弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

解雇予告手当不払いと刑事罰

2021年02月19日 | 法律情報
世間では意外と知られていないと思うのですが、労働基準法は一種の刑法であり

違反した場合は刑事罰による制裁を行うという建付けになっています。

しかし、実際に刑事罰が発動されることは稀であり、我々弁護士も民事上の効力規定として

労働基準法を用いるのが一般的です。



ところが、今回次のようなニュースが配信されていました。

 ◆破産の百貨店社長を書類送検 解雇予告手当不払いの疑い


やや見せしめ的な事案のように思いますが、形式的には労基法違反が成立するのは明らかなんでしょうね。。。

ただ、本件の場合は分かりませんが、破産実務をやっていると、資金が底をつくまで事業継続し、

弁護士の元にたどり着いた時点ではすっからかん…ということがあったりします。

そういった場合、当然解雇予告手当など支給する余裕などありませんので、そのための従業員説明会を

行ったりするのですが、破産の事案についてまで刑事罰を持って臨むというのは、何だかなぁ…という気もします。

本件も結果的にどうなるのか分かりませんが、こういったリスクがあるということは

もっと知られてよいかと思います。






















弁護士 湯原伸一



「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。


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