でもパンツだけとはいえトラのパンツ。
結構高いんじゃない?
「う~~~ん、そう。それで近頃はみな鹿のパンツでごまかしている」(と、いってさらに深いため息)
鬼の世界でも結構悩み事があるんだ。
「じゃあ食は?」
と聞くと、やっとにやっと笑って、
「食だけは不自由しない。肉はいっぱいある!」
えっ、何の肉?・・・と聞こうかと思ったら
肉をとりに行った鬼が戻ってきた。

美味そうな肉が山盛りいっぱい。
でも・・・なんか・・・やばそうな・・・
恐る恐る聞いた、
「これ何の肉?」
「人肉に決まってるだろう、さあ食え!美味いぞ!!」
やっぱり!
いえいえ、それだけは勘弁して!
「他の肉、地獄にはないの?」
「まったく面倒くさいやつだなぁ・・・う~ん、地獄の肉というと人肉に決まっている。
しかし・・・まてよ・・・畜生界の地獄には他の肉があるかもしれないぁ・・・行ってこい!」
と今戻ってきたばかりにの鬼に言いつける。
まったく人使いの荒い、いやいや鬼使いの荒い奴だなぁ。

(続く)
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地獄の沙汰も酒次第(7)

2016年07月20日 05時08分56秒 | 酒の話
気がついたら今度は日本酒地獄の傍。
ははぁ~ん、次は日本酒を飲めというのだな。
でも今までのパターンからすでに期待感は失せている。
きっと純米酒ではなくて醸造酒、それも変にべたべた甘い安酒、もしかしたら料理酒か?
(それだけは勘弁してほしいな。でも他に何もなかったら呑むけどね・・・)
それに気になるのは湯加減。
(第3の!)ビール風呂、(甲類の!)焼酎風呂・・・どちらも冷たかった。
そこにどっぷりつかり、どっぷり呑んだため体の外は冷たく内は暑い。
これじゃ体調に悪い。
それで今度はぬるい酒湯にしてほしい。
人肌の日本酒に浸かってちびりちびりと呑むなんていいんじゃない?
念のため担当(?)鬼に聞いてみる。
「この酒、純米酒?」
鬼は不愛想に不愉快そうに言う。
「醸造酒じゃ!」
そしてすっかりプライドを傷つけられたのか、続けて言う
「しかしそれも灘だぞ!!」
どうやら関西出身らしいこの鬼、今でも灘や伏見が最高だと思っているらしい。
「どや、まずは呑んでみろ!」
とわざわざぐい飲みに、日本酒風呂・・・じゃなかった日本酒地獄の酒を汲んできて、
「呑め!」という。
呑んだら・・・やっぱり!
べたべた甘い!
「どや?」
この鬼、昔の灘や伏見しか知らないな?
今は灘や伏見ももっとうまくなってるよ。
しかしここは鬼の顔を立てて、
「う~~~ん、確かに!でも・・・」
あっそうだ!娑婆から持ってきた純米酒の1升瓶。
大切に持ってきた純米酒の1升瓶!
思い出した。
あれどこに行ったんだろう?
純米酒の1升瓶!!
三途の川でちびりちびり呑み、
閻魔様にごくごく呑まれ、
でもまだまだ半分くらいは残ってるはず。
あっ、そうかぁ~~!
ビール地獄に突然突き落とされたあの時、あそこらへんにまだあるはず・・・
この担当鬼がこっそり呑んでいなければ・・・

そこで日本酒地獄に突き落とそうとする鬼に慌てて言う、
「ちょ、ちょっと待って、大事な忘れ物をしてきた!ちょっと待って!!」
「まったく面倒や奴だな!」
あわててビール地獄に戻ると、あった!
隅っこに1升瓶が転がっていた。
それをもって来て、担当鬼に言う。
「ちょっとこれを飲んでみてよ・・・」
怪訝な顔をしながら鬼はふたを開けにおいを嗅ぐ。
そして怒って棍棒を振りかざして言う。
「何じゃこれは!、酒じゃないか!!勤務中に呑めるか!!!」
慌てて越前家や越後家のごとく手もみしながら、えへらと笑い、
「いえいえ、酒ではありませぬ。般若湯、そうそう般若湯!です」
「なに?般若湯とな?」
そこはお互い好き同士、話せばわかる酒仲間。
まずは1杯注いでやると、
「うむ・・・う~ん」
さらにもう1杯注いでやると、
「うむ、うむ、う~~~ん」

こうなると話は早い。
呑みつ呑まれつ、
さしつさされつ、
うぃぃ~~~!

ところでこの杯、なんか気になるね・・・
もしかしたら?
そう、人間のどくろ!
でもまあいいか気にしない気にしない!

うぃぃ~~~!

(続く)
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