イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

紀ノ川河口釣行と船底塗装

2020年09月27日 | 2020釣り
場所:紀ノ川河口
条件:若潮 9:37干潮
釣果:タチウオ 4匹

今日の気圧配置は弱いけれども冬型の気圧配置だったそうだ。ついこの前までうだるような暑さだと思っていたら一気に涼しくなって今度はもう“冬型”なんていう言葉が聞かれるようになった。どんどん季節が早く進んでいくので体も心も追いつかない。もう少しゆっくりしてくれないものだろうか・・・。

なので今日は北風が強く吹くらしい。朝起きてすぐに第五管区の海保の観測実況では風速は4メートルでこれだったら十分加太を目指せるじゃないかとは思ったが加太への釣行は見送り、今日も紀ノ川河口でタチウオだけにした。
家を出るときは確かに風はなかったが、いつものスーパーの出口を出る頃には確かに風が強くなってきていて、港への道中に渡るふたつの川の川面もさざ波が立っている。港の中は北風には強いので大したことはないが、赤い橋の下を越える頃には風はかなり強くなってきた。仕掛けを下すために船を微速にするとそれだけで船の向きが変わってしまう。今日も釣りづらそうだ。前回と同じでいきなり青岸の灯台を越えるのは怖いので港内からスタート。
いきなりアタリがあったが鉤には乗らない。それからしばらくはアタリがない。今日も早く出港しすぎたようだ。午前5時で十分である。



やっと魚が乗ったのは辺りが少し明るくなってからだ。今日も型が小さい。ただ、大きい奴もいるらしく、釣り上げたタチウオには大きな歯形がついていたり、1匹はほぼ噛み切られた状態で胴体がぶらんぶらんの状態で上がってきた。波化があるからだろうか、大きい奴は少し下の方から様子を覗っているという感じだ。その後も小さいものばかりでストックできる魚は限られている。そうこうするうちに朝日が昇り、アタリも途絶えた。どんどん魚をリリースしていたら残ったのは4匹だけだった。もう少し粘って数少ないアタリを拾う手もあるけれども、発作的に、今から小船の船底塗装をやってしまおうと思い立った。
潮が小さいので今までの方法だと船を陸に揚げるのは無理だが、3年前に買った手動式のウインチを再度利用する方法を考えていた。
ウインチの固定方法が問題なのだが、前はロープでそれをしようとしてほぼ失敗している。それをターンバックルでスロープに固定してやろうと数日前、管理人の渡船屋には無断でアンカーボルトを打ち込んでおいた。
これがうまくいくと潮位が低いときでも引き揚げることができるし、思惑では作業時間も劇的に短くすることができる。なにしろ、船をスロープまでもってきて潮が引くのを待つだけで2時間はかかる。完全に干上がるまでは3時間だ。

本当は渡船屋が休業の次の休みの作業をするつもりだった。勝手にボルトを打ち込んだことを咎められるのが怖いというわけではなく、最近、渡船屋はかなり盛況で客が多いときにボロボロの服を着たおっさんがなにやらわけのわからないことをやっているところを見られるのが恥ずかしいという理由だ。今日も駐車場がほぼ埋まっている。



午前8時前に港に戻り、まずはウインチの固定だ。事前に試しておこうと思っていたのだが、そのときは満潮状態でボルトの位置をこえるところまで潮が来ていてそれができなかったのでぶっつけ本番だ。ターンバックルのフックを曲げた角度と本体とボルトの位置が合わない。少し苦戦しながらなんとか取り付け船を回してきて引き揚げてみると今度はワイヤーが空回りする。軸にうまく固定できていなかったワイヤーが船の重みで空回りしているようだ。2回ほどワイヤーを巻きなおして本格的に作業を開始。やはりターンバックルでの固定が不完全でウインチが傾き始めたがなんとか作業ができる位置まで船を引き上げることができた。

 

丸太のコロを使うなどというのはほぼエジプト時代の労働者と同じ方法での作業だが父親も木造船を持っていたころ、ここで同じようなことをやっていた。時は流れても進歩がない・・。



そこからは一気に作業を進める。去年はこれほど速度が落ちなかったので船底はどれほどフジツボが付着しているのだろうかと思ったが、個数は大したことはない。代わりに、ひとつひとつが大きい。渡船屋の船頭の意見では、ちょうど大きくなるころに水温がグッと上がったからじゃないかとのこと。確かにその通りだと思う。(この時点で船頭にアンカーボルトを勝手に打ち込んだことを打ち明けた。)
約2時間足らずで、カキを落として塗装、再びコロをセットするところまで作業を進めることができた。ウインチをセットする作業を含めて約3時間。前回までと比べると格段の速さだ。結局、早上がりの釣り客が帰ってくる前にすべての作業を終えることができた。

進水作業も、いつもは一度家に帰って満潮時刻を待っての作業だが、ウインチを操作してその場でやってしまった。塗装はまだ生乾きの状態だが、船底の塗装は生乾きの時に下したほうが効果が高いのだという噂を信じた。しかし、この噂は本当なのだろうか・・?
午前11時半にはすべてのものを片付けて今日の作業を終了。

ボルトの位置を修正して、ワイヤーと船の位置関係に注意して作業をするとまだまだ作業時間を削減する余地があると思う。
こういう努力と知恵を仕事にも生かせたら今でももっとやりがいのあるサラリーマン人生を歩めたのではないかと今さら思っても仕方がないことを考えるのであった。




船足が遅くなってから結局1ヶ月間、小船には乗ることがなかった。そんなせいか、こんな夢を見た。
それは9月25日の夜の夢。
なぜだか隣のN氏の船に引っ張られて小船でチヌを釣っている。水が入ってきて沈没しそうになったので険しい磯に上がって水を掻き出したが、乗っている荷物を全部流してしまった。その磯の先端にはなぜか郵便局だか売店だかのようなものがあり、千社札がいっぱい貼られている。雨も降っていた。
僕はN氏に、「ここは何かの聖地になっていて陸伝いでたくさんの人がやってくるんですよ。」と説明しながら、心の中で、「あのクーラーボックスはすでに廃番になっていて新しいものを買うことができない。紀州釣り用にアルミのランナーで作った枠がもう使えなくなってしまった。」と嘆いているときに目が覚めた。
クーラーボックスについては、その日、カタログを見ながら、まだ商品としては存在しているのかということをなにげなく見ていて、カタログからは消えていたことが頭の中に残っていたのだろう。あの枠を作るのはけっこう面倒で、クーラーボックスを買い替えると一から作らねばならない。新たに作っても残りの人生でどれほどの回数行けるのだと思うとはやり面倒だと常々思っていたことが夢に現れたのだろう。
そしてなにより、小船にはもうひと月も乗っていないという後ろめたさと、一昨年の台風21号の惨事のトラウマがいまだに残っているのだろう。

僕は常々、釣り船を持つことは愛人を持つことだと思っている。(重ね重ね書くが、実際に愛人を持ったことがないので本当のことはわからない・・。)それを2隻持っていると平等に扱ってあげないどちらかかが嫉妬する。きっと長らく乗っていない小船のほうがこんな夢を僕に見させたのだと思う。
これで当分の間速度は維持できる。小船での釣り物は本格的にはコウイカを待たないといけないが、ボウズでもかまわないから大きいほうと交代で釣りに出ようと思うのだ。



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