イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「すごい物理学講義」読了

2017年09月17日 | 2017読書
カルロ ロヴェッリ/著 竹内 薫/監訳 栗原 俊秀/訳

「すごい」というタイトルがついているが、すごすぎてまったくわからない。
物語はギリシャ時代から始まる。
デモクリトスという哲学者が物質について語ったことば「万物は原子から構成される。」が紹介され、その延長線上に相対性理論や量子力学があるという。アインシュタインやボーアは複雑な方程式を使って時間や空間、物質とは何かということを解明したが、ギリシャ時代の哲学者はそれを思想と思考から導き出したというのだ。
空間が曲がっていたり、重力の強さで時間の早さが変わったりと、相対性理論や量子の世界は、今目の前にある物質とはまったくことなる振る舞いをする。量子は突然現れては消えたりする。そもそも、量子論の中では、量子が何かにぶつかったときにだけその姿を現し、それ以外は確率の雲となっているので存在自体がない。それが集まって出来上がっているはずの僕の体は突然消えることはないのに・・・。
時間でさえも量子が作り出したものらしい・・。
この時点でなんだかよくわからない。
本当なのかと思うとき、ふと、逆のことを考えてしまう。ギリシャの時代のひとたちの考えたことが正解というのではなくこの宇宙のどこかの何者かがその考えに合わせて複雑な数式を与え、さも、世界はそうやってできているのだと装っているのではないかと思えるのだ。
むかし、「惑星ソラリス」という映画を観たことがある。惑星ソラリスは星自体が生命体で、その軌道を回っている人工衛星の乗組員はソラリスによって自分が心の中に描いているものの幻を見せられるというのだ。

この世界もそうなのではないだろうか。
もし、古代の人たちがこの世界はどこまで行っても平面でできているのだ!と思い込んだらこの世界はどこまでも平面が続いているような方程式を与えられたりしていたのではないだろうか。寒天でできていると考えたなら寒天でできた世界の方程式を提示してくれるのではないだろうか。
そう考えると実はこの世界には何もなく想像と妄想だけが存在しているだけと考えてもいいのではないだろうか。
じゃあ、その妄想している人間という存在は存在と言えるのだろうか・・・。将来、人工知能に支配された世界というのはこれによく似ているのではないだろうか。想像と妄想だけの世界で実体がない。人々(と言えるのかどうかわからないが・・)は電子の世界で眠らされて夢を見る。そして思ったことが現実の世界になっているようにふるまう。だから宇宙も思う人の数だけ存在する。これも多重宇宙論としてたしかにあるではないか。
ということは、実はこの世界はすでに2000年以上も前から人工知能の中だけに存在している空虚な世界であったりする。
般若心経の「色即是空 空即是色」なんていうのもこんな実体のない世界を言い表しているのだ。きっと、やっぱり、この世界というのはもうすでに2000年前に空想の世界に置き換わってしまったに違いない。

内容を理解できないので僕もそんな妄想をするしかなかった・・・。

著者の研究している分野は、「ループ量子重力理論」というそうだ。その理論に基づくと、上にも書いたとおり、時間も空間も量子できていて限りがある。量子が存在する場所が空間だと思うがそうではないらしい。そんな理論から導き出せる宇宙の広さというのは1000億光年だそうだ。宇宙のずっと遠く、137億光年先は膨張する宇宙の速度が光より速くなってしまっているので観測することができない。だから地球から見ると今のところ宇宙の大きさは137億光年ということになっている。

「同時性」というのは、今、この瞬間別の場所で同じときを過ごしていることを予測できることを言うのだが、地球上ならともかく、遠い宇宙の先ではそれが成り立たない。数百光年かなたの宇宙人が今何をしているかを想像しても観測できるのは数百年さきになってしまうからだ。
もし、人が遠い宇宙や量子の世界の謎を解き明かす合理的な理由があるとすればそれは人類を宇宙に送り出して地球が滅びてもその遺伝子を存続させるために他ならないはずではあるけれども、同時性が成り立たないということはそういう未来も成り立たないということではないのだろうか。
人間は未知のものに対するあくなき興味でここまで文明を発達させてきたのに違いはないけれども、この理論が導く量子の世界には無限というものがない。経済活動もしかり、これは仕事ができないサラリーマンの歯軋りかもしれないが、どこかで下りて現状維持でもいいのではないだろうか。

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